SAP ERPを最適化するためのマネージド・クラウド・サービスの活用

2020.10.19

SAP ERPとは

ERPとは「企業資源計画」を指し、経営資源をより有効に活用するべく、企業内のセクションを横断的かつ統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念のことを言います。

SAPによるERPの定義では「…企業運営に必要なすべてのコア・プロセス、つまり財務、人事、製造、サプライチェーン、サービス、調達などを、ERPは最も基礎的なレベルで1つのシステムに統合する。」としています。

クラウド移行の際にプロバイダーに確認すべき3つの質問

多くのITリーダーがSAP ERPアプリケーションのクラウドへの移行を念頭に置いています。最近のFrost&Sullivan社のレポートによると、米国を拠点とした企業のうち26%では少なくとも一部のSAPワークロードにSAPのクラウド・ベースのS/4HANAシステムを導入済みであり、44%の企業が同様の計画をしているとのことです。

とは言え、単にクラウドに移行すればよいというものではありません。SAPアプリケーションを管理できるスキルの高い専門家を見つけることや移行するアプリの特定、そしてセキュリティー上の考慮事項まで、課題は多岐にわたります。適格なマネージド・サービス・プロバイダーであれば、ITリソースの負荷を軽減して合理的に導入することができます。

SAP ERP環境の管理についてクラウド・サービス・プロバイダーに確認すべき3つの質問があります。

SAPアプリケーションの稼働状態を確実に維持する方法は？
価値を高めるためにどのような革新的テクノロジーを統合できるのか？
どのような手順でクラウドでのSAP展開を成功させるのか？

SAP ERP環境の管理についてはこちらで詳細に紹介しています。

IBMによるSAP ERPの移行事例はこちら

エンタープライズ・アプリケーション・サービスについて関心のある方はこちらへ

SAP ERPのクラウド移行に必須の6つのポイント

クラウドでのSAP ERPへの移行の管理について、IBMのエンタープライズ・アプリケーション・ソリューション・ディレクターのMadhuri Chawlaは述べています。

「多くの企業は基幹業務ビジネスのプロセス実行にSAPを使用しており、クラウドへの移行を考えています。しかし移行を先延ばしにしている企業もあります。移行したくないわけではなく、情報保護、レジリエンシーや法規制準拠に関する懸念から躊躇しているのです」（※itbizadvisor「SAPクラウドへの移行を簡素化」）

Frost & Sullivan社が調査した270社以上の米国企業のうち、68%が企業のデータセンターからクラウド環境に移行する際に「ワークロードやデータの移行における乗り越えられない壁」に直面する、と彼女は指摘します。Chawlaはまた、「企業の58% が、組織内のクラウドに関する専門知識が不足していると回答している」と付け加えました。

Frost & Sullivan社とIBMは、クラウドでのSAP ERPへの移行に当たりユーザーが考えるべきポイントをまとめ、ERPのクラウドでの展開に関する重要な考慮事項、そしてマネージド・クラウド・サービス（※1）がそこでどのように役立つのかを紹介しています。

（※1）マネージド・クラウド・サービス：
コンピューティング機能だけでなく運用管理も一体としてクラウドのサービスを提供する形態

そのポイントは以下の6つです。

①セキュリティー
78%の企業が、クラウドでのERP展開を検討する際にはセキュリティーが最重要課題であると考えています。そしてマネージド・クラウド・サービスにおける最も価値の高いメリットとして、セキュリティーの向上が挙げられます。

②ROI
IT部門はクラウドに夢中であっても、管理者はそうでもないかもしれません。強力なビジネス・ケースを示すことで、プロジェクトを前進させることができます。

③移行
大量のデータの移行であっても、マネージド・クラウド・サービスが明確な戦略とそれを実行するための経験を提供して、これを支援します。

④基幹業務（LoB）
調査によると、ITリーダーの69%が、IT部門が単独でアプリケーションの導入方法を決定することについて、基幹業務（LoB）スタッフが懸念していると述べています。マネージド・クラウド・サービスはLoBへの即応性を改善することで、このような信頼の溝を埋めることができます。

⑤コンプライアンス
マネージド・クラウド・サービスではコンプライアンスに関する支援も可能です。

⑥適切なパートナー
以下のような特性を持った適切なサービス・プロバイダーを見つけることが重要です。