「デジタルを活用した新規事業の開拓といっても、まず何から始め、どのように進めたらよいのかわからない」「デザイン思考の考え方も取り入れながらビジネスを再構築したい」「当社もIoTとクラウドを使ってビジネスを大きく変えたい!」「先進ITで何か新しいことやりたいんだけど、ちょっと付き合ってくれない?」──こんな悩みや課題をお持ちのご担当者に向け、イノベーションを推進するためのヒントとなる情報を連載企画にてお届けします。
IBMでは、皆様の“デジタルの壁”を打破し、イノベーションを共創しています。ビジネス変革に向けたアイデア創出から、先進ITソリューションの最適な活用法を探るPoC(Proof of Concept、概念実証)、現場での実証実験までを素早く実施。その際に、すでに多くのお客様が活用されているのがIBM Garageサービスです。
特別企画「IBM Garage:共創のエキスパートたち」では、デジタルストラテジストやデザイナー、サイエンティスト、エンジニアとしてお客様をご支援している各領域のエキスパートにフォーカスし、担当してきた事例なども交えてご紹介していきます。ぜひ、イノベーション創出への第一歩として、お気軽にご指名いただければ幸いです。
第5回「エンジニア 蛭田 雄一 ── フワッとしたビジネス構想を共に整理し、アプリケーションに落とし込む」
蛭田 雄一 Yuichi Hiruta エンジニア
▶IBM Garageなどでの主な担当案件
製造業様 B2C向け新規サービスの企画・モバイルアプリ開発
製造業様 ロボット実証実験
通信会社様 新規モバイルアプリ開発
中学時代にゲーム好きが高じてプログラミングを始め、大学時代はモバイルアプリやシステム開発を行うベンチャーを友人とともに立ち上げました。新卒でゲーム会社入社へ入社し、家庭用野球ゲームやモバイルゲーム・アプリの企画・開発にどっぷりと浸っていたのですが、あるとき「人とコミュニケーションしながら、その人が抱いている思いをアプリケーションとして形にしていく」ことの楽しさに目覚め、IBMに入社。さまざまなお客様の思いを一から形にしていくお手伝いができるIBM Garageの活動は天職だと思っています。
新事業の構想固めから入り、サービスコンセプトを描くためのモバイルアプリとして開発
IBM Garageにおける私の役割は、お客様のアイデアが具体的な構想になった後、要件を決め実際のアプリケーションとして形にすることです。インフラからアプリケーション、組み込み、ロボット、モバイルアプリまで、幅広く対応できるところがエンジニアとしての私の強みです。どんな領域のご相談をいただいてもお応えする覚悟で、名刺の肩書きは“フルスタックエンジニア”としています。特に前職では大手ゲーム会社でスマートフォン向け野球ゲームの企画・開発を長く担当していたこともあり、B2Cアプリやモバイルアプリは得意中の得意です。
また、コンサルタント兼エンジニアとして活動する機会も多く、アイデアが固まる前のフワッとした段階からアプリケーションへの落とし込みを見据えた“構想固め”のお手伝いができることも私の売りの1つです。
例えば、あるお客様の長期事業計画とIT活用構想の策定をご支援する中で、新規立ち上げを検討している事業のパートナーを募るためのモバイルアプリを開発しました。お客様の頭の中には「こんなことをしたい」というアイデアがあるものの、それを紙やPowerPointの資料に落とし込んでもわかりづらく、「それでは、事業構想を簡潔に説明するモバイルアプリを作り、出先でスマートフォンを使っていつでもプレゼンできるようにしましょう」とご提案したのです。
この事業には、すでに競合がありました。そこで、新事業は競合のサービスとどう違うのか、競合にない特徴や強みは何かをユーザーインターフェースのイメージを使ってわかりやすく説明するモバイルアプリを開発しました。これなら、どの担当者でもアプリを起動するだけでわかりやすいプレゼンテーションが行えます。
また、新事業のお話を最初に伺った段階では、具体的な事業構想はまだ明確ではないと感じました。そのため、アプリの要件ヒアリングと事業構想の整理を併せて行い、「この事業がパートナーにもたらすメリットは何ですか?」「ここも競合との大きな差別化ポイントとして強調すべきではないですか?」と確認しながら1カ月弱でアプリを開発しました。出来上がった際、事業を担当する方々に「そうそう、やりたいビジネスはこれだよ、これ!」とおっしゃっていただいたときは嬉しかったですね。
「何をやりましょうか?」からスタートするのがIBM Garage
このように、お客様の中でもまだアイデアが固まっていない段階から一緒に構想を固めていくところがIBM Garageの最大の特色です。従来型のシステム開発は、端的に言えばRFP(お客様からの提案依頼書)に対して「できます」「できません」と回答するところから始まります。そうではなく、「何をやりましょうか?」からスタートするのがIBM Garageなのです。
先にご紹介したのは私が構想段階からお手伝いしたケースですが、IBM Garageではさまざまな領域のエキスパートが活躍しており、「こんなアイデアを形にしたい」というお客様をチームでご支援し、一から共にビジネスを創り上げていきます。私自身、将来にわたってお客様を支えるビジネスを、お客様の立場で考えて創っていけるところに、この仕事の醍醐味を感じています。
また、短期間でクイックに進めることも大きなポイントです。お客様とご相談しながら今やる必要のないことは徹底的にそぎ落とし、アイデアの本質にフォーカスしながら短期間でアプリケーションとして形にしていくよう努めています。
たとえPoCでも作るべきところはしっかりと作る
私がIBM Garageで心掛けていることの1つは、たとえPoC(Proof of Concept:概念実証)でも必要なところはしっかり作ることです。PoCでは、ややもすると作り込みの精度が軽視されがちです。しかし、例えばモバイルアプリのUX(User Experience:ユーザー体験)は画面の構成要素が1ミリずれただけで大きく損なわれることがあります。PoCと言えども、そうした隙がない状態にまで作り込んで検証しなければ、正しい評価は行えません。スピード優先のアジャイルな開発でも、ここだけは絶対に譲れないと思っています。
お客様にいただいた言葉で印象に残っているのは、「次に何をやるかはともかく、また一緒にやろう」とおっしゃっていただいたことです。これはIBM Garageの全てのエキスパートに対する評価だと思います。「『こんなことをやりたい』というアイデアはあるのだけど、まだ整理できてなくて…」というお客様がいらっしゃいましたら、その段階で結構です。ぜひIBM Garageにご相談ください。IBMの多彩なエキスパートが、お客様の思いを形にしていくお手伝いをさせていただきます。
<<「IBM Garage:共創のエキスパートたち」バックナンバー>>
- 第1回「データサイエンティスト 黒木 俊介 ── フワッとした混沌の中から、お客様とともに新たな価値を生み出す」
- 第2回「エンジニア 佐々木 健太朗 ── お客様の思い、アイデアを、アプリケーションとしてクイックに形にしていく」
- 第3回「デジタルストラテジスト 久保 結 ── 徹底した顧客志向でユーザーの声を探求し、大企業とイノベーションを共創する」
- 第4回「データサイエンティスト 石井 香帆 ── 短期間のスピーディな検証で“現場が使えるデータ分析”を届ける」
- 第5回「エンジニア 蛭田 雄一 ── フワッとしたビジネス構想を共に整理し、アプリケーションに落とし込む」