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Smarter Business

DX成功の鍵を握るフロントサービスの変革に向けて、IBMが提供する「共創の場」

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正木達也 氏

正木達也 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
金融ビジネスソリューション事業部
ソリューション・ストラテジー部
アドバイザリー・アーキテクト

2009年に日本IBMへ新卒入社。インターネットバンキングシステム更改プロジェクトのデリバリーを6年半担当した後、シンガポールに5年間赴任して邦銀のコアバンキングシステム更改プロジェクトなどを歴任。2020年末に帰任し、金融機関向けソリューション戦略チームに在籍。

2018年8月に、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、AIなどの最新技術を活用したデジタル変革戦略として、銀行や保険など10業界を対象にした「デジタル時代の次世代アーキテクチャー」を発表しました。

デジタル時代の次世代アーキテクチャー

出典:日本IBM

 

このアーキテクチャーにおいて、フロントサービス群は変革ニーズに合わせて迅速に構築・改善を繰り返すことを目指しています。その実現においては、デジタルサービス群や外部サービスを適切に組み合わせ、ユーザー体験を創出できる人材が不可欠です。

本稿では、そのような人材を輩出し、お客様とともにフロントサービスを「共創」していくために、日本IBMが開始している「環境」と「場」の提供についてご紹介します。

日本IBMが目指すフロントサービスの「共創」

新たなフロントサービスの創造には、顧客動向や社会情勢、さらには法改正などさまざまな影響からくるニーズを正確に把握すると同時に、既存資産や新技術をどのように活用して、そのニーズに応えられるかを検討する必要があります。

これは一企業、一人材でなせることではなく、業種間、会社間、部署間の垣根を取り払い、オープンに情報交換をして「共に創る」状態が望ましいと考えられます。「共創」によりユーザー企業様にはより良いサービスをより素早く提供することができ、FinTechなどのサービスプロバイダーや日本IBMは、得られた知見をさらなるサービス向上につなげることができます。

日本IBMが提供するデジタルサービス・プラットフォーム(以下、DSP)は、デジタルサービス群を具現化し、ビジネスサービスを標準的なAPIにシンプル化することで、フロントサービス開発に自由度と俊敏性を実現します。

多くの企業がDSPを有効活用して統合的、魅力的な顧客体験を創造できるような「環境」と「場」を提供すべく、日本IBMはさまざまな活動を始めています。

多くの企業がDSPを有効活用して統合的、魅力的な顧客体験を創造できるような「環境」と「場」を提供すべく、日本IBMはさまざまな活動を始めています。

出典:日本IBM

共創のための「環境」と「場」の提供

「共創」と言うからには、そこに人が集まらなくてははじまりません。それぞれの業界動向や技術動向について深い知見を持つ人材が集まり、新しいアイデアと組み合わせて新たなサービスへと昇華させる。そういった機会の創出を目指し、日本IBMでは、まず金融業界向けに以下の活動を開始しています。

Sandbox環境の一般公開(下図の②に該当する「環境」の提供)

DSP API Banking Application(以下、ABA)の接続仕様をOpenAPI仕様に基づき開発者ポータルにて一般公開しています。

ABAはデジタルサービス群への配置を想定したマイクロサービス群であり、Web APIを介してフロントサービスから利用されます。すでにいくつかの金融機関様にてご利用を開始いただいている、実績のあるIBMのアセットです。

開発者ポータルの利用者登録を行うと、そのAPI接続仕様を自由に閲覧でき、またその機能(API送受信)を実際に試すこともできます。これをSandbox環境と呼んでいます。後述する活動での積極的活用を想定し、公開対象は順次拡大する計画です。

Developer Dojoでのハンズオン(下図の③に該当する学ぶ「場」の提供)

前述のSandbox環境を活用して実際に「使ってみる」「作ってみる」ことができる人材を増やすため、オンラインのハンズオン形式での学習セッションを開催予定です。

APIに関する基礎的な知識・技術の習得に始まり、金融機関のシステムをAPIによって学ぶ中級の内容から、Sandboxを利用して実際に動作するプログラムを作るといった上級の内容までを提供すべく、準備を進めています。

IBM Community Japan 研究活動(下図の③に該当する議論する「場」の提供)

日本IBMでは「未来を創るテクノロジーで豊かな社会を創ること」を理念に社内外から参加メンバーを募り、コミュニティー活動を行っています。2021年上半期には37テーマ62ワーキンググループが作られ、それぞれのテーマに興味のあるメンバーが集まっています。

その研究課題の一つとして「次世代金融サービスの実践的研究」を用意し、現在は金融・非金融を問わずさまざまな業界から11名のメンバーが集まり、海外の動向や未来の金融サービスについて議論を重ねています。アドバイザーには金融システムに精通した日本IBM社員3名が参加し、知識を積極的に共有しています。

IBM Community Japan 研究活動

出典:日本IBM

 

以上のように日本IBMは、「共創」を行うための「環境」の提供のみならず、共に学び、議論するために集まる「場」を用意し、専門家による技術支援体制を敷くことで、デジタル人材の輩出に向けて積極的に働きかけています。

その「場」に集まった人々が、素晴らしいアイデアを即座に実装・検証・改善していき、これまでにない顧客体験を生み出していけることを願っています。

一度、体験されませんか?