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【成功事例】データドリブン経営を成功させる「体制づくり・社員教育」のキモ

いかにデータを活かせるか、これが企業の競争力の源泉になっている。海外の企業では、Chief Data Officer (以下、CDO)を任命する動きが広がっているが、日本企業でも同様の動きが見られる。とはいえ、データ・ガバナンスへの取り組みや、ビッグデータ・プラットフォームの整備、社内の組織・体制づくりなどを、どうやって手を付けていけばよいか分からない企業も多いだろう。そこで「データドリブン経営」について知見を持つ日本アイ・ビー・エムの前田英志氏に話を聞いた。

日本アイ・ビー・エム
GBS 戦略コンサルティンググループ
アソシエイトパートナー
多摩大学大学院 MBA 客員教授
前田 英志氏

 

データドリブン経営とは何か?

──まず、データドリブン経営の定義を教えてください。

前田氏:対立する概念と並べて比較すると理解が早いと思います。データドリブン経営に対立する概念は「勘」「経験」「度胸」で構成される従来の「KKD経営」です。この中の度胸は、データドリブン経営でも共通する要素となります。違いは、KKD経営の勘と経験の代わりに、データドリブンではアルゴリズムとデータを使うことです。

データドリブン経営の要素はデータ、アルゴリズム、ガッツ。一方、KKD経営の要素は経験、勘、度胸

 

これらは、「どちらが優れている」という話ではありません。その時々の経営状況に応じて、どちらに重きをおくかのバランスが重要です。ただ、いまの日本企業はデータドリブン経営の成熟度が非常に低く、この2つのバランスを欠いた状態にあります。ここ5年ぐらいはデータドリブン経営に注力し、この2つのバランスが取れる状態を目指す必要があるでしょう。

──データドリブン経営は、マップで企業を分類できるという話ですが、詳しく解説してください。

前田氏:横軸に「データ分析の熟練度」、縦軸に「データ管理の熟練度」を取ったマップで分類すると、ご自身の会社がどこに位置するのか理解できます。これはMIT(マサチューセッツ工科大学)とIBMが共同開発した簡単なフレームワークで、これにより世の中の企業は「入門レベル」「経験レベル」「変革レベル」の3つに分けることができます。

横軸に「データ分析の熟練度」、縦軸に「データ管理の熟練度」を取ったマップで分類。多くの日本企業は入門レベル

 

残念ながら、今の日本企業の多くは入門レベルにいます。入門レベルと一方変革レベルにいる企業では、企業競争力が全く異なります。実際財務データの実績においても、変革レベルの企業は、収益性、成長性において、他のレベルの企業を圧倒している事実があります。

ここで重要な論点となるのは、企業がその変革レベルを目指してどうアプローチするかです。変革レベルを目指す企業は、大きく2つのルートでアプローチしています。

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この記事の続き >>
・成功企業が採用するアプローチ
・データドリブン経営に必要な5つのもの
・具体的な組織・体制整備の方法
・2社の成功事例