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AIがカリスマ店員に? The North Faceの取り組みとは

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アウトドアブランド大手のThe North Faceは、消費者にAIを活用した革新的なショッピング体験を提供している。消費者と自然言語で質疑応答できるIBM Watsonを搭載したオンラインサービス「XPS」が登場し、ユーザーの嗜好やニーズにあった商品をおすすめできるようになったのだ。

Watsonの質問応答システムで進む買い物

IBM Watsonを搭載したThe North Faceのオンラインサービス「XPS」画面

例えば、ある女性が冬のハイキング用のジャケットを探しているとしよう。とはいえ、ネット上ですべてのジャケットをチェックするのは難しい。そこでXPSは、Watsonがユーザーに時期や場所、性別などの質問を投げかけ、それに答えながら買い物が進む仕組みである。

Watsonの自然言語処理能力を利用して、XPSは、一連の質問に対する答えに基づいて製品セレクションを発見し改良させることに役立つ。たとえば、買い物客が求めるジャケットやアウトドアアクテビティの詳細を入力した後、XPSは、買い物客の具体的な用途や気候のニーズを満たすためのおすすめ商品を提供するために、場所、気温、性別などの要素について質問する。買い物客とのこの会話は、他の製品推奨エンジンとは異なり、XPSが推奨事項を絞り込んでより正確な結果を提供できるようにするものだ。

IBMのプレスリリース ”The North Face, IBM and Fluid Launch New Interactive Shopping Experience using Artificial Intelligence (AI)” より引用

 

実際に使ってみた

執筆にあたって実際にXPSを使って、ショッピングを体験してみた。まず、Watsonが「ジャケットを買うために何かお手伝いしましょうか?」と言うので、スタートボタンを押す。すると、「いつどこでそのジャケットを使う予定なのか?」と質問が出る。これには、「冬にハイキングで」と答えてみた。

IBM Watsonを搭載したThe North Faceのオンラインサービス「XPS」画面

続いて、Watsonが「了解。今そのアクテビティにぴったりのジャケットを探しますね。そのジャケットは男性用ですか、女性用ですか?」と質問するので、「女性用」と答える。そうすると、Watsonはこちらの条件にあったジャケットを探し始める。

今回、Watsonが見つけてくれたジャケットは6つ。ユーザーはこの中から自分好みを探せばいいので、ショッピングは実に簡単だ。そんなWatsonの顧客体験について、富士通マーケティングのサイトではこんな風に解説している。

今回、アプリにWatsonテクノロジーを導入するにあたり、The North Faceは自社のウェブサイトでWatsonの試用を2015年11月から約2か月間行いました。試用期間中にウェブサイトを訪問した5万人のユーザー(サイトの平均エンゲージメント時間は2分)のうち、フィードバックしたユーザーの75%が「また使ってみたい」と回答。
また、Watsonがユーザーに対しておすすめした商品へのクリックスルー率は60%。この数字から見ても、Watsonが行う「おすすめ」へのユーザーの関心が高かったことが伺えます。(http://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/mikata/column/makena6/001.html )

eコマース市場への人工知能の導入は私たちの買い物の概念を大きく変えている。これまでは自ら検索して膨大な製品の中から自分の条件にあうものを探す作業が必要であった。しかし、いまや人工知能が私の変わりに製品を探してくれる。これは、まさにユーザーの特定の要望に的確に答えるカリスマ店員の登場と言っても過言でないだろう。

参考URL

The North Face, IBM and Fluid Launch New Interactive Shopping Experience using Artificial Intelligence (AI)

人工知能が商品をおすすめ!「The North Face」が導入するAI搭載のアプリ | 株式会社富士通マーケティング

The North Face、IBMのワトソンを使ったスマートなモバイルショップアプリをもうすぐローンチ | THE BRIDGE