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Smarter Business

IoT時代の銀行とは?動き始めた基幹系システムのクラウド化が示す金融の未来

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羽川茂雄

羽川茂雄 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
金融サービス事業部
金融デジタル・イノベーション
理事/パートナー

藤田一郎の写真

藤田一郎 氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
Integrated Account CTO
エグゼクティブ・アーキテクト

 

モバイルバンキングやキャッシュレス決済の進化など、金融業界の環境が急激に変化するなか、IBMが銀行業界における「デジタル変革の第2章」に踏み出す。IBMは2019年5月9日、クラウド、コンテナ、オープンソースを活用した次世代デジタル銀行の勘定系ソリューション「IBM Digital Core Systems for Banking」を発表した。クラウドに対応した銀行勘定系システムを実現してより抜本的なデジタル変革を進め、運用コストの削減やシステム拡張性の向上を図る。激変する金融機関のシステムの世界における同社の役割とは。GBS金融サービス事業部の羽川茂雄パートナーと、Integrated Accountの藤田一郎CTOに聞いた。

 

銀行が活路を見出す、既存システムと新しいテクノロジーのあいだ

――デジタル化が急激に進んでいる今、金融業界も変化の只中にあり、モバイルバンキングやキャッシュレス決済などは進んでいます。これに対して、特に課題とされているのは、銀行業サービスの根幹となる勘定系システムのデジタル変革です。この点について、どのようにお考えでしょうか。

藤田 これまで銀行はコストを抑えつつ、安定的なシステムの提供に注力されてきました。一方、世の中はクラウドやAPIが進化して新しいビジネスが動いています。既存のシステムと新しいテクノロジーをどうつないでいくかが課題となっています。

IBMが「デジタル変革の第1章」と呼んでいる、コンシューマービジネスへの対応やフィンテックなど新しいテクノロジーの採用などは日本でも進んでいます。IBMが掲げるデジタル変革を進化させるためのロードマップ「次世代金融サービス・アーキテクチャー」で言えば、ATMやモバイル、フィンテックなどフロントの部分(下記図版の緑枠部分)では、銀行はデジタル化に向けて積極的に動いています。

一方で、ビジネスサービスなどの部分(下記図版の紫枠部分)では、これまで積み上げてきたテクノロジーとのギャップが出てきました。やりたいことがすぐにできないという、アジリティー(敏捷性)上の課題があります。銀行が直面する「デジタル変革の第2章」とは、勘定系システムもハイブリッド・クラウド化を進めていくことです。それをどう進めていくか、IBMはソリューションを用意しています。

デジタルとフィジカルが融合する中、新たな金融サービスに求められる4つの変革

  1. チャネル高度化:
    デジタル化の進展によりチャネルの役割が変わってきており、既存チャネルの役割を再定義しながら、AIやRPAを活用し、インターネットバンキングや営業店、ATM、コールセンターなどのチャネルの高度化を実現する
  2. 個客志向サービス:
    金融機関の持つ経験値・専門知識をシステムに蓄積し、顧客をセグメントで認識するのではなく、一人ひとりを個客としてパーソナライズされたニーズへの対応を実現する
  3. 業務最適化:
    全ての業務をデジタル化と自動処理へとシフトし、データを中心とした業務の効率化、高度化を実現する
  4. エコシステム連携:
    オープンAPI やブロックチェーンを活用したエコシステムを構築し、他産業において提供される多種多様なサービスを有効活用した新しいビジネスモデルの創造を実現する

4つの変革を実現するために必要な次世代金融サービス・アーキテクチャー

——デジタル変革が急務と言われてはいますが、製造業や一般的なサービス業などと比較すると、銀行は人々の生活インフラを担っているため特殊な立場にありますね。

羽川 銀行は社会性を要望されている側面が大きいです。新しい利便性のあるサービスを求められるとともに、これまで同様に堅実にお金を扱ってほしいと社会全体から要求されます。また、ビジネスモデルの変革を迫られる環境変化が少なかったとも言えるでしょう。

しかし、少子高齢化などさまざまな環境変化により、既存のビジネスのみによる収益の成長は困難になりつつあることが懸念されています。また、低金利という経営環境が厳しいなかにおいても収益をあげていかなければいけません。そのため、銀行はシステムに関しては人件費も含めてコストを厳しく見ています。

一方、新しい領域でのチャンスも感じ取っています。日銀レポートにもあるように、今まで求められた社会性の重視だけでなく、経営目線でどう生き残っていくかという、今後の課題がはっきりしてきました。これから日本経済をどう浮上させていくかも含めて、新しいチャレンジをしていく必要があると考えます。

インターネットバンキングは金融機関が真っ先に進めてきたように、デジタル化に一つひとつ対応しています。それに対して、他の業界とどうつなげていくか、どう収益化するかについては慎重に対応されています。日本経済がグローバル化の波にますますさらされる中、今まで持っていたアナログ資産をどうデジタル化していくか、新しいチャレンジにどう対応していくか、悩まれていらっしゃる場合もあると思います。

 

動き始めた勘定系システムのハイブリッドクラウド化

――日本において課題と言われている銀行の勘定系システムのクラウド化ですが、海外の現状はどうなっているのでしょうか。

藤田 以前であれば、クラウド化の多くはパブリック・クラウドを活用することでした。今ではハイブリッド・クラウドと言われるように、既存のIT環境(オンプレミス)にもクラウドの技術を適用し、オンプレミス、プライベート、パブリックの各クラウドを適材適所で使えるようになってきています。オンプレミスで作ったアプリケーションをパブリック・クラウドに持っていったり、複数のクラウドベンダーを活用して、コスト最適化を進めています。

ただ、レギュレーションやセキュリティーの問題を考えると、銀行で勘定系システムをクラウド化していくのは日本に限らず難しいです。そうすると、クラウド化を何よりも優先するのではなく、どんな変化にも対応できるようなデジタル面でのアジリティーの最適化が求められていきます。

——銀行は他の業種と比較してセキュリティーの要求が厳しそうですね。

藤田 銀行は公的な性格を有するため、外にデータを持っていけないことがあります。また、国によって事情が違い、どの国でどんなクラウドを使えるかも異なります。加えて、規制や法令などレギュレーション自体がどんどん変わっていきます。最近では、インドでレギュレーションが変わりましたし、来年には再度の変更がありそうです。そうなると、システムを固定的にすることがリスクと言えます。そのため、どこにでも行ける、どこの国にも置けるという選択肢をクラウド技術を活用してハイブリッド・マルチクラウドとして作っていくのが今の流れです。

——その流れからすると、銀行の勘定系システムのクラウド化ではどんな方法が考えられますか。

羽川 チャレンジャーバンク/デジタルバンクという形で、全く新しい基幹系システムを作る場合は全てクラウドで作られます。

一方、銀行が持つ強みと他の企業のサービスを提携させて新しいビジネスを始め、BtoBやBtoBtoCへ発展させていく場合には、既存オンプレミスの基幹系機能をクラウド上にAPI化して利用するハイブリッド・クラウドになります。重要なデータは外部に出したくないですが、効率性を考えてパブリック・クラウドを一部で活用する方向に世の中が注目し始めています。

ここでポイントとなるのが、デジタル化をどのような方法で実現するかです。既存機能を活用して実現スピードを早めるには、デジタル化におけるアジリティーが重要になります。海外ではいろいろなケースが出始めてきており、日本においても勘定系システムのクラウド化にチャレンジし始めています。

藤田 アジリティーを確保するために、パブリッククラウドだけでなく、既存のレガシーシステムでさえもLinux、Red Hat、コンテナなど、どこでも動くようにIBMは対応していきます。オールマイティーを手にすること、どのような場合でも対処できるようにすることが重要です。

――日本の銀行の勘定系システムのクラウド化は世界と比較していかがでしょうか。

藤田 差はあまりないと思います。アメリカでは50年近く前のシステムを使っている銀行もあります。もちろん、そのままでは新しいことにチャレンジできないので、長年使っているシステムをAPI化してアジリティーを確保し、新しいサービスを作る動きが広がっています。

強制的に勘定系システムをクラウド化する必然性はありません。勘定系システムでは常にCPUが動いておりボリュームは大きいため、クラウド化してもコストメリットが得られない場合がある。いろんな制約をつけていくとリスクが上がり、コストに跳ね返ってきてしまいます。付加価値がなければクラウド化しない選択肢もあり得るのです。クラウドを使うとしても適材適所でやっていくべきだ、とわかってきたのが世界の現状です。

——デジタル変革が課題となっている背景として、インターネットの進化など外部環境の変化があります。この変化は銀行にどんな影響を与えているのでしょうか。

羽川 金融機関は安定性を求めるために自分たちの技術、プロトコルを大事にしてきた部分があります。しかし、世の中が急激に変わっていくなかでスピード感が求められています。例えば、Google Mapsに合わせて自分たちのATMの位置を表示させるアプリを開発する場合がありますよね。

藤田 アプリ自体にもライフサイクルがあります。今では新しいビジネスを立ち上げる時、10年間続けることを想定していない時もあります。ダメなら2年でビジネスを閉じる、というのはまさにクラウド的な発想です。

一方で、基幹系システムは一度採用したら、お客様は10年や20年というように長期的視点に立って使っていくのです。そこにはクラウドがベストなのかという議論もあります。安定とアジリティーの両方を実現できるテクノロジーを合わせて使っていくのが重要です。

 

フロントと基幹系システムを“W”で変える、IBM流の金融デジタル変革

――銀行が直面するシステムの課題について、IBMはどんなサービスを提供できるのでしょうか。IBMは2019年5月、クラウド、コンテナ、オープンソースを活用した次世代デジタル銀行の勘定系ソリューション「IBM Digital Core Systems for Banking」を発表しました。

羽川 基幹系システムの刷新「モダナイゼーション」がキーワードになります。IBMは業界を問わずモダナイゼーションに取り組んでいます。クラウドを使ってお客様のビジネスにどう即応するのか、スピードが大事です。そのためにはどのような基幹系システムがよいのかを考え、ソリューションとしてご提供しています。

銀行の業態によってはクラウドネイティブの勘定系システムが使える場合もあると思いますが、従来のJavaベースの勘定系システムを使いながら、ATMやPCなどフロント部門でのアジリティーを高める仕組みも考えられます。

我々はそのいくつかのパターンを総称して「IBM Digital Core Systems for Banking」と呼び、まずは銀行向けにスタートしました。基幹系システムの刷新と従来のフロント部門のデジタル化を組み合わせたのが特徴です。差別化できるものを素早くご提供することを主眼に置き、ポータビリティーとモビリティーを兼ね備えたソリューションとして拡張していきます。

——銀行はメガバンクや地銀など規模や業態によって違いがあり、求められるデジタル化のソリューションも異なりますが、IBMはどう対応していくのでしょうか。

羽川 お客様の環境に合わせた形でデジタル化を支援します。ロードマップ「次世代金融サービス・アーキテクチャー」のビジネスサービス(前出図版の紫枠部分)ではお客様のコア業務を最適化し、使っていただきながら発展させていきます。さらに、いち早くデジタル化に対応していくことを考え、その外側で新しいサービスをどう加えていくか検討します。

この次世代金融サービス・アーキテクチャーでは、ビジネスサービスとデジタルサービス(前出図版のピンク枠部分)を合わせて、勘定系システム(コアバンキングシステム)と呼んでいます。「デジタル変革の第2章」ではお客様の同意を得ながらデジタル化を進めてアジリティーを高め、さらに先回りしたような新しいものをご提供していきたいですね。

——「IBM Digital Core Systems for Banking」のソリューションにおいて、具体的にはどのようなケースが考えられますか。

羽川 銀行のデジタルサービスの例で言えば、キャッシュカードが挙げられます。利用者はまずキャッシュカードをATMに入れて暗証番号を打ち込む。するとビジネスサービスにある勘定系システムに問い合わせ、ホストコンピューターが処理をして返す。

今ではそこにスマホ、あるいは音声やAIを使う形が増えてきます。本人確認では声や顔、指紋の生体認証を使う場合もあります。その時に勘定系システムを使うのではなく、デジタルサービスの中の認証サービスを使います。

その裏側では口座の情報を取ってきて送金したり、基本的なサービスも使えるようにします。こういった形が「IBM Digital Core Systems for Banking」の特徴で、デジタル化を素早く推し進めるためにコンテナやクラウドを採用していくのです。

――現在では、どのような相談が銀行から来ていますか。

藤田 API化のご相談が多いですね。多数の機能をAPIとして公開し、安全なデジタルサービスをそろえた上で、スマホなどフロントのアプリケーションを作っていきます。APIがそろわないことには金融サービスをご提供できません。

また、キャッシュカード用、スマホ用、タブレット用の連携と別々に作るのではなく、APIという形でどんなチャネルでも共有できる機能をそろえます。あらゆるチャネルに対応できる形に整えるのです。照会系だけでなく、いわゆるお金が動く更新系APIの相談も増えてきています。

——キャッシュカード、スマホ、タブレットと銀行サービスの利用形態は多様化していますね。

羽川 金融機関の一つの課題として、チャネルが増えるたびにコストをかけてきた歴史がありました。半世紀前は営業店しかありませんでしたが、やがてATMが普及し、コンビニのATMも全国各地にできました。さらにはインターネットバンキングの利用も広がっています。今までは、それぞれのチャネル向けにシステムを別々に作らざるを得なかったのです。

しかし、今では共通のインタフェースとなるAPIさえ用意すれば、既存の共通機能をスマホや営業店システムのタブレットにも対応させることができます。音声の問い合わせでも、音声からテキストに変換してAPIを通じて機能を使うこともできるのです。今後の話であれば、ARやVR、モーションキャプチャーに対応して使うことも考えられます。このようにチャネルフリーに発展できるのがAPIの大きな魅力です。

 

IoTが広がった未来において、銀行のクラウド化は必然

――IBMの新しいソリューション「IBM Digital Core Systems for Banking」を使えば、この先に銀行はどう変わっていくことができますか。

羽川 デジタルテクノロジーを使って既存業務の効率化を図り、さらには金融サービスの高度化を進めます。金融サービス以外の強みである信用力や、お金などの重要なものを取り扱う部分を活用・拡大させ、非金融サービスにも拡大し発展させていきます。単純にデジタル化するだけでなくデジタルトランスフォーメーションという、お客様自身が大きく成長するためのものをご提供します。

特に新しい取り組みでは、データを使って、どのようにお客様を先回りしたようなサービスができるかを考えています。そもそも銀行の利用者は、何かやりたいことがあってお金を借りるわけです。お金を借りるのが目的ではありません。手段と目的を結びつける部分に金融機関がサービスを発展させる可能性があると思っています。ここでどんなサービスを作り、スピーディーにご提供できるかが重要です。そのためにはデジタル化におけるアジリティーを高めながら、今の勘定系システムをうまく活用しつつ新しいものにチャレンジすることが重要です。

――IBMは「デジタル変革の第2章」を見据えて、銀行の新しいチャレンジを支援するのですね。

羽川 銀行が持つ可能性の一つとして、「情報銀行」が挙げられます。自分たちの持っているデータを活用して、外部データと組み合わせて新しいものを生み出す新しい銀行の形です。そんな場面で、お客様のニーズを先回りしたサービスをつくるのがIBMの言う「デジタル変革の第2章」です。

システムをご提供するだけではなく、データサイエンティストやAI開発者やコンサルタントなどと協働してアジャイルで開発できるような人材面のサポートを含めて、お客様と一緒にデジタル化をどう進めるかの会話を始めています。

――この先、銀行が勘定系システムでクラウド化を進めていくとどうなるのでしょうか。

藤田 現状では、勘定系システムにおけるワークフローのほとんどがオンプレミスです。大きな金融機関では、情報システムをホストコンピューターで動かしていることもあります。ただ、音声やAIを活用しようとすると、必然的にクラウド上のサービスを使わざるを得ないのです。

勘定系システムのデータだけでなく非構造的なデータも活用しようとする時も、手段と目的の関係が重要です。何を使いたいか、何をクラウドに持っていったら利用価値が高いのかを考えれば、自然にクラウド化していくでしょう。

羽川 たとえば、あらゆるモノがネットにつながるIoTではセンサー技術が進みます。車も自動運転になるだけでなく、センサーが感知して何かのサービスを促してくるかもしれません。その背後には決済やポイントがあり、生活の一部としていつのまにか銀行のトランザクションに上がっていくでしょう。自動運転やセンサー技術から検知されたセンシティブ情報のデータを預けるなら、銀行が安心だと思う人も多いと思います。

現在、このような新サービスにおいて、具体的に収益を上げられるケースは多くはありません。だからこそ、スモールスタートで作ってみて実証実験的に新しいものを始め、効果があれば次に進んでいくような作り方が一般的になるのではないでしょうか。そのためには、基幹系システムの一部機能をクラウド化して小さく始められるようにすることが重要になります。

藤田 こんなところでも銀行サービスが使えるのか、と驚くような世界がやってくるのではないでしょうか。究極的には現金を持たず、クレジットカードを持たず、スマホも持たず、生体認証で手をかざせば支払いができる、そんな世界がやってくるかもしれません。

――銀行にとってはクラウド化を進めることでビジネスチャンスが広がるわけですね。

藤田 銀行が利益を最大化するためにはトランザクションを増やしていくのが重要です。スマホへの対応だけでなく、いろいろな銀行サービスが社会に埋め込まれていくでしょう。API化していけば思いもよらないところで決済できるようになります。

 

Red Hatとのタッグが後押しする「デジタル変革の第2章」

――銀行における勘定系システムのクラウド化でIBMの強みはどこにあるのでしょうか。

藤田 多くの製品やサービス、テクノロジーを有しているところです。レガシーの技術はもちろん、クラウドやAPI、さらには買収したRed Hatも加わりました。このように豊富なラインナップが強みです。

羽川 IBMは1992年にプラットフォームフリーのメッセージング・ミドルウェア「MQSeries」を開発しました。メッセージングでシステムとシステムをマッチさせて連携し、どのプラットフォームでも動くのがIBMの強みでした。このようなIBMが積み重ねてきたものと同じように、Red Hatがさまざまなプラットフォームで動くのも強みになります。

――そのことで、よりクラウド化の部分が強化されたのですね。

藤田 IBMのグループ全体にとって劇的な変化が起きるでしょう。IBMが持っているさまざまなハードウェアやソフトウェア、そしてクラウド技術。ここにRed Hatという全てのプラットフォームで動くOSを持っているベンダーと、全てのプラットフォームで動くコンテナの技術が入ってきます。IBMクラウドではないものでさえ取り込める技術があるのです。IBMはお客様に幅広い選択をご提供できます。

――銀行にとどまらず、さまざまな企業のシステムのクラウド化について考えた場合、IBMは今後どう動いていくのでしょうか。

羽川 IBMはロードマップ「変革実現のための次世代アーキテクチャー」を2018年8月にリリースし、デジタル化を促進するための道標を具体化しました。デジタル化を加速するためには、ソリューションが必要です。「デジタル変革の第2章」のために、2019年5月に、まず次世代デジタル銀行の勘定系ソリューション「IBM Digital Core Systems for Banking」を発表しました。

これからはお客様ごとに、新しい収益のためにデジタル化を進めていく支援を行なっていきます。競争に打ち勝つためにコストを削減し、効率化を進めるためにはどうすればよいか、新しいサービスを効率的に開発するにはどうしたらよいか、ニーズを見定めながらソリューションをご提供していきます。「デジタル変革の第2章」のためのソリューションは今後も拡充していきます。