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女性のキャリア・アップを会社の最優先事項の1つとしている(その他の組織では、世界は16%、日本は19%)
2021年公開のグローバル・レポートに日本のインサイトを加えた日本版をお届けします。
本レポートでは、日本に拠点を置く組織に属する300人を含む、9つの地域・10業界の経営層や中間管理職などの男女2,600名以上を対象に調査を行い、その結果に基づく日本のデータ分析、日本の市場に関するインサイト、および日本企業の複数の事例を通じて考察を深めた。
調査から分かったことは、起こった変化の多くが、望ましいものではなかったということだ。ジェンダー格差自体は広く認識されるようになった一方で、上級管理職に就く女性の数は、この2年間ほとんど変わっていない。また、企業が掲げる目標の上位10項目の中に、「女性の登用」を含める企業は4社に1社のみであった。さらに最も懸念されるのが、女性の経営層候補者の人数が2019年よりも減少していることだ。そして、その傾向は日本でも顕著に見られたのである。
ジェンダーギャップの解消を妨げる要因は多々あるだろう。しかし、今すぐに行動を起こせば、企業は大胆な躍進を遂げることができるはずだ。ジェンダー・エクイティーやダイバーシティーの推進は、企業の存続にかかわる重大な問題であることを認識しなければならない。女性の活躍の場を広げることは、正しいだけでなく、ビジネスにとっても間違いなく良いことなのである。
女性の登用を積極的に行うジェンダー・インクルーシブな企業は様々なメリットを享受している
収益成長率が、その他の企業を61%も上回っている
60%企業が、自社は競合他社よりも革新的だと回答した
73%の企業が、業界で最高の顧客満足度を誇ると回答した
視点:ダイバーシティ&インクルージョン(D&I) の壁 (日本版独自インサイト)
日本アイ・ビー・エムのD&Iを推進する活動であるJWC(Japan Women's Council)では、「D&Iの壁を超えた世界としてどうありたいのか、逆算してD&Iに立ち塞がる壁の正体は何なのか」という観点から、D&Iの壁と背景や真因を議論し、活動方向性を検討している。企業により、D&Iを阻む壁は異なるかもしれない。貴社のD&Iの壁を、一度検討してみてはいかがだろうか。
(より詳細な情報はレポートをお読みください)
一歩先を行く先駆的企業
我々が調査において「先駆的企業(First Movers)」と名付けた企業には、いくつかの際立った特徴が見られた。
女性のキャリア・アップを会社の最優先事項の1つとしている(その他の組織では、世界は16%、日本は19%)
ジェンダー・インクルージョンが業績向上の原動力であると認識している(その他の組織では、世界と日本ともに36%)
ジェンダー・エクイティーの実現を目指して継続的に行動を起こそうとしている(その他の組織では、世界は63%、日本は68%)
先駆的企業はリーダーシップのジェンダー・バランス均衡がもたらすメリットを十分に享受している
先駆的企業は、他の企業よりも収益成長率が61%も高かった。さらに、この業績はそれを支える社員のマインドも物語っており、先駆的企業の社員は、自分の働く企業の将来性により強い自信を抱いていた。
国際労働機関の調査によると、ジェンダー・インクルーシブな企業は、創造性やイノベーション能力、開放性が、その他の企業を54%上回っている。先駆的企業も同様の効果を報告しており、60%が自社は競合他社よりも革新的だと述べ、その他の企業と比較しても22%高かった。
インクルーシブな企業は、多様な視点を持つことによって、外部の考え方をより取り入れやすくなり、顧客のニーズにも応えやすくなる。こうした外部からの視点の活用は実際に効果を上げており、先駆的企業の約4分の3(73%)が、業界で最高の顧客満足度を実現していると回答した。一方で、その他の企業で同様の回答をした割合は、半数以下(46%)であった。
女性社員の増加や、効果が目に見える制度・プログラムの導入、よりインクルーシブな環境は、社員の幸福度を高めている。先駆的企業の68%が自社の従業員満足度は競合他社を上回ると回答し、64%が社員の定着率が競合他社を上回ると回答した。
今後2、3年で卓越した成果を上げるためには、革新的なマインドセットをもって女性の地位向上に取り組まなくてはならない。
日本アイ・ビー・エム株式会社では、女性がキャリアを継続していく上で直面するさまざまな課題を社員自らが確認し、目標を掲げて、結果に結びつく施策を提言していくため、1998年に諮問委員会として「Japan Women’s Council(JWC)」を発足しました。以来23年間、社会の変化にも柔軟に対応しながら、発展的・継続的に多様なテーマを設定し活動を推進しています。2019年からは男性メンバーも参加し、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の観点から、新しい視点を取り入れた女性活躍の推進を実施しています。