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女性のキャリア・アップを会社の最優先事項の1つとしている
調査から分かったことは、起こった変化の多くが、望ましいものではなかったということだ。ジェンダー格差自体は広く認識されるようになった一方で、上級管理職に就く女性の数は、この2年間ほとんど変わっていない。また、企業が掲げる目標の上位10項目の中に、「女性の登用」を含める企業は4社に1社のみであった。さらに最も懸念されるのが、女性の経営層候補者の人数が2019年よりも減少していることだ。
ジェンダーギャップの解消を妨げる要因は多々あるだろう。しかし、今すぐに行動を起こせば、企業は大胆な躍進を遂げることができるはずだ。ジェンダー・エクイティーやダイバーシティーの推進は、企業の存続にかかわる重大な問題であることを認識しなければならない。女性の活躍の場を広げることは、正しいだけでなく、ビジネスにとっても間違いなく良いことなのである。
女性の登用を積極的に行うジェンダー・インクルーシブな企業は様々なメリットを享受している
収益成長率が、その他の企業を61%も上回っている
60%の企業が、自社は競合他社よりも革新的だと回答した
73%の企業が、業界で最高の顧客満足度を誇ると回答した
“私はすばらしいチームで仕事をしていますが、先日、小さなグループで性差別への対処を提案しました。すると、同僚のある女性が困惑した表情で、『差別ですって?そんなもの、うちのチームにあるの?』と言ったのです。私はその後、自分の 経験を彼女に話したところ、実は彼女も同じ経験をしていたことがわかりました。しかし、彼女はその経験を問題とは捉えられず『そういうもの』と割り切って片付けていたのです”
—Women’s Leadership Jam 参加者
“私の知る限り、差別的な行動に対して実際に声をあげた男性は 1 人もいません。私はこれが出来るかが重要だと思うのです。なぜなら、男性の管理職が模範として、積極的に立場の弱い人たちを支援し、周りにも促していかなければ、若い社員はいつまで経っても学べないからです”
—Women’s Leadership Jam 参加者
一歩先を行く先駆的企業
我々が調査において「先駆的企業(First Movers)」と名付けた企業には、いくつかの際立った特徴が見られた。
女性のキャリア・アップを会社の最優先事項の1つとしている
ジェンダー・インクルージョンが業績向上の原動力であると認識している
ジェンダー・エクイティーの実現を目指して継続的に行動を起こそうとしている
先駆的企業はリーダーシップのジェンダー・バランス均衡がもたらすメリットを十分に享受している
先駆的企業は、他の企業よりも収益成長率が61%も高かった。さらに、この業績はそれを支える社員のマインドも物語っており、先駆的企業の社員は、自分の働く企業の将来性により強い自信を抱いていた。
国際労働機関の調査によると、ジェンダー・インクルーシブな企業は、創造性やイノベーション能力、開放性が、その他の企業を54%上回っている。先駆的企業も同様の効果を報告しており、60%が自社は競合他社よりも革新的だと述べ、その他の企業と比較しても22%高かった。
インクルーシブな企業は、多様な視点を持つことによって、外部の考え方をより取り入れやすくなり、顧客のニーズにも応えやすくなる。こうした外部からの視点の活用は実際に効果を上げており、先駆的企業の約4分の3(73%)が、業界で最高の顧客満足度を実現していると回答した。一方で、その他の企業で同様の回答をした割合は、半数以下(46%)であった。
女性社員の増加や、効果が目に見える制度・プログラムの導入、よりインクルーシブな環境は、社員の幸福度を高めている。先駆的企業の68%が自社の従業員満足度は競合他社を上回ると回答し、64%が社員の定着率が競合他社を上回ると回答した。
今後2、3年で卓越した成果を上げるためには、革新的なマインドセットをもって女性の地位向上に取り組まなくてはならない。