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規制対応のためだけの「ESG報告」を超えて

ー 企業経営にサステナビリティーを実装し、ビジネス価値を創出する方法とは?

ビジネスにとっても、そして世界にとっても"より良いこと"とはなんでしょうか。

財務の成果とサステナビリティーの成果の間で妥協を強いられていると答えた経営層はなんと10 人中6 人を占めました。

IBM IBVは22カ国、22業種のCxOレベルの経営層5,000人を対象に調査を実施し、分析を行いました。その結果、サステナビリティーを実践する方法を変えれば、ビジネス価値を大幅に増大させられることが分かりました。その際、鍵となるのは、ビジネス全体で取り組むことです。つまりサステナビリティーは、付加的なものとして扱うのではなく、業務に「実装」すべきなのです。

「サステナビリティー活動をビジネスにすでに実装している企業」はビジネス価値を実現している
 

16%

収益成長率が16%高い

52%

収益性で他社を上回る割合が52%高い

×2 

サステナビリティーへの取り組みが、業務コストの大幅な改善につながったと答えた割合が2倍高い

 

「サステナビリティーを実装する」とは?

サステナビリティー活動を組織に実装すれば、ビジネス変革を加速することができます。ところが、多くの組織はサステナビリティーを報告や会計の活動として捉えているようです。
 

IBVの調査によると、企業がサステナビリティーの「報告」にかける金額は、サステナビリティーの「イノベーション」にかける額を43%上回っています。

ただサステナビリティに取り組むのではなく、サステナビリティー活動を組織全体に根付かせ、あらゆる活動の中心に据え、ひいては長期的な価値創出へ昇華させることで、企業は真にサステナブルな組織になることができるのです。 興味深いことに、「サステナビリティー実装企業」は他の組織よりもサステナビリティー活動が生むビジネス価値を厳格に評価しています。「サステナビリティー実装企業」の53%が、サステナビリティー活動への投資を正当化するためにはビジネス面での利益を生むことが不可欠であると答えています。

サステナビリティーを組織に実装するためには、事業部門間の壁を取り払い、すべての事業部門で、特に主要な機能やワークフローにおいて、サステナビリティー活動を統合的に実行すべきでしょう。そうすることで、サステナビリティーは仕事の進め方や企業のDNAに組み込まれていきます。


サステナブルなビジネス価値に関する3つの主要な課題

1.データのユーザビリティーに関する課題 

サステナビリティー関連のデータを確実に収集し、利用し、実践的なインサイトを得る。

 

 

2.ビジネスへの統合に関する課題 

サステナビリティーに関するデータやインサイトを、プロセス、意思決定、仕事の進め方に活用する。エコシステムのパートナーと協力して、組織の外にまでサステナビリティー活動を広げる。

 


3.人材、スキル、意思決定に関する課題  

適切なガバナンスと組織体制を構築し、適切なレベルで意思決定を行う。それぞれの部署や業務を網羅するかたちでサステナビリティーを推進できるようにする。

日本語版監修者考察
サステナビリティーを組織全体に実装する

では、サステナビリティーが組織全体に実装されている、つまり全従業員がサステナビリティーについて“腹落ち” しているとはどういう状態でしょうか。これは、日本だけでなく、世界的な課題であると言えます。ビジネスにおいてQCD の向上を目指しワークフローを改善するのと同様に、サステナビリティーもQCD と並べ当たり前のように改善できる、そのような組織、評価制度、個人のスキル、企業文化の変革が重要であり、時間がかかるがそこが本質的な課題ではないかと考えます。 そのためには、一貫したメッセージを伝え続けること、また以下の5 つのステップを愚直に進めていくことなどが必要となるでしょう。

 

  1. 新しい資本主義の中で、自社のリスクと機会を特定し 企業戦略の柱に据える 
  2. 特定したリスクや機会をどの事業領域で対応するか決定し、 実行する 
  3. サステナビリティー経営の取り組みを社内外に開示し 利害関係者と対話する 
  4. スマイルカーブを描くためのイノベーションを創出する 
  5. 新しい資本主義の中を生き抜く企業文化を育てる

     

 

本レポートでは、日本語監修者の考察として上記の詳細な解説に加え、世界と日本のマーケットにおけるESG投資の比較や、CSO(最高サステナビリティー責任者)の在り方への提言についても言及しています。

ぜひダウンロードしてお読みいただき、ESG報告だけにとどまらない、真のサステナビリティー経営の在り方の検討にぜひお役立てください。


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著者について

Oday Abbosh

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, Global Sustainability Leader, IBM Consulting


Christina Shim

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, VP, Global Head of Product Management & Strategy, IBM Sustainability Software


Elisabeth Goos

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, EMEA Leader, Sustainability Services, IBM


Arun Biswas

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, Managing Partner, Strategic Sales and Sustainability Consulting, APAC, IBM Consulting


Romas Pencyla

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, Americas Leader, IBM Sustainability Services


Karl Jacob Dencik

Connect with author:


, Chief Economist and Global Sustainability Research Leader, IBM Institute for Business Value


鈴村敏央(日本語翻訳監修), 日本アイ・ビー・エム株式会社, IBM コンサルティング事業本部,ファイナンス・サプライチェーン・ トランスフォーメーション 兼 サステナビリティー担当,シニア・パートナー

槇 あずさ(日本語翻訳監修), 日本アイ・ビー・エム株式会社, IBM コンサルティング事業本部, サステナビリティー担当アソシエイト・パートナー

発行日 2024年2月27日

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