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我が社はどこに位置するのか?
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- Salesforceへの投資を活用して、競争優位性を強化する態勢は整っているか?先進派グループの企業は、生成AIを活用したユースケースがいくつもあり、活用の規模を拡大する段階に達しています。インダストリー・ソリューションを先導するこれらの企業は、高度な統合を実現し、Salesforceの変化やイノベーションに後れを取ることなく、前進を続けています。
- 継続性をもってSalesforceへの投資を最適に行うための全社的なロードマップを描けているか?推進派グループの企業は、AI戦略を定義し、いくつかのユースケースを試験的に導入しています。インダストリー・ソリューションやクラウド統合に投資して、望ましい成果を上げており、チェンジ・マネジメントに長けている場合もあり、イノベーションもある程度進めています。
- 探求する熱意はあるものの、コミットメントを躊躇していないか?慎重派グループの企業は、SalesforceのAIソリューションやインダストリー・ソリューションにすでに着手しています。クラウドも活用していますが、チェンジ・マネジメントに一貫性がなく、イノベーションに後れをとっています。
- 価値の獲得を追い求めながらも、実際には追い付いていないのではないか?消極派グループの企業は、生成AIやSalesforceのインダストリー・ソリューションに、まだ取り組めていません。イノベーションを生み出すという意識はなく、ただイノベーションが起こるのを待っています。組織はサイロ化に陥り、チェンジ・マネジメントへの投資も十分ではないため、変革に向けた具体的な進展が見られません。
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1. 生成AIの未来の姿を描く | 4. 変化に対応できる企業文化に投資する |
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2. インダストリー・クラウドでさらなる高みへ | 5. イノベーションで企業の惰性を乗り越える |
3. データを統合して、サイロ化を解消する |
1. 生成AIの未来の姿を描く |
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2. インダストリー・クラウドでさらなる高みへ |
3. データを統合して、サイロ化を解消する |
4. 変化に対応できる企業文化に投資する |
5. イノベーションで企業の惰性を乗り越える |
- 実験を重ねる
「先進派」は未来を意識します。組織全体で収益の向上を目指し、生成AIの導入に実験的に取り組んでいます。
- 予測不能な事態に立ち向かう
「先進派」も他の誰とも同じように予測不能な事態に直面しますが、それを生成AIを統合的に活用することで生み出されるであろう価値の障壁にはしていません。
- 特定の業務機能を支援するソリューションを開発する
「先進派」の多くが、これからの2年間に、生成AIソリューションを活用して、営業、IT、カスタマー・サービスなどの業務機能を支援するための大規模な開発計画を立てています。
- 標準的な機能にとどまらない
「先進派」のほとんどは、長期目標を実現するため、現在ある生成AIの標準的な機能にとどまらず、その先の機能にまで目を向けています。
- 本気で投資する
生成AI機能への予算規模を、セールス、サービス、マーケティングの各部門で、これまでの2倍から3倍にまで拡大する予定があります。
役員室から製品開発の研究室まで、世界中の至るところで最大の話題になっているのが生成AIです。CEOの75%が、競争上の優位性は、最も先進的な生成AIの活用にかかっていると考えています。また、CEOの半数(50%)が現在生成AIを製品やサービスに利用していると答え、43%が戦略的な意思決定に生成AIを活用していると回答しています。
増加を続けるAI予算
生成AI関連の予算を内訳で見ると、2025年までにセールス機能へ投じられる予算は現在の3倍に、マーケティングとサービス機能への予算は2倍以上に増えると予想されています。こうした予算の動向を考えると、いかなる企業においても、生成AIの導入にブレーキがかかることは考えにくいと言えます。ただし、多くの企業はまだ予測AIの学習曲線上にある段階であり、生成AIを活用するためには、多くの困難を乗り越えなくてはなりません。現在、急速なペースで変化が進行しており、これはムーアの法則以来の出来事です。つまり、Salesforceのユーザー企業は、(あらゆる形態の)AIの進行に遅れずついて行かなければ、競争に遅れてしまうということです。それどころか、生き残りすら難しくなるかもしれません。
実装段階において、全体的な収益性を重視
先進的な企業は、生成AIに関し大局的な計画を有しているが、同時に戦略的な集中を行い、選択的な実用化を進めてもいます。こうした企業の特徴は、漸進的な利益に甘んじていないことです。全体的な収益性を重視した実装を試みており、従業員をより高付加価値で顧客重視のタスクに振り向けることに注力しています。
先進企業は既成概念にとらわれない
Einstein、Slack、およびTableauの生成AIバージョン(現在はSalesforce AI Cloudに集約)が導入されたことで、Salesforceプラットフォームで生成AIを利用することがより容易になりました。しかし優れて戦略的な「先進派」は、これだけで満足したわけではありません。「先進派」の61%が、長期目標を実現するため、現在ある生成AIの標準的な機能にとどまらず、その先の機能にまで目を向けています。これらの企業は、明確な競争優位性を獲得するため、さらなる機能の追加と統合性の強化を求めています。つまり「先進派」は、生成AIの機能を最終的な製品としてではなく、より大きな戦略の中のひとつのツールとして捉えているのです。
顧客環境は、日々速いペースで変化を遂げつつありますが、AIを最適に活用しようとしたとき、まっさきに取り組むべきは魅力的な顧客体験の提供です。特に管理業務やカスタマー・サービス、マーケティングの分野で、生成AIは自動化できる領域を劇的に広めてくれます。チャットや音声などで生成AIを活用し、ユーザー・フレンドリーなインターフェースが実現できれば、生成AIを社内に導入する摩擦を軽減でき.、場合によっては摩擦そのものを解消できます。
「先進派」は生成AIを活用して、売上を拡大
「先進派」は、現時点での生成AIソリューションが生み出す最大の効果は、顧客価値の創出であると考えています。「先進派」は「消極派」に比べて生成AIの導入に積極的であり、生成AIが売上を増やすと考える「先進派」は「消極派」よりも34%多いことがわかりました。先駆的で先進的な企業は、カスタマー・サービス、セールス、マーケティングなどの部門で生成AIを取り入れ、売上の拡大を図っていますが、「消極派」の多くは組織内で直面する問題の方に目を向けがちです。「先進派」はまた、顧客対応業務をAIで補強しており、その割合は「消極派」に比べて134%高く、主にミドルオフィスとバックオフィスの連携に活用しています。
「先進派」は生成AIの活用を顧客向け機能にフォーカスさせています出典:「The State of Salesforce 2023」。質問:今後1年以内に、貴社従業員の何パーセントが日常業務で生成AIを使うようになると思いますか? 質問:貴社ではどの分野で、すでに生成AIを使用していますか?(n = 2,000)
「AIを追加する」か「AIから始める」か
「AIを追加する」の思考から「AIから始める」の思考に切り替えた企業は、大きな変革を生み出すことができます。2023年の初め、IBMは企業が今年取り組むべき「7つの決断」を提案しましたが、その中でAIファーストのインテリジェント・ワークフローの導入を取り上げました。IBMは何年も前から、ほとんどの業種でAIがビジネス形態を変質させることを予想していました。しかし現実は、AIの導入は進みはしたものの、コストがかかり、そのスピードは期待されたほどには至りませんでした。この状況を変えたのが基盤モデルの登場です。事前学習済みのAIは、自動化が可能なタスクにほぼそのまま使用でき、ユーザー・フレンドリーなインターフェースにより、顧客や従業員は容易にアクセスできるようになりました。
生成AIの導入は、労働力の課題を前面に浮き上がらせました。「先進派」は、労働力の拡張に大きな可能性を感じています。「先進派」は今後1年以内に、研修を受け、実務で使用する従業員が増えることで、労働力の15%近くが生成AIツールで強化されると見込んでいます。このことはSalesforceプラットフォームの使用方法に影響を与えますが、それだけにとどまりません。
「先進派」のほとんどが、自社の生成AIの機能を構築・強化する領域としてSalesforce以外にも目を向けています。このことは、対象を絞った生成AIの使用が、顕著な競争優位性の獲得につながると回答した割合が、「先進派」は他のグループよりも13%多かったことからも伺えます。
生成AI関連の予算が急増出典:「Generative AI State of the Market」質問:次の各期間において、Salesforceソリューションの生成AI機能を構築するために割り当てられる予算は、それぞれの分野の予算の何パーセントですか?(n = 300)
「先進派」は生成AIの大規模展開に備えて、急ピッチで対応を進めています。生成AIにはさまざまな方法でアプローチできますが、「先進派」が戦略的に検討しているのがオープン・アプローチです。これはオープンソースや商用のプラットフォームの要素と自社独自のモデリングを融合させたアプローチです。しかし競争優位性を確実なものにするためには、独自データの充実も必須であることは言うまでもありません。「先進派」はSalesforceが保持するデータにより生成AIの活用はすでに始めていますが、その先行優位性をこれからも保つためには未開拓のデータソースにも目を向けなくてはなりません。
Camping World社は1966年以来、クルマとキャンプに特化した製品とサービスの提供を続けています。今ではRV車やレクリエーション・キャンプ関連の製品とサービスを取り扱う小売企業として、全米最大の規模まで成長を遂げています。
新型コロナウイルスの大流行後、同社の顧客は急増し、コンタクト・センターの既存インフラストラクチャーに幾つかの欠陥が目立つようになりました。問い合わせ件数とトラフィックが増えるに従い、オペレーター管理と応答時間に問題点が潜んでいることが見えてきたのです。顧客が問い合わせてもオペレーターにつながらなかった場合、問い合わせ自体が気付かれず、担当者が対応できる翌日まで後回しにされたり、誤って問い合わせ内容が消去されたりすることが発生していました。こうした問題に対処するため、同社はコンタクト・センターを最新化し、新しいインフラストラクチャーに資金を投じることで、プロセスとワークフローの自動化の改善を試みました。
コールセンターの機能をAIで強化し、新たなワークフローの導入で柔軟性を増したことにより、同社のサービス・センターは生まれ変わりました。同社のCDO兼CIOであるSaurabh Shah氏は「私たちはオペレーターが余裕を持ってお客様と有意義で実のある会話をできるようにしなくてはならないと考えました。そこで、単純な問い合わせにはオペレーターが関与しなくても済むように自動化を進めたのです」と背景を説明します。実際に小売部門に関する問い合わせは1万3,999件ありましたが、そのうちオペレーターに転送しなくてはならない内容は6,000件に過ぎませんでした。
現在、顧客は電話の最中にSMSメッセージに切り替えることができます。さらに以下の内容が可能になりました。
- オペレーターの効率が33%改善され、待ち時間は平均で33秒に短縮した
- AIと人間のオペレーターが協働できるようになり、AIがウェブやSMSメッセージを受けることで、人間のオペレーターは複数のチャットに同時に対応できるようになった。
- すべてのプラットフォームで、顧客エンゲージメントが40%増加し、オペレーターの効率性は33%改善された。
アクション・ガイド:生成AI
チーム・スポーツに取り組むように、生成AIに取り組む
経営層は、生成AIについて何かをするのではなく、対策を取ることを強く求められています。IBMが実施した最新のCEO調査によると顧客、取締役会、投資家といったステークホルダーの55%が生成AIの導入を加速することをCEOに求めています。「先進派」は生成AIを率先して導入し、これを活用して競争優位性を確保しようとしています。さらに、関連スキルの構築、ツールのトレーニング、ソリューションの共有のインセンティブをチームに与えることで、そうした企業が生成AIで成功を得る可能性はますます高まるでしょう。
生成AIの導入は、優先度の高いワークフローに集中させる
生成AIが企業全体にどのようなインパクトを与えるのかを想定し、ビジネス領域ごとに具体的なユースケースを描いてみます。その場合もビジネス領域ごとに2、3個のユースケースを場当たり的に採用するのではなく、優先順位が確実に高いと思われる分野に絞り込み、この革新技術を導入します。
改善は現実的でありながら、小手先であってはならない
生成AIの導入は困難を伴いますが、その苦労が報われるだけの価値があります。現行のプロセス改善だけに目標を絞って満足してしまっている企業がありますが、それではAIの可能性に蓋をしているようなものです。生成AIが公開される以前から本格的なエンタープライズ・レベルのAIは存在していますが、そのポテンシャルは現在の実用事例をはるかに超えており、生成AIに対する過度な期待や注目が収まった後も健在であり続けるでしょう。ただ、この大きなポテンシャルを実用化するには時間がかかるため、現実的なペースを定めて取り組むべきです。
- 実利用の経験を積み重ねる
「先進派」の多くがインダストリー・クラウドを活用する方法をすでに見いだしており、「消極派」よりも81%高い。
- 常にROIに注目する
「先進派」はインダストリー・クラウドのROIが「消極派」よりも1.5倍高い。
- 機能を拡張する
「先進派」はインダストリー・クラウドが持つ機能を顧客体験に集中させており、その割合は「消極派」よりも56%高い。
- 未来を探り続ける
一部の「先進派」は、エコシステムからのサポートをさらに必要としているものの、インダストリー・クラウドに可能性を見いだしています。その割合は「消極派」よりも74%高い。
「先進派」と「消極派」はさまざまな点で異なりますが、その違いのひとつがSalesforceのインダストリー・ソリューションであり、これが「先進派」にとっては飛躍的な成長要因の1つとなっています。IBMの調査によると、すべての業界で、少なくとも数社を「先進派」として捉えられました。この事実は、Salesforceのインダストリー・ソリューションが、もはや一部の業界や業種に限定されたものではなく、あらゆる業界のビジネスの成功に寄与する状況にあることを示しています。
あらゆる業界で道を切り拓く「先進派」各業界の「先進派」の割合は14~24%出典:「The State of Salesforce 2023」。質問:貴社はどの業界に属しますか?(先進派)(n = 397)
これらの「先進派」はSalesforceのインダストリー・クラウドに積極的に投資しており(「消極派」より150%高い)、その結果、高いROIを実現しています。
IBMの調査によると、戦略的に優れた「先進派」は、インダストリー・クラウドをうまく活用できている割合が「消極派」よりも81%高いことがわかりました。また実際のビジネスで効果を上げており、インダストリー・クラウドの未来に可能性を感じる割合が74%高くなっています。
インダストリー・クラウドを活用することにより、「先進派」は、業界固有の業務に特化して最適化された顧客中心のソリューションをスピーディに導入することができるようになりました。その結果、迅速に価値の創出を加速化させています。企業はインダストリー・クラウドを利用すれば、ゼロからソリューションを構築しなくても顧客により良いサービスを提供することが可能となります。
インダストリー・クラウドは、カスタマー・サービスとeコマースに最大級のインパクトをもたらします。企業の経営層は、顧客向けのユースケースのために、業界に特化したSalesforceのインダストリー・ソリューションを、次の3年間でより全方位的に機能を実装するか、あるいは大規模に導入展開すると回答しています。
さまざまな領域でインダストリー・ソリューションの利用が増加出典:「State of Salesforce 2023」。質問:次の3年間で、業界に特化したSalesforceソリューションを導入する可能性はどの程度ですか(領域ごとに回答)?(n = 2,000)
570万人以上もの電力利用者を擁する某大手エネルギー・公益事業機関は、カスタマー・サポート体制の改善に着手しました。
この改革を推進するため、同機関は既存のCRMシステムと各種ツールをSalesforceのインダストリー・クラウドであるSalesforce Energy & Utilities Cloud、Service Cloud、Sales Cloudに置き換え、複数のシステムからデータを連携し、一元化したデスクトップ環境を構築しました。
同機関は、この変革を慎重なアプローチで進め、Salesforceへの入力に使用する中央データ・リポジトリーのデータ要件を定義するために、専用のデータ・マッピングのワークストリームを活用しました。
この変革により、達成されたこと:
- 新たに31種類のカスタマー・サービス・プロセスを設計
- Salesforce Energy & Utilities Cloudを活用したアドバイザー・ソリューションを初めて実装
- 7種類のアプリケーションを統合
アクション・ガイド:インダストリー・クラウド
カスタマー・ジャーニーを再構築する
カスタマー・ジャーニーにおいて、インダストリー・クラウドのモジュールが最大の効果を発揮する箇所を特定し、その領域に集中します。シームレスな顧客体験が当たり前となる中、インダストリー・クラウドを活用することで、顧客のニーズを容易に満たしながら、コスト削減と価値実現ができるようになりました。KPIを定義して追跡し、必要に応じて調整を行います。
適切なエコシステム・パートナーを活用する
自社が属する業界のインダストリー・クラウドのエコシステムを、モジュール型のアプローチ(システムやソリューションを小さなモジュールや部品に分割し、必要に応じて組み合わせて使用するアプローチ)により、成長させます。エコシステム・パートナーが付加価値機能を提供する能力を評価し、長期的でレジリエントなパートナーシップを築ける相手を見つけ出します。
セキュリティー・オペレーションを強化する
あらゆるクラウド導入の取り組みや戦略的計画の中核にセキュリティー対策の検討を据えます。エコシステム・パートナーとリソースや専門知識、情報の共有を実現するためにはセキュリティー基盤を強化しなければなりません。
- Salesforceをビジネスに組み込んでいる
「先進派」は、継続的なプロセス改善サイクルにSalesforceを組み込んでおり、その割合は「消極者」の約2.7倍です。
- 既存のプラットフォーム・データからインサイトを引き出す
「先進派」は、「消極派」と比べ、新たな機会を発見できる割合が39%高く、満たされていない顧客ニーズを特定できる割合が28%高いことがわかりました。
- 組織全体で変革を実現する
「先進派」は、組織全体に変化をもたらす変革を実行しており、その割合は「消極者」の約2倍です。
- プラットフォームを活用することで、新たなビジネスモデルを生み出す
「先進派」は、変革計画にイノベーションを組み込み、Salesforceを活用して、新たなビジネスモデルを生み出しています。その割合は「消極派」よりも37%高い結果が出ました。
- ライセンス当たりのリターンが大きい
「先駆者」のSalesforceライセンス1件当たりのROIは、「消極者」より40%高いことがわかりました。
すべての要素が連動すれば、企業経営はうまくいきます。企業内のさまざまなサイロの壁を越えてデータを統合することで、信頼できる唯一の情報源を確立すれば、Salesforceプラットフォームの価値を最適化できるようになります。あらゆるシステムのデータをバーチャルに連携させて、顧客体験をパーソナライズするためのインサイトをリアルタイムで引き出すことができれば、組織全体に変革をもたらすことが可能になります。
この分野でもまた「先進派」がリードしています。「先進派」は、組織のサイロ化の解消と相互運用性の向上に積極的に取り組む割合が、他のグループよりも24%高くなっていました。その結果、「先進派」はインサイトをうまく引き出し、パフォーマンスの向上に結び付けています。複数のSalesforceクラウドを連動させて活用することも有効であり、ライセンス1件当たりの収益は向上し、Salesforceへの投資効果は高まります。以前、私たちが行った調査によると、複数のSalesforceクラウドを連動させて活用していると回答したSalesforceユーザーはわずか12%でした。しかし現在、「先進派」のライセンス1件当たりの収益は「消極派」に比べて40%高く、これは「先進派」グループの間で、統合の取り組みが進んでいることが一因であると考えられます。
複数のSalesforceクラウドの統合と、Salesforceクラウドのカスタマイズ化は異なることを再確認しておきましょう 。Salesforce社はこれまで、設定可能な(ニーズに合わせて、カスタマイズできる)ワークフロー、インテリジェンス、自動化に大きな投資を行い、多様なクライアントのビジネスに対応できるようデザインを施してきました。しかし、Salesforceクラウドを統合して活用すればさらに投資効果を高め、Salesforceプラットフォームの設計を最適化できるのです。
複数のSalesforceプラットフォームをうまく連携させている企業は、より包括的な企業変革計画を有し、組織のサイロ化を解消し、活動の統合を実現しています。「先進派」は、Salesforceを継続的なプロセス改善サイクルに組み込むことで、恒常的に変革を進めており、その割合は「消極派」よりも33%多い結果となりました。「先進派」が企業全体に変化をもたらす変革を実行する割合は、「消極派」の約2倍です。
Salesforceでビジネス成果を連携する出典:「Mine the Gaps 2022」。質問:貴社はビジネス・プロセスにより、どのようにデジタル・プラットフォームをサポートしていますか? 質問:貴社では企業変革を、2026年までにどこまで拡大させる予定ですか?(n = 1,159)
CaixaBankは、スペインのリテール・バンキング業界をリードする金融グループです。同行にとって、信頼性が高くアクセスしやすいデジタル・チャネルを構築することは、高水準の信頼性とコンプライアンスを提供する上で欠かせない要素です。
顧客規模が拡大するにつれ、サポートへのリクエスト件数が大幅に増えたため、効果的に規模を拡張し、問い合わせをルーティングするシステムを構築する必要に迫られていました。例えば、変革プロジェクトが動き出す以前、CaixaBankではコンタクト・センターのサービスを管理するチームは10を上回り、カスタマー・サポートの電話番号は50以上もありました。そこで、システムを単一プラットフォームに統合することが顧客とオペレーター双方にとって改善につながると考えました。
CaixaBankが変革を成功させるためには、(1) コンタクト・センターを効率的に管理し、(2) カスタマー・サービス・チャネルを統合し、(3) テクノロジー・プラットフォームを統一する必要がありました。これらはいずれも、顧客とオペレーターのユーザー・エクスペリエンスを向上させるものです。
同行は、オペレーター用のチャットボットをはじめとするAIを活用しました。これにより、基本的な問い合わせはチャットボットが対応し、必要があった場合にのみオペレーターに問い合わせが回されるようになりました。また、オペレーターは顧客との対話中に回答を画面で確認できるようになったため、問題解決の時間が短縮されました。ワークフロー・プロセスが自動化されたことで、オペレーターは冗長な作業に時間を取られることが減り、カスタマー・ジャーニーは一貫性を保ち、バックオフィスの生産性は向上しました。
CaixaBank社はまた、複数のSalesforceプラットフォームを統合してIBM Watson AIと連携させたことで、50以上もあったサービス電話番号を1つに集約しました。今ではIBM Watsonを通じて、毎月200万件以上もの問い合わせに回答しています。
アクション・ガイド:統合
組織内に分断を生む壁を取り払う
野心的なアジェンダを設定し、事業部門から管理部門にまたがるすべての部門共通の目標に向かい変革を進めます。変革を実現する可能性は、パートナー・エコシステム、従業員のアイディア、満たされていない顧客ニーズなど、さまざまな場面に隠されています。先進企業の多くがSalesforceプラットフォームを通じて、こうした可能性を発見し、開花させています。
プロセスを最適化し、差別化を継続する
Salesforceとその広範なエコシステムは、ベスト・プラクティスとなるプロセスを提供し、継続的な改善に力を注いでいます。ユーザー企業は、本質的でないプロセスに過度のカスタマイズを行うなどの誘惑に抗しなくてはなりません。従業員のエネルギーを独自の価値に集中させ、差別化されたプロセスを改善することができれば、Salesforceへの投資から大きな価値を得ることができます。
データを相互運用して、リスクを低減する
プラットフォームを統合するための包括的な戦略を策定します。有意義なインサイトを集約し、把握し、行動を起こします。運用データ、バックオフィス・データ、顧客データを一貫性のあるコアデータに融合します。企業は生成AIを従業員チームの支援に活用することができるようになり、改善点の特定から新しいソリューションの実験などによって、コストを削減し、顧客満足度を高められるようになります。
- 念には念を入れて測定する
「先進派」は、SalesforceのROIを正確に測定することを重視し、これにより変化に対し、速やかに適応できており、その割合は「消極派」より117%高いという結果でした。
- 変化をいとわず、むしろ歓迎する
「先進派」は、ビジネス・プロセスの変更を柔軟に受け入れており、その割合は「消極派」より89%高いことが明らかになりました。
- システム横断的に仕事を進める
「先進派」は、他社のシステムと連携して、相互運用性を高めており、その割合は、「消極派」よりも24%高いことがわかりました。
- アイディアやイノベーションを組織内で見つける
「先進派」は社内からクラウドソーシングして、イノベーションを実現しており、その割合は「消極派」より38%高いことが明らかとなりました。
- 変革を業務に組み込む
「先進派」は、チェンジ・マネジメントに投資しており、その割合は「消極派」より41%高いという結果でした。
Salesforceがイノベーションを促進すると確信している割合は、「先進派」が「消極派」よりも59%多く、それは実際の行動に表れています。「先進派」はチェンジ・マネジメントに41%多く投資しており、ビジネスを変更する取り組みを躊躇しないと答えた割合は89%多い結果でした。これは、単にSalesforceを導入するだけでは十分ではないことを「先進派」が理解しているからです。適応力、レジリエンス、イノベーションを受容する企業文化、つまりあらゆるレベルで変化を受け入れる企業文化がなければ、いくら優れたテクノロジー・ツールがあっても、真の変革は起こせません。効果的なチェンジ・マネジメントこそ、「先進派」が持つ秘密兵器です。
組織内においてイノベーションをクラウドソーシング(クラウドを通じて不特定多数の人の寄与を募ること)するのは、新しいアイディアやプロセスを探求する方法としては費用対効果が高いです。「先進派」は「消極派」よりも38%高い割合で、これを実行しています。働き方を最新化し、従業員の生産性を高め、連携を維持することは、今では、クラウド横断的な体験やオペレーションを活用し、従業員の負担の低減や仕事のスピードアップを図り、より多くのインサイトを引き出すことを意味しています。Salesforceのテクノロジーは、関係者の連携を司るエンゲージメントのレイヤーとして機能し、従業員、パートナー、顧客のネットワークの連携を強化し、体験を促進します。このことによりエコシステム全体から、より多くのイノベーションが生まれるようになります。
「先進派」はチェンジ・マネジメントに優れている出典:「The State of Salesforce 2023」。質問:2020年以降、Salesforceの導入に関わるチェンジ・マネジメントをどの程度効果的に行うことができましたか?(N = 2,000)
Recording Academyは、音楽レコーディング業界で最大の功績を残した音楽関係者を表彰するグラミー賞授賞式を主催する団体であるとともに、音楽が世界共通の文化遺産として、これからも隆盛するよう年間を通じて意欲的な活動を行っています。Recording Academyはまた、演奏家、作曲家、プロデューサー、エンジニア、その他あらゆる音楽関係の専門家の声を代表する会員制の非営利団体でもあります。
時代のニーズに応えて
1956年の創立以来、Recording Academyの活動は会員によって支えられてきました。Recording Academyは下部組織であるLatin Recording Academyを加えると会員数は2万2,000人にもなり、さらに会員には投票会員、非投票会員、学生会員、終身会員、オンライン会員が存在します。こうした大勢の会員を取りまとめ交流を欠かさないことは、急速に変化する現在のデジタル環境においてますます難しいものとなっています。このような環境の変化の中でRecording Academyは、既存の会員を今まで以上に引きつけ、新たな会員を獲得するための変革が必要と判断しました。そこでIBMに依頼し、旧来のCRMデータベースをクラウドベース・ソリューションに移行させることが決まりました。
Recording Academyは現在、IBM Consulting™のサポートを受けながら、ハイブリッドクラウドとAIを基盤とするデジタル・トランスフォーメーション(DX)の一環として、Salesforce Experience CloudプラットフォームおよびSalesforce Marketing Cloudプラットフォームの最適な導入に取り組んでいます。
フェーズ1
Recording Academyは昨年、Salesforceの導入に手をつけた直後に、両プラットフォームの価値を最大化するには、時間もリソースも不足していることに気付きました。IBM Consultingはフェーズ1として、まずグラミー賞のノミネート、チケット販売、会員資格の更新プロセスに焦点を当ててロードマップを作成しました。
ノミネートの通知を送るまで時間は数週間しか残されていませんでしたが、IBMはRecording AcademyとともにIBM Garage™のワークショップを実施し、一連の工程のモックアップを作成するなどしました。このプロセスを通じRecording Academyは、第65回グラミー賞の候補者に対する通知作業の刷新を行うことができました。
このフェーズにおいてIBM Consultingは、事前に構築したアクセラレーターを使用することで、Salesforceの開発時間を1,000時間節約するとともに、Recording Academyが提供する体験をカスタマイズすることに成功しました。現在では、ノミネート者が最初にメールを受け取った瞬間から、すべてのプロセスは魅力的でわかりやすいものとなっています。また関係者すべてが授賞式までのイベントやチケットの購入方法など、グラミー賞を盛り上げるさまざまな情報に容易にアクセスできるようになりました。以前はマーケティング・チームが手作業で行っていたことのほとんどが、今では自動化されています。
フェーズ2
Recording Academyがこれらのプロセスを通じて成し遂げたかった目標に、現会員の維持と、新規会員の獲得があります。以前のレガシーシステムでは、会員資格の更新や加入申し込みをメールで行わなくてはならず、現会員にとっても新規会員にとっても面倒な作業でした。こうした状況が改善されたことで、現会員のノミネート者は更新ポータルに瞬時にアクセスでき、非会員のノミネート対象者は完全に自動化されたプロセスで簡単に登録できるようになりました。
Recording AcademyのPanos Paney会長は「Recording AcademyはIBMのおかげで、DXを劇的に進め、会員のユーザー・エクスペリエンスを向上させ、世界中の音楽ファンにGRAMMY賞をデジタル体験してもらえるようになりました」と述べています。
アクション・ガイド:イノベーションを生む企業文化
相互運用可能なデータ・システムでリスクを低減する
相互に連携できていないシステム内にデータが長く保管されるほど、データ品質の劣化や精度の低下、ワークフローの非効率化のリスクが高まります。品質が高く相互運用可能なデータ・システムを維持できれば、混乱や変化に俊敏に対応できるようになります。
クラウドソーシングすることで、イノベーションを促進する
従業員がより自由かつ広範にSalesforceのデータへアクセスできるようにすることで、Salesforceのデータを活用し、Salesforceを起点としてイノベーションを実現する可能性が大きく広がります。従業員体験への影響を考慮してSalesforceを統合できる企業は、顧客に対する潜在的リスクも軽減できます。従業員に既存データを活用させ、統合による新たな付加価値を見つけ出させるためには、権限とインセンティブを与えることが重要になります。
測定は不可欠である
Salesforceへの現在と未来の投資を評価する際、特にイノベーションに関する投資への評価が求められる際に、正確な効果測定を高頻度で行うことが不可欠です。ROIの測定結果に基づいて投資の優先順位をつけることにより、投資に対する高頻度な評価と意思決定が可能になります。
- 生成AIに投資する
「先進派」は生成AIのような先進技術に投資することで、明確な差別化と競争優位性を実現しており、その割合は「消極者」より23%多いことがわかりました。
- ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーを活用する
「先進派」はハイブリッドクラウド・アーキテクチャーを採用して柔軟で強固な基盤を確立し、企業変革に取り組んでいます。
- Salesforceプラットフォームを活用して、ビジネス手法を刷新する
「先進派」は明確で大局的なビジョンを持ち、組織内の部署横断的なイノベーションと戦略目標に投資しています。「先進派」の82%は、Salesforceがイノベーションを促進すると確信しています。
企業はさまざまな方法で変革を進められますが、現時点で最も強力な原動力のひとつとなるのが生成AIです。ただし、生成AIなどの新技術から、真の力を引き出すためには、企業は常に対応する準備を整えておかなくてはなりません。そして企業がそうした準備をできるか否かは、状況の変化に合わせて迅速かつ効率的に方向転換できるかどうかにかかっています。
企業の俊敏性にはさまざまな要素が影響を与えますが、デジタルの世界でますます重要になっているのがデータです。データに一貫性を持たせ、組織間の共有を実現し、ハイブリッド・アーキテクチャーによってスピードと適応力を持たせることは、俊敏性の実現を目指す大規模組織にとっては必要不可欠です。
「先進派」のうちおよそ10社に8社(82%)が、Salesforceは企業のイノベーションを促進すると確信しており、同時にデータが一貫性を持ち、共有されたときに、イノベーションが最大の利益をもたらすと考えています。「先駆者」は明確で大局的なビジョンを持ち、事業領域を横断するイノベーションと戦略的なビジネス目標に資金を投じ、俯瞰的な視点を妨げるサイロ化の解消に努めています。またSalesforce 360を活用してプラットフォーム間におけるデータのギャップを埋め、顧客のニーズ、好み、欲求をより包括的に把握することを目指しています。
「先進派」は、ベスト・プラクティスの実現を求めてSalesforceを導入するが、その後は、差別化のために投資しています。その際、差別化を可能にするのがオープン・アーキテクチャーです。このとき、単にデータを取得しアーキテクチャーを構築することにはさして意味があるわけではありません。データに基づくインサイトと、Salesforceによる変革の力を積極的に「活用する」ことに意味があるのです。具体的に見ると、「先進派」は新しいビジネスモデルを発見するために、Salesforceを利用する割合が「消極者」よりも37%高いです。さらに、「先進派」は企業全体に変化をもたらす変革を実行する割合が、「消極派」の約2倍です。
「先進派」は、優れた業績を継続的に生み出すことでさらなる技術への投資を実現し、それがまた大きなリターンにつながっていくという好循環を生み出しています。
「先進派」は、好業績から再投資し、成長を実現しているSalesforceへの投資のROI(予想)出典:「The State of Salesforce 2023」。質問:今後3年間で、貴社が使用しているすべてのSalesforceソリューションから見込まれるROIはどの程度になると予想しますか?
探索を続ける:変革に対応できるように
ビジネス目標にテクノロジーを合わせるのであって、その逆ではない
Salesforceツールでデータを運用することでビジネス・オペレーションを一本化し、フロントオフィスとバックオフィスのプロセスに一貫性を持たせます。オープン・アーキテクチャーを採用して、パートナーを活用したオープンソースのイノベーション・モデルを推進します。これにより、テクノロジー主導のイノベーション基盤を構築します。
高い業績を維持することで、企業変革のための資金を確保する
ビジネス変革を継続して実行するためには、仮にビジネス環境が変化し優先事項に変動があったとしても、長期間にわたり変革を継続する意思と、一貫した方向性の保持が必要です。計画的に投資し、変革プログラムを途切れずに実行すべきです。
ハイブリッド・データ・モデルを構築し、未活用のデータを利用する
データはしばしば、企業の各部署内、各アプリケーションの中、各管理者のハード・ディスクの中にしまいこまれています。そうしたデータを引っ張り出して利用することできれば、変革の原動力となりえます。
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Originally published 09 November 2023
発行日 2023年11月9日