ホーム戦略と管理、CEO

壁の無いベンチマーキングの力

オープン・スタンダードのベンチマーキングによって、コラボレーションとイノベーションが急速に拡大し、これからのビジネスモデルの基盤が誕生します。

ベンチマーキングは組織のスマート化、迅速化、低コスト化を後押しするだけではなく、イノベーションを促し、コラボレーションを実現し、さらには変革に必要な洞察を提供します。

では、ベンチマーキングがビジネスに最大の価値をもたらす業務や業界はどこでしょうか。IBMとAPQC*は、ベンチマーキングに対する経営層の見方がどう変化しているのかを知るために、世界の経営層2,000人を対象に、「ベンチマークをどこで使用しているのか」「ベンチマーキングがビジネス・パフォーマンスをどう向上させているのか」「将来ベンチマークをどのように利用する予定か」といった内容の質問をしました。
(*)APQCは、ベンチマーキング、ベスト・プラクティス、プロセス管理、パフォーマンスの改善、さらにはナレッジ・マネジメントにおける世界最先端の機関です。

その結果、収益が平均で100億ドルほどの組織では、ベンチマーキングのビジネス価値への貢献が収益の7%弱(6億5,500万ドル相当)に上ることが分かりました。これを米国のフォーチュン1000社に当てはめてみると、ベンチマーキングによって実現するビジネス価値は、2021年で少なく見積もっても1兆ドルという驚異的な金額に達します。

経営層の71%はベンチマーキングが組織の変革に役立つと回答

ベンチマーキングの活用のしかたは組織により異なりますが、目標の設定と管理にベンチマーキングをより包括的に使用している組織ほど、大きなビジネス価値を生み出しています。ベンチマーキングを活用し、より多くの指標を生み出している組織のリーダーは、コスト削減や増収につながる方法の発見が容易になることによって、組織の価値向上に成功しています。

戦略的資産としてのベンチマーキング

調査の結果、経営層10人のうち9人はベンチマーキングを戦略的管理ツールと見なし、少なくとも四半期に1度の割合で使用していました。業績の向上はビジネス・リーダーにとって常に重要な使命です。経営層は、ベンチマーキングが、より多くの戦略的目標を達成するために重要であると、その役割に大きな期待を寄せています。

経営層の5人に4人は、ベンチマーキングがイノベーションを加速させることを非常に重要だと捉え、優先事項のトップに挙げています。予算予測の改善、組織学習速度の向上、そして競争優位性の獲得も重要視しています。

ベンチマーキングが生み出すメリット:経営層はパフォーマンス向上よりも戦略的な成果を重視する

ブレイクスルーやイノベーションの加速

予算、予測、ターゲット、あるいはストレッチ目標* の改善

コスト状況の把握(改善機会の特定など)

戦略的優位性の獲得
(例えば、戦略的優位性のためには、どの部門が最も重要なのかを判断)

組織学習速度の向上(新しいアイデアや経験の共有など)

パフォーマンスの向上(業務効率や製品設計の改善など)

ただし、これは出発点に過ぎません。今後、市場と業界が1つにまとまったパートナー・エコシステムへと進化すれば、ベンチマーキングは全く新しい方法でさらなる価値を生み出すようになるでしょう。オープン・スタンダードのベンチマーキングは共通の言語を創造し、それによってコラボレーションとイノベーションが急速に拡大します。そしてそれは、未来のビジネスモデルの基盤を築くことになるはずです。より広いエコシステム内で共同で展開することにより、ベンチマークのビジネスへの影響は指数関数的に大きくなると考えられます。

本レポートを通じ、オープン・スタンダードのベンチマークが組織の運用に革命をもたらし、進化する環境でパートナーシップからより多くの価値を得る方法を学んで下さい。


このレポートをブックマークする



著者について

Lisa Higgins

Connect with author:


, President and CEO, American Productivity & Quality Center (APQC)


Anthony Marshall

Connect with author:


, Senior Research Director, Thought Leadership, IBM Institute for Business Value


Kirsten Crysel

Connect with author:


, Global Performance Data and Benchmarking Director, IBM Institute for Business Value


Jacob Dencik, Ph.D

Connect with author:


, Chief Economist and Global Sustainability Research Leader, IBM Institute for Business Value

発行日 2022年10月9日