IBM Future Design Lab.の独自調査レポート第4弾:
本レポートは、全世界がコロナ禍に見舞われた2020年から、生活者意識の変化とそれに伴う市場の変容を独自に調査しまとめたレポートの第4弾になります。
今回の最新調査では、コロナ禍を前提としてきたこれまでの調査設計から脱却し、今後どのような条件が満たされれば(=幸福感)、多くの生活者が幸福を実感できるのか(=幸福観)というより根源的な視点を加えることにしました。
変わりつつある日本人の幸福観から社会を展望し、その社会環境下でいかに事業を成長させるのか、顧客や社会の幸福に貢献できるのかを詳らかにします。
また、シリーズ初の試みとして、分析結果の詳細を別冊としてまとめました。本冊とあわせて、ぜひご活用ください。
第1章:2023年調査の主なファインディングス
新指標「幸福観」という総合的な分析指標から見えてくる、日本人全体の特徴は2点あります。
- 社会環境の面でも、自身の生活を守る上でも、まずは「安心・安全に暮らせること」
- 公私のバランスを保ち、かつ長く「安心して働けること」
これまでの暮らしが揺らいだ経験を通じて、生活者の多くが自分たちの「暮らし」の中に幸福の手ごたえを見出そうとしている姿が垣間見えます。
一方で「承認欲求・他者評価」や「AI活用」の寄与度が低くなっており、テクノロジーに対する許容度は上がりつつありますが、まだ幸福観全体に対する貢献度は低いようです。
世代毎の特徴
- 20・30代:幸福感創造世代(幸福基準が定まらないので総じて評価が高くなる傾向がある)
- 40・50代:現役やりがい模索世代(「仕事観」「基本的生活維持」を柱にした幸福観の下で責任という重圧を受けている)
- 60・70代:利他的幸福世代(利己を超える利他的な幸福感へのシフトを行っている)
第2章:2024年以降の事業戦略への提言
今回の調査結果を受けて、今後事業推進において押さえておくべきポイントを紹介します。
1)マーケットの変容に適合する事業戦略の進化に挑め
これまでの相互成長モデルに「幸福観」を加えることで、企業の成長・お客様の生活品質(QOL)向上・幸福観への貢献という3つの視点から、事業の成長を通じた社会貢献を推進するモデルとなり、それを実践できる企業が大きな成長を遂げると考えます。
2)信頼強化を前提にテクノロジーの社会実装を加速せよ
テクノロジーの進化により人々のつながりが膨張し、他者の情報があふれたことで相対的視点が膨大になり、絶対的視点とのバランスが崩れています。その状態を脱するために、事業推進者はテクノロジーを駆使して、社会ネットワーク(共創基盤)開発に挑む必要があります。
3)自社の理念を具現化するパーパス経営を推進せよ
新たな相互成長モデルや共創基盤の構築には、幅広いステークホルダーの幸福にも寄与するパーパス経営の推進が不可欠です。従業員が追い求めるあるべき姿(個人パーパス)と企業が提示するあるべき姿(パーパス)に重なる部分が多ければ、企業価値は向上します。
第3章:不安多層化社会の先に見える希望
IBM Future Design Lab.の戦略ペルソナである、2002年生まれのエニシ君の未来の暮らしぶりを通じて、不安多層化社会を経て現れる理想の未来を追体験していただきます。
「おっと、エニシ。俺のセクがそろそろ出発しろって言ってるわ」
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詳しくは各レポートをお読みください。
著者について
末廣 英之, 日本アイ・ビー・エム株式会社,コンサルティング事業本部,IBM Future Design Lab. 所長発行日 2024年9月20日