ホームサステナビリティー

成長の原動力か、妨げか、それが問題だ

ESGの潜在力を最大限活用する方法とは?

レポート概要:
 

  • ESG への取り組みが生み出すビジネス価値  ー ESG 分野の先進企業は、他社よりも収益性が43% ほど高いことが最新の調査で判明しています。
  • 多くの企業でみられる対応の遅れ ー ESG 目標を掲げる企業は全体の95% になる一方、具体的な成果を上げている企業はわずか10% に留まっています。
  • サステナビリティーへの生活者の疑念 ー 企業の環境サステナビリティーに関する発表内容を信頼する生活者は2年で半分以下にまで縮小しました。
  • 必要なアクションとは? ー IBVの調査により、ESGをビジネス価値に変える4本の柱を特定しました。また、日本語版監訳者考察で、日本の市場でサステナビリティーを「成長の原動力」にするポイントも解説します。

詳しくはレポートをお読みください。

 

レポート詳細:

ESGはデータがすべてと言っても過言ではないでしょう。21 世紀のリスク管理を考えたとき、ESG は必須だとする意見がある一方、ビジネスの妨げにしかならないとする意見もあります。しかし、調査対象となった企業はESGデータの効率的な使い方こそが利益と成長を加速させる鍵であると捉えています。

つまり、ESG と収益性は決して対立するものではないのです。トップクラスの業績を誇る企業は、サステナビリティー、社会的責任、優れたガバナンスのために、株主価値を犠牲にすることなく、これらすべての成果を同時に達成していました。

ESG をビジネス価値を高める手段として捉えると、そこから機会の創出や業績向上に資するインサイト(洞察)を得ることができます。しかし、こうしたレベルにまで達した企業はごくわずかです。多くの企業は、ESG データをイノベーションや改善の機会を特定するツールとして戦略的に活用するのではなく、目の前のコンプライアンス要件を満たすツールとしてのみ捉えているからです。ビジネスとしての成果に活かすためには、ESG が可能にする透明性を新たな視点で見つめる必要があります。

“ESG 分野の先進企業では、 収益性が他企業を上回る 割合が43% 高い。また、 ESG 活動が収益性に 非常に大きな影響を 与えていると回答した 割合も52% 高い。”


そして、企業は変革の必要性に迫られています。生活者がESG に関する企業の主張にますます疑念を抱くようになっているからです。例えば、環境サステナビリティーに関する企業の公表を信頼すると回答した生活者は20% に過ぎず、わずか2 年前のおよそ半分から大きく減少しています。

企業のサステナビリティーに関する情報開示に対し、生活者の信頼度は急速に低下しています。

なぜここまで減少してしまったのでしょうか。理由の1 つは、企業の取り組みが進んでいないことです。IBV の調査によれば、企業の95% がESG 計画をすでに策定していますが、具体的な成果に至った企業は10% に過ぎません。経営層は不充分なデータを最大の障害として挙げており、これが規制の障壁や一貫性のない基準の乱立以上に、大きなハードルとなっているようです。

またこのことが、経営層の10 人に6 人が、財務目標とESG 目標を両立できていないと回答している背景になっているかもしれません。ESG データを入手し、分析し、理解する能力なしには、どのような計画が業績を高め、ROI を高められるのかを予測することは難しいでしょう。経営層はESG についてより広い視野で考え、透明性を優先して、ESG データの障壁を取り除き、重要なインサイトを企業に還元する意識を持つ必要があるでしょう。

“経営層の72%が、自社ではESG の優先度を上げる必要があると述べている。”


ESG はコンプライアンスとレポーティングの枠を超えるものです。その役割を高く評価する企業は、エンゲージメントを促進し、イノベーションを喚起し、業務を改善することができます。さらに、共有された戦略的目標のもと、エコシステム・パートナーを 1 つにまとめることも可能です。

レポートをダウンロードして、先進企業が業績を改善し、変革を促進し、持続可能な成長を実現する鍵となる、ESGデータと能力の4つの柱をご確認ください。

また、日本語版監訳者考察にて、日本の市場でサステナビリティーを「成長の原動力」にしていくために必要なポイントを解説しています。ぜひご覧ください。
 

サステナビリティーを「成長の原動力」とするために必要なサイクル


このレポートをブックマークする


著者について

Arun Biswas

Connect with author:


, Managing Partner, Strategic Sales and Sustainability Consulting, APAC, IBM Consulting


Elisabeth Goos

Connect with author:


, Partner, Market Leader Sustainability Services, EMEA and DACH, IBM Consulting


Jacob Dencik, Ph.D

Connect with author:


, Chief Economist and Global Sustainability Research Leader, IBM Institute for Business Value

発行日 2023年4月28日

その他のおすすめ