デジタル対応の車作りと自動車業界のデジタル化

2030年までに自動車メーカーはもはや自動車を製造する企業ではなくなるかもしれません。自動車メーカーの62%が、同年までには自動車製造のかなりの部分を外部委託し、デジタル施策に注力しているだろうと回答しています。 

デジタルへの移行は、車両開発、管理IT部門、製造、ビジネスモデル全体での包括的な取り組みです。しかし、大半のデジタル・トランスフォーメーション（DX）は失敗しています。IT専門職の71%が、ハイブリッドクラウド戦略なしでDXを全社的に推進するのは難しいと回答しました。

自動車メーカーはクラウド基盤の構築を試みていますが、3つの主要領域で苦戦しています。これは自動車メーカーだけの話ではありません。クラウド導入企業のほぼ3分の1は、クラウド導入が途中で「停滞している」と回答しました。 
 

クラウド・コンピューティングが自動車メーカーのデジタル化に貢献する3つの領域

1：コネクテッド・カーとソフトウェア定義自動車

今日の自動車には膨大な行数のソフトウェア・コードが組み込まれています。ますます高度にデジタル化された自動車の開発が続くなか、「コネクテッド・カー」と「ソフトウェア定義自動車（SDV）」という2つの領域が重要になっています。

データの膨大さ、セキュリティーとプライバシーの確保、統合の難しさなどが、この領域における課題ですが、クラウドの堅固なインフラストラクチャーと、ハイブリッドデータ処理が課題の解決に役立ちます。 

2：コネクテッド製造

コネクテッド製造は、エッジコンピューティングとクラウド・コンピューティングを組み合わせて利用し、オペレーション・データとビジネス・データを分析し、プロセスやインサイトを向上させます。しかし、データとワークロードのクラウド移行が済んでいる製造関連業務は4分の1に過ぎません。

自動車メーカーはこの領域で、情報技術（IT）と運用・制御技術（OT）の間の大きな分断をはじめ、膨大なデータに比して乏しい分析的インサイトや、標準化の不足に至るまで、数多くの課題に直面します。クラウドによってオーケストレートされた自動ワークフローは課題解決に役立ち、クラウドがリーダー層や各チームに一層高度な透明性を提供します。 

3：消費者への直販：顧客との関係の変革

自動車メーカーがテクノロジーを利用して自動車を刷新する一方で、自動車販売プロセスには独自の変化が起きています。メーカーは販売モデルについて、新たに消費者への直販、代理店、サブスクリプションを取り入れることで、従来のフランチャイズ型から脱却し、多様化を図っています。また、1回きりの自動車販売とアフター・サービスに依存するのをやめ、デジタル収益源の多様化も模索しています。 

顧客がさまざまなデジタル製品や物理的製品を、自動車メーカーを通じて直接、頻繁に消費する世界においては、ハイブリッドクラウドのエコシステムが極めて重要となります。 

一貫性のない顧客体験から、顧客データへのアクセスの遅さまで、自動車メーカーはデジタル分野で多くの難しい課題を抱えています。ハイブリッドクラウドは顧客データへのアクセスの迅速化だけでなく、顧客に関するインサイトの充実や、顧客体験の改善も促進します。 

すべてのデジタル施策の出発点はクラウド 

クラウドは、生成AIをはじめとする今日のデジタル技術の基盤です。また、未来のテクノロジー（量子コンピューティングなど）が本格的に実用化されたときには、自動車メーカーにとってなおさら欠かせないものとなります。 

消費者は自動車メーカーのデジタル技術の卓越性を一層重視するようになっており、一方、メーカーは強固かつアジャイルなオペレーション基盤を必要としています。ハイブリッドクラウドはまさにその基盤を提供します。自動車メーカーがクラウド分野に足を踏み入れたのは、競争環境や消費者の状況が今日のようになるずっと前です。このことを考えると、今こそハイブリッドクラウド戦略を再検討し、未来に向けてアップグレードしていくべきです。 

今日の自動車メーカーが未来のデジタル自動車業界の大手となるために、ハイブリッドクラウドがいかに役立つのか。ぜひレポートをダウンロードして、その詳細をご確認ください。