激動する市場環境に直面した大多数の経営層が、昨年は変革に向けた取り組みを加速できたと語りました。またさらに多くの経営層が、パンデミックによって文化的な障害など、変革に対する長期的な障壁が取り払われたと答えています。リモートワーク、および規模や範囲の急激な変動という二重の必須条件は、クラウド・コンピューティングの重要性を再確認させました。
つまり、この1年半の間に、事実上すべてのビジネスの伝統が根底から覆されたのです。しかし、この急激な変化はITインフラの基盤に対してどれほどの影響を与えたのでしょうか?レガシー・アプリケーションは新たなデジタル環境の中で役割を果たし得るのでしょうか?メインフレームの居場所はまだあるのでしょうか?
最近のIBM Institute for Business Value(IBV)の調査結果によると、答えは明確に「イエス」です。テクノロジーとビジネスのリーダーたちは、メインフレームは依然として組織のITプラットフォームの重要な一部であるだけでなく、デジタル変革を加速させる上で中心的な推進要因の機能を担っていると述べています。
71%の経営層はメインフレーム・ベースのアプリケーションはビジネス戦略の中核をなすと回答しました。
最も成功した大企業の経営層は、メインフレームとクラウドはどちらか一方を推進するものではないと断言します。両者はシームレスに絡み合って、最先端の全社的なアジリティーと能力を実現します。そして、両者が一体となることで、オペレーションの安全性が確保され、レイテンシーが削減され、レガシー・プロセスが、これまではクラウドの「積極推進派」にしかできなかったダイナミックなイノベーションのレベルにまで引き上げられるのです。
メインフレームとクラウドの関係
メインフレーム・コンピューターは60年以上にわたり、グローバル経済の継続的運営の中心を担う、各業界のミッション・クリティカルなアプリケーションを支えてきました。現在、銀行上位50社のうち45社、航空会社上位5社のうち4社、世界的小売企業上位10社のうち7社、Fortune 100社のうち67社が、メインフレームを中核プラットフォームとして活用しています。メインフレームは、世界の本番ITワークロードの70%近くを処理しています。また、最近の調査では、ITおよびビジネス経営層の90%がメインフレームをグロース・プラットフォームと見なしており、半数以上が過去12カ月間にトランザクション量が増加したと報告しています。
こうした経営層が強調しているのは、過去のメインフレームではありません。ITリーダーは、アジリティーと新たなビジネス革新をサポートするために、メインフレームの機能を統合・拡張しています。デジタル・トランスフォーメーション(DX)戦略は、基盤システムのモダナイゼーションのみならず、さらに重要なこととして、そこに存在するアプリケーションのモダナイゼーションの推進を促します。課題は、従来どおり、どのアプリケーションをモダナイズするかを決定し、モダナイゼーションの方法を決定し、モダナイズされたアプリケーションの行き先を特定することです。成功したITリーダーは、こうした要素に対するビジョンを持ち、迅速に実行し、新たな価値を獲得しています。
経営層の5人に4人が、メインフレーム上のアプリケーションのモダナイゼーションを含めて、競争に遅れを取らないために組織を急速に変革する必要があると回答しています。
しかし、一部の組織は遅れをとっています。そのような組織のリーダーは、すぐにでも次のような重要な問いを自らに立てる必要があるでしょう ー 「メインフレームへの投資は、組織の処理能力のほぼ4分の3を支える投資だが、その中核機能を担い、運用するアプリケーションから、どうすればより多くの価値を引き出せるだろうか?」
これらの疑問やその他の問いに答えるため、IBVはオックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)と共同で、北米の各業界のトップITエグゼクティブ200人を対象に、メインフレーム・システムとトランスフォーメーション戦略の両方、および両者の相互関係について調査を実施しました。調査対象となった企業は、S&P 500の約30%を占め、北米の経済活動の約40%を牽引しており、2021年には9兆ドルを超えると推定されています。
当社の調査によると、業務とシステムの変革に伴い、これらの組織は、社内外のプロセスやシステムにまたがるさまざまな種類のデータソースを統合する、より包括的なソリューションを求めていることが明らかになりました。私たちが調査した経営層は、最新のメインフレーム・システムがもたらす利点と、最高の俊敏性、柔軟性、パフォーマンスを実現するために、これらのシステム上で実行されるアプリケーションをモダナイズする必要性を認識しています。
本レポートでは、彼らの洞察と分析を活用し、メインフレーム資産からさらに価値を引き出す方法ためのガイドを提供します。ハイブリッドクラウド戦略を成功させる上で、メインフレーム上のアプリケーションをモダナイズすることが重要な要素である理由、そして最終的には、メインフレームとクラウドの両方が、全体的なDXとイノベーションの実現をどのように支えるかを検証します。
詳細はレポート(英語)をダウンロードしてご確認ください。
著者について
John Granger, Senior Vice President, IBM ConsultingAparna Sharma, General Manager and Managing Partner, Hybrid Cloud Services, IBM Consulting
Anthony Marshall, Senior Research Director, Thought Leadership, IBM Institute for Business Value
Smitha Soman, Global Research Leader, Modernizing and Emerging Technologies, IBM Institute for Business Value
発行日 2021年7月21日