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PowerHA SystemMirror for AIX V7.1 新機能/機能拡張の技術的ハイライト

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Abstract

2010年9月10日にGAとなったPowerHA SystemMirror for AIX Standard Edition V7.1(旧称HACMP for AIX, PowerHA for AIX。以下、PowerHAと表記)の新機能および機能拡張につき、技術的観点から説明します。読者として、PowerHAの基礎的知識をお持ちで、その提案・設計・構築・運用に携わる方を対象にしています。
このテクニカルフラッシュは2012年1月18日に公開されたもので、情報はas-isとなっています。

Content

2010年9月10日にGAとなったPowerHA SystemMirror for AIX Standard Edition V7.1(旧称HACMP for AIX, PowerHA for AIX。以下、PowerHAと表記)の新機能および機能拡張につき、技術的観点から説明します。読者として、PowerHAの基礎的知識をお持ちで、その提案・設計・構築・運用に携わる方を対象にしています。
当テクニカル・フラッシュは、提案・設計にあたっての前提条件や考慮点等をすべて列挙したものではありません。提案・設計にあたっては、必ず製品発表レター、PowerHAマニュアル等をあらかじめ参照してください。
Part 1
1. 新機能、拡張機能、エディション

PowerHA SystemMirror V7.1 は、AIX 7.1 及び、AIX 6.1 TL06以降で提供される Cluster Aware AIX をベースとする高可用性クラスターを構築します。
1.1 PowerHA SystemMirror Standard Edition V7.1 の新機能
  • クラスター全体での命名管理、及びノード間同期のための集中型クラスター・リポジトリー
  • PowerHA SystemMirror カーネル・ベースの低レイテンシー・イベント通信
  • Smart Assist 機能の追加、および新しいユーザー・インターフェース
  • シンプルな PowerHA SystemMirror SMIT メニュー
  • IBM Systems Director ベースの PowerHA SystemMirror 管理インターフェース
表1:PowerHA SystemMirror Standard Edition V7.1 機能一覧
PowerHA SystemMirror Standard Edition V7.1機能
V7.1からの新機能
AIX IT operations skill base
AIX Technical skill support base
AIX Shared Storage management
AIX Volume manager/Mirroring
AIX File System
AIX SMIT Management Tools
AIX Event/error management
AIX DLPAR HA/DR management
Application agents
Director based user interface
AIX Cluster Aware
Kernel based event management
Centralized cluster repository
Triple redundant multi-cast heartbeat
SAN based communications
HA coverage for root Vg storage
1.2 PowerHA SystemMirrorのエディション
PowerHA SystemMirrorには2つのエディションが提供されています。1つはStandard Editionで、もう1つはEnterprise Editionです。
Enterprise EditionはStandard Editionの全ての機能を含みます。
災害対策を目的とした長距離間での PowerHA クラスター構築の際は、PowerHA SystemMirror Enterprise Edition V6.1 を選択してください。
PowerHA SystemMirror Enterprise Edition V7.1 は本テクニカル・フラッシュ発行時点で未発表です。
1.3 PowerHA SystemMirror V7.1 のマニュアル
PowerHA SystemMirror のマニュアルはインフォメーション・センターから参照可能です。
2.インストール、構成上の制約
2.1 PowerHA SystemMirror の前提条件、及び制限事項
2.1.1 PowerHA SystemMirror がサポートするハードウェア
  • PowerHA SysystemMirror がサポートするハードウェアは、以下の Techdocs を参照して下さい。
    PowerHA hardware support matrix
    https://www.ibm.com/support/pages/powerha-hardware-support-matrix

    PowerHA SystemMirror V7.1 では、以下のサポートがなくなりました。
    - IP ベース・ネットワーク
     ATM
     FDDI
     Token Ring
    - 非 IP ベース・ネットワーク
     RS232
     TMSCSI
     TMSSA
     ディスク・ハートビート (diskhb)
     マルチノード・ディスク・ハートビート (mndhb)
    ※ 全てのタイプの非 IP ベース・ネットワークは、CAA リポジトリー・ディスクによるハートビートと FC アダプター間での SAN ベース・ハートビートに置き換えられました。
  • PowerHA SystemMirror V7.1 では、マルチキャスト IP アドレスと、リポジトリー・ディスクの構成が必要です。
リポジトリー・ディスクの要件
全てのノードから接続された、10GB以上のSANもしくはSASディスク、もしくは vSCSI ディスクがリポジトリー・ディスクとして必要になりました。
リポジトリー・ディスクへのパス冗長化は MPIO(SDDPCM, AIXPCM)のみサポートされます。SDD(vpathX)やRDACによる接続はサポートされません。他社製ストレージの場合には、ストレージベンダーにお問い合わせください。
vSCSI接続の場合、PV-PVマッピング構成で、かつ、AIX 6.1 TL6 SP2以降、もしくはAIX 7.1 TL0 SP2以降である必要があります。
リポジトリー・ディスクの可用性
リポジトリー・ディスクに対するLVMミラー構成はサポートされません。
リポジトリー・ディスクの障害時には、クラスターとしてのサービスは停止しませんが、構成変更などに影響があります。リポジトリー・ディスク障害時の影響および回復手順に関しては、以下のCAAセクションをご参照下さい。
マルチキャスト IP アドレスの要件
PowerHA SystemMirror V7.1では、クラスター・コミュニケーションにマルチキャスト IP アドレスをクラスター毎に 1 つ使用します。
このマルチキャスト IP アドレスは、クラスター作成時に指定することができます。指定しない場合は、マルチキャスト IP アドレスが自動的に付与されます。ただし、他のクラスターにおけるマルチキャスト・アドレスと重複しないことを保証する物では無いため、重複の確認、必要に応じて変更を行う必要があります。
明示的に指定する場合、マルチキャスト・アドレス(クラスD)のアドレス・レンジは、224.0.0.0 - 239.255.255.255 ですが、以下のアドレスはPowerHAによる設定スクリプトによりリザーブされていて設定できません。
Multicast addresses are in the range 224.0.0.0 - 239.255.255.255 Some addresses are reserved
# Multicast addresses are in the range 224.0.0.0 - 239.255.255.255
# Some addresses are reserved:
# 224.0.0.0 Base address (reserved)
# 224.0.0.1 The All Hosts multicast group that contains
# all systems on the same network segment
# 224.0.0.2 The All Routers multicast group that contains
# all routers on the same network segment
# 224.0.0.5 The Open Shortest Path First (OSPF) AllSPFRouters
# address. Used to send Hello packets to all OSPF
# routers on a network segment
# 224.0.0.6 The OSPF AllDRouters address. Used to send OSPF
# routing information to OSPF designated routers
# on a network segment
# 224.0.0.9 The RIP version 2 group address. Used to send routing
# information using the RIP protocol to all RIP v2-aware
# routers on a network segment
# 224.0.0.10 EIGRP group address. Used to send EIGRP routing
# information to all EIGRP routers on a network segment
# 224.0.0.13 PIM Version 2 (Protocol Independent Multicast)
# 224.0.0.18 Virtual Router Redundancy Protocol
# 224.0.0.19-21 IS-IS over IP
# 224.0.0.22 IGMP Version 3 (Internet Group Management Protocol)
# 224.0.0.102 Hot Standby Router Protocol Version 2
# 224.0.0.251 Multicast DNS address
# 224.0.0.252 Link-local Multicast Name Resolution address
# 224.0.1.1 Network Time Protocol address
# 224.0.1.39 Cisco Auto-RP-Announce address
# 224.0.1.40 Cisco Auto-RP-Discovery address
# 224.0.1.41 H.323 Gatekeeper discovery address
なお、CAA/PowerHAとしては必須ではありませんが、組織内ローカルで使用する為の範囲であるOrganization Local Scope 239.192.0.0 ~ 239.195.255.255 の範囲内で選択される事をお勧めします。
2.1.2 PowerHA SystemMirror V7.1 がサポートするソフトウェアのバージョン
AIX 6.1 TL6 以上、または AIX 7.1 以上
RSCT 3.1 以上
2.1.3 PowerHA SystemMirror の サービス・パック
PowerHA SystemMirror の最新のサービス・パックは以下のサイトからダウンロードして下さい。
PowerHA Cluster Manager (HACMP) Support for Power Systems
2.2 PowerHA SystemMirror V7.1 からサポートのなくなった機能
– IPAT via IP Replacement による IP アドレス引継ぎ
 IPAT via IP Aliasing による IP アドレス引継ぎのみがサポートされます。
– ハードウェア・アドレス(MAC アドレス) の引継ぎ
– IP エイリアスを使用するハードビート
– clcomdES と /usr/es/sbin/cluster/etc/rhosts は、CAA clcomd と /etc/cluster/rhosts に置き換えられました。
- ディスク・ハートビート (diskhb)
- マルチノード・ディスク・ハートビート (mndhb)
– 2ノード構成アシスタント
– WebSMIT、オンライン・プランニング・ワークシート (OLPW)
 IBM Systems Director プラグインに置き換えられました。
– サイト・サポート (クロス・サイト LVM ミラーリング)
- ユーザーによる障害検出率の指定
- Fast Failure Detection
- 非拡張コンカレントVGの引き継ぎ
- netmon.cf *1
- デッドマン・スイッチ(DMS) *2
*1
netmon.cfは、RSCTのAPAR IV14422を適用する事で、再び使用可能となりました。
詳細は以下をご参照ください。
  テクニカル・フラッシュ 【Information】PowerHA SystemMirror for AIX V7.1.1 新機能/機能拡張の技術的ハイライト   
Tips
netmon.cf (RSCT IV14422適用以降)
*2
DMSは、AIX 7100-01, 6100-07以降のCAAにより、再び使用可能となりました。
詳細は以下をご参照ください。
  テクニカル・フラッシュ 【Information】PowerHA SystemMirror for AIX V7.1.1 新機能/機能拡張の技術的ハイライト
使い易さ
可用性
デッドマン・スイッチ(DMS)
2.3 PowerHA SystemMirror V7.1 におけるホスト名およびノード名の制約 (2013/07更新)
クラスター・サービス稼働中のホスト名の変更はサポートされません。アプリケーション・コントローラー(従来のアプリケーション始動/停止スクリプト)において、ホスト名を変更する処理(いわゆる「ホスト名の引継ぎ」)がサポートされないことにご注意ください。
ホスト名を変更するには、クラスター・サービスの停止、CAAクラスターの削除、ホスト名の変更、CAAクラスターの再構成による反映が必要です。(PowerHAクラスター定義の削除/再構成は不要です。)
PowerHA SystemMirror V7.1におけるホスト名は、以下を満たす必要があります。
  • ホスト名は有効な名前であり、正引き、逆引きの名前解決は正しく働かなければなりません。
  • ホスト名はFQDNでもショートネームでも可能です。
  • ホスト名は/etc/hostsファイルに定義され、かつエイリアスであってはいけません。
  • ホスト名は/etc/hostsにおいて、IPアドレス、[FQDN、]ショートネーム、その他のエイリアスの順に定義することをお勧めします。
  • PowerHAクラスター・サービスが停止していても、ホスト名から解決されるIPアドレスはサーバーに到達できなければなりません。
  • ホスト名はサービスアドレスに解決されてはいけません。
  • ホスト名は仮想 IP アドレス(VIPA)に解決されてはいけません。
  • ホスト名と、/etc/cluster/rhostsに含めるIPラベルもしくはIPアドレス、およびPowerHAのノード設定における「ノードへの通信経路」は、同じでなければなりません。
PowerHA SystemMirror V7.1におけるノード名は、以下を満たす必要があります。
  • ノード名には、64 文字以内の英数字と下線を使用できますが、名前の先頭に数字は指定できません。 "."(ドット)は含まれない為、FQDN書式は使用できません。
# smit sysmirror -> Cluster Nodes and Networks からクラスター設定を行う場合、ノード名としてホスト名(のショートネーム)の使用が試みられます。
しかし、ホスト名(のショートネーム)に"-"(ハイフン)が含まれる場合、ノード名としてホスト名(のショートネーム)を使用する事は出来ません。この様な場合にPowerHAクラスターを構成するには、例えば"-"(ハイフン)を"_"(アンダーバー)に置換えた別のノード名を使用して、# smit sysmirror -> Custom Cluster Configuration -> Cluster Nodes and Networks -> Initial Cluster Setup (Custom) より、クラスター、ノード、ネットワーク、ネットワーク・インターフェース、リポジトリー・ディスクおよびクラスターIPアドレスの設定を個別に行ってください。
なお、ノード名をホスト名(のショートネーム)とは異なる名前にする場合、以下のAPARが必要となる可能性が有りますのでご注意ください。
  • PowerHA V7.1.0 SP06 : IV16052 clgetaddr will core dump if nodename is invalid
  • PowerHA V7.1.1 SP03 : IV23382 clgetaddr will core dump if nodename is invalid
  • PowerHA V7.1.2 SP01 : IV30858 verify and sync fails when nodename differ from hostname
2.4 インストール手順
PowerHA SystemMirror V7.1 のインストール手順
Step 1: 事前準備
Step 2: ファイルセットのインストール
Step 3: クラスター・トポロジー(クラスター、ノード、ネットワーク等)の構成
Step 4: リソース(アプリケーション、サービス IP アドレス等)の構成
Step 5: リソースグループの構成
Step 6: 検証と同期化
Step 1: 事前準備
  1. 共有VGを作成します。
    PowerHA V7.1では共用VGは拡張コンカレントが可能なVGである必要があります。
    bos.clvm.enhが未導入の場合、導入後にchvg -cなどにより拡張コンカレントが可能なVGに変更してください。
  2. リポジトリー・ディスク用のPVを作成します。
  3. /etc/cluster/rhosts に PowerHA クラスターで使用する IP アドレスを記述します。
    PowerHA 7.1からは手動による追記が必須となりました。
    クラスターに含まれる各ノードのノード名から解決されるIPアドレス(、もしくはノード名(FQDNの場合はショートネーム))が含まれる必要があります。
  4. clcomd を再起動します。
    stopsrc -s clcomd; sleep 2; startsrc -s clcomd
  5. SANベース・ハートビートを構成する場合は、クラスター・ノードのHBA同士のゾーニングを行います。
    詳細な手順につきましては、Redbooksを参照して下さい。
    IBM PowerHA SystemMirror 7.1 for AIX (4.1.3 Configuring the FC adapters for SAN-based communication)
    http://www.redbooks.ibm.com/abstracts/sg247845.html?Open(リンク切れ)
Step 2: ファイルセットのインストール
  1. 前提となる AIX 及び RSCT ファイルセットを導入します。ファイルセットの一覧はマニュアルを参照して下さい(ブラウザの設定を英語にする)。
    Required versions of AIX and RSCT
    https://www.ibm.com/docs/en/powerha-aix/7.2?topic=pipssn-required-versions-aix-reliable-scalable-cluster-technology-rsct
    なお、ディスクの引き継ぎを行う場合には、bos.clvm.enhの導入が追加で必要です。
  2. PowerHA 7.1を導入します。ファイルセットの一覧はマニュアルを参照して下さい(ブラウザの設定を英語にする)。
    PowerHA SystemMirror installable images
    https://www.ibm.com/docs/en/powerha-aix/7.2?topic=medium-powerha-systemmirror-installable-images
Step 3: クラスター・トポロジー(クラスター、ノード、ネットワーク等)の構成
  1. クラスター、ノードの定義を行います。
  2. リポジトリー・ディスクとクラスター・マルチキャストIPアドレスの定義を行います。
    Step 1で作成したリポジトリー・ディスク用PVを指定します。
    マルチキャストIPアドレスは、ブランクの場合はシステムが自動的に割り振ります。
  3. ネットワーク名等、デフォルトで自動設定された定義の変更
    必要に応じて自動設定された定義を変更します。
Step 4: リソース(アプリケーション、サービス IP アドレス等)の構成
  1. アプリケーション・コントローラーの定義を行います。
    ※ 従来の「アプリケーション・サーバー」に相当。詳しくは、当文書の「4. 管理インターフェース」を参照ください。
  2. サービスIPアドレスをリソースとして定義を行います。
  3. 必要に応じてその他のリソースの定義を行います。
Step 5: リソースグループの構成
  1. リソース・グループの定義を行います。
  2. リソース・グループにStep 4で定義したリソースを定義します。
Step 6: 検証と同期化
検証と同期化を行います。
Part 2
3.SmartAssist
PowerHA SystemMirror V7.1 の Smart Assist は、以下の各アプリケーション環境への PowerHA SystemMirror クラスターの実装を容易にします。
- SAP
- Enterprise Content Manager
- Oracle
- DB2
- WebSphere
- Tivoli Storage Manager (TSM)
- FileNet
4.管理インターフェース
PowerHA SystemMirror for AIX V7では、IBM Systems Directorからクラスターを構成・管理できるようになるとともに、SMITにも変更がありました。
4-1. IBM Systems Directorによるクラスターの構成・管理
・PowerHA SystemMirror for IBM Systems Directorの主な機能
PowerHA SystemMirror for IBM Systems Directorは、以下のような機能を持ち合わせています。GUIを通じて、複数のPowerHA SystemMirrorクラスターを分かりやすく管理できます。
  • 既存のPowerHA SystemMirrorクラスターのディスカバー
  • アプリケーション(リソース・グループ)やクラスターの構成情報やステータスに関する情報の表示
  • ダイナミックなステータス更新
  • ログファイルへのアクセス
  • 1つのユーザーID、パスワードは登録済みのすべてのクラスターへのアクセス(Single Sign-On)
  • 登録済みのクラスターおよびリソース・グループのステータス概要ページの表示
  • ウィザードを使用したクラスターの作成やリソース・グループの追加
  • Director Update Managerを使用したPowerHA SystemMirrorエージェントの更新の適用
以下(または添付ファイル)は、GUI画面例です。
GUI画面例
・Systems Director CLIの利用
また、Systems DirectorのGUIのみならずCLI(smcli)を利用することができます。たとえば、以下のようなコマンドでクラスター"my_cluster"のリソース・グループ"aaa_rg"をノード"node2"に移動することができます。
# smcli mvrg --cluster my_cluster --node node2 aaa_rg
※ Director上で、他のバンドルとコマンド名称の重複がある場合は、smcli sysmirror/mvrgのようにバンドル名前空間"sysmirror"を指定して実行する必要があります。スクリプト化する際は、安全のため、必ずバンドル名前空間を指定してコマンドを記述するようにしてください。
4-2. SMITの変更
・PowerHA SMITメニューの変更
 SMITメニューに以下のような変更が加えられています。
  • 機能ごとにメニューを分割
  • カスタム・クラスター構成メニューの追加
  • Standard Edtitionからの、Enterprise Edition(XD)関連メニューの除去
  • サポートされないダイアログ/メニューの除去
  • 用語の変更
  • リポジトリーとクラスターIPアドレス指定のための新しいダイアログ
  • トポロジーおよびリソース関連のメニューでの変更
・トップページの変更
 PowerHA SystemMirrorのSMITトップ画面にアクセスするファスト・パスは、(従来の # smit hacmp も引き続き利用できますが、)# smit sysmirror に変更されました。
 PowerHA SystemMirror V7.1のSMIT画面例(トップ画面)は以下のように変更されました。
PowerHA SystemMirror
カーソルを選択したい項目に移動して、ENTER キーを押してください。
クラスター・ノードおよびネットワーク
クラスター・アプリケーションおよびリソース
システム管理 (C-SPOC)
問題判別ツール
ユーザー定義クラスター構成
使用したい項目が見つからない場合
開始点が不明な場合
F1=ヘルプ F2=再表示 F3=取消 Esc+8=イメージ
Esc+9=シェル Esc+0=終了 ENTER=実行
従来の「初期化および標準構成」は、「クラスター・ノードおよびネットワーク」および「クラスター・アプリケーションおよびリソース」に対応します。
従来の「拡張構成」は、「ユーザー定義クラスター構成」に対応します。
・アプリケーション・コントローラー・スクリプト
従来、アプリケーション始動スクリプトや停止スクリプトを定義したリソースは「アプリケーション・サーバー」と呼ばれていましたが、「Webアプリケーション・サーバー」と混同する場合があるため、「アプリケーション・コントローラー・スクリプト」という名前に変更されました。
5.リソース/リソース・グループ関連機能の拡張
PowerHA SystemMirror for AIX V7では、リソース/リソース・グループ関連の機能が以下のように拡張されました。
5-1.リソース・グループ依存関係の追加
以下の二種類の依存関係が追加されました。
  • 「後で開始」リソース・グループ依存関係の構成
    ターゲットRGが常にソースRGより前にオンラインになるように処理順序が設定されます。
    ターゲットRGにはソースRGの開始に必要なリソースが含まれていますが、ソースRGの開始後はターゲットRGの実行を続ける必要はありません。
  • 「後で停止」リソース・グループ依存関係の構成
    ターゲットRGが常にソースRGの前にオフラインになるように、処理順序が設定されます。
    ターゲットRGにはソースRGの停止に必要なリソースが含まれていますが、ソースRGの開始時にはターゲットRGを実行する必要はありません。
    これらは、親子依存関係を、開始時と停止時に分解した関係になります。
5-2.動的ノード優先順位(DNP)を使用する引継ぎポリシーの拡張
事前設定された動的ノード優先順位ポリシーには、以下のポリシーが追加されました。
  • cl_highest_udscript_rc (ユーザー定義スクリプトの最大戻り値)
  • cl_lowest_nonzero_udscript_rc (ユーザー定義スクリプトのゼロ以外の最小戻り値)
引継ぎ時、ユーザ定義スクリプトが実行され、スクリプトの終了コードとDNP設定ポリシーに従って、引継ぎノードを決定します。
5-3.ユーザー定義リソースの追加
PowerHA V6.1までは、ユーザーがアプリケーション・サーバーを利用してカスタマイズしたリソースを定義できますが、アプリケーション・サーバーはサービスIPアドレスとボリューム・グループの後に処理され、ユーザーがその処理順序を変更することができません。
PowerHA V7.1では、ユーザーは独自のリソース・タイプを追加し、そのリソースの処理方法と処理順序を定義可能になりました。
ユーザー定義リソースの追加は以下の手順で設定します。
  1. ユーザー定義リソース・タイプの追加
    smitty sysmirror
    ->ユーザー定義クラスター構成
    ->リソース
    ->ユーザー定義リソースおよびタイプの構成
    ->ユーザー定義リソース・タイプの構成
    ->ユーザー定義リソース・タイプの追加
  2. ユーザー定義リソース・インスタンスの追加
    smitty sysmirror
    ->ユーザー定義クラスター構成
    ->リソース
    ->ユーザー定義リソースおよびタイプの構成
    ->ユーザー定義リソースの構成
    ->ユーザー定義リソースの追加
  3. ユーザー定義リソース・インスタンスを対象リソース・グループに追加
5-4. rootvgシステム・イベント
従来は、rootvgへのアクセスに問題が発生した場合に、AIXがrootvgにアクセスできないまま不安定な状態でノードが稼動し続け、サービスが継続できない状態となってしまうリスクがありました。
参照:
 テクニカル・フラッシュ System p-11-002 【Hints&Tips】rootvg全体障害に対するPowerHAの挙動
PowerHA 7.1は、rootvgへのアクセスに問題が発生した場合に、AIXを強制的にリブートさせることによりノード間の引き継ぎを発生させ、サービスを継続させる機能(rootvgシステム・イベント)を提供します。
rootvg LVMミラー構成時の考慮事項
rootvgをLVMミラーしている構成において、一方のディスクにのみ障害が発生した場合においても、rootvgシステム・イベントは、リブートにより引き継ぎを発生させる場合があることが確認されています。
AIX 6100-07 IV10190: MACHINE GETTING REBOOTED AFTER FAILING ONE OF THE MIRROR DISK
(6100-07-02により提供)
AIX 7100-01 IV10418: MACHINE GETTING REBOOTED AFTER FAILING ONE OF THE MIRROR DISK
(7100-01-02により提供)
上のAPARに未対応のPowerHA 7.1 rootvg LVMミラー構成においては、構成及び可用性要件に応じて、設定値を選択して下さい。
  • 非LVMミラー構成(RAID構成を含む)
    例: RAIDアダプターや外部RAIDストレージを使用した非LVMミラー構成
    LVMミラーを構成しない冗長VIOSを経由するMPIO構成
この場合、RAIDアダプター等のコンポーネントが障害となっても引き継ぎを発生させる為、rootvgシステム・イベント設定をデフォルトのまま、リブートを行う構成とすることをお勧めします。
  • クラスター内の複数ノードが、SANストレージ2筐体のLUN間で、LVMミラーを行っている構成
例:
node1
node2
SANストレージ筐体A
LUN A1
LUN A2
SANストレージ筐体B
LUN B1
LUN B2
SANストレージ筐体AにLUN A1, A2が構成
SANストレージ筐体BにLUN B1, B2が構成
node1は、LUN A1、B1間LVMミラーを用いたrootvg構成
node2は、LUN A2、B2間LVMミラーを用いたrootvg構成
node1, node2間はPowerHAクラスター構成
この構成例の場合、もしもSANストレージ筐体AもしくはBの全体障害が発生すると、PowerHAクラスター内の全ノードが停止してしまう可能性が有ります。
FCアダプターやSANスイッチが冗長化されている前提で、一方のストレージ筐体全体障害時にもサービスの継続を確実にさせるには、rootvgシステム・イベント設定を「応答:イベントのログのみ」もしくは「アクティブ:いいえ」に変更することをお勧めします。
  • 上の様な構成を除く、rootvg LVMミラー構成
例:
内蔵SASディスクによるLVMミラー構成
この場合、可用性要件に応じて選択してください。
  • サービスが長期に停止することの回避
サービスが長期に停止することを回避する事が重要な要件である場合には、rootvgシステム・イベント設定をデフォルトのまま、リブートを行う構成とすることをお勧めします。
SASアダプター等の障害によりAIXが不安定な状態になりサービスが継続できなくなるリスクを避けることが可能です。
ただし、ディスク単体障害時にも、引き継ぎによりサービスが一時的に中断する可能性が有ります。
  • ディスク単体障害時のサービス中断回避
一般論として、可動部の無いアダプターよりもディスク(HDD)の可用性は低いと言えます。
そのディスク単体障害時に、ノード引き継ぎによりサービスが一時中断する事を避ける事が重要な要件である場合には、rootvgシステム・イベント設定を「応答:イベントのログのみ」もしくは「アクティブ:いいえ」に変更することをお勧めします。
ただし、可能性は低いと考えられますが、SASアダプター等、rootvgに関連した何らかの障害によりAIXが不安定な状態でノードが稼動し続け、サービスが継続できない状態となってしまうリスクがあります。
PowerHA rootvgシステム・イベントの無効化は、以下のSMITメニューから可能です。
# smit cm_change_show_sys_event
もしくは、
# smit sysmirror
→ユーザー定義クラスター構成(Custom Cluster Configuration)
→イベント(Events)
→システム・イベント(System Events)
→イベント応答の変更/表示(Change/Show Event Response)
→ROOTVG
--------------------------------------------------------------------------------
イベント応答の変更/表示
フィールドの値を入力または選択してください。
変更を完了したら ENTER キーを押してください。
[入力フィールド]
* イベント名 ROOTVG +
* 応答 イベントのログとリブート +
* アクティブ はい +
--------------------------------------------------------------------------------
応答を「イベントのログとリブート」から「イベントのログのみ」とするか、アクティブを「いいえ」に変更
Part 3
6. Cluster Aware AIX(CAA)
CAAとは
AIX 7.1 及び、AIX 6.1 TL06以降で提供される Cluster Aware AIX(CAA)は、クラスタリング技術の主要な側面を AIX カーネルに組み入れ、よりシンプルで堅固なクラスター形成および管理を実現します。
CAAの提供するクラスターは、アプリケーションやIPアドレス、ディスク資源などに直接、高可用性を提供する訳では無く、ノード間でのKAや通信など基本的な機能を提供します。
CAAは、PowerHAのみでなく、VIOS等の基盤としても使用されていく予定です。
CAAおよび関連ファイルセット
bos.cluster.rte Cluster Aware AIX
bos.cluster.solid POWER HA Business Resiliency SolidDB
bos.ahafs AHA File System
CAA、PowerHA 7.1, RSCTの関連
PowerHA 7.1はCAAを使用して動作するため、PowerHA 7.1ノード上では、CAAのクラスターとPowerHAのクラスターが稼働します。
CAAのクラスターは、PowerHA構成時(検証同期時)に自動的に構成され、PowerHA構成除去時に自動的に除去されます。CAAのクラスターを構成する情報(マルチキャスト・アドレスとリポジトリー・ディスクPVID)はPowerHA構成情報に含まれ、PowerHAスナップショット適用時にはCAAクラスターも含めて再構成されます。
PowerHA 6.1までは、PowerHAはRSCTの提供するトポロジーサービス(topsvcs)およびグループ・サービス(grpsvcs)を使用して稼働していました。
PowerHA 7.1は、トポロジーサービスの代わりにCAAを使用します。グループ・サービスは、従来通りRSCTが提供するものを使用しますが、サブシステム名がcthagsに変更されました。
CAAによる通信経路
以下の3つの階層でのKAおよび通信経路をサポートします。
  • TCP/IP経路
マルチキャスト・アドレスを用いたパケット(ゴシップ・パケット)を使用して、障害監視を行います。
クラスターあたり1つのマルチキャスト・アドレス(クラスD)が必要です。ユーザーによる指定も、自動的に選択させることも可能です。自動的に選択させる場合、構成を行うノードへの通信パスの先頭8オクテットを228に置換えたアドレスが使用されます。
構成されている全ての経路が自動的に使用されます。
全てのネットワーク・インターフェースから、同じマルチキャスト宛のゴシップ・パケットが発信されます。
宛先MACアドレスはマルチキャストアドレスの一部を使用して構成され、ARPは使用されません。
対応するルーティング・テープルは存在ししません。
  • SAN経路(SAN-based communication (SANCOM)) (オプション)
ディスクを経由せずにHBA間でやり取りが行われます。
ノードが直接 HBA を持つ場合、以下のFibre Channel /SASアダプターによる接続がサポートされます。また、アダプター間のゾーニングが必要です。
マニュアルより抜粋
Setting up cluster storage communication(リンク切れ)
http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v7r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.clusteraware/claware_comm_setup.htm
  • 4 GB Single-Port Fibre Channel PCI-X 2.0 DDR Adapter (FC 1905; CCIN 1910)
  • 4 GB Single-Port Fibre Channel PCI-X 2.0 DDR Adapter (FC 5758; CCIN 280D)
  • 4 GB Single-Port Fibre Channel PCI-X Adapter (FC 5773; CCIN 5773)
  • 4 GB Dual-Port Fibre Channel PCI-X Adapter (FC 5774; CCIN 5774)
  • 4 Gb Dual-Port Fibre Channel PCI-X 2.0 DDR Adapter (FC 1910; CCIN 1910)
  • 4 Gb Dual-Port Fibre Channel PCI-X 2.0 DDR Adapter (FC 5759; CCIN 5759)
  • 8 Gb PCI Express Dual Port Fibre Channel Adapter (FC 5735; CCIN 577D)
  • 8 Gb PCI Express Dual Port Fibre Channel Adapter 1Xe Blade (FC 2B3A; CCIN 2607)
  • 3 Gb Dual-Port SAS Adapter PCI-X DDR External (FC 5900 and 5912; CCIN 572A)
構成方法に関しては上のマニュアルページをご参照下さい。
VIOSが上のFCアダプターを持つ仮想化構成(vSCSIもしくはNPIV構成)においても、VIOC環境においてSANCOM経路が使用可能です。
前提としては、VIOSは2.2.0.11-FP24 SP01以降が必要となります。このレベル未満(VIOS 2.1等)では、構成できません。
構成するには、VIOSにおいて上の構成を行い、かつVLAN IDが3358の仮想ethernetアダプターをVIOSとVIOCに構成します。
構成手順の詳細に関しては、以下をご参照ください。
IV03643: DOC: CAA VLAN REQUIREMENTS FOR SAN COMMUNICATIONS.(リンク切れ)
http://www-01.ibm.com/support/docview.wss?uid=isg1IV03643
  • リポジトリー・ディスク(Central cluster repository based communication (DPCOM))
リポジトリー・ディスク(後述)を使用して、KAを行います。
通常時はKAに使用されません。
従来のPowerHAでサポートされていた、ディスク経路ハートビート、RS232経路を使用するハートビート等の非IPネットワークは、PowerHA V7.1ではサポートされません。
PowerHA定義には、SANCOMやDPCOMによるネットワークは含まれません。PowerHA定義には最低1つのTCP/IPネットワークが含まれる必要がありますが、PowerHA定義に含まれないTCP/IPネットワークもCAAによるKAに使用されます。
ハートビート・レート
PowerHA V6.1以前の”Failure Detection Rate(FDR)”に相当するものは無くなり、ユーザーによる調整は出来ません。
レートは、ノード間の応答時間に応じて自動調整されます。
リポジトリー・ディスク
CAAは各ノードからアクセス可能な10GB(以上)のPV(リポジトリー・ディスク)をクラスターあたり1つ必要とします。
リポジトリー・ディスクの目的
  • CAAが構成情報を保持したりディスクを用いたハートビートに使用
  • PowerHAのクラスター構成情報は保持しない (従来どおりODMに保管)
リポジトリー・ディスクの物理構成
  • 全ノードからアクセス可能な10GB以上(かつ62.5GB未満)の単一のPV(LUN)
  • リポジトリー・ディスクのサイズは10GBで必要十分であるため、新規にLUNをアサインするのであれば10GBで作成することを推奨します。
  • LVMミラーを含むLVMコマンドは使用不可であり、RAID等のディスク装置の機能により可用性を確保する必要があります。
  • リポジトリー・ディスクの障害時、PowerHAとしての動作に即座に影響は無く、障害監視や障害検出時の引き継ぎは継続して行われます。しかし、クラスターの構成変更やクラスターの起動は出来なくなります。
  • リポジトリー・ディスクを交換するためには、クラスター・サービスの一時停止が必要です。
  • 接続形態
直接接続、NPIVによる接続
マルチパス方式はMPIO(SDDPCM, AIXPCM)のみのサポート。SDD(vpathX)やRDACによる接続はサポートされません。他社製ストレージの場合には、ストレージベンダーにお問い合わせください。
なお、CAAはSDDPCMによるMPIO接続ディスクをサポートしますが、リポジトリー・ディスクをデバイス指定してのSDDPCMコマンドが使用できないという制約があります。また、pcmpath query device 等の参照コマンドではリポジトリー・ディスクは表示されません。(2011/6/20現在)
vSCSIによる接続
PV-PVマッピング、AIX 6100-06-02以降/7100-00-02以降
ご提案時には、ご利用のディスク・システムがPowerHA SystemMirror V7.1をサポートしているか確認いただくようお願いします。
リポジトリー・ディスクの論理構成
  • 各ノードにおいて、PV名はcaa_private0と変更されます。
  • caavg_privateという非コンカレントVGが作成され、各ノードからリザーブ無しでvaryonされます。
  • caavg_private VGのユーザーによる利用はサポートされていません。
CAAの運用
リポジトリー・ディスクの変更や、マルチキャスト・アドレスの変更には、CAAクラスターの削除、再構成が必要です。
リポジトリー・ディスクのバックアップ/リストアはサポートされていません。必要に応じて、CAAクラスターを再作成して下さい。
AIX V6.1 TL7もしくはAIX V7.1 TL1以降へのマイグレーション (2011/10追加)
既に構成されたPowerHA 7.1環境において、AIXをAIX V6.1 TL7もしくはAIX V7.1 TL1以降にマイグレーションする場合、CAAクラスターを削除、再構成する必要があります。
手順の詳細、およびCAA更新の概要は以下のドキュメントをご参照ください。
ftp://public.dhe.ibm.com/aix/efixes/iv08163/AIX_TL_update_information_for_PowerHA_7.1.pdf
参照
Appendix
参考URL
PowerHA SystemMirror for AIX
マニュアル
最新オンラインマニュアルは、ブラウザーの言語環境を英語にした上で、infocenterからご確認ください。
PowerHA SystemMirror 7.1 for AIX® Standard Edition(リンク切れ)
http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v6r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.doc/doc/base/powerha.htm
日本語ロケールで表示される内容は、更新が遅れている可能性が有りますのでご注意ください。
最新マニュアル(PDF)は、以下よりご確認ください。(リンク切れ)
http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v6r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.doc/doc/base/powerha_pdf.htm
製品メディアに含まれるドキュメントは、奥付が同じでも更新が遅れている可能性が有りますのでご注意ください。
レッドブック
「IBM PowerHA SystemMirror 7.1 for AIX」が提供されます。
IBM PowerHA SystemMirror 7.1 for AIX(リンク切れ)
http://www.redbooks.ibm.com/Redbooks.nsf/RedpieceAbstracts/sg247845.html?Open
Cluster Aware for AIX
マニュアル
インフォセンター(リンク切れ)
http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v7r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.clusteraware/claware_main.htm
PDF(リンク切れ)
http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v7r1/topic/com.ibm.aix.clusteraware/clusteraware_pdf.pdf
発表レター
http://www-06.ibm.com/jp/domino02/NewAIS/aisextr.nsf/ByLetterNo/PWR10093(リンク切れ)
セールス・マニュアル

FAQ
RSCT
  • Q グループサービスのgrpsvcsサブシステムが稼働しません。
    A cthagsサブシステムが使用されます。cthagsはPowerHA以外との共用になります。
  • Q トポロジーサービスのtopsvcsサブシステムが稼働しません。
    A 代わりにCAAが使用されます。
CAA
  • Q PowerHA 7.1はCAA無しの構成はできますか?
    A いいえ。出来ません。
  • Q DeadManSwitch(DMS)は使用されますか?
    A DMSはトポロジーサービスの機能であり、PowerHA 7.1では使用されません。
  • Q スラッシング状態など、システムが高負荷状態になった場合、引き継ぎは行われますか?
    A 高負荷環境下であってもKAのレートが自動調整され、ノードが停止していないならば引き継ぎは行われません。ノードを強制停止して引き継ぎを行い、サービスを継続する要件が有る場合には、アプリケーション・モニターやシステム・ハング・ディテクション機能(shd)の使用をご検討ください。
CAAリポジトリー・ディスク
  • Q リポジトリー・ディスク障害時の影響
    A 動作しているクラスター・サービスに影響はありませんが、構成変更やノードの起動に問題が起こりえます。リポジトリー・ディスクの交換には、クラスター・サービスの停止が必要となります。
    PowerHA 7.1のinfocenterにおけるリポジトリー・ディスクの記述は、以下をご参照ください。(リンク切れ)
    なお、日本語のブラウザー環境では他ページからのリンクはありません。(2011/01現在)
    http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v6r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.powerha.concepts/ha_concepts_clusterrepository.htm
  • Q リポジトリー・ディスクをLVMミラーすることは可能ですか?
    A サポートされません。
  • Q リポジトリー・ディスクのバックアップは可能ですか?
    A できませんし、不要です。リポジトリー・ディスク障害時には、クラスターを停止の上、別のPVを新たなリポジトリー・ディスクとして構成してください。手順はREADMEに含まれています。
TCP/IP経路におけるKA(マルチキャスト・アドレス)
  • Q マルチキャストアドレスはネットワーク・インターフェースに割り振られることになりますか?また、マルチキャストアドレスの為のルーティングは使用されますか?
    A いいえ。マルチキャストアドレスはディスティネーションアドレスとしてのみ使用され、どのネットワーク・インターフェースにも割り振られません。また、基本的にはルーティング・テーブルを持ちません。
    アドレスに対応する専用のMACアドレスが使用され、各ネットワーク機器は、待っている以外のマルチキャストアドレス用MACアドレス宛のパケットを破棄します。
  • Q KAに使用するネットワーク、使用しないネットワークを指定可能ですか?
    A いいえ。構成されている全てのTCP/IPネットワーク・インターフェースが使用されます。
  • Q マルチキャストアドレスはクラスター毎に必要ですか?
    A はい。クラスター毎に異なったマルチキャストアドレスが必要です。
  • Q ゴシップ・パケットのターゲットMACアドレス、ターゲットIPアドレス、プロトコル、ソースポート、ターゲットポート、TTLはどの様なものになりますか?
    A 実機での確認の結果、以下の様なパケットと為っています。
    ディスティネーションMACアドレス: 01:00:5e + マルチキャスト・アドレスの下位23ビット(00:00:00~7f:ff:ffの範囲内)(固定)
    ディスティネーションIPアドレス: マルチキャスト・アドレス(224.0.0.0~239.255.255.255の範囲内)(固定)
    TTL: 32
    プロトコル: UDP
    ソースポート: 4098
    ターゲットポート: 4098
  • Q ルーターなどの要件はありますか?
    A 各ノードのインターフェース間でゴシップパケットが透過できる必要が有ります。これは、必要に応じてIGMPプロトコルを用いたルーティングが必要となり得ることを意味します。
SAN-based communication (SANCOM)
  • Q 直接SANに接続されているシステム環境において、SANCOMを構成するための前提条件はありますか?
    A 4Gもしくは8G以上でfcsXデバイスがtme属性をサポートするFCアダプターである必要があります。
CAA TCP/IPネットワーク構成
  • Q netmon.cfは使用されますか?
    A 使用されません。
  • Q シングル・アダプター・ネットワーク構成において、netmon.cfの様な構成上の考慮事項はありますか?
    A ありません。netmon.cfは使用されなくなりましたが、CAAではカーネル・ベースでインターフェースの稼働確認を行います。
  • Q VIOS VLAN環境において、netmon.cfへの!REQD指定の様な考慮事項はありますか?
    A netmon.cfが使用されなくなりましたので、VIOSを冗長化し、VIOSがSPOFとならないようにして下さい。IVEの様なVIOSの冗長化が出来ない環境では、rootvgもIVEによるSAN BOOT構成とし、IVE障害時にノードを停止させる実装とすることをお勧めします。PowerHA 7.1ではrootvgが使用可能かを監視する仕組みが提供されています。
  • Q 何れかのネットワーク・インターフェースにマルチキャスト・アドレスがaliasなどとして割り振られるのですか?
    A いいえ。割り振られません。
CAAクラスターの構築、除去、運用
  • Q PowerHA構成時、どのタイミングでCAAクラスターは構成されますか?
    A PowerHA同期時です。
  • Q PowerHAクラスター定義の除去を行うとCAAクラスターはどうなりますか?
    A 削除されます。
  • Q スナップショットにCAAクラスターの情報は含まれますか?
    A CAAクラスターを再構成する為の、マルチキャストアドレスおよびPVIDがスナップショットに含まれます。
  • Q CAAクラスターを削除した環境にスナップショットを適用するとどうなりますか?
    A CAAクラスターも再構成されます。
  • Q CAAクラスター作成時の考慮点は?
    A 各ノードで使用可能な若いLV名が異なると、クラスターの作成に失敗しうるため、各ノードにおいて、LV名fslv00, fslv01を避けておくことをお勧めします。
    AIX導入後初めて(PowerHAクラスターの同期等により)CAAクラスターを作成した場合、ノードをリブートしないでPowerHAクラスター・サービスの起動を試みると、起動処理が無応答となり起動できない事例が確認されています。その為、AIX導入後初めてPowerHAクラスターの同期を行った際には、PowerHAクラスター・サービス起動前に、各ノードを一度リブートすることをお勧めします。(2011/04現在)
  • Q CAAにおけるノードのUUIDは、CAAクラスター再構成で新規に割り振られますか?
    A いいえ。変更されません。
  • Q CAAにおけるノードのUUIDは、CAAクラスター除去時にリセットされますか?
    A いいえ。リセットされません。
  • Q 新しいノードを以前の別のノードの代わりとしてクラスターに参加させる手順は?
    A ノードのノード名とUUIDが以前(のノード)と同じである必要が有ります。
    稼働中のクラスターにおいて、lscluster -mより現在の各ノードのUUIDを記録しておいてください。
    代わりに参加させたいノードのUUIDはlsattr -El cluster0 により確認可能です。変更は、chdev -l cluster0 -a node_uuid=2adef228-a712-11df-8baa-0245c0004002 などとします。
    参照(リンク切れ)
    http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v7r1/index.jsp?topic=/com.ibm.aix.clusteraware/claware_disasterrecovery.htm
    AIX 7.1 information > System management > Cluster management
    Disaster recovery
clcomd
  • Q clcomdのrhostsのパスはどこに変更されましたか?
    A /var/cluster/rhosts
    SNMP/clstat
  • Q AIXのデフォルトであるSNMPv3環境で、clinfoESを起動しているにも関わらず、clstat等が表示されません。
    A AIX V6.1 TL3 SP10, TL4 SP10, TL5 SP06, TL6 SP05以降で該当する以下の障害に起因する可能性が有ります。
    IV05790, IV02123, IV05323: SNMPDV3 IGNORES SMUX ENTRY
    これらに対する修正は、AIX V6.1 TL4 SP11, TL5 SP07, TL6 SP06により提供される予定です。(2011/09現在未提供)
    APAR適用に依らない回避方法として、以下が可能です。
  1. snmpdv3.confにおけるsmuxの行末の#以降のコメントを削除するか、echo "VACM_VIEW defaultView 1.3.6.1.4.1.2.3.1.2.1.5 - included -" >> /etc/snmpdv3.confとする

        #smux 1.3.6.1.4.1.2.3.1.2.1.5 clsmuxpd_password # PowerHA SystemMirror clsmuxpd
        ↓
        #smux 1.3.6.1.4.1.2.3.1.2.1.5 clsmuxpd_password
  2. snmpdおよびクラスター・サービスを再起動
  参照(リンク切れ)
  http://www14.software.ibm.com/webapp/set2/subscriptions/onvdq?mode=18&ID=2188&myns=pwrcop&mync=E
  Technical bulletin Doc number: 2188
  snmpdv3 ignores smux config entry, may cause clstat to fail
  AIXコマンドとCLUSTER_OVERRIDE環境変数
  ※ (2014/2/5追記)
AIX 7.1 TL2 SP1 以降のバージョンでは環境変数 CLUSTER_OVERRIDE はサポートされなくなりました。以下の記述はAIX 7.1 TL2 SP1 未満のバージョンに関する情報となりますので、ご注意ください。
  • Q /etc/environment に設定される CLUSTER_OVERRIDE=yes は何ですか?削除、もしくはCLUSTER_OVERRIDE=no とするとどの様な影響がありますか?
    A PowerHA SystemMirror クラスターにおいて、クラスター・リソース上で、以下の様ないくつかの基本 AIX コマンドを使用すると、クラスター構成の保全性を損なうおそれがあります。PowerHA SystemMirror が提供するこれらの機能の C-SPOC バージョンは、クラスター環境で安全に使用できます。
    crfs, chgroup, chlv, chpasswd, chuser, chvg, extendlv, extendvg, importvg, mirrorvg, mkgroup, mklv, mklvcopy, mkuser, mkvg, reducevg
    PowerHA 7.1では、これらのコマンドに対する、C-SPOC外からの使用制限を制御するための環境変数としてCLUSTER_OVERRIDEを提供します。
    PowerHA 7.1 以降、かつAIX バージョン 6.1 (6100-06 テクノロジー・レベル適用) 以降 (AIX バージョン 7.1 を含む) のレベルにおいて、CLUSTER_OVERRIDE=yes が設定された状態では、従来と同様に、C-SPOC外からもこれらのAIXコマンドをユーザーによるリスク管理の元で実行可能です。
    同等のレベルにおいて、CLUSTER_OVERRIDE環境変数を削除、もしくはnoなどに設定した状態では、これらのAIXコマンドをC-SPOC外から使用すると、以下のエラーにより終了する様になりました。
    Issue using C-SPOC or the override environment variable must be set.
    参考(リンク切れ)
    http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/aix/v7r1/index.jsp?topic=%2Fcom.ibm.aix.powerha.admngd%2Fha_admin_cmds.htm
その他
  • Q OLPWはサポートされますか?
    A サポートされません。cluster.es.worksheetsファイルセットはサポート終了を記載したReadme.txtのみ含まれています。
  • Q WebSMITはサポートされますか?
    A サポートされません。cluster.es.client.wsmファイルセットはサポート終了を記載したREADME.wsmのみ含まれています。
  • Q ホスト名にFQDNを使用して、PowerHA 7.1クラスターを構成可能ですか?
    A 可能です。
    /etc/hostsにおいて、IPアドレスの直後にFQDN、そのエイリアスとしてショートネームを記載してください。この場合、ホスト名はFQDNでもショート名でも可能です。
    PowerHAのノード名はショートネームである必要があります。
    /etc/cluster/rhostsに各ノードのホスト名を記載する場合、ショート名としてください。
    参考
    Creating a cluster with host names in the FQDN format
    SG24-7845-00 Redbooks IBM PowerHA SystemMirror 7.1 for AIX
    Creating a cluster with host names in the FQDN format
    In the testing environments, we create working clusters with both short and fully qualified domain name (FQDN) host names. To use the FQDN, you must follow this guidance:
    • The /etc/hosts file has the FQDN entry first, right after the IP address, and then the short host name as an alias for each label. In this case, the FQDN name is used by CAA because CAA always uses the host name for its node names, regardless of whether the host name is short or FQDN.
    • Define the PowerHA node names with the short names because dots are not accepted as part of a node name.
    • As long as the /etc/hosts file contains the FQDN entry first, and then the short name as an alias, the host name can be either FQDN or short in your configuration.
    • As long as the /etc/hosts file contains the FQDN entry first, and then the short name as an alias, the /etc/cluster/rhosts file can contain only the short name. This file is only used for the first synchronization of the cluster, when the Object Data Manager (ODM) classes are still not populated with the communication paths for the nodes. The same function as /usr/es/sbin/cluster/etc/rhosts file exists in previous PowerHA and HACMP versions.
    • When you are defining the interfaces to PowerHA, choose either the short or long name from the pick lists in SMIT. PowerHA always uses the short name at the end. The same guidance applies for service or persistent addresses.
    • Logical partition (LPAR) names continue to be the short ones, even if you use FQDN for host names.

[{"Type":"MASTER","Line of Business":{"code":"LOB08","label":"Cognitive Systems"},"Business Unit":{"code":"BU054","label":"Systems w\/TPS"},"Product":{"code":"SSPHQG","label":"PowerHA SystemMirror"},"ARM Category":[{"code":"a8m3p000000hAumAAE","label":"PowerHA System Mirror"}],"Platform":[{"code":"PF025","label":"Platform Independent"}],"Version":"All Versions"}]

Document Information

Modified date:
13 February 2023

UID

ibm16852163