IBM Support

【TF】【IBM Power】【AIX】AIX 7.3でボリューム・グループ、論理ボリューム 、ファイルシステム作成時におけるデフォルト値の変更にご注意ください

News


Abstract

AIX 7.3 ではボリューム・グループ、論理ボリューム、ファイルシステム作成時のデフォルト値に変更があります。
新規作成、設定値を変更する場合には、変更点や対象属性値の内容や設定による影響をご確認ください。

Content

AIX 7.3 における mkvg、mklv、crfs の論理ボリュームマネージャー(LVM)の変更点
  • AIX 7.3 では、論理ボリュームマネージャー(LVM)関連コマンドの mkvg、mklv、crfs のデフォルト値に変更があります。
   mkvgコマンド:
    ・デフォルトでスケーラブル・タイプのボリューム・グループを作成
    ・スモール・ボリューム・グループ・タイプは -a フラグを使用して作成
    ・デフォルトでボリューム・グループ内のデータ暗号化を有効化
 
   mklvコマンド:
    ・デフォルトで jfs2 タイプの論理ボリュームを作成
    ・ビック・タイプおよびスケーラブル・タイプのボリューム・グループでは、デフォルトでパッシブ・ミラー書き込み整合性を持つ論理ボリュームを作成
 
   crfsコマンド:
    ・デフォルトでINLINEログ・デバイスを使用してファイルシステムを作成
  ・AIX 7.3 リリース・ノート
   https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=notes-aix-73-release
           "ファイルシステムおよび論理ボリューム・マネージャーの更新 "参照

1. mkvgコマンドの変更点
 

  • mkvg コマンドはデフォルト(オプションなし) では スケーラブル・ボリューム・グループ (Scalable VG)を作成します。
    以前のバージョンでは -S オプションを付与して作成していました。
  • ビッグ・ボリューム・グループ (Big VG) は -B オプションで作成することに変更はありません。
  • 以前のバージョンのオリジナル・ボリューム・グループは AIX 7.3 では スモール・ボリューム・グループ・タイプに分類されています。
    スモール・ボリューム・グループは mkvg の -a オプションを使用して作成します。
  • mkvg コマンドはデフォルトでデータ暗号化を有効にします。
    ボリューム・グループのデータ暗号化オプションは論理ボリューム暗号化のために必要なオプションです。
  ・mkvg コマンド
      https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=m-mkvg-command
   (抜粋)
      -a
      これは、small タイプのボリューム・グループを作成します。
      このタイプには最大 32 個の物理ボリュームと最大 255 個の論理ボリュームを収容できます。
   -k y 
   ボリューム・グループのデータ暗号化オプションを有効にします。
   このオプションがデフォルト値です。
 

AIXでは、論理ボリューム、ファイルシステム、物理ボリュームの各レイヤーで暗号化機能が提供されています。
上記のボリューム・グループ暗号化オプションは、論理ボリュームの暗号化有効で前提となる属性です。


[AIX暗号化ご参考資料]
暗号化された論理ボリューム
AIX暗号化機能比較.pdf
暗号化された物理ボリューム
EFS Encrypted File System

 


2. mklv コマンドの変更点
 
  • AIX 7.3 では mklv コマンドはデフォルトで jfs2 タイプの論理ボリュームを作成します。
    以前のバージョンでは jfs タイプがデフォルトでした。
  (抜粋)
   -t タイプ デフォルトは jfs2です。
  • Scalable VG、Big VG で mklv コマンドを実行する際は、デフォルトのミラー書き込み整合性ポリシーとして、パッシブ・ミラー書き込み整合性を持つ論理ボリュームを作成します。
  (抜粋)
  -w mirrorwriteconsistency
     
y または a 
    アクティブ・ミラー書き込み整合を行います。
    ミラー書き込み整合とは、通常の入出力処理中に、 論理ボリュームのミラーリングされたコピー間でデータの整合性を
    保証するものです。
    この値は、small タイプのボリューム・グループ用のデフォルト・ミラー書き込み整合ポリシーです。
    p 
    パッシブ・ミラー書き込み整合を行います。 パッシブ・ミラー書き込み整合とは、システム割り込み後のボリューム・グループの
    同期化中に、 ミラーリングされたコピー間でデータの整合性を保証するものです。
    注: この機能は、 big タイプおよび スケーラブル ・タイプのボリューム・グループでのみ使用可能です。

3.  ミラーリング・ボリュームグループでのミラー書き込み整合性の注意点
  • 3-1 Scalable VG または Big VG で、LVMミラーリングを実施する場合は、書き込み整合性のメリット・デメリットをご確認いただき、設定値をご検討ください。
アクティブ・ミラー書き込み整合性:
  • メリット:クラッシュが 発生した後のリブート時のリカバリーが速くなります。
  • デメリット:書き込みのパフォーマンスに影響があり、特にランダム書き込みのパフォーマンスが低下します。
パッシブ・ミラー書き込み整合性 :
  • メリット:アクティブ MWC にからむ書き込みパフォーマンスの低下が なくなるだけでなく、区画がアクセスされているときに自動的に論理ボリュームの再同期がとられます。
  • デメリット:クラッシュが 発生した後のリカバリー時、すべての区画の同期が取り直されるまでは、読み取り操作が遅くなることがあります。
     
  * パッシブ・ミラー書き込み整合性の注意点
    -  ボリューム・グループの再同期が発生した際に、ディスク容量により syncvg が数時間から数日かかるケースがあります。
    -  syncvg の I/O が影響してアプリケーションの I/O が遅延する可能性があります。
  ・LVMミラーリングのパフォーマンスへの影響
  https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=guidelines-disk-mirroring-performance-implications
  (抜粋)
  ミラーリングが使用され、ミラー書き込み整合性 (Mirror Write Consistency) がオンになっている (デフォルトにより) 場合は、
  ディスクの外部領域にそのコピーを配置することを考慮してください。 
  書き込み検査はデフォルトではオフです。
  受動ミラー書き込み整合性 (MWC) と呼ばれる、ミラー書き込み整合性オプションが使用可能です。
  ミラー書き込み整合性を確実にする デフォルトのメカニズムが、アクティブ MWC です。
  アクティブ MWC により、クラッシュが 発生した後のリブート時のリカバリーが速くなります。
  ただし、このメリットは書き込みのパフォーマンスを 犠牲にして得られるものであり、特に、
  ランダム書き込みのパフォーマンスが低下します。
  アクティブ MWC を使用不可にすれば、この書き込みパフォーマンスの低下はなくなりますが、 クラッシュ後のリブートで
  syncvg -f コマンドを使用して ボリューム・グループ全体を手作業で同期させてからでないと、ユーザーが
  そのボリューム・グループに アクセスすることができません。
  これを行うには、ボリューム・グループの automatic vary-on を使用不可にする必要があります。

 
  受動 MWC を使用可能にした場合は、アクティブ MWC にからむ書き込みパフォーマンスの低下が なくなるだけでなく、
  区画がアクセスされているときに自動的に論理ボリュームの再同期が とられます。
  これは、管理者が論理ボリュームを手動で同期したり、 automatic vary-onを無効にしたりする必要がないことを意味します。
  受動 MWC の欠点としては、すべての区画の同期が取り直されるまでは、読み取り操作が遅くなるということがあります。
  • 3-2  アクティブ・ミラー書き込み整合性を有効化した論理ボリュームで無限再試行オプションを設定する場合
  ボリュームグループおよび論理ボリュームの無限再試行属性 (Infinity Retry) が存在します。
  無限再試行が有効化されている場合は、失敗した入出力要求は、成功するまで再試行します。
  論理ボリュームの無限再試行属性はデフォルトでは無効の設定です。
  アクティブ・ミラー書き込み整合性を有効化した論理ボリュームで、無限再試行の設定する場合には、
  ボリューム・グループ属性の無限再試行オプションを併せて有効にする必要があることにご注意ください。
  -O y/n 
   論理ボリュームの無限再試行オプションを使用可能にします。 
   注: アクティブ ・ミラー書き込み整合性が設定されている場合、論理ボリューム (LV) の無限再試行オプションは無視されます。
   アクティブ・ミラー書き込み整合性が設定されている場合、論理ボリュームに対して機能するように、
   無限再試行オプションがボリューム・グループ・レベルで使用可能にされる必要があります
  -O  
     n 論理ボリュームの無限再試行オプションは使用可能ではありません。
 
    失敗した論理ボリュームの入出力は再試行されません。
     このオプションがデフォルト値です。

 
     y 論理ボリュームの無限再試行オプションは使用可能です。 失敗した入出力要求は、成功するまで再試行されます。
以上。

[{"Type":"MASTER","Line of Business":{"code":"LOB08","label":"Cognitive Systems"},"Business Unit":{"code":"BU058","label":"IBM Infrastructure w\/TPS"},"Product":{"code":"SWG10","label":"AIX"},"ARM Category":[{"code":"a8m3p0000000rgsAAA","label":"Power systems"}],"Platform":[{"code":"PF002","label":"AIX"}],"Version":"7.3.0"}]

Document Information

Modified date:
06 February 2024

UID

ibm17103497