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[Windows Server]VSSの仕組み

Question & Answer


Question

Windows のコンポーネントである VSS の概要、利用方法、トラブルシュート方法を教えてください。

Answer

以下、A ) で VSS の概要、B ) で利用方法、 C) でトラブルシュート方法を説明します。


A ) VSS とは

VSS (Volume Shadow Copy サービス) は Windows OS にてシャドウコピー (ある時点の整合性の取れた状態でのデータのコピー) を作成するためのサービスで、
Windows OS が組み込みで持っている機能です。
シャドウコピーはスナップショットとも呼ばれ、この際に作成されるデータのコピーは、主にバックアップソリューションなどで利用されます。
Windows OS はシャドウコピーを作成する際、システムを稼動させたままでデータのコピーを作成することのできる仕組みを備えています。
VSS は 主に VSS リクエスター、VSS ライター、VSS プロバイダーとよばれるコンポーネントとやりとりをすることで、シャドウコピーを作成します。

以下、それぞれのコンポーネントと、処理の流れを説明します。
a-1 ) VSS
ボリュームシャドウコピーサービスの略で、Windows 標準のサービスです。
Windows のサービス一覧で状態を確認できます。
a-2 ) VSS リクエスター
バックアップソフトウェア、システム回復機能等が該当します。
シャドウコピーの作成をリクエストします。
a-3 ) VSS ライター
シャドウコピー対応のアプリケーションに組み込まれているコンポーネントです。
アプリケーションの静止の通知を受け取り、データコピーが整合性の取れたものとなるようにします。
a-4 ) VSS プロバイダー
シャドウコピーをディスクに書き込んだり、実際にシャドウコピーを作成するコンポーネントです。

大まかな流れは以下の通りです。

1 ) VSS リクエスターからシャドウコピー作成の準備をするように VSS へ指示を送信します。
2 ) VSS が VSS ライターに準備をするよう指示を出します。
3 ) VSS ライターがそれぞれ適切な方法で準備を行います。それぞれ自身が担当する範囲のアプリケーション内で完了していないトランザクションを完了させたり、キャッシュをディスクへフラッシュしたりします。
4 ) VSS は各ライターにすべての書き込み I/O リクエストを一時的に停止させます。読み込みは可能です。
5 ) VSS がファイルシステムドライバーにファイルシステムメタデータをすべてディスクへ書き出すよう指示します。
6 ) VSS が VSS プロバイダーにコピーを作成するためのコマンドを送信します。
7 ) 作成を終えると、VSS がファイルシステムに書き込み I/O を再開させて、ライターをフリーズから解放します。
8 ) VSS は各ライターに作成されたシャドウコピーの整合性が取れているかを確認します。ファイルシステムの破損などにより整合性のないシャドウコピーであることが判明するとそのシャドウコピーは VSS によって削除されます。
また、失敗した際には、その旨がリクエスターを介してユーザーに伝えられます。


B ) VSS の利用方法

VSS はシャドウコピーを作成するときに使用されます。
シャドウコピーが作成されるケースは主に以下の 2 つの場合があります。

b-1 ) 共有フォルダのシャドウコピーを構成した場合
Windows では共有フォルダのシャドウコピーを手動で構成することができます。
ある特定のドライブでシャドウコピーを取得すると、そのドライブ配下のフォルダについてコピーが作成され、
これを利用すると、ファイルやフォルダーを過去の任意の時点に戻すことができます。

シャドウコピーはドライブ単位で設定可能で、各ドライブのプロパティのシャドウコピータブにて構成できます。
任意のドライブに対しシャドウコピーを有効にして定期的に取得することもできますし、手動で一回限りのシャドウコピーを取得することもできます。

シャドウコピーを取得したあとは、対象ドライブ内の共有フォルダのプロパティの以前のバージョンタブにて
以前のバージョンがリスト表示され、ここから過去のバージョンを復元することができます。

このシャドウコピーの取得場所は、特に変更をしない場合は、対象ドライブの System Volume Information フォルダに取得されます。
※ System Volume Information フォルダは、通常、Windows システムによって保護されている隠しフォルダです。


b-2 ) バックアップを取得した場合
バックアップを実行すると、バックアップ元サーバーではVSS によってシャドウコピーが取得されます。
VSS により静止点を取得し、それ以後ライブボリュームへ書き込み変更があった部分は、その変更前のデータがシャドウコピー記憶域に書き込まれ、
これによりシャドウコピー記憶域には、静止点時点のデータが保持されます。

Windows は、バックアップアプリケーションにはバックアップ中、シャドウコピー記憶域にある書き込み変更前のデータを読みとりさせつつ、
通常稼動させたいその他のアプリケーションには書き込み変更後のライブボリュームを読みとりさせます。
このため、通常稼働しながら、バックアップ処理を実施することが可能になっています。

尚、バックアップ処理が完了すると、シャドウコピー記憶域に作成されていたシャドウコピーは不要ですので、削除されます。

C ) VSS のトラブルシュート

VSS の稼働に関するトラブルは、バックアップの失敗時や VMware 等のハイパーバイザー機能を使用したスナップショットの失敗時が非常に多くなっており、その場合、主に以下のポイントを確認します。

・バックアップやスナップショット処理のどの時点で失敗したか。どのようなエラーが出力されたか。
・エラー発生時の Windows OS の状態は問題ないか。
・VSS の処理に問題がある可能性がある場合、VSS の動きのどこで失敗しているか。
・障害発生直後の VSS ライター等の状態はどうか。
※ログの取得方法などの詳細にきましては、サポート窓口へお問い合わせください。

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技術的な内容に関して、サービス契約のもと IBM サービス・ラインにお問い合わせください。
IBM サービス・ライン

変更履歴
2018年6月12日 外部公開

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尚、掲載された情報は 2018 年 06 月現在のものです。事前の予告なく変更する場合があります。

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Document Information

Modified date:
03 January 2022

UID

jpn1J1013428