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Power Systems AIX: FAQ集 - mksysb -

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Abstract

よく聞かれる内容について情報をまとめました。
このドキュメントの対象バージョンは、AIX 7.2、7.1、6.1、5.3 です。

Content

 更新ログ

  (2015/08/04 21:47)  stopsrc -a 実施の注意点の追加
  (2021/10/07) 各種リンクの更新、プロンプトなしのインストールについて追記
  (2023/05/12) mksysb 取得の際の stopsrc -a や killall -s を実施の必要性について追記

内容

  • 1.  DVD メディアへのバックアップについて

  • 2. ファイルサイズの注意点

  • 3. バックアップ対象にスパースファイルが含まれる場合の注意点

  • 4. mksysb -p / mksysb -e オプションについて (アプリケーションを使用せずにバックアップを取得する場合)

  • 5. image.data / bosinst.data (サイズの異なるディスクへのリストアやミラーリングを解除してリストアを行う場合)

  • 6. RECOVER_DEVICES (異なるサーバーへのリストア)

  • 7. プロンプトなしの (ユーザー選択のメニューを使用しない) インストール

  • 8.  Missing Filesets のメッセージについて

  • 9. stopsrc -a 実施の注意点

  • 10. 技術文書リンク集

mksysb コマンドを使用して、AIX オペレーティング・システム ( = ルート・ボリューム・グループ : rootvg ) のバックアップを作成することができます。 
システムが破壊された場合でも、バックアップを使用してシステムを元の状態にインストールし直すことができます。
mksysb コマンドで作成されるバックアップには、rootvg 以外のデータは含まれませんので、ご注意ください。
rootvg 以外のボリューム・グループのバックアップを取得する場合には、savevg コマンドを使用します。

1.  DVD メディアへのバックアップについて

  • バックアップは CD、DVD、取り外し可能ハード・ディスク・カートリッジ、テープ等に作成することができます。

  • バックアップをテープ上に作成する場合、テープからブートが可能であり、インストールするために必要なインストール・プログラムを含めることができます。
  • バックアップをディスク上に作成する場合、そのファイルからブートしてリストアすることはできません。

  • ディスク上に取得したバックアップを使用する場合は、NIM でリソースとして定義するか、mkcd コマンドで既存のイメージを指定して CD / DVD に取得する必要があります。

1.1. DVD メディアへのバックアップに関する情報

  • 以下に DVD メディアへのバックアップ取得に関する記述があります。

  • AIX マニュアル

  • 以下の文書にディスクのフォーマットやバックアップ/リストア手順等について記載があります。

  • /usr/lpp/bos.sysmgt/mkcd.README.txt ファイル内にも mkcd コマンドの情報が記載されています。

1.2. mkcd コマンド ( smit mkdvd )

  • 以下の特徴があります。

  1. 既存のイメージを使用可能
    • バックアップイメージを新しく作成せずに、ディスク上の既存の mksysb イメージを指定してバックアップ用 DVD を作成することができます。
  2. フォーマットを選択可能
    • 以下の表に示す2通りのフォーマットから選択することができます。

    • ※イメージをディスクに保管するため、サイズが大きい場合はユーザーの fsize 属性を変更する必要があります。fsize 属性については「2.2. バックアップ取得先ファイルシステムの属性」をご参照ください。

ISO9660 フォーマット

UDF フォーマット

・イメージを一時的にディスクに保管するため、大きな空き容量が必要

 以下のファイルシステムが使用されます

 /mkcd/mksysb_image  (mksysb のサイズ)

 /mkcd/cd_fs             (DVD: 最大4.38GB / 1volume)

 /mkcd/cd_images      (DVD: 最大4.38GB / 1volume)

・イメージのうちシステムスペースのみをディスクに保管するので、必要な空き容量が比較的少ない

 以下のファイルシステムが使用されます

 /mkcd/mksysb_image (mksysb のサイズ)

・作成されたメディアは DVD-R or DVD-RAM ドライブで read 可能

・作成されたメディアは DVD-RAM ドライブで read / write 可能

2. ファイルサイズの注意点

  • rootvg のサイズが数 GB になることはよくありますが、そのようなバックアップを取得した場合、各種ファイルサイズ制限に抵触しエラーとなることがあります。

  • mksysb コマンド実行前に以下の点に注意して下さい。

2.1. バックアップ取得先メディアの空き容量

  • ディスクに取得する場合は、df コマンドで取得先ファイルシステムの空き容量を確認して下さい。
    例:
    # df -k /usr
    Filesystem    1024-blocks          Free        %Used    Iused    %Iused    Mounted on
    /dev/hd2    2916352    1658840    44%    27623    4%    /usr

  • テープに取得する場合は、使用するテープの容量を確認して下さい。

ディスクに取得する場合は、さらに以下の事項にも注意する必要があります。

2.2. バックアップ取得先ファイルシステムの属性

  • lsfs -q <file system> コマンドで表示される bf 属性偽 (false) の場合、2GB以上のファイルを作成できません

  • 「smit jfs -> Change / Show a characteristics of a Journaled File System(ジャーナル・ファイルシステムの属性の変更/表示)」で表示される Large File Enabled(ラージ・ファイル・イネーブル) 属性でも確認できます。
    例:
    # lsfs -q /work
    Name        Nodename    Mount Pt    VFS    Size    Options    Auto    Accounting
    /dev/work    --        /work        jfs    163840    rw    はい    いいえ
      (lv サイズ: 163840, fs サイズ: 163840, frag サイズ: 4096, nbpi: 4096, 圧縮: いいえ, bf: 偽, ag: 8)

  • ※ファイルシステムの Large File Enabled (ラージ・ファイル・イネーブル) 属性を変更することはできません。必要な場合は、新規にラージ・ファイル・イネーブル・ジャーナル・ファイルシステムまたは拡張ジャーナル・ファイルシステム (JFS2) を作成して下さい

2.3. mksysb 実行ユーザーの fsize 属性

  • ユーザーが作成できるファイルサイズの上限は、ユーザーの fsize 属性で決められています。
    lsuser -a fsize <user> コマンドで確認できます。
    「smit user -> Change / Show a characteristics of a user (ユーザーの特性の変更/表示)」で表示される Soft FILE size (ソフト・ファイル・サイズ) の値でも確認できます

  • ユーザー作成時に ulimit で指定されている値がデフォルト値となります。
    例:
    # ulimit -a
    time(seconds)        unlimited
    file(blocks)        unlimited
    data(kbytes)        unlimited
    stack(kbytes)        4194304
    memory(kbytes)        unlimited
    coredump(blocks)    unlimited
    nofiles(descriptors)    2000
    # mkuser test
    # lsuser -a fsize test
    test fsize=-1

  • fsize 属性は chuser fsize=xxx <user>で変更できます。
    例:
    # lsuser -a fsize test
    test fsize=-1
    # chuser fsize=204800 test
    # lsuser -a fsize test
    test fsize=204800

  • ※fsize は512バイトのブロック数で表します。最小値は 8192 (=8192×512バイト=4MB)  です。2GB 以上のファイルを作成する場合は、 -1 (=制限無し) を指定します。

3. バックアップ対象にスパースファイルが含まれる場合の注意点

  • du コマンドでバックアップファイルのサイズの見積もりを行っている場合は、スパースファイルが含まれていると見積もりよりも大きくなることがあります。

3.1. スパースファイルについて

  • スパースファイルとは、データ・ブロックに対して割り当てられていない領域を持つファイルのことです。

  • 一般的には、 ls コマンドの出力 (定義されたファイルのスペース)  > duコマンドの出力 (実際にディスクを使用しているスペース) となるようなファイルです。

  • 以下のようなファイルの場合、ls コマンドの出力は約 16 MB ですが、du コマンドの出力は 4 KB です。
    例:
    # dd if=/dev/zero of=sparse count=1 bs=4096 seek=4096
    1+0 レコードを入力しました。
    1+0 レコードを出力しました。
    # ls -l sparse
    -rw-r--r--   1 root     sys        16781312 Aug 17 18:40 sparse
    # du -sk sparse
    4       sparse

  • fileplace コマンドを使用すると、ファイル・ブロックの配置を表示することができます。

  • 以下の例のように unallocated (未割り当てのブロック) が存在する場合は、スパースファイルです。
    例:
    # fileplace sparse
    File: sparse  Size: 16781312 bytes  Vol: /dev/work
    Blk Size: 4096  Frag Size: 4096  Nfrags: 1   Compress: no
      Logical Fragment
      ----------------
      unallocated    4096    frags    16777216 Bytes,        0.0%
      0000120        1    frags    4096Bytes,        100.0%

3.2. スパースファイルのリストアにおける tar コマンドと mksysb コマンドの挙動の違い

  • tar コマンドは、スパースファイルを保管する時に未割り当て領域を全て 0 で埋めますが、リストア時に、 0 で埋められたスパースファイルと非スパースファイルを区別できません。

  • そのため、スパースファイルをスパースファイルとしてバックアップ/リストアできません。
    例:
    # ls -l sparse
    -rw-r--r--   1 root     sys        16781312 Aug 17 18:40 sparse
    # du -sk sparse
    4       sparse
    # tar cvf ./test.tar sparse
    sparse 32776 ブロック。
    # tar xvf test.tar
    x sparse, 16781312 バイト, 32776 メディア・ブロック。
    # ls -l sparse
    -rw-r--r--   1 root     sys        16781312 Aug 17 18:40 sparse
    # du -sk sparse
    16388   sparse

  • mksysb コマンドでバックアップした場合は、リストア時にスパースファイルの未割り当ての領域を復元することができます

  • バックアップ取得時は、tar コマンドなどと同じように未割り当て領域を 0 で埋めますが、リストア時にある程度連続した 0 を、未割り当て領域であると判断して復元する仕組みになっているためです。

3.3. スパースファイルを含むバックアップ対象を mksysb コマンドでバックアップ/リストアする場合の注意点

  • 以下2点の注意点があります。

    1. バックアップ取得時に未割り当て領域を 0 で埋めるため、duコマンドでバックアップファイルのサイズを想定していた場合、バックアップ対象にスパースファイルが含まれていると、想定よりもバックアップファイルのサイズが増加することがあります
    2. 「3.3.」に記載の通り、リストア時に連続した 0 を未割り当て領域と判断するため、実際にある程度連続した 0 をデータとして持つファイルが、スパースファイルのように復元されてしまいます。その結果、以下のような事象が発生します。
      • リストア前後の df コマンドの実行結果に差異が生じる

      • リストア後に du コマンドと df コマンドの実行結果に差異が生じる

      • スパースファイルが存在することで du コマンドと df コマンドの実行結果に差異が生じる理由については、以下の技術文書をご参照ください。

4. mksysb -p / mksysb -e オプションについて (アプリケーションを使用せずにバックアップを取得する場合)

  • バックアップを取得する時には、アプリケーションを停止して取得するようにしてください。

  • バックアップ中に、アプリケーションによる対象ファイルへのアクセスが発生すると、バックアップファイルに不整合が発生し、バックアップ/リストア時のエラーの原因になることがあります。

  • アプリケーションを停止せずにバックアップを取得する場合は、 -p オプションを使用してください。

  • また、-e オプションによるバックアップ対象からの除外もご検討ください。

4.1. mksysb -p オプションについて

  • このオプションを使用する場合、ソフトウェアによるバックアップファイルのパッキング (圧縮) を行いません

  • デフォルト (オプションを使用しない場合) ではソフトウェアパッキングを行っているため、このオプションを使用する場合、バックアップファイルのサイズが大きくなります。

  • また、パッキングによる CPU 負荷が軽減されます。

  • smit mksysb のメニューからmksysbを取得する場合は、以下の方法で -p オプションの設定が可能です。

    • smit mksysb -> 「Disable software packing of backup (backupのソフトウェア・パッキングを使用不可にする) yes (はい)

4.2. -p オプションの使用が推奨されるケース

  • 以下に示すようなケースでは、-p オプションを使用してください。

    1.  圧縮機能のあるテープドライブを使用する場合
      <理由>
      ・ソフトウェアパッキングとテープドライブの圧縮機能を両方使用してバックアップを取得すると、リストア時にエラーが発生するため。
      テープドライブに圧縮機能があるかどうかは、lsattr -El <tape drive>compress の項目で確認ができます。
      例:
      #lsattr -El rmt11
      block_size     0                  Block Size (0=Variable Length)             True
      compress       yes                Use Hardware Compression on Tape           True
      autoload       no                 Use Autoloading Feature at End-of-Tape     True
      logging        no                 Activate volume information logging        True
      max_log_size   500                Maximum size of log file (in # of entries) True
      space_mode     SCSI               Backward Space/Forward Space Record Mode   True
      rew_immediate  no                 Use Immediate Bit in Rewind Commands       True
      trailer_labels no                 Trailer Label Processing                   True
      retain_reserve no                 Retain Reservation                         False
      devtype        ULT3580-           Device Type                                False
      scsi_id        0x11bef            SCSI Target ID                             True
      lun_id         0x4000000000000    Logical Unit Number                        True
      location                          Location                                   True
      ww_name        0x2001006045160a24 World Wide Name                            False
      new_name                          New Logical Name                           True
      alt_pathing    no                 Enable Alternate Pathing Support           True
      primary_device rmt11              Primary Logical Device                     False

    2. アプリケーションやミドルウェアを停止しないでバックアップを取る場合
      <理由>
      バックアップ中に、アプリケーションやミドルウェアがファイルの作成/削除を行うと、圧縮されるファイルのために確保されたスペースと圧縮後のファイルサイズに不整合が生じ、バックアップ/リストア時にエラーが発生するため。
      例:
      backup: 0511-083 内部パック・エラーが発生しました: バッファーのオーバーフロー
      Unpack : file out of phase
      Unpack : internel unpacking errors decode failure
      Restore: error during unpack of xxx

    • ※ファイルへのアクセスについて※
      cron で定期的に起動するプロセスや inittab で respawn 指定しているプロセスがバックアップ対象領域にアクセスを行う場合は、mksysb 発行時に該当プロセスが kill されていても、実行中にプロセスが立ち上がってアクセスを行い、上記エラーの原因となることがありますので、ご注意下さい。

4.3. -p オプションによるバックアップファイルサイズの変化

  • 例:
    バックアップを取得する rootvg
    # lsvg rootvg
    VOLUME GROUP: rootvg VG IDENTIFIER: 000960d900004c00000000dc66a50fb9
    VG STATE: active PP SIZE: 4 megabyte(s)
    VG PERMISSION: read/write TOTAL PPs: 515 (2060 megabytes)
    MAX LVs: 256 FREE PPs: 275 (1100 megabytes)
    LVs: 9 USED PPs: 240 (960 megabytes)
    OPEN LVs: 8 QUORUM: 2
    TOTAL PVs: 1 VG DESCRIPTORS: 2
    STALE PVs: 0 STALE PPs: 0
    ACTIVE PVs: 1 AUTO ON: yes
    MAX PPs per PV: 1016 MAX PVs: 32
    LTG size: 128 kilobyte(s) AUTO SYNC: no
    HOT SPARE: no 
    # df -k
    Filesystem 1024-blocks Free %Used Iused %Iused Mounted on
    /dev/hd4 12288 4080 67% 1313 22% /
    /dev/hd2 757760 60080 93% 21411 12% /usr
    /dev/hd9var 20480 7904 62% 368 6% /var
    /dev/hd3 24576 23164 6% 52 1% /tmp
    /dev/hd1 4096 3920 5% 18 2% /home
    /proc - - - - - /proc
    /dev/hd10opt 20480 12592 39% 339 7% /opt 

  • mksysb で作成されたファイルのサイズ

    1. 圧縮時 ("-p"オプションなし) 
      # ls -l
      -rw-r--r-- 1 root sys 515840000 May 10 20:20 mksysb1

    2. 非圧縮時 ("-p"オプションあり
      # ls -l
      -rw-r--r-- 1 root sys 683520000 May 10 20:39 mksysb2
       

4.4. mksysb -e オプションについて

  • アプリケーションやミドルウェア、不要なプロセスを停止しない場合、それらが使用する一時ファイルやそのファイルが含まれるディレクトリをバックアップの対象外とすることで、バックアップファイルの不整合を少なくできる可能性があります。

  • /etc/exclude.rootvg にバックアップ対象外とするファイルやディレクトリを記載し、mksysb コマンドで -e オプションを指定すると、該当のファイルをバックアップから除外することができます。

4.5. コマンドリファレンス

5. image.data / bosinst.data (サイズの異なるディスクへのリストアやミラーリングを解除してリストアを行う場合)

  • ディスク交換などで、サイズの異なるディスクへのリストアや、ミラーリングを解除してリストアする場合は、image.data / bosinst.data の編集を行うことで可能です。

  • バックアップを取得する前に、対象サーバーにて image.data / bosinst.data を編集し、これらのファイルを含むバックアップイメージを作成します。

  • なお、NIM サーバーを利用してリストアを実施する場合には、NIM に定義した image.data / bosinst.data リソースを用いることができるため、編集済みの image.data / bosinst.data が含まれていないバックアップイメージでもリストアに使用できます。

5.1. 手順

  • 1. mkszfile コマンドで /image.data ファイルを作成

  • 2. 目的に応じて /image.data の必要箇所を編集

  • 3. /bosinst.data が存在しない場合は、 /var/adm/ras/bosinst.data よりコピー

  • 4. /bosinst.data の編集

  • 5. バックアップの取得

5.2. image.data 

  1. ミラーリングに関係する項目

    • lv_data スタンザ

      • COPIES        1LP あたりの PP 数

      • LV_SEPARATE_PV    yes    :LP のコピーが同じ PV に配置されない
                                              no    :LP のコピーが同じ PV に配置されることもある

        • COPIES を変更した場合は、以下の項目も合わせて変更して下さい。
          • 例えばミラーリングを解除した場合、 lv_data スタンザの LPs と PP は同じ数値である必要があります。
            LPs            現在の LP 数
            PP            現在の PP 数

        • source_disk_data スタンザ (使用するディスク毎に作成が必要です。)

          • HDISKNAME        rootvg に含まれるディスク

      • ※ディスクが異なる場合は、HDISKNAME 以外の項目は空欄にして下さい。

  2.  PP サイズに関係する項目

    • vg_data スタンザ

      • PPSIZE        VG の PP サイズ

      • TFACTOR        (1PV 当たりの PP 数 / 1016) の値であり、(32 / 1VG 当たりの PV 数) の値でもあります。2 を指定すると、1PV 当たりの PP 数が 1016 -> 2032 になり、1VG 当たりの PV 数が 32 -> 16 になります。

    • lv_data スタンザ

      • PP_SIZE        LV の PP サイズ

    • デフォルトで 1PV には 1016PP という制限がありますので、上記の値を設定する際は注意して下さい。
      • 1PV が 18.2GB であれば、16MB × 1016 < 18.2GB なので、PP サイズに 16MB を指定すると、ディスクの領域を全て使用することができません。

      • その場合、TFACTOR で 2 を指定するか、PP サイズを増やす必要があります。

      • また、PP サイズを変更した場合は以下の項目も合わせて変更が必要です。

      • PP サイズを半分にした場合は、 lv_data スタンザの LPs 、 PP 、LV_MIN_LPs を2倍にする必要があります

        • LPs            現在のLP数

        • PP            現在のPP数

        • LV_MIN_LPs        SHRINK = yes の場合に使用するLP数の下限

5.3. /bosinst.data

  • ※ bosinst.data については、マニュアルに詳細な記述があります。

  • control_flow スタンザ

    • バックアップを取得したサーバーと異なるサーバーへリストアを行う場合には、以下のように変更をしてください。

    • サイズの異なるディスクへのリストアなど、同一サーバーへリストアを行う場合には、この設定は必須ではありませんが、この設定を行わない場合にはリストア後に旧ディスクの情報が残る可能性があります。

    • RECOVER_DEVICES については、以下の「6. バックアップ取得元と異なるサーバーへのリストア」をご参照ください。

      • RECOVER_DEVICES = no
    • target_disk_data スタンザ (使用するディスク毎に作成が必要です)
      • HDISKNAME        インストールのターゲットディスク

      • ※ディスクが異なる場合は、HDISKNAME 以外の項目は空欄にして下さい。

      • *** 2006/8/2 追記 ***
        target_disk_data スタンザは、mksysb 実行時に現行ディスクの情報で上書きされるため、
        修正を行った場合は、/save_bosinst.data_file を作成して下さい。
        ※中身はブランクで構いません。
        mksysb コマンドは、/save_bosinst.data_file が存在する場合、上書きを行いません。

5.4 バックアップの取得

  • smit mksysb でバックアップイメージを作成する場合には、以下を設定してください。
    「新規の/image.dataファイルを生成する」    「いいえ
    「マップ・ファイルを作成する」            「いいえ

  • コマンドで取得する場合は、以下の通りにして下さい。
    ​​-i オプションを使用しない。
    -m オプションを使用しない。

6. RECOVER_DEVICES (異なるサーバーへのリストア)

  • バックアップを取得したサーバーと異なるサーバーにリストアする場合は、bosinst.data の RECOVER_DEVICES を no にしてバックアップを行って下さい。

  • 同じサーバーでもバックアップ取得後にハードウェア構成を変えていれば、異なるサーバーとして扱って下さい。

6.1. RECOVER_DEVICES 

  • システムバックアップのリストア時に、デバイス情報を再構成するかどうかを設定します。

  • 上記の通り、バックアップを取得したサーバーと異なるサーバーにリストアする場合は、bosinst.data の RECOVER_DEVICES を no にしてバックアップを行って下さい。

  • なお、NIM サーバーを利用してリストアを実施する場合には、NIM に定義した bosinst.data リソースを用いることができるため、編集済みの bosinst.data が含まれていないバックアップイメージでもリストアに使用できます。

  • また、プロンプト付きのリストアの場合には、インストール・メニューの「Recover Devices」でも指定できます。
  • システムバックアップファイルには、mksysb を取得したサーバーの ODM 構成データベースが保管されます。

  • RECOVER_DEVICES = yes の場合、デバイス名と属性 ( CuAt クラス) が、保管されたデータベースから自動的に抽出され、システムバックアップを取得したサーバー上にデバイスが存在したときと同じ方式で、デバイスを再作成しようとします。

  • RECOVER_DEVICES = no の場合、新たにデバイスの認識が行われ、ODM へ登録されます。

  • 新規インストール時の bosinst.data の RECOVER_DEVICES の値は Default です。 (AIX V5.2以降) 

  • 値が Default の場合、リストア時に保管された CPU ID LPAR のノード ID から、対象のサーバがバックアップを取得したサーバーと同一かを判断し、同一サーバーに対するリストアであれば RECOVER_DEVICES = yes と設定され、異なるサーバーに対するクローン作成であれば RECOVER_DEVICES = no と設定されます。

  • ※LPAR のノード ID を保管するので、1筐体内でも各 LPAR を区別します。

  • /bosinst.data ファイルは、mksysb コマンドの実行時に存在していない場合、/var/adm/ras/bosinst.data からコピーされます。

  • /var/adm/ras/bosinst.data には、前回のインストール時に使用された bosinst.data の内容が入っています。

6.2. 推奨値

  • 同一サーバーへのリストアであれば yes を、クローニング (バックアップを取得したサーバーとは別のサーバーへのリストア) の場合は no を指定して下さい。

  • 6.2.1. RECOVER_DEVICES = Yes の注意点

    • RECOVER_DEVICES = yes でリストアした場合は、バックアップ取得時の ODM からデバイスの情報が抽出されるため、同一のサーバーであってもハードウェア構成が変わっている場合は、デバイスの認識に関するエラーの原因となる可能性があります

  • 6.2.2. RECOVER_DEVICES = No の注意点

    • RECOVER_DEVICES = no でリストアした場合は、デバイスはロケーションコードの小さい番号から順番に認識されます。

    • 例えばディスクの場合、ロケーションコード順に hdisk 番号が振られていない場合は、同一サーバーへのリストアであっても異なる hdisk 番号でリストアされることがあります。

    • また、リストア後は、ディスク、ネットワーク、非同期 I/O 、TTY 等、デバイス関連の設定を行う必要があります。

  • 6.2.3. デバイス・ドライバーの注意点

    • リストア先のサーバーのデバイスで必要なデバイス・ドライバーが mksysb イメージに含まれていない場合、リストア時にエラーとなります。

    • 導入するデバイス・ドライバーを選択したい場合以外は、 ALL_DEVICES_KERNELS = yes でインストールして下さい。AIX V5.2以降はデフォルトで全てのデバイス・ドライバーがインストールされるようになっています。

    • BOS CD からブートする場合、テープと TL/SP レベルを揃えることが推奨されます。

7. プロンプトなしの (ユーザー選択のメニューを使用しない) インストール

  • bosinst.data の control_flow スタンザの PROMPT を no に設定すると、リストア時にユーザー選択のメニューを使用せずに (プロンプトなしで) インストールを開始することができます。

  • なお、PROMPT  = no に設定した場合は、ディスクを一意に識別するために bosinst.data の以下のスタンザについて値を入力しておく必要があります。

    • locale スタンザのすべての変数

    • control_flow スタンザの変数 (ERROR_EXIT および CUSTOMIZATION_FILE は除く)

    • target_disk_data スタンザのすべての変数
      ※ target_disk_data スタンザが設定されていない場合、BOS インストール・プログラムがインストール先ディスクを割り当てます。このとき、データを保管しているディスクをインストール先として割り当て、データが消失することがあります。

  • また、PROMPT  = no に設定する場合には、事前に devrsrv コマンドを使用してインストール先のディスクに予約がないことを確認してください。

  • bosinst.data の control_flow スタンザについては、マニュアルに詳細な記述があります。

8.  Missing Filesets のメッセージについて

  • BOS CD や全てのデバイスドライバをインストールしたシステムのバックアップテープからブートした場合でも、インストール結果の Failures セクションで、デバイスに関するファイルセットが Missing Filesets として報告されることがあります。

8.1. Missing Filesets のメッセージの例

  • インストール/リストア時に、以下のエラーメッセージが表示され、AIX のインストール・メディア上に無いファイルセットを要求されることがあります。

  • ※要求されるファイルセットは、AIXのバージョンや使用しているハードウェア等、サーバーの環境により異なる場合があります。
    例:
    FAILURES
    --------
    Filesets listed in this section failed pre-installation verification
    and will not be installed.
      Missing Filesets
      ----------------
    The following filesets could not be found on the installation media.
    If you feel these filesets really are on the media, check for
      typographical errors in the name specified or, if installing from
      directory, check fordiscrepancies between the Table of Contents
      file (.toc) and the images that reside in the directory.
       devices.isa_sio.8042
       devices.isa_sio.parallel
       devices.isa_sio.serial
       devices.pci.00100010
       devices.pci.ethernet
       devices.pci.fibre-channel
       devices.pci.pciclass.010000
       devices.pci.pciclass.020000
       devices.pci.pciclass.0c0400
       devices.pci.scsi
       etc..

8.2. 原因

  • AIX がサポートするハードウェア規格である CHRP は、AIX だけでなく Windows NT など複数 OS の動作が想定されています。

  • ファームウェアが1つのデバイスに関する識別信号を複数持っているため、AIX が識別信号に対応するファイルセットを全てインストールしようとして、上記のエラーメッセージを表示するようです。

  • また、サポートされていない 3rd Party のデバイスを接続した状態で cfgmgr が実行されても、同様のエラーメッセージを表示する場合があります。

8.3. 対応

  • 必要なファイルセットがインストール・メディア上に無い、という内容のエラーメッセージですが、余分に要求しているだけで、実際には各デバイスに必要なファイルセットは導入されている可能性が高いです。

  • lppchk -v コマンドを実行してエラーメッセージが出なければ無視しても構いません。

  • lppchk コマンドで必要と判明したファイルセットが、どのバージョンのどの TL/SP に含まれるかは、IBM サポートページで各ファイルセットごとに公開されている Fileset infomation のページで確認ができます。

  • また、メディア上のファイルセットの確認は AIX の smit list_media でインストール・メディアを指定することで実施できます。

  • アップデートされたファイルセットの情報については、各バージョンの Release Note と、各 Fix Pack の「パッケージの詳細」ページを参照してください。

  • 「パッケージの詳細」ページは、 Fix Centralの「フィックスの選択」画面にて各 Fix Pack のyチェックボックスの下部に表示される「フィックスの詳細」をクリックすると表示できます。

(2015/08/04 追記)

9. stopsrc -a 実施の注意点

  • mksysb 取得の際、stopsrc -a で全ての SRC を停止する運用を実施されている環境では、システム環境に依存して、PowerHA などのクラスターサービスを停止後、CAA Domain を停止してから、stopsrc -a を実施いただく必要がありますので、ご注意ください。

  • 仕様変更により、RSCT (rsct.basic.rte) 3.1.5.6 or 3.2.0.2 以上のクラスター環境において stopsrc -a を実施すると、システムが再起動することが確認されております。そのため、stopsrc -a を実施頂く場合は、PowerHA などのクラスターサービスを停止後、CAA Domain を停止し stopsrc -a を実施して下さい。

  • また、CAA Domain は停止すると、手動での起動が必要です。 (システム再起動や PowerHA などのクラスターサービスの再起動では CAA Domain は自動的に起動しません)

(2023/08 追記)

  • mksysb 取得の際、stopsrc -a や killall - などを実行することは特に推奨されていません。これらのコマンドを実行することで上記のようなケースや mkdvd コマンド実行時にエラーが発生するケースなどが確認されており、stopsrc -a や killall - による弊害が見られるケース があります。stopsrc -a や killall - の実行の必要性についてはあらためてご検討いただくことをお勧めします。

(2021/09 追記)

  • PowerHA 7.1.3 SP01以降、PowerHA7.1.2 SP05以降の場合には、PowerHA停止/起動時にCAAを合わせて停止/起動させる事が可能です。

    •  ローカル・ノードにおけるPowerHA・CAAの停止/起動

      • オフライン停止:
        # /usr/es/sbin/cluster/utilities/clmgr offline node $(/usr/es/sbin/cluster/utilities/get_local_nodename) STOP_CAA=yes

      • 引き継ぎ停止:
        # /usr/es/sbin/cluster/utilities/clmgr offline node $(/usr/es/sbin/cluster/utilities/get_local_nodename) MANAGE=move STOP_CAA=yes

      • 起動:
        # /usr/es/sbin/cluster/utilities/clmgr online node $(/usr/es/sbin/cluster/utilities/get_local_nodename) START_CAA=yes

    •  全ノード上でPowerHA・CAAの停止/起動(リソース・グループはofflineになります。)

      • 停止:
        # /usr/es/sbin/cluster/utilities/clmgr offline cluster STOP_CAA=yes

      • 起動:
        # /usr/es/sbin/cluster/utilities/clmgr online cluster START_CAA=yes

9.1. CAA Domain 停止手順 (STOP_CAAなどを使用しない場合)

  1. smcaactrl ファイル名を別名に変更します
    実行例:
    # mv /usr/es/sbin/cluster/sbin/smcaactrl /usr/es/sbin/cluster/sbin/smcaactrl.org

  2. OpState が Online である事を確認します
    実行例:
    # lsrpdomain
    Name             OpState RSCTActiveVersion MixedVersions TSPort GSPort
    hacmp125_cluster Online  3.1.5.0           Yes           12347  12348

  3. CAA Domain を停止します
    実行例:
    # clctrl -stop -n hacmp125_cluster -m hacmp12

  4. OpState が Offline に変わった事を確認します
    実行例:
    # lsrpdomain
    Name             OpState RSCTActiveVersion MixedVersions TSPort GSPort
    hacmp125_cluster Offline 3.1.5.0           Yes           12347  12348

  5. cthags サブシステムが操作不可に変わった事を確認します
    実行例:
    # lssrc -s cthags
    Subsystem         Group            PID          Status
    cthags           cthags                        操作不可

9.2. CAA Domain 起動手順 (STOP_CAAなどを使用しない場合)

  1. CAA Domain を起動します
    実行例:
    # clctrl -start -n hacmp125_cluster -m hacmp125

  2. OpState が Online に変わった事を確認します
    実行例:
    # lsrpdomain
    Name             OpState RSCTActiveVersion MixedVersions TSPort GSPort
    hacmp125_cluster Online  3.1.5.0           Yes           12347  12348

  3. cthags サブシステムが活動状態に変わった事を確認します
    実行例:
    # lssrc -s cthags
    Subsystem         Group            PID          Status
    cthags           cthags           16121876     活動状態

  4. 別名に変更していた smcaactrl ファイル名を元に戻します
    実行例:
    # mv /usr/es/sbin/cluster/sbin/smcaactrl.org /usr/es/sbin/cluster/sbin/smcaactrl 

9.3. CAA Domain 停止手順の手順1 と CAA Domain 起動手順の手順4 に関する注意点 (STOP_CAAなどを使用しない場合)

  • clctrl コマンドを実行すると、環境によっては下記のメッセージが出力される可能性があります。

  • 手順の中で事前に smcaactrl を別名に変更しているのは、このエラーを防ぐことを目的としています。
    例:
    # clctrl -stop -n hacmp125_cluster -m hacmp125
    ERROR: ******************************************************************************************************
    ERROR: *** STOP_NODE CHECK POWERHA SCRIPT /usr/es/sbin/cluster/sbin/smcaactrl RETURNED ERROR ***
    ERROR: *** SEE POWERHA SCRIPT LOGS FOR ERRORS ***
    ERROR: ******************************************************************************************************
    ERROR: STOP_NODE CHECK Script timed out or returned failure on hacmp125
    hacmp125 で、プロトコルに障害があります。 ブート動作は変更されません。
            続行します。

10. 技術文書リンク集

mksysb の作成やリストア関連で参考になる技術文書のリンクをまとめました。必要に応じてご参照ください。

[{"Type":"MASTER","Line of Business":{"code":"LOB08","label":"Cognitive Systems"},"Business Unit":{"code":"BU058","label":"IBM Infrastructure w\/TPS"},"Product":{"code":"SWG10","label":"AIX"},"ARM Category":[{"code":"a8m0z000000cvyjAAA","label":"Install-\u003Emksysb\/backups"}],"Platform":[{"code":"PF025","label":"Platform Independent"}],"Version":"All Versions"}]

Document Information

Modified date:
15 August 2023

UID

ibm16987241