CICS DB2 環境のセットアップ

CLIP エージェントは CICS® 対話式デバッガー・テクノロジーを使用するため、CICS DB2 環境に CICS Application Debugging Profile (CADP) プロファイルがなければなりません。 そのプロファイルは、DB2® イベントをモニターするトランザクションを指定するために必要です。CICS システムでアプリケーション・デバッグ・プロファイル・マネージャーの Web インターフェースが使用可能であれば、Rational® Integration Tester がプロファイルを作成することができます。

Web インターフェースのセットアップ関連情報については、アプリケーション・デバッグ・プロファイル・マネージャーの Web インターフェースの使用 (Using the application debugging profile manager Web interface) を参照してください。

Web インターフェースが使用可能であることを確認した後、テスト・アプリケーションの DBRM データ・セットの名前が物理データベース定義の z/OS セクションにある「DBRM ロケーション」タブで指定されていることを確認します。DBRM データ・セットの名前は、テスト・プログラムのコンパイルに使用する JCL を調べることでわかります。物理データベース定義の「CADP URL」タブの下でプロファイル・マネージャーの Web インターフェースの URL を指定し、「レコーディング/スタブ化のフィルター」タブの下でテスト対象のトランザクションまたはプログラムを選択するための条件を指定します。これらの値と CLIP フロントエンドを実行しているシステムのホスト名は、CADP プロファイルの自動ビルドに使用されます。詳しくは、物理データベース・リソースの構成を参照してください。
注: CLIP フロントエンド・マシンのホスト名は、z/OS システムから解決可能である必要があります。例えば、CLIP フロントエンドを myhost.mydomain という名前のコンピューターで実行している場合、自動生成された CADP プロファイルは CLIP バックエンドを myhost.mydomain に接続するように誘導します。CLIP バックエンドを実行しているコンピューターが myhost.mydomain を IP アドレスに解決できない場合、CLIP フロントエンドには接続できません。

CADP プロファイルの手動作成

特定の状況では、Rational Integration Tester によって自動的に作成されるのではなく、手動で CADP プロファイルを作成したい場合があります。 例えば、AQE_DBG_TRACE 変数を使用してトレースを有効にしたい場合があります。CADP プロファイルを手動で作成するには、以下の手順を実行します。

  1. CLIP エージェント・フロントエンドを実行しているホストの名前と、使用されているポート番号を判別します。これらは両方とも、CLIP エージェント・フロントエンドの開始時にコンソールに表示されるメッセージから取得できます。以下に例を示します。
    CRRDG7028I The Compiled Language Interception Processor Agent Daemon has started listening on port 8003
    CRRDG7030I The Compiled Language Interception Processor Agent Daemon address is myhost

    CLIP エージェント・フロントエンドのセットアップと使用ポート番号の指定について詳しくは、CLIP エージェント・フロントエンドのインストール、およびCLIP コマンド・ライン・オプションを参照してください。

  2. アプリケーションを実行する CICS 領域にログインします。
  3. 画面をクリアし、コマンド・ラインに CADP と入力して Enter を押します。プロファイル・リストが表示されます。
  4. F5 を押して、コンパイル済みプログラム用の新しいプロファイルを作成します。
  5. 「コンパイル済みデバッグ・プロファイルの作成 (Create Compiled Debugging Profile)」フィールドに、プロファイルの固有の名前を入力します。
  6. デバッグ・セッションを開始するために満たす必要のある CICS リソース条件を指定します。デフォルトでは、現在の CICS 領域、ユーザー ID、端末 ID、および端末ネットワーク ID があらかじめ入力されています。これらを変更して、以下の値を指定できます。
    • トランザクション ID
    • プログラム名 (CICS に認識される名前。例えばロード・モジュール名、トランザクション内の初期プログラムなど)
    • コンパイル・ユニット (コンパイラーに認識される名前。例えば COBOL PROGRAM-ID)
    すべてのフィールドに各リソースを略さずに入力することで、確実に特定のトランザクションをデバッグするようにできます。ただし、オプションで、より汎用的な条件を指定することもできます。以下の例では、プログラム名の条件だけが指定されていて、「X」で始まるプログラムが実行されるたびにデバッガーが開始します。

    この例で指定される条件の下では、ユーザー ID が指定されていないため、意図せずに他のユーザーのトランザクションをトラップしてしまう可能性があります。また、このようなリソースの組み合わせにより、端末やトランザクションとは無関係にデバッグ・セッションが開始します。 詳細に指定する前に、「コンパイル・ユニット」「Termid」、および「Netname」の各フィールドにワイルドカード * を使用することをお勧めします。その理由は、実行時にこれらのフィールドに一致しない値があるとデバッグ・セッションの開始が妨げられるためです。

  7. 「他の言語環境オプション」フィールドに ENVAR('AQE_DBG_DBRM=//USER.DBRMLIB') を入力して、CLIP バックエンドがテスト対象のプログラムに関連付けられた DBRM にアクセスできるようにします。 診断の目的で、AQE_DBG_TRACE 変数の値を指定することもできます。例えば、ENVAR('AQE_DBG_DBRM=//IBMUSER.CB12.DBRMLIB','AQE_DBG_TRACE=3') のように指定します。
    重要: この変数を使用してトレースを有効にするときは、CEEMSG に大量の出力が書き込まれることになるので注意が必要です。

  8. Enter を押してから F12 (保存) を押して、CICS Application Debugging Profile を作成します。新しく作成された プロファイルがプロファイル・リストに表示されますが、まだ「非アクティブ」状態です。
  9. プロファイルをアクティブにするには、隣のコマンド・ラインに A と入力し、Enter を押します。
  10. 「コンパイル済みデバッグ・ディスプレイ・デバイスの設定 (Set Compiled Debugging Display Device)」パネルで、セッション・タイプを TCP に変更します。
  11. 「TCPIP 名またはアドレス (TCPIP Name or Address)」フィールドに、RIT& と入力し、 続いて CLIP フロントエンドを実行しているホストのホスト名またはアドレスを入力します。
  12. ポート番号を CLIP agent front-end によって使用されるポートに変更します。ポート番号を判別する方法について詳しくは、手順 1 を参照してください。 次のスクリーン・ショットに例を示します。
CADP プロファイルをセットアップする際の注意点を以下にまとめます。
  • CICS に用意されている CADP トランザクションを使用して、一連のフィルターを定義できます。指定したフィルターと一致する領域でトランザクションが開始されると、CICS は、そのトランザクションに対して該当するデバッガーまたはツールを呼び出します。 CADP プロファイルには、listen する CLIP エージェント・フロントエンドのホスト名/IP およびポート番号を指定する必要があります。
  • ホスト名や IP に接頭部 RIT& を付ければ、CLIP エージェント・バックエンド (プローブ) が、CICS 領域で構成されている他のデバッガーやツールと共存できるようになります。他のデバッガーとの共存については、z/OS システム上での DB2 のテストの『サポートされる環境』のセクションを参照してください。
  • ツールをトリガーするトランザクション、プログラム、コンパイル・ユニット、ユーザー ID、または端末を指定するには、CADP プロファイルでフィルターを使用します。他のトランザクションやプログラムを呼び出すトランザクションを把握していない場合もあるため、その領域の DB2 イベントを取りこぼすことなく確実にモニターするには、すべてのフィールドでワイルドカードを使用するという方法があります。
    注: フィルターで絞り込むことができますが、そのフィルターに一致しないイベントは、レコーディングや仮想化ではキャプチャーされません。さまざまなフィルターを含む複数のプロファイルを同時にアクティブにすることができます。
  • 各プロファイルで AQE_DBG_DBRM 環境変数を指定します。この変数で、レコーディングまたは仮想化するトランザクションやプログラムの、関連する DBRM ファイルの場所を指定しなければなりません。 DBRM ファイルは、ユーザーのアプリケーション・ビルドによって生成される DB2 成果物です。
  • CLIP フロントエンドが Rational Integration Tester の複数のインスタンスに接続されている場合、どのRational Integration Tester インスタンスが イベントを受け取るかを決定するには AQE_DBG_RIT_ID 環境変数を指定します。
  • 複数のプロファイルの条件に一致するアプリケーションが実行された場合、最も古いプロファイルを使ってデバッガーが起動され、その他のすべてのプロファイルは無視されます。

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