VPS(仮想プライベート・サーバー)は、マルチテナント・クラウド・ホスティングの形式の1つです。クラウドまたはホスティング・プロバイダーを介して、ユーザーが仮想化サーバー・リソースをインターネット上で利用できるようにします。
各VPSは複数のVPSを実行するクラウドまたはホスティング・プロバイダーによって運用される物理マシンにインストールされます。 しかし、複数のVPSが ハイパーバイザー および基盤となるハードウェアを共有する一方、各VPSは独自のオペレーティング・システム(OS)とアプリケーションを実行し、そのマシンのリソース(メモリー、コンピュートなど)の一部を独自に確保します。
VPSは、マルチテナントの共有ホスティングによって提供されるものと、シングルテナントの専用ホスティングによって提供されるものの、中間レベルのパフォーマンス、柔軟性、制御を提供します。 マルチテナントのVPS配置を「プライベート」と呼ぶ(特にシングルテナントのオプションを利用できる場合)のは、直感に反するかもしれませんが、「VPS」という用語は、従来のホスティング・プロバイダーが共有ホスティング(物理マシンのすべてのハードウェアやソフトウェアのリソースが等しく複数のユーザーに共有されているホスティング・モデル)と区別するために、最も一般的に使用されています。
一方で、一部のクラウド・プロバイダー(IBMを含む)は、マルチテナント・クラウド・サーバーを超えるレベルのホスティングの分離(およびプライバシー)を提供します。 一般的な2つのモデルには専用ホストと専用インスタンスがあります。 これらのモデルの両方で、ユーザーは仮想リソースにアクセスできるようになり、管理対象のハイパーバイザーを活用しますが、それは専用のシングルテナント・ハードウェアで行われます。
次のセクションでは、VPS、共有ホスティング、専用ホスティングをさらに詳しく比較していきます。
仮想サーバーのユースケースを検討する場合に、プロバイダー間の違いは非常に大きいものとなります。 従来のホスティング・プロバイダーにとって、VPSは、共有ホスティングと専用ホスティングの間の、バランスのとれたコスト、柔軟性、拡張性、制御を提供します。 これらの特性から、e-コマース、Eメール・サーバー、CRMや、トラフィックが中程度または激しいアプリケーションなどに適しています。
しかし、何よりも、大手パブリッククラウド・プロバイダーが提供する仮想サーバーは、非常に堅固で、機能が充実しています。今日「クラウド」として考えられているものの多くの基盤となっている構成要素がそうした仮想サーバーであり、より多様なワークロード・セットを処理できます。
「テナント」という概念から、共有ホスティング、VPSホスティング、専用ホスティングの違いに最もよく似ているのは、住居タイプの違いです。
共有ホスティングはホスティングの中でも最も基本的かつコスト効率の高い形式です。 共有ホスティングでは、すべてのテナントが単一の物理マシンのリソースを等しく利用できます。 共有ホスティングは、トラフィックや技術的な要件が少なく、パフォーマンスやセキュリティーの要件が限られている、基礎的で個人的なWebサイトやWebアプリケーションに適しています。
共有ホスティング・モデルでは、すべてのテナントに決められた量の個人サーバーの容量が割り当てられているため、プロバイダーは、プランの制限を超えてWebサイトの拡張を行うことができません。 それにも関わらず、共有ホスティングは「ノイジー・ネイバー」現象の影響を最も受けやすいモデルです。「ノイジー・ネイバー」とは、アプリケーションが予期せずリソースを規定以上に消費することで、他のテナントのパフォーマンスに関わる問題を引き起こすテナントのことです。 共有ホスティングについて詳しくは、「クラウド・ホスティングとは」と「Webホスティングの概要」をご参照ください。
前述のように、VPSホスティングは共有ホスティングのプレミアム・オプションと考えられています。 VPSホスティングでは、共有ホスティングの場合よりも、システムの仕様、ゲスト・オペレーティング・システム、ソフトウェア・スタック全体に対してより大きな制御権を持つユーザーが、共有リソースを利用できるようになっています。
注目すべき重要なポイントは、VPSホスティングが、共有ホスティングと専用ホスティングの中間に存在するものである一方で、制御、料金、シンプルさに関していうと、3つのホスティング・モデルの中で最も拡張性が高く、多くのパブリッククラウド・プロバイダーが提供するVM/仮想サーバーに最も近いという点です。
共有ホスティングやVPSホスティングとは異なり、専用ホスティングはユーザーに、特定のサーバーのすべてのハードウェア・リソースへのアクセス権を提供します。 専用ホスティングは、VPSホスティングや共有ホスティングと比べて、最大レベルの分離、セキュリティー、パフォーマンス、制御を提供します。
専用ホスティングはまた、単一のお客様に割り当てられるハードウェア・リソースのレベルが高いため、3つのモデルの中で最も多くのコストがかかります。 また、拡張を行うためにプロバイダーが新しい物理ハードウェア・リソースを構成し、プロビジョンする必要があるため、VPSよりも拡張に手がかかります。
「ベアメタル・サーバー」という用語は、専用サーバーと同じ意味で使用されることがありますが、ベアメタルを提供するプロバイダーは通常、(数時間単位ではなく)数分単位でのプロビジョニング、(月単位ではなく)1時間単位での課金、 グラフィックス処理装置(GPU)を含むハイエンドのハードウェアの提供など、その専用データベースで、よりクラウドに近い特徴を提供します。 この2つのオプションについて詳しくは、「専用サーバーとベアメタル・サーバーの説明」を参照してください。
VPSは一般的には、他のVMと共有される物理ハードウェア上にある単一の仮想マシンとして理解されています。 専用のインスタンスとホストは、仮想マシンをシングルテナントの専用ハードウェアに配置することにより、VPSホスティングに、さらに高いレベルの分離、制御、可視性をもたらします。
専用ホスト は、物理マシン全体を借り切ることにより、そのマシン、マシンのハードウェア、およびマシンにインストールされているすべてのソフトウェアに対する持続的なアクセスと制御を維持します。 このモデルは、ハードウェアの柔軟性と透明性を最大限に提供し、ワークロードの制御と配置を行います。また、特定の個人所有のライセンス・ソフトウェアにもいくつかの利点を提供します。
専用インスタンス は、同等のシングルテナントの分離機能と、ワークロード配置に対する制御を提供しますが、特定の物理マシンとは結合していません。 つまり、それがインスタンスです。 例えば、専用インスタンスは再起動されると、新しい物理マシンで起動されることもあります。個々のアカウント専用のマシンではありますが、新しいマシン、つまり物理的に異なる場所に配置される可能性があります。
専用ホストと専用インスタンスは、管理のオプション、料金体系モデル、可視性の面でわずかに異なります。
Intel® Xeon®プロセッサーを搭載した、パブリック仮想サーバー、専用仮想サーバー、予約済み仮想サーバー、および一時「スポット」仮想サーバーです。
完全な専用シングルテナント構成のベアメタル・サーバーです。
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仮想化なしではクラウド・コンピューティングは実現できません。 そしてハイパーバイザーなしでは仮想化は実現できません。 このソフトウェアの薄い層が、クラウド・エコシステム全体を支えています。
専用サーバーとベアメタル・サーバーの概要、仮想サーバーとの比較、最適なユースケースについて説明します。
クラウド・ホスティングが、クラウド・リソースと、接続された仮想クラウド・サーバーと物理クラウド・サーバーのネットワークを使用して、どのようにアプリケーションやWebサイトにアクセスできるようにするのかご覧ください。