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タスク・マイニングとは何か、またビジネス・ワークフローの向上にどのように役立つかについて説明します。
コンピューターを使用して医療情報を確認する医師
タスク・マイニングとは

タスク・マイニングでは、デスクトップ・データとも呼ばれるユーザー操作データを使用して、大規模なプロセスにおけるタスクの効率を評価します。 このタイプのデータには、特定の操作を完了する際に発生するキー・ストローク、マウス・クリック、およびデータ入力が含まれます。 このテクノロジーでは、 光学式文字認識 (OCR)、 自然言語処理 (NLP)、および 機械学習アルゴリズム を使用して、このデータを解釈および分析します。これにより、アナリストやその他の利害関係者が、運用上の非効率性を特定できるようになります。 タスク・マイニング・ソリューションは、プロセス・マイニングのサブセットであるプロセス・ディスカバリーの一部と考えられており、 Gartner社の「Market Guide for Process Mining」  によると、このテクノロジーの市場は急速に成長しています。 新型コロナウイルス感染症のパンデミックが デジタル変革 の取り組みを促進し続けている中で、タスク・マイニング・テクノロジーの利点が十分に実現されていくにつれて、その採用は増加すると予想されています。 

タスク・マイニングとプロセス・マイニング

プロセス・マイニングでは、調達プロセス全体などのエンドツーエンドのプロセスの最適化に重点を置いているのに対して、タスク・マイニングでは、買掛金の予算承認などのより大きなプロセスに至るまでの個々のタスクに重点を置いています。 第一に、各分析で使用するデータのタイプも異なります。 プロセス・マイニングは主に、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)やカスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)ツールなどの情報システムから得られるビジネス指標およびイベント・ログ・データに依存します。 一方、タスク・マイニングでは、キー・ストローク、マウス・クリック、コンピューターでのデータ入力などのユーザー操作データを活用できます。また、異なるタイム・スタンプ間隔でのユーザーの記録やスクリーンショットを含めることもできます。 これらのデータ・ポイントは、個人がタスクを完了するためにプロセスやサブプロセスとどのように相互作用しているかをアナリストや研究者が理解するのに役立ちます。 また、どちらのマイニングでも、データ・サイエンスの手法を利用してプロセスを最適化するための洞察を獲得します。タスク・マイニングは、より詳細なレベルでこれを可能にするという違いだけです。

タスク・マイニングとRobotic Process Automation(RPA)

タスク・マイニングと RPA はどちらもプロセスの自動化に焦点を当てています。この2つのテクノロジーは異なりますが、相互に十分に補完し合っています。 タスク・マイニング・テクノロジーは、企業がプロセス・ワークフローのボトルネックを特定するのに役立ちます。一方、RPAツールは、これらの分析によって発見された自動化の機会に対して実装および実行します。 

タスク・マイニングの仕組み

タスク・マイニング・ツールは、キー・ストローク、クリック、ユーザー入力、録音、スクリーンショットなど、ユーザーのマシンからデータを収集することから始めます。 そこから、光学式文字認識機能によって、ユーザーが行っている操作に関するコンテキストを追加できます。 例えば、タイム・スタンプ・データを参照して、サブプロセス内のアクティビティーの一般的なタイムラインを組み立てることができます。 データが適切に構造化されると、機械学習アルゴリズムを利用して、「注文書の送信」などのサブプロセス内の特定のタスクにデータを集約できます。 その後、データをイベント・ログ・データと組み合わせて、状況に応じてパフォーマンスを調整できます。 データをこのように把握することで、企業はボトルネックを発見し、それに応じて修正することができます。 

タスク・マイニングの使用例

タスク・マイニング手法は、さまざまな業界のプロセス・フローを改善するために使用されてきました。 プロセス・マップは、企業が重要な主要業績評価指標(KPI)により集中する際に役立ち、プロセス・マイニングとタスク・マイニングを通じて運用の非効率性を見直すよう促します。

タスク・マイニングの使用例には、次のようなものがあります。

  • タスクドキュメント: 新しいチーム・メンバーが参加すると、知識のギャップを埋めるためにドキュメントが頻繁に見直されます。 ただし、プロジェクトや利用可能なリソースによっては、ドキュメントが常に利用可能である、あるいは最新であるとは限りません。 タスク・マイニング・ツールは、チームがより大きなプロセスでタスクに関する洞察を獲得し、チーム全体の連携を構築する方法を提供します。 また、個々の依存関係の必要性も軽減し、プロセス・マッピングやその他の自動化ツールを使用してドキュメントや視覚化を簡単に作成できる方法を提供します。 
  • ガバナンスとコンプライアンス: 企業がより厳しい政府規制に直面する中で、タスク・マイニングは、コンプライアンス・エラーが発生した領域を特定することによって企業の説明責任を果たすのに役立ちます。 この可視性により、これらの問題をより迅速に解決する方法が提供され、企業は訴訟費用やブランドの評判の悪化などのコストを節約できる可能性があります。
  • タスクの自動化: タスク・マイニングでは、特定のサブプロセスをより明確に把握できるため、プログラム・マネージャーや人事マネージャーはRPAなどのツールを使用してプロセスのどの部分を自動化できるかを理解することもできます。 
タスク・マイニングの利点

タスク・マイニングには多くの利点がありますが、実現できる最も一般的なものは次のとおりです。

  • 効率の向上: タスク・マイニングは、運用上のボトルネックを特定して、プロセス改善を促進することに重点を置いています。 これらの非効率性が発見されて修正されると、企業ではタスク全体の速度が向上します。 プロセス内のタスクに過剰なリソースが割り当てられている場合には、優先度の高い他の作業にスタッフを再割り振りできるようになり、より有意義な作業を見つけることで従業員の士気を向上させることができます。
  • コンプライアンスの向上: タスク・マイニング・ツールは、ユーザーからデータを収集し、ガバナンス・チームが特定のタスク期間中のコンプライアンス違反を判断できるようにします。 このように問題を特定して迅速に解決できることで、ビジネス全体のガバナンスとコンプライアンスの向上を促進できます。 
  • 透明性の向上: タスク・マイニングは、個々のレベルで従業員に関する洞察を提供し、マネージャーがパフォーマンス・チェックインを行う際に貴重なフィードバックを提供し、仕事に対する公正な報酬を従業員に与えることができるようにします。 また、現在の仕事が従業員に適していないと思われる場合に、従業員を別の仕事に再割り振りするのにも役立ちます。 
タスク・マイニングの課題

しかし、タスク・マイニングにも課題はあります。 例えば、以下のようなことです。 

  • データのプライバシー: タスク・マイニングにはユーザーの行動を記録する機能があるため、プライバシーに関する懸念が生じる可能性もあります。 そのため、これらのツールはユーザーの承認を得てから有効化する必要があり、適切な匿名化を通じてユーザーの個人データを保護する必要もあります。
  • コンテキストの欠落: タスク・マイニングは、より大きなサブプロセス内のサブプロセスに焦点を当てているため、パフォーマンスという大きなコンテキストが失われることがあります。 タスク・マイニング・テクノロジーと プロセス・マイニング を組み合わせて、さまざまなチームにまたがるパフォーマンスの全体像を把握することが重要です。そうしないと、企業はビジネスに大きな影響を与えないタスクの最適化を優先するリスクが生じます。
  • コンセプト・ドリフト: 企業ががデジタル時代に向けて急速に変革を進めるにつれて、タスクとプロセスはリアルタイムで変化する可能性があります。 タスクとプロセスの変化は分析に影響を与え、コンセプト・ドリフトにつながる可能性があります。 
IBMのソリューション
IBM Process Mining

IBM Process Miningは、プロセス・マイニングとタスク・マイニングを組み合わせた統合プラットフォームを提供します。 これにより、クライアントはほぼリアルタイムでビジネス・プロセスを透明性を持って把握できるため、自動化に最適なタスクを簡単に見つけて優先順位を付けることができます。 IBM Process Miningの存在価値は、時間、労力、およびコストを節約するのに役立つテクノロジーを企業に提供することです。

IBM Process Mining
IBM Cloud Pak for Business Automation

IBM Cloud Pak for Business Automationは、ローコード・ツールを使用して、任意のクラウドでインテリジェントな自動化サービスおよびアプリケーションを設計、構築、および実行するのに役立つ統合ソフトウェアの柔軟なセットです。

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参考情報 IBM Process Miningを使用してデジタル変革を推進する方法を説明します。(2.1 MB) Art of Automationブログ・シリーズをお読みください。
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