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タレント・マネジメントとは

タレント・マネジメントとは、人事管理の要素のひとつであり、採用、従業員エンゲージメント、リテンション、能力開発、後継者育成など、人材に関する主要な活動を含む人材ライフサイクル全体を最適化することを指します。

組織がビジネス目標を達成するうえで、従業員の力は非常に重要です。そこで、タレント・マネジメントがビジネス戦略の鍵を握る要素となりつつあります。人材を第一に考える組織は、McKinsey社が言う「人材第一の文化」(ibm.com外部へのリンク)を確立しつつあります。このアプローチでは、新たに加わる従業員から既存の従業員まで、人的資本管理のライフサイクル全体を重視し、すべての従業員が成功に必要なトレーニング、サポート、指導を受けられるようにします。

新規採用者への訴求と、既存の従業員の維持のために、包括的なタレント・マネジメント戦略を採用している組織は多くあります。こうした人材戦略を取り入れることで、経済が成長しているときも不透明なときも、組織の競争力を維持できます。

効果的なタレント・マネジメントを構築するには、包括的な戦略と事前の作業が不可欠です。しかし、幸福で有能な従業員を確保できれば、十分にリターンが得られます。

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タレント・マネジメントとタレント・デベロップメントの違い

タレント・マネジメントとタレント・デベロップメントはどちらも従業員リレーションズの分野に属する要素です。

タレント・デベロップメントが主に焦点を当てるのは、組織がスキル・ギャップにいかに対処して、職務遂行のための手段を従業員に提供し、本人が望むキャリア・パスの維持や別の分野への移行を実現するかという部分です。

タレント・マネジメントのプロセスは、採用、オンボーディング、リテンション、報酬など、人事と従業員パフォーマンスのさまざまな分野に関連しているため、タレント・デベロップメントの上位要素として扱われることがあります。

タレント・マネジメントがタレント・アクイジションに与える影響

静かな退職の時代となり、従業員はどの組織にどのタイミングで加わるかの選択権を握るようになってきました。このため、面接を受ける組織に対して、強固なタレント・マネジメントの取り組みをはるかに強く求めるようになっています。

人事チームのタレント・アクイジションでは、理想的な候補者の獲得競争が激しさを増しています。候補者が入社先をより厳しく選別できるようになっているからです。したがって、堅牢な人材パイプラインを確保するには、包括的な戦略が必要です。

このため、賢明な組織は、雇用主としての強いブランドを構築する手段として、自社のタレント・マネジメント・システムを世間や候補者にアピールしています。人材のマネジメントやサポートに力を入れていることを示して、見識のある優秀な候補者を惹きつけ、人材プールを拡大することが狙いです。

タレント・マネジメント・プログラムの主な構成要素

人事担当者が組織に重要な変化をもたらすためには、タレント・マネジメントのいくつかの主要領域で突出する必要があります。

タレント・アクイジションとリテンション:人事部門にとって最大の任務は、既存の従業員の満足度と生産性を維持しつつ、新しい人材の見極めと確保を進めることです。McKinsey社の調査によると、多くの組織では重要な職務の20~30%(ibm.com外部へのリンク)に最適な人材が配置されていません。

オンボーディング:組織は、新たに採用した従業員の業務に初日から役立つ手段を提供し、従業員の成功に向けた土台を固める大きな責任があります。従業員エンゲージメントの最初の段階での投資として、長く働くための有益なスキルを教え、組織内でどのように成長できるかを示す必要があります。

コア・コンピテンシーの開発:タレント・マネジメントを重視する組織は、従業員の能力開発に多額の投資を行い、現在と将来にわたって職務を遂行するための適切なスキル・セットを従業員が確実に身に付けられるようにしています。リスキリング(既存の職務を遂行するための高度な方法の習得)やスキルアップなど、キャリア開発の取り組みを組織として重視することを可能にするタレント・マネジメントの手法は、テクノロジーに置き換わりつつある職務の従業員にとって支えになります。

パフォーマンス・マネジメント:従業員のワーク・ライフ・バランスを維持しつつ、仕事で最大限の成果を発揮できるようにするという面を扱います。この中では、コーチングやパフォーマンス・エンハンスメント・ツール(ibm.com外部へのリンク)を活用して従業員のパフォーマンスを高めます。

従業員体験:人間は起きている時間の多くを仕事に費やしており、過度のストレス、燃え尽き症候群、メンタルヘルスの問題などが生じる場合があります。タレント・マネジメントを重視する組織は、従業員体験全体に注目し、単に働き手として優秀な従業員を生み出すだけでなく、組織への満足感や仕事での充実感を得られるようにします。従業員体験に関連する福利厚生というと、無料のランチやハッピー・アワーなどの特典が長年の定番でしたが、現在の組織は、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの充実、ワーク・ライフ・バランスの向上、ハイブリッド・ワークへの対応、医療保険の充実を望む従業員の声に耳を傾けています。また、組織のミッションや目的に対する従業員の共感を生み出す方法を見つけることも、従業員体験の要素のひとつです。Gallup社の調査(ibm.com外部へのリンク)によると、「組織のミッションや目的を見ると、自分の仕事が重要だと感じられる」という言葉に賛同する従業員が増えると、常習的欠勤が大幅に減り、仕事の質が向上することがわかっています。

要員計画と後継者育成計画:組織が進めるタレント・マネジメントの取り組みの多くは、個々の従業員に直接目を向ける必要がありますが、それに加えて、人的資本の状況を俯瞰し、幹部の継続性を確保する必要があります。タレント・マネジメント・プログラムによって、幹部が離職するときには、組織内部で何人か後継者候補の目途が立っているのが理想的です。その役職に興味があり、その仕事で結果を残せるだけのスキルを持つことを実証済みの候補者が対象となります。組織は包括的なメンタリング・プログラムを構築し、優秀な人材を早期に見極め、こうした人材にリーダーシップ開発の機会を提供することで、後継者育成計画を強化できます。

タレント・マネジメントのメリット

組織がタレント・マネジメントを活用することで達成できる重要な目標の中には、具体的なビジネス目標と合致するものが多くあります。

より質の高い新規採用者への訴求

採用候補者のうちで、いくつかの選択肢がある人は、強固なタレント・マネジメントのアプローチを取り入れている組織を選ぶ傾向が強まりつつあります。優秀な人材を惹きつけるために、組織はタレント・マネジメントの基本姿勢について候補者に説明する必要があります。

従業員のリテンションの向上

組織が優秀な人材を定着させようと考えるのは、後任の確保に多額の費用がかかることが多いからです。また、適任の候補者が人材市場で見つかる保証もありません。 特に優秀な人材の場合、リテンションを優先することで組織の混乱を最小限に抑え、人事のコストを抑制できます。

従業員の生産性の向上

知識が豊富でやる気のある従業員は、一般に生産性も優れています。適切なトレーニングを受けている従業員は、自らの意思決定への自信が高まり、組織の目標達成に役立つ仕事を、より効率的かつ効果的にこなすことができます。

お客様の満足度の向上

組織の従業員は多くの場合、顧客、パートナー、その他の利害関係者とのコミュニケーションを最前線で担います。また、現状維持ににとどまらない理想的な体験を利害関係者に提供できる立場でもあります。しかしそのためには、適切なスキルを持ち、組織の目標を理解し、総合的なパフォーマンスを向上させる意欲が必要です。

タレント・マネジメントは総合的な取り組みであり、その個々の要素が最終的に行き着く先は、組織にとっての大きな最終目標、すなわち顧客満足です。理想的な人材を惹きつけて定着させる組織は、さまざまな面で利益を得ます。 成功に必要なスキルを教え、大切に扱い、顧客を喜ばせるために全力を尽くすよう奨励することで、組織はロイヤルティーの高い顧客を獲得できます。

タレント・マネジメントの課題

タレント・マネジメント・プログラムは、いくつかの重要なメリットを生み出す一方で、課題ももたらします。プログラムの価値を最大限に引き出すために、組織はこうした課題を認識し、対処する必要があります。

初期費用

強固なタレント・マネジメント・プログラムをゼロから構築する場合、通常はいくつかの重要な構成要素に投資する必要が生じます。

  • 学習と能力開発のプログラム
  • 人材ライフサイクル全体を管理する人事担当者の増員
  • タレント・マネジメントに対する現在のアプローチを必要に応じて変更
  • 従業員エンゲージメントの手順の変更

こうした投資は、将来的に採用やリテンションのコストの大幅な削減につながることから、初期コストに見合う価値が十分にあります。さらに、従業員が満足していれば、幸福な顧客体験を生み出せる可能性が高まり、ビジネスの収益性が向上します。

人事のリスキリング

組織が新しいタレント・マネジメント・モデルを構築する場合、新たな手法、ツール、戦術を人事のワークフローで活用するために、人事チームのメンバーのリスキリングが必要な場合があります。

KPIの特定

組織のタレント・マネジメントのアプローチが正しい方向に進んでいるかどうかを確認するためのメトリクスを適切に選択することは、必ずしも簡単ではありません。人材が生み出す成果を向上するための投資が必要な場合に、その投資が正当かどうかを判断するには何をどのように測定すればよいか、組織は把握しておく必要があります。

変更管理

組織によっては、新たな仕事の進め方を取り入れたがらない場合があります。特に、経営幹部が新しいアプローチに賛同していない場合には消極的です。タレント・マネジメントのアプローチを刷新するには、組織の再編成や、新しいスタッフの採用、新しい働き方の習得が必要になる可能性があります。従来の仕事の進め方に慣れている組織にとっては難しい作業になることが考えられます。

タレント・マネジメントのメトリクス

組織は確実な成功を目指してタレント・マネジメント手法の成果を把握しなくてはなりません。こうした主要業績評価指標(KPI)は、組織のニーズやビジネス目標に沿ったものや達成を支えるものであることが必要です。

採用に要する期間

人事部門は、1つの職種の欠員補充に要した時間(およびその合計時間)を追跡して、アプローチを変更する必要があるかどうかを判断する必要があります。1つの職種を埋めるのに時間がかかればかかるほど、採用プログラム全体の費用もかさみます。さらに、重要な役職の欠員が長引くと、組織の機会逸失につながる可能性があります。

従業員の満足度

タレント・マネジメントに投資すると、仕事や雇用主に対する従業員の認識が変わるはずです。明確な職業訓練を実施し、従業員のニーズに応え、組織内での成長への動機づけを行っている組織では、従業員満足度は、従業員の仕事に対する誇りや、その組織で働き続けることへの関心を高めるのに役立ちます。

従業員の離職率

タレント・マネジメントを重視する組織の方が、従業員を長期にわたって維持できる可能性が高く、離職率が低下します。採用に要する期間と同様に、離職率を長期にわたって追跡することは不可欠です。

ビジネス目標

組織がタレント・マネジメントに投資するのは、従業員の態勢が整い、意欲が向上するからです。この結果、組織は販売目標や顧客満足度スコアなどの重要なビジネス目標を達成しやすくなります。組織は厳然たるビジネス指標を追跡して、自社のタレント・マネジメントのアプローチが実際のビジネス・インパクトにつながっているかどうかを確認する必要があります。

ダイバーシティー、エクイティ、インクルージョンの目標

組織は、少数派のコミュニティーで才能のある人材を見つけて従業員を多様化する傾向を強めています。より多様な人材プールを見極め、成功に必要な手段を提供することは、現代のタレント・マネジメント戦略の特徴です。

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