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平均修理時間とは何か、この重要な測定基準を現在どのように使用しているか、そしてデジタル技術でデジタル・テクノロジーで改善する方法について学びます。
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平均修理時間とは

平均修理時間(MTTR)は、平均修復時間とも呼ばれ、システムまたは機器に故障が発生した後に修復するのにかかる平均時間の測定に使用する測定基準です。

MTTRは、故障が発生してからシステムや機器が完全に機能するようになるまでの時間です。これには、故障を検出し、問題を診断し、問題を解決するまでの時間も含まれています。MTTRは、システムや機器の可用性と信頼性、インシデントの重大性、修理努力の有効性を評価するために監視すべき重要な測定基準です。MTTRが高いと、計画外の大規模なダウンタイムが発生する可能性があります。MTTRを追跡することで、組織はプロセスの改善が必要な領域を特定し、故障の傾向を把握し、メンテナンス戦略の最適化方法についての意思決定ができるようになります。

 

MTTRとMTBF

MTTRは、平均故障間隔(MTBF)、つまりシステムまたはコンポーネントが故障するまでの平均動作時間と組み合わせて使用されることがよくあります。これは、システムの信頼性を向上させる可能性のある領域を特定するのに役立つ、関連測定基準です。MTBFはMTTF(平均故障時間)と呼ばれることもあります。

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MTTRと故障率の比較

MTTRは故障率とあわせて使用されることもあります。故障率とは、一定期間内の故障数の測定値です。故障率は稼働時間や運用の可用性との相関関係はなく、純粋に故障の発生率のみを表します。

 

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平均修理時間はどのように計算されますか。

平均修理時間(MTTR)は、特定の障害に起因する修理時間を合計し、それを特定の期間内に実行された修理の総数で割ることによって計算されます。MTTRの計算式は次のとおりです。

MTTR = 修理にかかった合計時間 / 修理の回数

MTTRを正確に測定するには、故障の検出にかかる時間、問題の診断にかかる時間、問題の解決にかかる時間を追跡することが重要です。これにより、組織はプロセスの改善が必要な領域を特定し、機器やシステムの修理にかかる時間を短縮し、最終的に可用性と信頼性を向上させることができます。

ある会社の製造ラインで機械的な故障が発生し、問題が解決されるまでに3時間の修理時間がかかったとします。同月中に、さまざまな問題により全部で2件の機器の修理が行われました。

この月の製造ラインのMTTRを計算するには、次の式を使用します。

MTTRは「修理にかかった合計時間」を「修理回数」で割った値を意味するためです。

MTTR = 3時間/ 修理2回

MTTR = 1.5時間

したがって、その月の製造ラインのMTTRは3時間になります。通常の運用全体でMTTRを追跡することで、企業は傾向を特定し、修理プロセスを改善してダウンタイムを削減し、最終的に収益を向上させることができます。

 

関連用語とツール

メンテナンスマネージャーは、一連の公式を使用してオペレーションの状況を把握します。このような情報をより簡単かつ頻繁に取得するために、コンピュータ化メンテナンス管理システム(CMMS)を使用するケースが増えています。

フォールト・ツリー解析

フォールト・ツリー解析(FTA)は、故障イベントにつながる可能性のあるフォールト・パスのグラフィック表現を構築することによって、システム障害の原因を分析する方法です。この方法は、重大な故障モードを特定し、MTTRを削減するための戦略を作り上げるためによく使用されます。

根本原因分析

根本原因分析(RCA)は、問題や障害の根本的な原因を特定するための、構造化された方法です。この方法では、徴候を調査し、直接の原因を特定して、さらに根本原因を追跡します。

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FMEA

故障モード影響解析(FMEA)は、潜在的な故障モードを特定および評価するための構造化された手法です。この手法では、故障モードがもたらす潜在的な影響を分析し、それを防止または軽減するための戦略を策定します。

平均修理時間のメリット

平均修理時間(MTTR)は、重要な重要業績評価指標(KPI)で、組織には以下のようなメリットがあります。

  • ダウンタイムの最小化:MTTRにより、修理プロセスで改善が必要な領域を特定できるため、組織がダウンタイムを最小限に抑えるのに役立ちます。MTTRを継続的に追跡することで、組織は修理時間のパターンと傾向を特定し、システムの可用性を向上させるための措置を講じることができます。

  • システムの信頼性の向上:MTTRにより、組織は障害を起こしやすいコンポーネントやシステムを特定し、信頼性と保守性を向上させるための措置を講じることができます。一定期間内のインシデントの数を減らすことで、組織は修理に費やす時間を短縮し、システムの稼働時間を増やすことができます。

  • 修理コストの削減:MTTRを追跡し、改善すべき領域を特定することで、組織は修理プロセスの効率を向上させ、修理コストを削減できます。これには、修理手順の合理化、新技術に関する技術者のトレーニング、高価な緊急修理の必要性の削減などが含まれます。

  • 顧客満足度の向上:ダウンタイムを削減し、システムの信頼性を向上させることで、組織は顧客満足度を向上させることができます。これにより、顧客ロイヤルティの向上、リピート客、肯定的な口コミの紹介につながる可能性があります。

  • データ駆動型の意思決定のサポート:MTTRは、組織が修復プロセスの効率を追跡するための、データ駆動型の測定基準となります。このデータを使用すると、改善が必要な領域を特定し、機器のメンテナンスと交換についてデータに基づいた意思決定を行い、長期にわたるプロセス改善の効果を測定できます。

平均修理時間を計算する際の一般的な課題

MTTRの算出は、以下のようないくつかの要因によって困難になる場合があります。

  • 「修理」の定義:時間測定の開始時点は、技術者が最初にシステムでの作業を始めたときでしょうか、それとも問題を特定して修理開始の準備ができたときでしょうか。MTTR計算の開始点と終了点の決定は、測定基準の精度に影響を与える可能性があります。MTTRを計算するには、修理時間の正確な文書化も不可欠です。文書化が不完全または不正確であると、信頼できる測定基準を確立することが困難になる可能性があります。

  • 利用可能なデータが限られている:場合によっては、MTTRを正確に計算するために利用できるデータが限られている可能性があります。たとえば、システムまたはコンポーネントの故障が滅多に発生しない場合、平均修理時間を計算するのに十分なデータ・ポイントがない可能性があります。

  • 修理時間の変動:システムまたはコンポーネントの修理に必要な時間は、問題の性質と重大度によって異なります。たとえば、小さな問題はすぐに解決される可能性がありますが、より複雑な問題の場合は大規模な調査とトラブルシューティングが必要となり、修理時間が大幅に長くなる可能性があります。一部の業界では、機器の修理や問題の対処のための標準化されたプロセスが存在しない場合があります。このため、さまざまなシステムまたはコンポーネント間で修理時間を一定にすることが難しい場合があります。

  • 計画外のダウンタイム:計画外のダウンタイムにより、MTTRの正確な計算が困難になる場合があります。システムまたはコンポーネントに予期せず障害が発生した場合、問題の特定と修理のスケジュール設定に遅れが生じることがあり、その場合は修理時間が長くなってMTTRが増加する可能性があります。

これらの問題を解決して信頼性の高い測定基準を生成するために、MTTRの計算には、正確なデータ収集、明確な定義、および標準化されたプロセスが必要です。

 

平均修理時間を改善する方法

平均修理時間(MTTR)を改善するには、故障の根本原因を特定して対応し、修理に必要な合計時間を短縮するための体系的なアプローチが必要です。MTTRを改善するために組織が実行できる手順には次のようなものがあります。

  • 修理プロセスの標準化:修理手順を標準化すると、修理を安定して効率的に実行できるようになります。これには、手順の文書化、チェックリストの作成、技術者へのトレーニングの実施などが含まれます。

  • トラブルシューティング手順の改善:効果的なトラブルシューティングにより、問題の根本原因を迅速に特定し、修理に必要な時間を短縮できます。トラブルシューティング用のデジタル・ツールとテクニックを技術者に提供することで、問題の特定に必要な時間を短縮できます。

  • スペア・パーツの入手の迅速化:スペアパーツをすぐに入手できるようにすると、システムまたはコンポーネントの修理に必要な時間を短縮できます。これには、一般的に使用される部品の在庫の管理、サプライヤーとの関係の確立、部品の使用状況と補充を追跡するシステムの導入などが含まれます。

  • 予知保全と予防保全の技術の利用:振動分析やオイル分析などの技術を活用したメンテナンス・プログラムは、予定外のメンテナンス作業が生じる前に潜在的な問題を特定するのに役立ちます。アラート・システムは、異常がインシデントに発展する前に発見するのに役立ちます。

  • コンピュータ化メンテナンス管理システム(CMMS)の導入CMMSは、組織がメンテナンス・チームのスケジュール、作業指示書、修理履歴を追跡するのに役立ちます。これにより、改善すべき分野の特定や、長期にわたるプロセス改善の効果の測定が容易になります。

  • 根本原因分析(RCA)の実施RCAを実施すると、故障の根本的な原因を特定し、それらを防止するための戦略を策定するのに役立ちます。問題の根本原因に対応することで、組織は将来の故障の可能性を減らし、ベンチマークを確立し、MTTRを向上させることができます。

  • MTTRの継続的な監視と測定:MTTRの継続的な監視と測定により、組織はベースラインの確立、改善すべき領域の特定、長期的な進捗状況の追跡ができるようになります。このデータを使用すると、改善の目標を策定し、長期にわたるプロセス改善の効果を測定できます。

平均修理時間の一般的なユースケース

平均修理時間(MTTR)は、さまざまな業界の多くの組織で使用される重要な測定基準です。MTTRの一般的なユースケースには、次のようなものがあります。

 

製造業

MTTRを使用すると、製造工場の備品や機械の修理に必要な時間を追跡できます。

公益事業

MTTRは公益事業で多く使用され、停電が発生した場合に配電機器を修理し、利用者への電力を回復するのに必要な時間を短縮するために役立ちます。

情報技術

MTTRは、インシデントまたは停止後にシステムの可用性の回復に必要な時間を測定するためにITで使用される重要な測定基準です。

医療

MTTRは医療業界において、医療機器やデバイスの修理に必要な時間を追跡するためによく使用されます。

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