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IBM EISでロケーション・インテリジェンスを活用 登録してサステナビリティーの最新情報を受け取る
人の横顔、葉、雲のピクトグラムをコラージュしたイラスト

公開: 2024年3月20日
投稿者: Alexandra Jonker, Alice Gomstyn

ロケーション・インテリジェンスとは

ロケーション・インテリジェンスとは、地理空間データから洞察を得る手法です。これらの洞察は、パターンを特定し、予測を行い、場所固有の疑問に対するリアルタイムの理解を提供するのに役立ちます。

ロケーション・インテリジェンスは多くの場合、地図やグラフ、統計およびカルトグラムで可視化されます。これらのデータの可視化によって加わる空間的コンテキストは、企業や個人、官公庁・自治体が次のような質問に答えるのに役立ちます。

  • 人の往来や交通パターンに基づいて、新しい店舗を建設するのに最適な場所はどこか
  • 海面上昇など気候変動の影響を最も受けやすい地域はどこか
  • 顧客満足度を向上させ、競争上の優位性を高めるために、グローバルなサプライチェーン・オペレーションをどのように可視化すればよいか
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ロケーション・インテリジェンスとBusiness Intelligenceの比較

Business Intelligence(BI)は、データを取り込み、それを使いやすいビューで表示するソフトウェアです。これにより、企業は実用性のある洞察を得て、より良い意思決定を行うことができます。BIは、生産やサプライチェーン、顧客、または市場動向に関連する質問を平易な言葉で行い、理解できる回答を得られるようにします。

BIツールは、過去や現在、サードパーティや社内など、さまざまなデータに接続します。これらのデータの中には、ロケーション・インテリジェンスに関する洞察を得たり、「どこで」という質問に答えたりするために使用される地理空間データが含まれる場合もあります。空間分析を使用するロケーション・インテリジェンス・ソフトウェアは、多くの場合、既存のBusiness Intelligenceのマッピング機能の拡張または統合です。

地理空間データとは何ですか

地理空間データは、ある時点または期間における地表上または地表付近のオブジェクトやイベント、その他の特徴を記述したものです。より具体的に言うと、地理空間データとは、位置情報(座標)と属性情報(オブジェクト、イベント、または現象の特徴)と時間情報(位置と属性が存在する時間または寿命)を組み合わせたものです。例えば、誰かが「近くのブランチ・スポット」を探すためにスマートフォンをチェックするときはいつも、地理空間データに頼って答えを出しているのです。

地理空間データ・セットは非常に大規模で、国勢調査の人口統計情報のほか、衛星、LiDAR、携帯電話などの技術的データ・ソースからの情報も含まれます。地理空間データ・セットには、主にベクターとラスターの2種類があります。ラスター・データは、標高や温度などの空間情報が各セルに関連付けられたピクセルのグリッドまたはセルで構成されます。ベクター・データは、地理空間要素をx座標とy座標で表現したものです。

ロケーション・インテリジェンスはどのような技術を使っているのか

ロケーション・インテリジェンスのデータは、人工衛星やドローン、LiDAR、モノのインターネット(IoT)によるセンサーなど、いくつかのテクノロジーから得られます。実際、近年IoTを搭載したスマートデバイスの数が急増したことで、ロケーション・インテリジェンス・プラットフォームで使用するための関連地理データが大量に蓄積されるようになりました。人工知能(AI)とスケーラブルな基盤モデル(広範なデータ・セットで学習した機械学習(ML)モデル)の統合は、この大量のデータの分析を支援するために実装され始めています。

しかし、ロケーション・インテリジェンス・ツールの中核をなすのは地理情報システム(GIS)です。これは、地理空間データを取得・保存・分析・視覚化・管理するコンピュータ・システムです。GISを使用すると、ユーザーはインタラクティブなクエリを作成し、空間情報を分析し、データを編集し、地図を統合して結果を提示することができます。GIS技術がなければ、地理空間データ・セットとその洞察は、量が多く複雑なために見過ごされがちです。GISは、このデータを認識可能なパターンで消化しやすい形式で表示します。

各業界の組織は、GISを利用したマップやダッシュボード、アプリケーションおよび分析を活用して、リソース管理や資産管理、環境影響アセスメント、サプライチェーン管理、その他の活動を改善しています。EsriはGISソフトウェア開発の業界リーダーであり、ArcGISなど、今日使用されている多くのGIS手法や技術を開発しています。

ロケーション・インテリジェンスが重要な理由

気候変動の影響、地政学的紛争、世界的流行病など、今日の最も重要な課題のいくつかは、ロケーション・インテリジェンスと相関しています。地理空間データから得られるロケーション・ベースの洞察は、これらの課題をよりよく理解し、対処するために不可欠です。

ビジネスの観点からは、ロケーション・インテリジェンスは3つの主なメリットで競争上の優位性をもたらします。

より豊かな洞察

ロケーション・データ分析により、プロセスと人および結果をより深く理解し、ビジネス戦略をより効果的に導くことができます。

リアルタイムの意思決定

ロケーション・データはリアルタイムで収集・更新できるため、ビジネスの意思決定者に最新の情報を提供します。

効率性の向上

ロケーション・データを従来のビジネス・データと組み合わせることで、業務の全体像を把握できます。これにより、情報やプロセスのサイロ化を解消できます。

ロケーション・インテリジェンスのユースケース

ロケーション・データは、医療や不動産、金融サービス、農業、公共事業など、さまざまな業界で利用されています。ここでは、実際のユースケースをいくつかご紹介します。

サプライチェーン・マネジメント

サプライチェーン管理(SCM)には、ロケーション・インテリジェンスのユースケースがいくつかあります。例えば、ルーティングや労働力の最適化です。位置情報を利用することで、企業は車両の効率を最大化し、ドライバーの効率を高められます。さらに、ネットワークの最適化と立地選定が、小売業者が顧客に近い新しい倉庫の建設場所を決定し、配送リードタイムを短縮するのに役立ちます。

マーケティング

ロケーション・アナリティクスをカスタマー・リレーションシップ管理(CRM)ソフトウェアと統合すれば、消費者の行動パターンを把握し、マーケティング・キャンペーンやセグメンテーション戦略および顧客体験を改善することができます。例えば、マーケティング担当者は、顧客の所在地に基づいて料金体系やメッセージを調整できます。

エネルギー・公益事業

ロケーション・インテリジェンスを使用して気候データと植生の成長に関する洞察を得ることで、電力会社は資産やインフラへのダメージによる業務中断を防ぐことができます。同じデータを使用して、エネルギー消費パターンを特定し、エネルギー予測を支援し、停電を回避するための積極的な意思決定を行うこともできます。

交通・都市計画

リアルタイムの空間データを分析することで、都市におけるスマート交通を実現できます。ロケーション・インテリジェンスは、交通データを利用して交通の流れを最適化し、渋滞を緩和し、排出ガスを削減します。また、ロケーション・インテリジェンスは、公共交通機関の到着状況や保守の中断をリアルタイムで表示するアプリの基盤にもなります。

農業

スマート農業の分野でも、ロケーション・インテリジェンスのユースケースがいくつかあります。例えば、土壌状態センサーからの水分データを気象データと組み合わせることで、スマートな灌漑を推奨し、効率的な水の利用を促進できます。家畜に取り付けられたセンサーからの位置情報データは、行動を追跡し、行動や土地の利用状況に関する洞察を提供します。

異常気象

ロケーション・インテリジェンスにより、悪天候や洪水、大気の質のモニタリングが可能になります。例えば、気象学者はロケーション・インテリジェンスを利用して、竜巻の進路を把握します。同様に、ロケーション・インテリジェンスは、衛星や国勢調査および風力データを使用して、緊急対応チームが山火事の軌跡と成長を正確に予測・追跡するのに役立ちます。

通信

この分野の企業は、ネットワークの計画と設計、境界の特定、新規顧客市場の発見にロケーション・インテリジェンスを活用できます。例えば、最適でない場所に携帯電話タワーを設置するような高額なミスを避け、サービスエリア内の顧客に近い場所を特定することができます。

気候変動の緩和

炭素排出量やサンゴ礁の状態、海水温や海面水位、森林など、気候変動に関連する要因は、ロケーション・インテリジェンスを使用して監視と分析ができます。GIS技術はリスクを可視化し、気候変動の緩和に関する意思決定のための指針を提供できます。さらに、気象条件や気候リスク、その他の場所に関連する要素を特定・予測する能力は、再生可能エネルギー開発業者が風力タービンやソーラー・パネルなどのインフラに最適な場所を決定するのに役立ちます。

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地理情報システム(GIS)とは、地理空間データ(つまり、地球を基準とした空間的なデータ)の連携した可視化を生成するコンピュータ・システムです。

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