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ITOMの基本について、およびどのようなプロセスとツールを使用して、ITリソース配信の全体的な品質と効率性を確保するのかについてご説明します。
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ITOMとは

IT運用管理(ITOM)は、組織内の情報技術に関する条件の管理を担当し、コンピューティング・リソース、ネットワーキング・リソース、およびアプリケーション・リソースなどの、ITインフラストラクチャーとリソースのプロビジョニング、キャパシティー、パフォーマンス、および可用性の監視をします。 その役割は、ITリソース配信の全体にわたる品質、効率性、およびポジティブなエンド・ユーザー・エクスペリエンスを促進する、ルーチン・タスクを実行することです。

ITOMは、ITサービス・マネジメント(ITSM)に属する1分野で、サービスのライフサイクルにおける運用上の側面に焦点を当てています。 ITOMは、ITSMモデル内で、通常はエンド・ユーザーには見えないサービス管理の裏側に重点的に取り組んでいます。

ITOMの役割

正常なITOMは、すべてのビジネス・サービスおよびアプリケーションの可用性と適切な稼働を確保することにより、最終的にはビジネスの運営を確実に維持します。 その達成のためにITOMチームは、次のような主要なタスクを監視します。

  • ネットワーク・インフラストラクチャー管理: ITOMチームは、ハードウェアおよびソフトウェアのインフラストラクチャーに加え、内部および外部のビジネス・コミュニケーションを提供するために必要なネットワーク・サービスの管理を担当しています。 それには、VPN管理およびTTCP/IPアドレッシングなどのルーター、スイッチ、ハブ、モニタリング・ツール、ソフトウェア・アプリケーション、運用システム、およびネットワーク・サービスも含まれます。
  • ヘルプ・デスクの運用部門: 多くのタスクがこちらに該当します。たとえば、データ・バックアップ、ユーザー・アカウント管理、システム・アクセスおよび災害復旧のスケジュールと管理のようなITインフラストラクチャーの運用に加え、インシデント対応、イベント応答、および要求実現などです。
  • サーバ とデバイス管理: これには、サーバー、デスクトップ、ノートPC、携帯電話、およびIoTデバイスなどのエンドポイント管理、そして確実にユーザーがストレージにアクセスできるようにすることが含まれます。

それら3つの各領域でITOMは、ITがライフサイクルを通じてサービスを導入、実装、およびサポートするために使用するプロセスを確立します。 そこには問題を修復するための標準手法を概説することも含まれ、その内容は障害とダウンタイムの削減、およびユーザー・エクスペリエンスの改善に役立てることができます。 ITOMプログラムを成功させるための目標は、ワークフローの改善、可用性の向上、およびピーク時におけるサービス・パフォーマンスです。

チームが通常使用しているのは、一連のITOMツールとソフトウェアです。 このソフトウェアは、Gartner社が述べている通り(ibm.com外部へのリンク)、ITリソースの管理、パフォーマンス、および可用性を促進し、それらリソース配信の最適化を確保するために設計されています。

ITOMソリューションは、次のツールにより監視と制御をしています。

  • 構成管理データベース(CMDB): 本レポジトリーは、 チームがITサービスを提供するために使用されるIT環境およびコンポーネントに関連したデータを、管理することに役立ちます。 そのレポジトリーが、ITの全設備と全構成、そしてそれらの関係性に関する一元化された視点を提供することにより、設備保全管理とサービス・マッピングの改善が可能になります。
  • コンテナ管理: 本ソフトウェアは、コンテナの作成、導入、およびスケーリングの自動化をするために使用されます。 それにより、ネットワーキングおよびコンテナのオーケストレーションが、よりシンプルになり、効率性が向上します。

  • PaaSリソース: PaaS(Platform-as-a-Service)プロバイダーは、アプリケーションの開発、実行、および管理を目的とした、ハードウェア、ソフトウェア、およびインフラストラクチャーに対するクラウド管理を提供します。 ITOMツールは、使用されているPaaSリソースとそれらによるパフォーマンスの状況を、チームに示します。

  • イベント管理およびパフォーマンス・メトリック: これらのツールは、コンテキストを提供し、対応の迅速化と管理の合理化を促進することにより、ITチームにイベントとシステム・パフォーマンスに関する洞察を提供します。

  • AI機能: 新しいITOMソリューションには、モニタリングおよびアプリケーションのパフォーマンスを向上させるため、人工知能(AI)が組み込まれています。 これらのツールは、高度な分析とAIを組み合わせることにより、新たな問題に対する事前の特定、多様なIT環境すべてにわたる問題の診断、およびインシデントの適切な割り当てなどを行います。
ITSM、ITOM、およびITOps

ITサービス・マネジメント(ITSM)とは、ITサービスを管理し、エンドユーザーに提供するためのアプローチのことを言います。 そこでは、設計からサポートまでのITサービスの提供に関する、標準化されたシステムが作成されます。 正常なITSMプログラムには、ビジネス上の意思決定を伝えることに役立つ、ITの洞察を収集し、分析することが含まれます。

ITOMとITSMはともに、IT サービス・マネジメントの役割と活動を概説しているITILフレームワークに定義されています。 それらの用語は、混同して使用されることがよくありますが、互いに異なります。 ITSMがITサービス・ライフサイクルに対して長期的な視点を持ち、組織のネットワーク、インフラストラクチャー、およびコンピューティングの各リソースを戦略的に開発することに注力する一方で、IT運用管理は、日常のIT管理の活動に焦点を当てています。

IT運用(ITOps)とITOMがよく混同されることについては、明確な理由があります。 両者がITサービスの稼働を維持することに密接に関与し、IT運用がITOMの頭字語に使用されているためです。 ITOPは、ITサービス・マネジメントに関する役割とタスクを指し、ITOMの方は、企業の技術コンポーネントおよびコンピューティング条件を維持するために使用される、管理プロセスとツールを指します。

ITOMの課題

ITOMは、幅広い複合テクノロジーおよび依存テクノロジーを監視しており、そのすべてのテクノロジーがシームレスに連携する必要があります。 一般的な課題には以下が含まれます。

  • ITインフラストラクチャーのスプロール化: 多くの企業がクラウドへの移行を進めていくに従って、仮想化、モノのインターネット(IoT)、およびas-a-serviceオファリングのような新規テクノロジーにより、IT管理が一層複雑化しています。 例えば、IDC社の2021年版「Worldwide Application Services Survey」によると、現在80%の組織が、自社のポートフォリオに最大1,000個のアプリケーションがあると推定しています 。 ITOMチームには、そのように詳細化した環境を管理するための幅広い専門知識、および変化するテクノロジーにすばやく適応する能力が、頻繁に求められます。

  • 統合: システムの複雑化により、アプリケーションとその他のITコンポーネント間における相互の通信が困難になっています。 企業は、より適切な洞察を得て効率的に作業を行うために、アプリケーションおよび部門間のデータを流動的に移動させる必要があります。 統合の課題により、アプリケーション・パフォーマンスのモニタリング、セキュリティーの運用、およびイベント管理のような、ITOMの役割が複雑化しています。

  • 可視化: IT環境においてレガシー・インフラストラクチャーとレガシー・システムが混在し、データ・センターおよびクラウド・サービス全体に広がっている場合には、全体像を捉えようとする際に、可視化の課題が生じる可能性があります。 それにより、リソースを適切に割り当て、戦略的な意思決定を行うために必要なデータを得ることが困難になることがあります。

  • 拡張性: システムとアプリケーションの統合に関して、可視化されていない、およびソリューションがない場合、新規サービスの導入と維持が求められる際に、IT運用による拡張が困難になる場合があります。 それにより、ITのフラクチャーとシャドーIT、およびITOM費用の増加につながる可能性があります。
ITOMとAI

ITチームは、より豊富で、より堅固なエクスペリエンスとアプリケーションを作り出すことを目指しています。 そのためには、データからより適切な洞察を得るために、既存のツールに統合できるITOMツールが必要です。 組織は、スピード、可視性、使用率、およびサービス提供を改善するために、AI搭載による自動化に目を向けています。

人工知能を活用するIT運用(AIOps)によって企業は、AI機能を使用して、膨大な量のデータを事前対応的に解釈および活用し、アプリケーションのパフォーマンスと可用性に関連する重要なイベントとパターンを特定し、根本原因を診断することができるようになります。 AIOpsは、それらのアクションにより、企業が費用を削減してIT部門の効率性を向上することを支援します。 EMA社のレポートの AI(Work)Ops 2021年版「The State of AIOps」によると、AIOpsが早期に採用された企業では、実装費用の80%という非常に価値の高い利益が得られています。また、少なくともAIOpsの購入費用以上の利益をすべての企業が得ており、企業におけるAIOpsの実装が成功していることが証明されています。

さらに、ITOMソフトウェアは、人工知能(AI)および機械学習(ML)を使用し、ITタスクを支援しています。 AIとMLの各ヘルプチームは、ITOMタスクの自動化、ローコード/ノーコードのITサービス・マネジメントの実現、および問題を予測してその解決を迅速化するために、事前対応的なインシデント管理の提供をしています。 そのような進歩により、ITOMプログラムの有効性を高めながら、IT部門の負荷を軽減させることが可能になっています。

ITOMの課題解決を支援するために、AIOpsは以下の利点を提供します。

  • 複雑なエコシステムの可視化: AIOpsにより、チームはカオス的なIT環境について、稼働環境がオンプレミス、クラウド上、ハイブリッドクラウド・モデル上であるかを問わず、理解することが可能になります。 AIOpsのツール内で統合が可能であることにより、パフォーマンスを最適化し、全体的なユーザー・エクスペリエンスを向上させながら、可観測性を自動化し、実行可能な洞察を提供することができます。

  • 意思決定の迅速化: AIはアプリケーション・パフォーマンスおよび機能性に対する可視性を非常に高めるため、DevOpsは、ほぼリアルタイムで実稼働環境からトラブルシューティングのデータを収集できます。 それにより、サービスが幅広く分散している場合でも、エラーの解決を迅速化することができます。

  • よりスマートなリソースの割り振り: 企業は、デジタル・トランスフォーメーションを進めるに従い、効果的かつ効率的な運用を確保するために、リソースの割り振りおよびコストの最適化に関するより深い洞察が必要になります。 チームは、AIによる洞察を使用することにより、可能な限り最も有利な方法でリソースを管理できるようになります。

  • 予測される問題の解決:ITOMチームは、IT環境全体にわたる問題を管理するために、多くの場合において異種混合のテクノロジーを使用しています。 AIOpsは、アラートの優先順付けおよび誤検出数の削減を行うために、インテリジェント・アラートを提供します。 イベント相関および予測される脅威の検出により、MTTD(検出までの平均時間)およびMTTR(解決までの平均時間)を削減し、チームの効率性を向上させて戦略的なタスクの方に時間を費やすことを可能にします。
関連ソリューション
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次のステップ

IBMは、世界中のお客様がITOMの課題に対応するための支援をしてきました。 当社の最新のAIOpsポートフォリオが、お客様を将来のITOM、ITOps、およびその先へとご案内します。 IBM Instana®は、企業資産の完全な可視性を提供し、IBM Turbonomic® Application Resource Managementは、リソースの最適化を成し遂げることを可能にします。それについては、Forrester社による「IBM Turbonomic Application Resource ManagementのTotal Economic Impact(総経済効果)」に記載されている結果にて証明されています。 IBM® Cloud Pak for Watson AIOpsは、予測される問題を解決することを専門としています。 以下のボタンをクリックし、お客様のIT運用の課題を解決するために、IBMのAIOpsソリューションがどのように役立つのかについてご覧ください。

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