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IVR(音声自動応答)

IVR(音声自動応答)とは
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IVR(音声自動応答)とは

IVR(音声自動応答)とは、発信者がライブ・エージェントと話さなくても、音声またはメニュー入力を使用して情報をやり取りできる自動電話システムです。IVRは、デュアル・トーン・マルチ多周波数(DTMF)インターフェースを備えた、事前録音された音声またはテキスト読み上げテクノロジーを使用しています。

IVRシステムが、発信者が求めている情報を検索できない場合、プログラムされたメニュー・オプションがコール・ルーティングを支援し、発信者を適切な担当者に送ることができます。IVRソフトウェアにより、コンピューターと電話技術を統合してコール・フローを改善し、待ち時間を短縮し、全体的な顧客満足度の向上につなげることができます。

IVRテクノロジーの中で最も有名かつ成功した例として、1990年代のMoviefone(ムービーフォン)があります。当時は、今ほどインターネットへのアクセスが整備されていなかったので、映画を鑑賞したい人は電話で郵便番号を伝え、近くの映画館のリストと上映されている映画、上映時間の情報を入手していました。これはずいぶん過去の製品ではありますが、その基盤となるテクノロジーは、主にコールセンターでまだ活用されており、カスタマー・サポートを提供し、カスタマー・サービス担当者の労力の削減に貢献しています。

IVRソフトウェアは現在も進化し続けています。自然言語処理技術の発達により、発信者が電話でコンピューターと対話できる範囲が広がってきています。プッシュホン・システムの代わりに、より高度なIVRソフトウェアを使用することで、発信者は自分が何を必要としているかを口頭で伝えることができるようになりました。IVRシステムは、音声認識により、顧客の問い合わせをリアルタイムで理解し、応対することができます。

IVRシステムを活用することで、顧客がカスタマー・サポートを介さず、必要な情報にアクセスできるセルフサービス・オプションを提供することで、顧客体験の向上を図れます。またこれにより、コールセンターの電話量が減り、待ち時間の短縮や運用コストの削減にもつながります。

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IVRの仕組み

IVRは、公衆交換電話網(PSTN)とVoice over IP(VoIP)ネットワークの両方で利用可能です。通常、IVR電話システムは、次の3つのコンポーネントで構成されています。

  1. 1.インターネットとイントラネット接続を提供するTCP/IP ネットワーク。
  2. 2.IVRアプリケーションに関連データを提供するデータベース。
  3. 3.IVRソフトウェア・アプリケーションが格納されているWeb/アプリケーション・サーバー。このサーバーは、すべてVoiceXMLで記述された複数のアプリケーションをホストできます。例えば、コールセンター、発信するセールス・コール、音声テキスト変換などのアプリケーションなどです。

ここから、通常は3種類のIVRシステムのうちの1つが構築されます。

  • プッシュ操作:発信者に、情報にアクセスするために該当する番号を押すように促します。例えば、事前録音された「開店時間のご案内は1を押してください」という音声に対して、発信者は「1」を入力します。

  • 直接対話:このタイプのIVRは、問い合わせ内容に応じて、特定の言語プロンプトを発信者に提供します。例えば、事前録音された「店舗の営業時間や場所の情報をお探しですか?」という音声を返します。発信者は、「営業時間」などと回答します。

  • 自然言語:この高度なIVRシステムは、音声認識を使用してユーザーの要求をより良く理解します。例えば、システム・プロンプトが「どのような情報をお探しですか?」と尋ね、発信者が「店舗の営業時間情報を教えてください」などと答えます。
IVRのメリット

IVR技術は、大企業から中小企業まで、競争上の優位性をもたらし、自動化の取り組みを推進します。主なメリットは次の通りです。

  • 顧客体験の向上:IVRソリューションは、関連情報を得た後で、発信者を適切なコールセンター担当者に振り分けるので、待ち時間を短縮し、初回コンタクト時の解決率を向上できます。また、通常の営業時間外にコールセンターに人材を配置する必要もないため、24時間体制でカスタマー・サポートを提供することができます。

  • 運用コストの削減:IVRシステムは、極めて費用対効果の高いソリューションです。カスタマー・サービス担当者が対応しなければならない膨大な電話の量を減らすだけでなく、夜間や週末、休日といった営業時間外でも、顧客はよくある質問や情報にアクセスできるようになります。相談したいというリクエストがあった場合は、通常の営業時間内にかけ直せるように、ボイスメールを残すことを提案することもできます。

  • エラーの削減:IVRコールセンター・ソフトウェアは、効果的に展開すると、人間のカスタマー・サービス担当者がメモを取り、着信を割り振りする必要がないため、カスタマー・サービスにおけるプロセスのエラーを減らすことができます。

  • データの収集:顧客のリクエストを自動的に追跡して、最もよくある行動と問題に関する深い洞察を得ることができます。

  • セキュリティーの強化:一部のIVRシステムには、音声認識(voice recognition)(会話認識「speech recognition」と混同しないように)が組み込まれており、個人の身元を確認することで、セキュリティーを強化しています。これは、社会保障番号や電話番号、当座預金や普通預金口座の情報、医師の診察結果など、機密性の高い個人情報を得る場合に役立ちます。
IVRの課題

IVRの導入は企業にとって大きなメリットがありますが、IVR技術には最適化を必要とする制限がまだ存在しているため、組織は少なくとも最もよく使用されるオプション(平均保持時間と成功率)の指標をモニターする必要があるでしょう。例えば以下のようなものがあります。

  • 複雑なメニュー・オプション:IVRは、コールセンターのコール・フローを最適化できる一方で、自動音声システムが複雑すぎると、発信者をいらだたせることもあります。事前録音された音声ガイダンスが長すぎると、電話をかけてきた人が目的のオプションを選択するまでに不必要に長く待たされる可能性があり、顧客満足度の低下につながります。

  • 長い待ち時間:技術が進歩している一方で、多くのIVRシステムでは、長い待ち時間が問題になっています。しかしコールバック機能を使えば、カスタマー・サービス担当者がリクエストに対応できるようになるまで、発信者は他のことをしながら待つことができるので、フラストレーションを軽減することが可能です。

  • 非人間的なコミュニケーション:顧客がサポート・センターに電話をかけてくるとき、すでに製品やサービスの問題に強い不満を抱いている可能性がありますが、録音された音声には顧客の感情に共感する能力がないため、自動音声システムでは不満がさらに強まる恐れがあります。

このように、IVRシステムが適切に導入されないなら、通話放棄率が高くなり、顧客の感情の悪化につながります。そして顧客サービスの満足度が低くなると、否定的なレビューやソーシャル・メディアでの不満が高まり、ブランドに損害を与える可能性があるため、企業はIVRコールセンター・ソリューションの導入について、慎重に検討する必要があるでしょう。

IVRの業界別ユースケース

IVRソリューションは、さまざまな業界で利用されています。これらのユースケースについて詳しく見ていきましょう。

金融機関:IVR は、口座残高やローン申請状況などの口座照会や取引、アクティベーション、投資ポートフォリオの変更など、さまざまな銀行および金融業務に活用されています。

カスタマー・サービス:カスタマー・サービスのコールセンターは、複数の業界で使われています。組織は、自動化されたメニューと事前録音した音声を使用して、顧客の問い合わせや苦情に対処するための大量の着信を処理できるようにセンターを構成できます。一部のIVRソリューションには、回線が混み合い顧客が待たされる場合、担当者が対応可能になった時点で発信コールを行うコールバック機能が備わっています。
 
教育機関:ある研究1によれば、 教育機関はIVRを導入することで、親が子供の成績や出席状況を簡単に把握できるよう支援できることが示されています。保護者はシステムに登録し、ユーザー名とパスワードを入力すること、今後の通話で重要な情報にアクセスできます。
 
政府機関:有権者は、重要な情報を得たり、各種手続きのために政府機関へ電話をかけることがあります。投票所や投票時間の案内、ライセンスや許可、税金や失業保険の確認など、多くの業務をIVRで自動化することが可能です。さらにリクエストを適切な部門に転送して、直接相談することもできます。
 
医療機関:IVRは、治療前のアンケート、患者の満足度調査、検査や予約の調整、退院後のフォローアップ、検査結果、患者の経過観察など、医療分野において多くの実用的な用途があります。ある研究2では、服薬スケジュールを守るよう患者に注意を促すことだけでも、全体的な患者の満足度を高めることができることが強調されています。

ホスピタリティーと旅行業界:航空会社、ホテル、鉄道、レンタカー会社においては、予約やキャンセルを含むカスタマー・サービスへの問い合わせを迅速化することで、サービスの向上が期待できます。問い合わせの理由(予約、プランの変更、遅延)を迅速に特定し、顧客を適切な部門に繋ぎます。

小売とeコマース:顧客は、配送状況や返品状況を迅速かつ簡単に確認できるようになりました。小売向けのセルフサービスまたはライブ・チャットでは、多くの顧客の質問に答えることができ、問い合わせをライブ・エージェントに転送して直接話すこともできます。

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