ヘルスケア業績測定とは、ヘルスケアに関連した特定の活動に関するデータを集計、定量化、分析するものです。 この目的は、コストの削減、治療の質の向上、治療提供の効率向上を実現する機会を特定することです。
また、ヘルスケア業績測定は、規制要件を満たすために医療機関が追跡したい、あるいは追跡する必要がある他のメトリクスを監視するためにも使用されます。
ヘルスケア業績測定の取り組みは通常、その測定の重要性と、データの正確性を保証する目的で業績を測定する医師や病院スタッフだけでなく、官公庁・自治体およびその他の第三者機関の積極的な関与のもとに開発および運営されます。
ヘルスケア業績測定には、以下のような種類があります。
特にAIガバナンスやリスク管理ソリューションの欠如など、AI導入の障壁について学びましょう。
IDCレポートを読む
ヘルスケア業績測定が医療機関や社会一般にとって重要である理由はたくさんあります。
人々にとって健康は、他の多くの商品やサービスよりも重要です 1。社会は、人々が可能な限り健康的な生活を送れるように医療制度が機能することを保証することに、強い集団的関心を持っています。
官公庁・自治体も個人も医療費に多額の費用をかけています。 医療費や医療保険は、集団的にも個人的にも多額の費用がかかっており、こうした費用は他の経済分野と比較して時間の経過とともに急速に上昇しています。
人々は自分のヘルスケアについて、十分な情報を得た上で決断したいと考えています。客観的な業績測定は、人々が「同一条件で」比較して最良のケアを求めることができるため、ヘルスケアに関してより適切な意思決定を行うのに役立ちます。
官公庁・自治体の機関は、より良い医療政策を立案することができます。 業績測定は、医療プログラムや投資に関する立法政策の議論に確かな背景データを提供し、法律や義務で改善できる点を示します。
業績測定は、以下のような効率性と有効性の現状に関する確かなデータを提供することで、医療制度や病院全体の改善を先導する最良の方法のひとつです。
2009年、米国政府は医療従事者に電子カルテ(EHR)の導入を奨励することを目的として、270億米ドルの奨励プログラムを創設しました。 このプログラムに転換した理由の1つは、ヘルスケア業績測定に対応した信頼できるデータを病院に提供し、最終的には患者ケアの効率と質を向上させることでした。
クラウドベースのEHRソフトウェア導入の急増に牽引され、EHRの受け入れは続いていますが、その結果はまちまちです。 StanfordとHarris Pollの調査2によると、かかりつけ医の40%が、EHRにはメリットよりも課題の方が大きいと考えています。
そのため、ソフトウェア・プロバイダーは、EHRプロセスを合理化し、患者の転帰や患者満足度をより簡単に追跡できるツールを提供できる高度なヘルスケア・ソフトウェア・プラットフォームを開発しました。 このツールを利用すると、医療機関は分析と対処が容易になる患者ケア・データにアクセスできます。
ヘルスケア業績測定の優先順位 - より重要なものはどれか
ヘルスケア業績測定において、医療機関が追跡できるの指標は何百とあります。 医療機関は指標の重要度をどのように決定するのでしょうか。
Definitive Healthcare社のAlanna Moriarty氏は、自身のブログ3で、「CMSは質の高いプログラムの追加と修正を続けているため、医療機関が指標の優先順位を付けるのが難しくなっている」と指摘しています。同氏は、ヘルスケアの業績測定に不可欠な10の指標を提案しています。
入院期間
患者の入院から退院までの期間を測定します。このメトリクスにより、医療機関はケアの効率性に関する経時的なハード・データを得ることができます。
再入院率
退院後30日以内に再入院した患者の割合を追跡します。病院は、患者が受けたケアの質を定量化することができます。再入院の割合が高いということは、患者が標準以下のケアを受けており、医療従事者が合併症や関連する患者データを見落としている可能性があります。
HCAHPS – 患者満足度
HCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)調査は、ケアの質から施設の清潔さまで、患者の満足度を幅広く測定するものです。
死亡率
退院前に病院で亡くなる患者の人数。この測定値は、手術または別の処置の後に患者の状態を医療機関がどの程度安定させることができるかを示します。
(病床利用率(または病床占有率)
常時使用されている病床数を測定します。利用可能な病床が多すぎると、患者数に関係なく、人件費や維持費が比較的一定に保たれるため、病院は多くの損失を被ることになります。
病院でのインシデント件数
病院での処置で予期せぬ副作用による結果を測定します。このメトリクスは、病院がインシデントを引き起こすことなく質の高いケアを提供するための手順が整っているかどうかを示す重要な指標です。
CMSプログラムにある業績に関する取り組み
CMSには、コスト削減と患者ケアの向上を目的とした業績測定プログラムが数多くあります。たとえば、Medicare Shared Savings Program、Bundled Payments for Care Improvement(BPCI)プログラム、Fee-For-Service Part Bなどがあります。
退院1件あたりの平均コスト
病院が、過剰支出の項目と最も利益を上げることができる項目を把握する際に役立ちます。病院は有用なデータを得ることができるため、患者ケアにかかるコストのうち、どのコストが患者の転帰を最も改善するかをより適切に分析できます。
営業利益
すべての運営コストを差し引いた後の施設の収益を測定しますが、通常、ほとんどの病院では利益がプラスになることはありません。施設が損益分岐点に近いかそれ以上を維持できない場合、スタッフの確保や、質の高い患者サービスの提供に支障をきたす可能性ががあります。
不良債権
不良債権とは、患者ケアにかかる費用の全部または一部を受け取っていない収益のことです。ただし、未払いが不良債権とみなされるのは、患者の生活の中で治療費の支払いが滞るような出来事(失業など)があった場合のみです。
1『Principles of Health Economics』。David Parkin(2009年)改訂版(2017年)(リンクはibm.comの外にあります)
2『Doctors Call for Overhaul of Electronic Health Records』。Stanford Medicine。2018年6月4日(リンクはibm.comの外にあります)
3『Top 10 Hospital Performance Metrics You Need to Know』。Alanna Moriarty。2018年5月8日(リンクはibm.comの外にあります)