公開日:2024年1月8日
寄稿者:Gita Jackson、Michael Goodwin
デジタル・ワークフローとは、手動ではなくコンピューターとソフトウェア(および多くの場合、自動化)を使用して電子的に完了されるプロセスです。
デジタル・ワークフローとは、大まかに言うと、仕事するためにコンピューターと最新テクノロジーを使用し、コンピューターを基盤とする職場のあらゆる特長を活用して業務を履行するプロセスを気取って言い表した用語です。手動ワークフローでは、コンピューターやソフトウェアを使用せず手で業務を行います。
ワークフローは、デジタル化後に多くの場合自動化され、人間が関与する必要性が減るか、不要になります。こうしたデジタル・ワークフローへの移行は通常、プロセスの効率化につながり、従業員はより価値の高い仕事に集中できる時間が得られます。デジタル・ワークフローは、紙の請求書を郵送する代わりに、請求書のPDFファイルを顧客にEメールで送信するような単純なものから、新入社員のオンボーディングを完全に自動化するような複雑なものまで考えられます。
新型コロナウイルス感染症の蔓延以来、組織がリモートワークへの移行を進めるのに合わせて、デジタル・ワークフローに対する人気が高まり、不可欠なものにさえなっています。調査会社、Insight社のレポート(ibm.com外部へのリンク)によると、回答者の3人に1人が、リモートワークを選択できなくなったら離職すると述べています。また、Statista社の調査では、調査対象者の60%以上(ibm.com外部へのリンク)が、既に在宅勤務を選択可能な職場で働いていると回答しています。
現代のビジネス界では、デジタル・ワークフローは、それ以前の手動ワークフローと同じくらい一般的になっています。
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デジタル・ワークフローは、さまざまな業界やユースケースでプロセスを改善するために利用されており、次のような利用例があります。
手動プロセスでは、応募者の履歴書を手作業で分析する必要があり、時間がかかる場合があります。自動化ソフトウェアを使用して特定のキーワードでフィルターを設定すると、次の選考段階に進むのに最適な応募者が特定しやすくなります。
継続的デリバリーでは、自動品質チェックに合格したプログラム内の新しいコードをコード・ベースに追加し、本番環境にプッシュできるようにします。継続的インテグレーションでは、すべての新しいコード変更を取得し、メインのコード・ベースと自動的に結合し直せるようにします。コードを手動で変更するには承認プロセスが必要となるため、コード更新の実装にかかる時間が大幅に増えます。
多くの場合、支払いを手動で処理するには、正確な金額が正しい送信先に送金されるように、各部署が協力し合う必要があります。承認が必要な請求書が適切な承認者に自動的に転送されると、このタスクの完了に必要な時間を短縮できます。
ワークフローのデジタル化と自動化を達成するには、そのプロセスが手動でどのように行われているかを理解する必要があります。そのためには次の手順でワークフロー監査を実行できます。
すべての手動プロセスのマップを作成するのは手間と時間がかかる可能性がありますが、実行すると、現在の手動ワークフロー・システムをデジタル化する機会を特定しやすくなります。
時間はかかるものの反復的で比較的簡単に完了できるプロセスは、自動化の最有力候補であり、基本的なデータ入力はその一例です。
ワークフローのデジタル化に役立つアプリは、人工知能などの高度なソリューションから、請求書作成を簡略化するテンプレートの作成といった、はるかに単純な自動化ツールまで、多数あります。
自動化する主要な手動プロセスを特定したら、デジタル・ワークフローの構築に着手できます。デジタル・ワークフローがよく導入される領域として、従業員のオンボーディングなどの人事プロセス、データ入力などの業務プロセス、請求書の承認などの財務プロセスが挙げられます。こうした特定業務には、それぞれ専用のデジタル・ワークフロー用ソフトウェアがあります。
新しいデジタル・ワークフローが最初から完璧に機能しなくても、気にする必要はありません。特定のプロセスがデジタル化されたら、定期的にプロセス監査を実施して、ワークフローが意図したとおりに機能し、効率性が向上していることを確認すると良いでしょう。
例えば、自動化ソフトウェアを使用して求人応募者の履歴書を審査しようとしたところ、優秀な応募者がいないことに気付いた場合は、ソフトウェアがフラグを立てるようにトレーニングされたメトリクスとキーワードの確認と調整が必要になることがあります。
プロセス導入後は、ビジネス・ニーズやテクノロジーの進化に合わせてワークフローを継続的に最適化することが重要です。
デジタル・ワークフロー、ビジネス・プロセス管理(BPM)、ビジネス・プロセス・オートメーション(BPA)はすべて密接に関連しています。BPAとは反復的で時間のかかるタスクを自動化するプロセスを指し、より重要な課題に集中する時間と精神的エネルギーを従業員に与えることを目的とします。こうしたタスクを自動化すると、デジタル・ワークフローの構築に役立ちます。
BPMとは、各ビジネス・プロセスを調和させることで、ワークフロー管理の向上を図るという概念です。例として、統一的な戦略に基づく自動化されたデジタル・ワークフローが挙げられます。定期的なワークフロー監査を含めて、BPMを効果的に実践すると、デジタル化と自動化が必要なタスクを理解するのに役立ちます。
デジタル・ワークフローを通じた職場の変革は、企業の時間とコストの削減に貢献します。また、タスクがどのように完了されるかがよりガラス張りになります。デジタル・ワークフローの使用を継続していくうちに、ビジネス・プロセスの洗練度を高める方法が理解できるようになります。
デジタル・ワークフローは、労働集約的なビジネス・プロセスの簡素化と合理化につながります。デジタル・ワークフロー・プロセスがすべて効率的とは限りませんが、手動ワークフローのタイプの中には非効率なものが多数あります。
例えば、すべての記帳作業を手動で行うと、人為的ミスが生じる余地が生まれ、時間もかかります。一方、記帳作業をデジタル化すると、人間が計算を行うことに伴うリスクの一部が軽減します。
デジタル・ワークフローを自動化することで、新入社員のオンボーディング中に歓迎メールを送信するといった反復的タスクにかかる時間が減少します。こうした手動タスクに費やす時間が少ないほど、より重要なタスクに費やす時間が増え、全体的な生産性が向上します。
デジタル・ワークフローでは共有記録が作成され、チーム・メンバー全員がタスクやプロセスの最新の進捗状況を把握するのに役立ちます。こうした透明性により、利害関係者全員がプロジェクトのうち自分の担当部分に責任を持ち続けるようになり、プロジェクトを順調に進めることができます。共有のプロセス記録は、疑問や不一致が生じた場合、その解決を図るうえでも役に立ちます。
手動プロセスが自動化される場合、これらプロセスに費やす時間に関するデータも作成されます。これにより、ボトルネックの場所がより明確になり、ワークフローを継続的に調整できます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延中、リモートワークの人気が飛躍的に高まりました。従業員の勤務方式は、以前はオフィスに出勤するのが標準的でしたが、少なくとも勤務時間の一部をリモートワークにあてる方式へと急速に変化しています。リモートワークの土台となっているのがデジタル・ワークフローであり、この土台なしでは、リモートワークは不可能となるでしょう。
デジタル・ワークフローは組織に大きな価値をもたらすことができる反面、課題もあります。以下に一般的な例を挙げます。
デジタル・ワークフローを導入するには、自動化テクノロジーとその職場へのメリットを理解する必要があります。デジタル・ワークフローの自動化用ソフトウェアの中には設計が異なるものがあり、一部のソリューションは職場や対象タスクに適していない可能性があります。
例えば、全員の出社が求められる小規模オフィスでは、会議にデジタル・ワークフローを導入する必要はないと通常考えられます。
新しいプロセスをワークフローに導入するには、多くの場合、トレーニングまたは再トレーニングが必要ですが、デジタル・プロセスはより複雑になる可能性があります。コンピューターが苦手だからといって責めるわけにはいきませんが、職場のデジタル・トランスフォーメーションに必要なトレーニングは一部の従業員にとって高度すぎる場合があります。
また、デジタル・ワークフローは文字通り「デジタル」なものであるため、リモートワークの場合を中心に、新しいワークフローを処理できるコンピューターと安定的なインターネットが必要となります。ワークフローが完全にデジタル化されている場合、インターネットが切断して必要なツールにアクセスできなければ、従業員はタスクを完了できません。
一部のビジネス・プロセスは少なくとも完全に自動化する必要はありません。Eメールでのやり取りでは、検索可能な会話のログが残されるため説明責任を果たすのには役立ちますが、すぐに決定を下す必要がある場合は、電話の方が効率的と考えられます。
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