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データ・マーケットプレイス
公開日:2024年5月20日
寄稿者:Tim Mucci
データ・マーケットプレイスは、データ・プロバイダーと消費者がデータをリスト、購入、取引できるオンライン・プラットフォームです。これらのデジタル・ストアフロントでは、サプライヤーはデータを効率的に宣伝、管理、販売できる一方、消費者はユーザーフレンドリーなセルフサービスのインターフェースを通じて多様なデータ・セットを探索、比較、購入できます。
データ・マーケットプレイスは主に外部向けのものですが、内部向けのマーケットプレイスやデータ交換もあり、組織内外のデータ共有に重点を置き、組織のデータ関連ニーズに対応する一元化されたプラットフォームを提供します。高度な検索およびフィルタリング機能により、ユーザーは特定の要件に合わせて関連データを見つけることができます。そして、通常はクラウド・サービス上でホストされているこのようなプラットフォームなら、データ作成者はデータ・セットを簡単にアップロードすることができます。
これまで、外部データへのアクセスを要求するには、複数のプロバイダーに連絡し、契約を交渉し、複雑なデータ転送を管理する必要がありました。ビッグデータの急増により、データをよりアクセスしやすくし、イノベーションに役立てたいと考えている現代の企業にとって、データ・マーケットプレイスは不可欠な存在となっています。収集・生成されたデータが単なる業務の副産物ではなく、競争上の優位性を獲得するために使用できる貴重な資産であるということを、今やさまざまな業界の組織が理解しています。
企業はデータを使用して市場での地位を維持し、拡大しています。例えば、大手小売チェーンはデータを活用して在庫をより効率的に管理し、販売動向を予測し、物流を最適化しています。大手テクノロジー企業では、ユーザー・データを分析することで、製品機能を改善し、広告のターゲットをより効果的に絞り込んでいます。機械学習(ML)と人工知能(AI)の機能が成熟するにつれて、組織の内部データだけでは正確で関連性の高いモデルを構築するのに不十分となり、外部データへのアクセスの必要性が高まっています。
この外部データは、オープン・データの政府プログラム、スマート・シティーのセンサー・データ、都市データ交換、サードパーティーの商用データ・プロバイダーなどの共有エコシステムから得られます。データ・マーケットプレイスの出現により、組織は情報に基づいた意思決定や、ビジネス・インテリジェンスの強化、AIモデルとMLモデルの適用などに必要となるデータにアクセスできるようになりました。
最新のデータ共有でビジネス価値を高めるためのガイドをお読みください。
モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、ディープラーニング、機械学習(ML)などのビッグデータ分析テクノロジーの台頭により、組織のデータに新たな価値がもたらされました。データ交換プラットフォームにより、データ収集プロセスが合理化され、買い手と売り手の間のギャップを埋めることがこれまで以上に容易になりました。蚤の市の売り手に似ていますが、そのデータ版といった具合です。
データ・マーケットプレイスには、次の3つの主な利点があります。
外部データは、予測モデルの最適化、セキュリティの弱点への対処、効率の向上、投資収益率の最大化に使用されます。「外部データ」という用語は、企業自身の業務や取引から生成される内部データとは異なる、組織外部から生成されたデータを指します。外部データは組織にとって貴重な資産となります。内部データを補完し、より幅広いコンテキストを提供し、限界のある内部データでは得られなかったかもしれないインサイトの獲得を可能にするからです。
データの継続的な収益化により、Data as a Service(DaaS=サービスとしてのデータ)への道が開かれ、組織はデータ資産からスケーラブルな収益源を創出できるようになりました。データ・マーケットプレイスでは、プロバイダーがデータ製品をリストし、価格を設定し、データ転送に必要な情報を提供します。消費者はほぼ即座にデータを検索、購入、使用できるため、データ調達のコストと複雑さが軽減され、データ駆動型の意思決定が容易になります。
データ収集へのアクセスによってデータ・プライバシーが侵害されることがあってはなりません。参加者は、個人情報の収集に関して適用されるすべての法規制と倫理基準を遵守する必要があり、データ・サプライヤーは、一般データ保護規則(GDPR)やCalifornia Consumer Privacy Act(CCPA )などの規制を遵守する必要があります。
世界的には、データ・マーケットプレイスはさまざまな規制環境に対応しなければならず、複数の国で事業を展開する場合に課題が生じる可能性があります。データ・マーケットプレイスのプラットフォームは、適応性に優れ、オープンなうえ、各国のデータ保護法に準拠している必要がありますが、これらの法律は国によって大きく異なる可能性があります。
しかし、データ・マーケットプレイスが成功するには、いくつかの重要な要素を優先する必要があります。これには、次のようなものが含まれます。
検証チェックと品質保証プロセスを実装して、データが正確で使用可能であることを保証します。
機密データを保護し、世界中のプライバシー法に準拠するための強力なセキュリティー・プロトコルを確立します。
高度な検索機能を備えた直感的なセルフサービス・インターフェースを提供し、ユーザーが必要なデータ・セットを見つけられるようにします。
権利、制限、義務を定義した明確なライセンス契約により、データ・ライセンスや支払いシステムなどのトランザクションを安全に処理します。
内部データ・マーケットプレイスでは、特定のドメインやユースケースに対応した、すぐに使える再利用可能なデータを簡単に見つけてアクセスできるようになります。これらのマーケットプレイスは、高品質のAI製品やデータ製品の発見を簡素化することで社内のデータ収益化を加速し、ユーザーがデータ管理ではなくインサイトの生成に集中できるようにします。
内部データ・マーケットプレイスは、大量のデータを生成して使用する大組織や企業内でますます人気が高まっています。データの共有、検出、使いやすさを強化するように設定されたこれらのマーケットプレイスにより、データのサイロ化が解消され、アクセスが民主化されます。そのため、すべての許可されたユーザーがプロジェクトに適したデータを迅速かつ効果的に選択できるようになります。このアプローチでは、ユースケースの特殊性から高いコンバージョン率へつながる(つまり、データの検索とリクエストがトランザクションの成功につながる)だけでなく、組織内でのデータ処理に対してもより統合されたアプローチが促進されます。
内部マーケットプレイスは、組織全体でデータ共有を合理化し、簡素化されたデータ検出を促進することで、組織の効率性を向上させ、透明性とコラボレーションの文化を育みます。また、データ・セキュリティーとサービス・レベル契約(SLA)および法的基準への準拠を確保するために、必要なガードレールを備えた厳格なガバナンス・フレームワークを実装します。このフレームワークは、さまざまな環境から供給されるデータ製品の組織全体での共有をサポートし、データ製品のオンボーディング、共有、検出、および消費を効率化します。
内部データ・マーケットプレイスでは、多くの場合、複数の技術スタックとシームレスに統合する非独占的なソリューションを使用することで、ベンダー・ロックインを回避し、データ運用の柔軟性を確保します。この戦略的な選択肢は、絶えず変化するビジネス環境に必要な、汎用性と適応性に優れたデータ管理インフラストラクチャーに対応しています。
データ・マーケットプレイスは、幅広いデータ・セットへのアクセスを提供することで、企業が社内のデータ収集能力を超えて活動できるよう支援します。データのダイバーシティー(多様性)は多様なソリューションにつながり、広範なデータへのアクセスは新たな視点やアプローチを開拓するうえで役立ちます。研究や開発を促進し、企業が複雑な課題に対する斬新なソリューションを考案するためには、包括的なデータ・セットが必要です。また、利用可能なデータの性質は多様であるため、組織は内部データでは得られなかったかもしれない洞察を得ることができます。
データ市場は、特に高品質のデータを提供またはアクセスできない可能性のある小規模なエンティティにとって、競争の公平化を促進します。これらのプラットフォームは、データを民主化することで競争を促進し、業界での従来の障壁を打ち破るため、さまざまな分野で製品やサービスの向上につながります。こうしたアクセスは、新興企業や中堅企業に変革をもたらし、大企業に挑戦して大規模なイノベーションを実現することができます。
データ市場は、多数のソースからの貢献により、常に更新および拡張されている高品質のデータを豊富に提供しています。この多様性は、分析の範囲を広げるだけでなく、情報に基づいた意思決定を行うために不可欠な洞察の精度と信頼性も向上させます。データ・ランドスケープが充実しているということは、企業がより詳細で正確な分析を導き出すことができることを意味します。
データを取集するプロセスというのは、煩雑で非効率的であることがよくあります。データ・マーケットプレイスは、組織が必要なデータを迅速に見つけて調達できる一元的な場所を提供することで、このプロセスを合理化します。この効率化により、時間が節約されるだけでなく、従来のデータ調達方法に関連する物流上の問題も軽減されます。
より包括的なデータにアクセスできるため、組織は情報に基づいた意思決定を行うことができるようになります。市場動向の分析、消費者行動の理解、業務効率の最適化など、データ・マーケットプレイスは企業に戦略の指針を示し、成果を向上させるために必要なインテリジェンスを提供します。
データ・マーケットプレイスのエコシステムはさまざまな利害関係者で構成されており、それぞれがマーケットプレイスの機能と有効性において重要な役割を果たしています。これらの役割を理解することで、データが作成から消費までどのように流れるかが明確になり、すべての参加者が安全で規制された環境内で作業できるようになります。
データ・プロバイダーは、データ資産を消費用に提供する組織または個人を指し、製薬会社や製薬研究者が利用できる匿名化された患者データを提供する医療機関から、貴重なデータを収集して配布するアグリゲーター、ブローカー、研究機関まで多岐にわたります。また、個人のデバイスやアプリを通じてデータを生成する個人ユーザーも、大規模な機関のチャネルではアクセスできない固有のデータ・セットを提供することで、エコシステムに大きく貢献しています。
データ・コンシューマーとは、分析、AI プロジェクト、リサーチ、ビジネスインテリジェンスの強化など、さまざまな目的で特定のデータセットを求める組織または個人のことです。コンシューマーは、戦略的意思決定、イノベーションの推進、そして各分野における競争上優位性の維持のために、データの質と関連性に依存しています。データ・コンシューマーのダイバーシティーでは、予測分析によるリスク管理の改善を目指す金融サービスから、消費者セグメンテーションやターゲティング戦略の改善を目指すマーケティング会社まで、さまざまなセクターに渡ってデータが持つ幅広い適用性を反映しています。
プラットフォーム・オペレーターは、データ・マーケットプレイスの設計者および管理者のことです。また、プラットフォームを開発、保守、運用し、必要なインフラストラクチャーとセキュリティー対策を提供しています。これらオペレーターは、データ・プロバイダーと消費者の間のやり取りをサポートし、マーケットプレイスが円滑に機能するようにします。その責務には、データ・トランザクションをサポートする技術フレームワークの管理、データ完全性の確保、潜在的な侵害に対するシステム・セキュリティーの維持が含まれます。
多くのデータ・マーケットプレイスは、データの交換と使用に関するポリシー、標準、コンプライアンス要件を規定するデータ・ガバナンス当局または規制機関によって監督されています。これらの機関は、市場内のデータを保護し、すべての取引が法的および倫理的な基準に準拠していることを保証し、ユーザーの信頼を維持するために重要な存在です。データの取り扱い方や保護方法を規定する欧州のGDPRやカリフォルニア州のCCPAなどのデータ・プライバシー法の施行において重要な役割を果たしています。
参加者間のやり取りは、マーケットプレイス運営の基盤となります。データ・プロバイダーは、データ・セットが正確でプライバシー基準に準拠していることを保証する必要があります。これにより、プラットフォーム・オペレーターは自信を持ってデータ交換をホストおよび促進できます。しかし、データ・コンシューマーは、データを安全かつ効果的に利用するために、プラットフォームのセキュリティー対策の堅牢性とデータ・ガバナンスの完全性に依存しています。一方、ガバナンス当局はこれらのやり取りを監視し、規制要件を確実に遵守し、必要に応じてコンプライアンス上の問題を解決するために介入します。
データマーケットプレイスは幅広い業界に対応しており、それぞれが多様なデータ・カテゴリーに貢献しています。これらのデータ型を理解することは、組織や個人が意思決定を伝え、分析を強化し、ビジネス戦略を推進するために必要な具体的なデータ・セットを特定するのに役立ちます。
マーケットプレイス・プラットフォームは、人口統計や企業統計の理解から、市場動向や地理空間データの分析まで、幅広いニーズに対応します。また、トランザクション記録、ソーシャル・メディアのインサイト、接続されたデバイスのセンサー・データは、データ・マーケットプレイスやデータ交換所でも利用できるため、企業は情報に基づいた意思決定を行い、分析を推進し、さまざまな分野にわたって戦略を最適化することができます。さらに、公開データやウェブ・スクレイピングされたデータにより、世論や市場調査、政策策定に関する貴重な洞察が得られます。
データ・マーケットプレイスはデータ・コマースをサポートするように設計されており、需要と供給の動向に依存して効率的に運用されます。これらのプラットフォームでは、データ・トランザクション・プロセス全体を合理化するさまざまな高度な機能が採用されており、データの簡単な共有やアクセス、安全な管理が可能になります。
データをマーケットプレイスで利用できるようにするための最初のステップは、データの製品化です。このプロセスには、購入可能なデータ製品の開発、ワークフロー管理、および維持が含まれます。これにより、データ・セットが潜在的な購入者にとってアクセスしやすく、価値のある方法でパッケージ化されることが保証され、データの使いやすさが向上します。
ユーザーが必要なデータを効率的に見つけられるよう、データ・マーケットプレイスには堅牢なデータ検出ツールが備わっています。これらのツールには、詳細なメタデータ表示を備えた検索可能なライブラリが含まれており、ユーザーは必要なデータ・セットをすばやく簡単に特定してアクセスできます。これは、マーケットプレイスで利用可能なデータ資産の有用性を最大化するために不可欠な機能です。
APIは、データ製品へのアクセスを管理する上で決定的な役割を果たします。アクセス制御のインテグレーション(統合)やその他のテクノロジーと並行してAPIを使用することで、承認されたユーザーが安全かつ確実にデータにアクセスできるようになります。このテクノロジーは、データ・プロバイダーとデータ・コンシューマー間のシームレスなやり取りを促進し、学術研究からビジネス・インテリジェンスまでのさまざまなユースケースをサポートします。
データ収益化機能により、サプライヤーはデータ製品のライセンスを効果的に取得し、販売することができます。マーケットプレイスは、支払いゲートウェイやライセンス契約など、トランザクションの実行に必要なツールを提供することで、データ・サプライヤーがデータ資産から収益を生み出すことを可能にします。これは、プロバイダーに利益をもたらすだけでなく、多様なデータ提供を引き付けることにより、市場の成長にも貢献します。
データ統合機能により、さまざまなソースやプラットフォーム間でのデータのスムーズな送受信が可能になります。この機能により、データ・マーケットプレイスは、さまざまなデータベース、クラウド・サービス、分析ツールと統合して、より大きな技術エコシステム内で運用できるようになります。データ運用の拡張性をサポートし、データの買い手と売り手の双方が効率的かつ安全に情報を交換できるようにします。
データ・マーケットプレイスは、その有用性と信頼性を維持するために、データ管理のベスト・プラクティスに準拠する必要があります。
データ品質:データの正確性、一貫性、完全性、適時性を確保することが基盤となります。
データ・プロビナンス:データが誰によって作成されたか、どのように収集されたか、プライバシーを保護するために匿名化または非識別化されているかどうかを理解することが不可欠です。
ガバナンスとコンプライアンス:データは法律および規制基準に準拠する必要があり、安全なストレージやアクセス制御などの堅牢なセキュリティ対策が必要です。
マーケットプレイスの評判:品質チェックの実施、ユーザー・レビューの提供、紛争解決の促進は、マーケットプレイスの完全性を維持するうえで役立ちます。
確認と検証:データは、市場に統合される前に、正確性と関連性について厳密にテストする必要があります。
プロバイダーとのパートナーシップ:データ・プロバイダーとの強固な関係により、データの限界や用途に関する理解を深め、データを最新で関連性の高い状態に保つことができます。
ベンダー・ロックインなし:マーケットプレイスのテクノロジーとポリシーが複数のベンダーやシステムとの容易な統合に対応できるようにすることで、単一のプロバイダーへの依存を防ぎ、ベンダーの選択とテクノロジーのアップデートを柔軟に行えるようになります。
さまざまなユーザーのニーズやデータの機密性レベルに対応するため、データ・マーケットプレイスの構造と目的も異なります。これらのバリエーションを理解しておくことで、特定のデータ・ニーズに適したマーケットプレイスを選択できるようになります。
公開データ・マーケットプレイスは、公開されているリンクを通じて、誰もがいつでもアクセスできます。さまざまなプロバイダーからの幅広いデータを提供し、内部マーケットプレイスと比べ、異なるレベルの信頼性が要求されます。公開マーケットプレイスのプロバイダーは、共有されるデータが安全であり、関連する規制法に準拠していることを確認する必要があり、ユーザーは、データのアクセスと使用に影響を与える可能性のあるローカル・ガバナンスに基づくサービス・レベルの契約と制限を想定する必要があります。
プライベート・データや個人データのマーケットプレイスは、消費者本人の個人データのプライバシーやコントロールに関する要求に対応しています。こうしたマーケットプレイスでは、個人はオンライン行動や位置情報などのデータを共有することで、多くの場合、バウチャーやギフトカードと引き換えに報酬を得ることができます。このようなデータは、大災害やパンデミックなどのイベントの際に重要な人口移動や行動についての洞察を提供する貴重なデータです。
ハイブリッド・データ・マーケットプレイスでは、公開マーケットプレイスとプライベート・マーケットプレイスの両方の機能が統合されています。このマーケットプレイスでは、データの一部は一般にアクセス可能な柔軟性の高いプラットフォームが提供されますが、より機密性の高いデータや貴重なデータは制限されたままとなり、プライベート・リンク経由でのみアクセスできます。これを設定することで、内部および外部のデータ・コンシューマーのデータ・プロダクトへのアクセスを制御できるようになります。例えば、さまざまなレベルのユーザー・アクセスを制御するライセンス契約によって、大規模なデータ・セットが組織内で完全に利用できる場合と、外部ユーザーがアクセスできるのはサブセットのみである場合があります。
多層データ・マーケットプレイスは、内部と外部の両方のデータ・コンシューマーに対応しますが、データの「レベル」または「レイヤー(層)」に基づいて規制されたアクセスを提供します。これらのレイヤーには、外部提供用に何らかの方法で集約、変換、または強化された生データ、処理済みデータ、または派生データが含まれる場合があります。このタイプのマーケットプレイスでは、通常、トランザクションごとに管理する必要がある強化されたセキュリティー、アクセス制御、およびロールベースの権限が必要なため、複雑なアーキテクチャーが必要になります。
B2B(ビジネス・ツー・ビジネス)データ・マーケットプレイスは、組織間のデータの交換を目的として設計されており、多くの場合、データ・リストに掲載するための支払いを要求するモデル、またはデータが販売された場合にのみ収益を許可するモデルに基づいています。統合を容易にするAPIを備えた独占的な分析グレードのデータや洗練されたデータ・セットを求める組織にとって魅力的なマーケットプレイスです。
増大するIoT(モノのインターネット)デバイスからのデータを組織がますます活用するようになるにつれて、IoTデータ・マーケットプレイスが出現しています。これらのマーケットプレイスは、グローバルな情報の流れを統合し、組織を消費者の行動、インターネットの傾向、技術の進歩に合わせて調整します。多くの場合、時間単位の支払いオプションなどの柔軟な価格モデルが採用されており、比較的利用しやすくなっています。
オープン・データ・マーケットプレイスは、誰でもアクセスできる公開データを提供します。一例として、米国のdata.gov(ibm.com外部へのリンク)は、透明性と説明責任を強化するために政府データを集約しています。このタイプのマーケットプレイスは、官公庁・自治体などの政府関連データへのオープン・アクセスを促進し、市民の関与とイノベーションを支援するための鍵となります。
データ・マーケットプレイスを効果的に運営するには、組織のデータ戦略とコンプライアンス基準に沿った構造化されたアプローチが必要です。このガイドでは、組織がデータ収集の取り組みを最大限に高めるためにデータ・マーケットプレイスと連携する方法について順を追ってご紹介します。
データ・ニーズを把握する
どの組織にとっても、最初のステップはデータのニーズを明確に理解することです。これには、ビジネス目標をサポートし、意思決定プロセスを強化するための具体的なデータ要件を特定することが含まれます。これらのニーズを理解することで、検索を最も関連性の高いデータ・セットに絞り込んだり、リソースを効率的に使用したりできるようになります。
ベンダー・ロックインに注意
データ・プロバイダーの切り替えは困難なうえ、コストもかかる場合があります。データ・ソーシング戦略の柔軟性は、ベンダー・ロックを回避することで向上します。オープンなデータ標準を優先し、独自のシステムを回避することで、組織はデータの制御を維持することができます。
評判の良いマーケットプレイスを選択
評判の良いデータ・マーケットプレイスを選択することが重要です。組織は、信頼性、セキュリティー対策、顧客からの肯定的なフィードバックなどでよく知られたプラットフォームを探す必要があります。信頼できるマーケットプレイスでは、高品質のデータが提供されるだけでなく、取引の安全性とデータ処理慣行が法的基準に準拠していることも保証されます。
データ・プロバイダーを評価する
適切なマーケットプレイスが特定されたら、そのマーケットプレイス内のデータ・プロバイダーの資格と評判を評価します。プロバイダーの履歴、データ生成方法、および以前の顧客レビューを評価することで、プロバイダーの信頼性と提供するデータの品質についての洞察を得ることができます。
データ・プロビナンス(出自)とコンプライアンスを確認する
データの出自(データの出所、収集方法、処理または変更されたかどうか)を理解することは不可欠です。法的な影響を回避するためにも、データが関連するすべての法律および規制(EU市民が関与するデータではGDPRなど)に準拠していることを確認するようにしましょう。
データ品質を評価
データの品質は最優先事項です。データの精度、適時性、完全性、関連性を評価して、データが組織の基準を満たしていることを確認しましょう。高品質のデータは、情報に基づいた意思決定とビジネスの成功を促進するためには不可欠です。
データ・ガバナンスの実装
データ・マーケットプレイスと関わる際は、堅牢なデータ・ガバナンス・プラクティスの実装が不可欠です。データ・ガバナンスは、取得されたデータが組織内のライフサイクル全体を通じて、事前定義された標準とポリシーに従って管理されることを保証します。
検証と検証
データをシステムに完全に統合する前に、データを検証して、要件に一致し、エラーがないことを確認します。これには、統計分析、既存データとの相互参照、または現在のシステムへの影響を評価するためのパイロット・テストの実施などが含まれる場合があります。
監視と更新
データのニーズとデータ品質は時間の経過とともに変化する可能性があるため、データとその取得元のソースを継続的に監視および更新することが重要です。定期的な更新とチェックにより、データの関連性と有用性が維持されます。
組織内のデータの管理と保管を監督するデータ・スチュワードは、さらに以下の点を考慮する必要があるかもしれません。
統合
マーケットプレイスからのデータが、データの完全性を損なったり、技術的な中断を引き起こしたりすることなく、既存のシステムとシームレスに統合できることを保証します。
費用対効果
購入の費用対効果の比率とデータから導き出された潜在的な価値を分析します。これは、経済的に健全な意思決定を下すうえで役立ちます。
ライフサイクル管理
取得したデータの入力からフェーズアウトまでのライフサイクルを管理し、データの使用全体を通じてコンプライアンスと関連性が維持されるようにします。
メタデータ管理
正確で包括的なメタデータを維持して、データの使いやすさとアーカイブ実践を効果的にサポートします。
倫理と公正
データ使用における倫理基準を遵守し、データ、特に個人情報や機密情報を含むデータが公正にかつ責任を持って使用されるようにします。
組織を教育する
データのコンプライアンス、倫理的な使用、取得したデータの使用に関するベスト・プラクティスの重要性について組織のメンバーを教育します。
プロバイダーとの関係の確立
データ・プロバイダーと良好な関係を構築して維持し、不一致や特定のデータ・ニーズがあった場合などに高品質なデータとサポートを確実に供給できるようにします。
法的考慮事項
購入したデータの使用に関する法的側面 (ライセンス条件や、法的な問題を回避するためのデータの使用に関する制限など) について常に最新情報を把握しましょう。
データ製品の共有に使用されるIBMデータ・プロダクト・ハブのセルフサービス・ソリューション。Data Product Hubでは、データ・プロデューサーはキュレートされたデータ・プロダクトを公開してデータ・コンシューマーと共有することができます。データ・コンシューマーは、自らのビジネスに必要なデータ製品に簡単にアクセスできます。
IBM Knowledge Catalogは、データ検出、データ品質管理、データ・リネージュ、データ保護を自動化するデータ・カタログを提供するデータ・ガバナンス・ソフトウェアです。IBM Cloud Pak for Data向けのIBM Knowledge Catalogを使用して、AIや分析プロジェクトをフィードするビジネス対応データを提供します。
watsonx.dataは、AIワークロードを拡張するためのオープンなデータレイクハウス・アーキテクチャー上に構築された、目的に適ったデータ・ストアです。組織のデータ・ランドスケープを簡素化し、単一のエントリー・ポイントを通じて、どこにいてもすべてのデータにアクセスできるようにします。
DaaPとは、データを組織内外のさまざまなユーザーに提供できるマーケティング可能な製品として扱うように設計された、データ管理の総合的な方法論です。
高度なデータ管理ソフトウェアと生成AIは、プラットフォーム機能の作成を加速し、エンタープライズ対応のデータとAI製品のスケーラブルな提供を可能にします。
データの民主化とは、データ・アクセスの増加、データ・スタックの簡素化、データ・ゲートキーパーの排除、アクセスしやすいデータ・プラットフォームの作成を実現するための方法です。