対話型AIがまず初めに考えることは、御社製品のユーザーになろうとしている人が、その製品とどのような対話をしたいと思うかであり、また、将来のユーザーが抱くであろう主な質問事項です。のちほど、対話型AIツールを使って、関連資料への経路指定を行うことができます。この章では、対話型AIの開発立案から作成までを一通りご案内いたします。
1.エンドユーザー向けのよくある質問(FAQ)リストを見つける
よくある質問は、対話型AI開発プロセスの基礎となるものです。このデータのおかげで、御社製品のエンド・ユーザーの主なニーズや懸念を把握することができ、その結果、ユーザーからのフィードバックを求めて、幅広く呼びかけを行う御社のサポート・チームの労力をいくらか省くことにもつながります。御社製品に関して、よくある質問リストが存在しない場合、カスタマー・サクセス・チームを立ち上げ、対話型AIでサポート可能な、適切な質問リストを策定しましょう。
いま仮に、御社が銀行だとします。よくある質問リストの最初の1問は次のようになるでしょう。
- 自分の口座にアクセスするにはどうしたらいいですか?
- どうやったらルーティング・ナンバーや口座番号を知ることができますか?
- デビット・カードはいつ到着しますか?
- デビット・カードをアクティブ化する方法は?
- 自分の注文内容を確認する方法は?
- 地元の銀行を打合せする方法は?
よくある質問リストには、いつでも質問を追加することができます。このためまずは、開発段階で対話型AIにとってプロトタイプといえる必要最小限の質問だけを揃えることも可能です。
2.対話型AIツールの開発という目標を目指してよくある質問を活用する
よくある質問は、ユーザーが入力によって伝えようとする目的や意図の基本形を定めるものです。口座へのアクセスなども、これにあたります。いったん大まかに目的を定めたら、watsonxAssistantなどの競争力のある対話型AIツールにそれらをプラグインすることを企図することもできます。
その状態から、ユーザーが当該情報を言い表したり問い合わせたりする方法について、対話型AIを教育する必要があります。「自分の口座にアクセスするにはどうしたらいいですか?」を例に取れば、ユーザーがサポートチームとチャットでやりとりする際に使用するかもしれない別のフレーズを検討することができます。一例としては、「ログインする方法は?」、「パスワードを初期化する方法は?」、「アカウントを割り当ててもらう方法は契約以下のための口座」、というようなフレーズです。
お客様が使うかもしれないその他のフレーズが、見当がつかない場合は、社内の分析チームやサポート・チームと提携することが推奨されます。御社のチャットボット分析ツールが適切に設定されていれば、御社の分析チームは、Webデータをマイニングし、サイト検索データから他のクエリーを調査できます。または、Webチャットの会話やコール・センターからの複写データを分析することもできます。御社の分析チームが、このタイプの分析を設定していない場合、顧客がお問い合わせの際によく使う表現については、社内のサポート・チームが貴重な情報を提供してくれるはずです。
3.目的を活用して、関連する名詞やキーワードを理解し構築する
御社の意図に関連する名詞やエンティティーについて考察しましょう。ここでは、例として、ユーザーの銀行口座について着目してきました。このため、銀行口座情報を中心にエンティティーを作成することが合理的であると言えます。
「ユーザー名」、「パスワード」、「口座番号」など、多くの値が、このカテゴリーの情報に分類される場合があります。
特定のユーザーの意図に関わるエンティティーを理解するには、ツールまたはサポート・チームから収集されたものと同じ情報を使用して、目的または意図を開発する必要があります。これらの名詞は、主な質問の前後にきます。
4.すべてを1つにまとめ、ユーザーとの有意義な対話を作成する
これらの要素がすべて連携することで、エンド・ユーザーとの会話が作成されます。マシンは、意図を手掛かりとして、ユーザーが何を求めているかを解読し、関連する応答を提供する手段として、エンティティーが機能します。たとえば、対話型AIと、パスワードを忘れたユーザーとのあいだでは、次のようなやりとりが展開することが考えられます。
ユーザーのニーズに基づいて論理的な会話フローを構築するにあたり、目的と名詞(またはIBMが意図やエンティティーとみなすもの)は、一体となって機能します。御社独自の対話型AIの構築を開始する準備がすでに整っていれば、IBMのwatsonxAssistantLiteバージョンを無料でお試しいただけます。