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CMSとは

コンプライアンス管理システム(CMS)は、規制要件、社内ポリシー、業界標準を満たすために使用される統合システムです。効果的なCMSは、組織がコンプライアンス違反を回避し、継続的な規制コンプライアンスを達成するのに役立ちます。

その名のとおり、コンプライアンス管理システムはまさに「システム」です。これは、特定のテクノロジーやプロセスで構成されるものではなく、コンプライアンス・リスクを軽減し、組織がコンプライアンス責任を果たすために連携するツール、ビジネス・プロセス、内部統制の集合体です。コンプライアンス管理システムには、リスク評価からコンプライアンス・トレーニングまで、さまざまなものが含まれます。

効果的なコンプライアンス管理システムを持つことは、組織のコンプライアンスへの取り組みやより広範なリスク管理戦略にとって不可欠です。コンプライアンス要件を遵守しない場合、罰金、業務の中断、データ侵害リスクの増大など、深刻な結果を招く可能性があるため、このような必要性が生じます。

今日、コンプライアンス管理システムは高度に自動化されていることが多く、潜在的なリスクを事前に特定することで、組織が即座に是正措置を講じて、コンプライアンス上の問題をリアルタイムで対処できるようにしています。

コンプライアンス管理とコンプライアンス管理システム

コンプライアンス管理とコンプライアンス管理システムは、技術的には別のものですが、密接に関連しています。

コンプライアンス管理とは、組織が規制を遵守するために採用する広範な戦略を指します。ただし、コンプライアンス管理システム(CMS)は、これらのコンプライアンス・プロセスを自動化および合理化するために使用される実用的なツールと制御をセットにしたものです。つまり、コンプライアンス管理は全体的なアプローチで、CMSは実用的なソリューションと言えます。

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CMSが重要である理由

今日、組織は業界や管轄区域を超えて、多くのコンプライアンス規制に直面しています。このようなコンプライアンス規制は、医療業界であれば、HIPAAのように複雑で業界特有のもの、EUであればGDPRのように地域特有のものであることが多いです。

コンプライアンス要件に違反すると、多額の罰金や法的問題につながる可能性が高いです。たとえば、2023年5月、アイルランドのデータ保護機関は、GDPR違反を理由にカリフォルニアに拠点を置くMeta社に13億米ドルの罰金を科しました。

さらに、コンプライアンス問題やサイバーセキュリティーに対する消費者の意識も変化しています。McKinsey社が最近行った調査では、回答者の85%が、購入前に企業のデータ・プライバシーに関するポリシーを知ることが重要だと答えています。企業は、コンプライアンスが単にビジネスを行う上での代価ではなく、むしろビジネスにプラスになる可能性があるということに気づき始めています。

それでも、コンプライアンス規制を満たすのが困難な場合があります。多くの組織は、ますますグローバル化しており、世界中にオフィスがあり、従業員や顧客が複数の地域にまたがっており、それぞれに異なる規制要件があります。これらの組織は、特に新しいテクノロジーの出現に伴って法律や規制が変化し続けるため、コンプライアンス要件を常に先取りすることが困難になる可能性があります。また、組織は、新しいビジネス・イニシアチブやデータ処理方法を追加するたびに、コンプライアンスがさらに複雑になるリスクを負います。

コンプライアンス管理システム(CMS)は、組織がこうした複雑な規制環境に対応し、コンプライアンスを維持する上で役立ちます。これにより、コンプライアンス違反の領域をほぼリアルタイムで自動的にチェックし、変化する規制や法的要件に対応しやすくなります。

また、効果的なCMSを使用することで、組織は地域全体でコンプライアンスへの取り組みを標準化し、業界固有の規制や標準に準拠し続けられるように、アプローチをカスタマイズできます。=さらに広く言えば、CMSは倫理基準を強制し、コンプライアンスと企業責任の文化を確立するのにも役立ちます。

コンプライアンス管理システムの3つの主要な要素

効果的なCMSには多くの要素が含まれていますが、通常は次の3つの要素が核となります。

取締役会

取締役会は、トップダウンでコンプライアンスの文化を構築することに重点を置いています。他にも多くの責任があることを考えると、コンプライアンスよりも優先したいことがあるかもしれませんが、最終的にはコンプライアンス管理プログラムの開発と管理に責任を負います。

効果的なCMSを構築したら、そのポリシーを上級管理者および社内外のすべての利害関係者(請負業者やサードパーティー・サービス・プロバイダーを含む)に伝達する必要があります。

取締役会の監督があって初めて、組織はコンプライアンスへの取り組みを真剣に受け止めていることを示し、組織内の全員がさまざまな消費者保護法や規制を遵守できるようにする統一ポリシーを構築することができます。

コンプライアンス責任者

上級管理職は、コンプライアンス機能を指揮し、効果的な経営監視を確保するために最高コンプライアンス責任者またはマネージャーを任命することもできます。これらのリーダーは通常、取締役会に直接かつ継続的に報告し、コンプライアンス問題に関する情報を常に提供し、必要に応じてコンプライアンス管理プログラムに戦略的および戦術的な調整を行うことができます。

コンプライアンス責任者の責任には、以下が含まれる場合があります。

  • コンプライアンスポリシーと手順の確立と実施

  • 経営陣と従業員の両方が消費者保護法および規制に関する従業員研修を徹底することを保証します。

  • 新たなコンプライアンス問題と新たな潜在的リスクの評価

  • 標準化され、十分に文書化された苦情対応プロセスを通じた、消費者からの苦情への対応

  • コンプライアンス活動とコンプライアンス監査結果の取締役会への伝達

  • 是正措置を実施し、コンプライアンス・プログラムを継続的に更新するために必要な措置の実行

コンプライアンス・プログラム

コンプライアンス・プログラムは、コンプライアンス管理システムの核となる要素です。これは、すべてのコンプライアンス管理と対策の設計・実施において中心的な役割を担っています。通常、これらのプログラムには、上級管理者によって実施される内部統制やコンプライアンス・プロセスなどを体系化したポリシー、手順、慣行が含まれます。

適切に設計されたコンプライアンス・プログラムには、リスク評価、従業員トレーニング、報告体制、是正措置のほか、コンプライアンス監査およびコンプライアンス監視などが含まれます。

従業員は、コンプライアンス・プログラムを公式のコンプライアンス・ガイドとして参照する必要があります。そうすることで、全社員が同じ基準に基づいて業務を遂行し、一貫して正確にコンプライアンスの責任を果たすことができます。このため、従業員が自分の責任を理解し、現在のコンプライアンス・ガイドラインや社内ポリシーに従うことができるように、体系的なコンプライアンス・トレーニング・プログラムを構築することも重要です。

組織は、一貫性した透明性のある報告体制を確立することも検討する必要があります。これにより、効率とコミュニケーションを向上させることができます。また、コンプライアンス・チームは、要求と是正措置を追跡する明確なワークフローを用いて、適切なメンバーにタスクを割り当てることができます。

消費者からの苦情への対応

消費者からの苦情は、組織が潜在的な規制遵守の問題を特定するのに役立ちます。多くの場合、最初に潜在的なリスクを発見するのは顧客であり、これらの苦情に迅速に対応することで顧客ロイヤルティーを高めることができるとともに、組織が法的罰則を回避するために迅速な是正措置を講じることが可能になります。さらに、規制当局は組織が消費者からの苦情にどのように対処するかを精査することが多いため、迅速かつ効果的に対応することは、組織のコンプライアンスと規制上の立場を向上させるのに役立ちます。

コンプライアンス監査

コンプライアンス監査は、コンプライアンス管理システムのもう1つの重要な要素です。内部監査、外部監査を問わず、これらの監査では、組織のコンプライアンスとと、社内のポリシー、手順、規制要件への遵守状況について公平な評価が行われます。継続的なコンプライアンスの維持と潜在的なコンプライアンス・リスクの特定において、こうした監査は極めて重要になります。

外部監査の場合、通常、公平な外部監査人がコンプライアンス・ポリシーとプロトコルの独立したレビューを行います。これとは対照的に、組織の内部監査部門は通常、内部監査を行います。どちらの監査も公平であり、結果と改善の提案の概要を記載した監査レポートで締めくくる必要があります。

コンプライアンス監査はこのような独立性があることから、組織(特に大規模な組織)のコンプライアンスがより厳格になるとともに、抑制均衡を強化できます。また、内部監査はコンプライアンス活動の履歴としても機能します。場合によっては、規制当局の監査の中で提示して、説明責任を果たすこともできます。

コンプライアンス監査はストレスの多い作業ですが、組織は関連する基準に精通し、監査人が必要な情報をすぐに見つけられるように整理された記録を維持することで、プロセスを効率化できます。

組織は、コンプライアンス監査の合間に、リスク評価と継続的なコンプライアンス監視を実行できます。

コンプライアンスの監視

コンプライアンス監視では、オペレーションを積極的に監視し、コンプライアンス違反の領域を特定します。これにより、組織は規制要件を遵守し、消費者の利益をリアルタイムで保護できます。潜在的なリスクが発生した場合、コンプライアンス監視はそのリスクを早期に検知し、迅速な是正措置と修復を講じて再発を防止します。

その他のコンプライアンス監視方法には、従業員へのインタビュー、ポリシーと手順のレビュー、トレーニングの有効性評価、実際の業務と外部への開示内容の比較などがあります。これらの対策は、組織がコンプライアンスの取り組みをリアルタイムで監視し、必要に応じてコンプライアンス管理システムを修正するのに役立ちます。

効果的なコンプライアンス管理システムの導入

効果的なコンプライアンス管理システム(CMS)を導入するには、組織はビジネス・ニーズの理解から始まり、導入と継続的なサポートまで継続する戦略的アプローチを取ることを検討する必要があります。

考慮すべき一般的な手順は次のとおりです。

ニーズの評価

CMSを導入する前に、CMSの選択と設定の指針となるコンプライアンスとリスク管理の目標を理解します。たとえば、金融機関であれば、 ISOやSOXなどの特定の規制のフレームワークに遵守する必要があるかどうかを特定します。そして、業界固有のツールやGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)ソフトウェアを備えたコンプライアンス管理ツールを選択します。

CMSのカスタマイズ

ニーズを特定したら、CMSをカスタマイズします。このカスタマイズには、組織構造やビジネス・プロセスに合わせてシステムを調整すること、ユーザーに役割を割り当てること、既存のワークフローやコンプライアンス・ツールとシームレスに統合することが含まれます。

利害関係者の関与の促進

前述したように、効果的なCMSには取締役会や上級管理職の賛同が必要です。プロセスの早い段階でこれらの利害関係者を巻き込み、彼らの責任を明確にします。リーダーが関与していない場合、あるいはリーダーが自分の役割を理解していない場合、コンプライアンスの文化を構築するのは難しく、デプロイメント時にミスが生じる可能性があります。

社員研修の実施

コンプライアンスは、組織全体が関与する継続的なプロセスであることを忘れないでください。徹底的な従業員トレーニング・セッションを実施し、自信を持ってCMSを使用する方法を従業員に教えます。また、従業員にコンプライアンスの取り組みの背後にある「理由」を思い出させて、コンプライアンス違反のリスクと影響を共有することも検討してください。

説明責任の確立

コンプライアンスの重要性をさらに強調するには、責任の明確な境界線を確立します。コンプライアンス・プログラムのライフサイクルのあらゆる段階で、従業員の期待値を明確にし、懲戒プロトコルを積極的に施行します。

継続的な改善への取り組み

効果的なCMSを維持することは、継続的なプロセスです。継続的なコンプライアンスの監視と改善を優先して、組織のコンプライアンスのニーズに関連したシステムを維持します。

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