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クラウド・コスト管理とは

クラウド・コスト管理(クラウド・コストの最適化、クラウド・コスト・ガバナンスともいう)とは、ビジネス全体のクラウド支出を管理し削減するプロセスのことです。

運用やITインフラストラクチャーの管理にクラウド・サービスを利用する企業が増えており、低速で移植性の低いシステムからの移行が進んでいます。しかし、クラウドへの移行に複雑な問題がないわけではありません。クラウド・サービスはアプリの優れた拡張性と柔軟性を提供しますが、多くの場合、従量課金制の料金体系モデルに従っており、企業は使用量(つまり、ストレージ、データ転送、コンピューティング能力など)に応じてコストを負担しています。モニタリングと管理を慎重に行わなければ、クラウドの料金はすぐに膨れ上がり、手に負えなくなる可能性があります。

市場調査によると、企業のパブリッククラウド・サービスへの支出は、2026年までに1兆米ドルを超えると予想されています。1また、企業のクラウド・コンピューティングへの支出には大きな無駄があり2、ほとんどの組織がクラウド支出の管理に苦慮していると報告しているにもかかわらず1、従業員数が1,000人を超える大企業の大半が、今後数年間でクラウドへの投資が増加すると予想しています。

クラウド・コスト管理は、クラウドの導入に伴う予算編成の非効率性に対処しようとするものです。クラウド・コスト管理戦略を効果的に実行すると、FinOpsチームは無駄な支出を積極的に特定して排除し、クラウド・リソースを拡張して、コスト管理ポリシーを自動化できるようになります。

クラウド・コスト管理ツールは、クラウド・コスト管理を次のレベルに引き上げます。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、Kubernetes、IBM Cloudといった主要なクラウド・サービス・プロバイダーは、次のようなコスト管理機能を提供しています。

  • コストの可視化とレポート作成により、クラウド費用を詳細かつ包括的に追跡

  • リソースのタグ付けにより、コストと使用状況の追跡、コスト配分、チャージバック、ショーバックが可能

  • 使いやすいアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)により、使用状況をリアルタイムで通知

  • AIと機械学習を活用したコスト分析と予測ツールで、クラウド予算を最適化

  • コストと使用状況のダッシュボードにより、クラウドの支出と予算の透明性を向上

  • 他のIT管理ツールやDevOpsツールとシームレスに統合

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クラウドの料金体系モデル

一般的に、クラウド・サービス・プロバイダーは、お客様に次の4つのコスト・モデルを提供します。

従量制課金

オンデマンド・モデルとも呼ばれる従量課金制モデルでは、クラウドの使用量に基づいて、通常は時間単位(分単位または秒単位の場合もあります)でお客様に料金を請求します。このモデルは、エンド・ユーザーに十分な柔軟性と拡張機能を提供し、小規模でさほど複雑でない運用を行うための実用的なソリューションとして機能します。ただし、組織の規模が大きくなり、より広範なクラウド・リソースが必要になると、従量課金制モデルは法外な価格になる可能性があります。

サブスクリプションベース

サブスクリプション・モデルでは、お客様は使用量に関係なく、一定期間における一連のサービスに対して月額または年額の固定料金を支払います。このモデルはSaaSソリューションによく見られ、多くの場合、ワークロードが予測可能な大企業で使用されます。

予約済みインスタンス

クラウド・プロバイダーは、ユーザーが一定期間(通常は1~3年間)に、大幅に割引された料金でインスタンスを予約できるようにしています。予約済みインスタンス・モデルでは、プロバイダーは(インスタンス数ではなく)容量単位で料金を請求するため、ワークロードが予測可能な企業や、クラウド・プラットフォームに対する長期的な取り組みに備えている企業に適しています。予約済みインスタンスのコストは通常、オンデマンドのクラウド・サービスの数分の一です。

スポット・インスタンス

スポット・インスタンスを利用すると、お客様はクラウド・プロバイダーのインフラストラクチャーの未使用容量に入札できます。ただし、当該インスタンスはプロバイダーがいつでも中断、再利用できることを理解しておく必要があります。多くの場合、このモデルはオンデマンド・サービスと比べて割引率がきわめて高く、短期間に負荷の高い処理を行う場合や、中断による悪影響を受けない処理を行う場合に最適です。

多くの企業がハイブリッドクラウド・モデルを採用するため、今後は従来のオンプレミス・データセンター、プライベートクラウド・サービス、パブリッククラウド・サービス(マルチクラウド環境などでは、複数のパブリッククラウド・プロバイダーも含まれる場合があります)を、プラットフォーム間のオーケストレーションと組み合わせて利用するようになることを留意しなければなりません。当然のことながら、ハイブリッド・モデルのコスト・モデルは、チームがさまざまな環境にわたってコストを管理し最適化する必要があるため、非常に複雑になる可能性があります。

クラウド・コスト管理戦略

クラウド・コスト管理は、教育プログラム、ガバナンス、使用状況予測、ソフトウェア・ツール、継続的なリアルタイム・モニタリングなどを組み合わせることが理想であり、どの企業にとってもクラウド管理戦略の重要な要素です。

クラウド・コストに関する認識と教育プログラムを促進することは、すべての利害関係者、特にクラウド・サービスのプロビジョニング、展開、運用に携わる関係者が、自らの意思決定が財務に与える影響を理解できるようにするための当然の第一歩と言えます。クラウド料金体系モデルやコスト管理ツールなどのトピックに関する財務教育プログラム(トレーニング、ウェビナー、お客様事例/ユースケース・レビューなど)は、チームメンバーがコスト削減のための重要なスキルを習得するのに役立ちます。

クラウド財務管理ツールを活用することは、クラウド支出の最適化や、最適化すべき分野の特定にも重要です。IBM® Turbonomicプラットフォームのようなクラウド・コスト管理ツールは、使用パターンやコスト傾向に関する洞察、コスト削減に関する推奨事項、コスト(およびリソース)の配分、予測、最適化を行うための機能を提供します。

ロード・バランシング、適切なサイジング、自動スケーリングなどのプロセスを利用すると、クラウド・リソースをより効率的に使用し、コストを削減することができます。

  • ロード・バランシングとは、受信トラフィックを利用可能なリソース全体に均等に分散するプロセスのことです。

  • 適切なサイジングとは、ワークロード容量とパフォーマンス要件に合わせてインスタンスのタイプとサイジングを調整するプロセスのことです。過剰なプロビジョニングは不必要なコストを生み出し、プロビジョニング不足はアプリの機能に影響を与えますが、適切なサイジングは企業が競合する優先順位のバランスをとり、アプリケーションのパフォーマンスとクラウド支出の両方を最適化するのに役立ちます。

  • 自動スケーリングにより、リソースの動的なスケーリングが可能になり、予測不可能なワークロードや常に変化するワークロードの要求に対応できます。
FinOpsとクラウド・コストの最適化

クラウド・コスト管理戦略を成功させるには、FinOpsのプロセスと人材を採用する必要があります。FinOpsは、財務とDevOpsの実践を組み合わせた動的なクラウド財務管理規律のことで、企業がハイブリッド環境やマルチクラウド環境で財務上の説明責任を促進できるように支援します。

クラウド・コスト管理に対するFinOpsのアプローチにより、ビジネスの利害関係者は、クラウド支出をデータに基づいてスマートに意思決定できるようになります。拡大するクラウド環境の財務上の複雑さを考慮すると、FinOpsは企業がクラウド・コスト管理を優先し、最終的にクラウドからのビジネス価値を最大化する、全員参加型の協力的な文化を育むのに役立ちます。

クラウド・コスト管理のメリット

クラウド・コスト管理により、企業はリソース使用率やクラウド・ガバナンスについて、詳細な情報を得たうえで財務上の意思決定を行うことができます。クラウド・コスト管理の採用によるその他の主なメリットは次のとおりです。

コスト最適化

クラウド・コスト管理により、企業はクラウド・コスト削減の機会を最大限に活用でき、リソース割り当てプロセスの効率が向上し、必要な分だけ支払うことが可能になります。また、企業はクラウド使用量をより大きな組織のメトリクスや財務目標に合わせて調整することもできます。

リソースの最適化

ほとんどのクラウド・コスト管理ツールは、チームが無駄を排除してコスト削減を促進し、クラウド・インフラストラクチャーを十分(かつ効率的)に利用できるよう支援する包括的なリソース・モニタリング機能を提供します。

透明性と説明責任

チームは、高度なリソース・タグ付けメカニズムを使用することで、コストを特定の部門、プロジェクト、チームに割り当てることができ、リソース使用量に関する可視性と説明責任を強化することができます。この透明性により、コストを意識する文化が育まれ、責任あるクラウドの使用が促進されます。

クラウドのガバナンスとコンプライアンス

クラウド・サービスの使用と支出に関する一連のポリシー、手順、ガイドラインを確立することで、企業とその製品は社内外の規制を遵守することができます。

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クラウド・コストの最適化では、さまざまな戦略、手法、ベスト・プラクティス、ツールを組み合わせることで、クラウド・コストを削減し、クラウド環境でアプリケーションを実行するための最も費用対効果の高い方法を見つけ、ビジネス価値を最大化することができます。

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複雑なアプリケーションを用いたビジネス運営がますます増えており、動的な需要に先んじようとするあまり、チームが混乱する可能性があります。IBM Turbonomicハイブリッドクラウド・コスト最適化プラットフォームを使用すると、アプリケーションをシームレス、継続的かつコスト効率よく実行できるため、コストを削減しながらアプリケーションのパフォーマンスを確保できます。

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脚注

1Exostellar社は、企業のクラウド支出の最適化を支援するため1,500万ドルを調達」、TechCrunch+、2023年9月13日。(ibm.com外部へのリンク)

2クラウド・サービスの非効率性により、IT予算が枯渇」、Help Net Security社、2023年9月27日。(ibm.com外部へのリンク)