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クラウド・コンピューティングがイントラネット・ベースのインフラストラクチャーとアプリケーションへアクセスを可能にする仕組みを示す図

更新日:2024年2月14日
寄稿者:Stephanie Susnjara、Ian Smalley

クラウド・コンピューティングとは

クラウド・コンピューティングとは、物理サーバー、仮想サーバー、データ・ストレージ、ネットワーキング機能、アプリケーション開発ツール、ソフトウェア、AI搭載分析ツールなどのコンピューティング・リソースをインターネットを介してオンデマンド利用できる従量課金制のサービスです。

クラウド・コンピューティング・モデルのサービスは、従来型のオンプレミス・インフラストラクチャーと比較して、柔軟性と拡張性に優れています。

GoogleのGmailなどのクラウド・アプリケーションを利用したり、Netflixで映画をストリーミング視聴したり、クラウドでホストされているビデオ・ゲームをプレイしたりなど、私たちの日常生活のさまざまな場面で、クラウド・コンピューティングは実に重要な役割を果たしています。

また、クラウド・コンピューティングは小規模なスタートアップ企業から大手グローバル企業に至るまで、あらゆる規模のビジネスの場で不可欠なものとなっています。こうしたビジネス・アプリケーションにはさまざまなものがありますが、場所を問わずデータやアプリケーションへのアクセスを可能にするリモートワーク用アプリケーション、オムニチャネルでシームレスな顧客エンゲージメントを実現するためのフレームワークを作成するためのアプリケーション、生成AI量子コンピューティングなどの最先端テクノロジーの活用に必要とされる膨大なコンピューティング能力などのリソースを提供するアプリケーションなどが挙げられます。

クラウド・サービス・プロバイダー(CSP)は、リモート・データセンターでホストされているクラウドベースのテクノロジー・サービスを管理するとともに、通常、これらのリソースを従量課金制または月間サブスクリプション料金で提供しています。

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クラウド・コンピューティングのメリット

企業がコンピューティング能力やデータ・ストレージなどのリソース(選択したクラウド・サービスによる)を利用するために物理データセンターと物理サーバーを所有し保守する従来型のオンプレミスITと比較して、クラウド・コンピューティングには次のような多くのメリットがあります。

費用対効果

クラウド・コンピューティングの導入により、メインフレーム・コンピューターやそれ以外のオンプレミス・インフラストラクチャーの購入、設置、設定、管理にかかる費用と労力の一部またはすべてを省略できます。料金については、クラウドベースのインフラストラクチャーなどのコンピューティング・リソースを使用した分だけお支払いいただきます。

スピードとアジリティの向上

クラウド・コンピューティングなら、数分でエンタープライズ・アプリケーションを使用できます。ITチームがリクエストに応えて対応ハードウェアの購入と設定を済ませ、ソフトウェアをインストールするまで週単位または月単位待つ必要はなくなります。特にDevOpsなどの開発チームのユーザーはこの機能により、クラウドベースのソフトウェアとその基盤となるインフラストラクチャーの活用を支援できます。

無制限の拡張性

クラウド・コンピューティングにより弾力性が向上するとともに、プロビジョニングもセルフサービスで行えます。繁忙期以外は使われないままになる過剰な容量を購入することなく、トラフィックの急増または減少に合わせて容量をスケーリングできます。また、クラウド・プロバイダーが提供するグローバル・ネットワークを利用して、世界各地のユーザーの近くでアプリケーションを配信できます。

戦略的価値の向上

クラウド・コンピューティングにより、さまざまなテクノロジーと最新のイノベーションを使用して組織の競争上の優位性を高めることができます。たとえば、小売や銀行など顧客に対応する業界では、生成AI搭載バーチャル・アシスタントをクラウドにデプロイすることで顧客への応答時間を短縮するとともに、従業員がより高度な業務に集中できるようにしています。製造業では、クラウドベースのソフトウェアを使用して共同作業を行い、物流やサプライチェーンのプロセスで発生するリアルタイム・データを監視できます。

クラウド・コンピューティングの起源

クラウド・コンピューティング・テクノロジーの起源は1960年代初頭までさかのぼれます。「クラウド・コンピューティングの父」として知られるアメリカのコンピューター科学者兼心理学者、ジョゼフ・カール・ロブネット・リックライダー博士(ibm.com外部へのリンク)が銀河間コンピュータネットワークを論じる一連のメモの中で、グローバル・ネットワークのごく基本的なアイデアを発表したのが初めてです。ただし、モダナイズされたビジネス向けクラウド・インフラストラクチャーが登場したのは、2000年代初頭になってからした。

2002年、Amazon Web Services社はクラウドベースのストレージとコンピューティングのサービス提供を開始しました。また、2006年には、アプリケーションを実行するために仮想コンピューターをレンタルできるAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)の提供を開始しました。同じ年に、GoogleはSaaS 生産性向上アプリケーションを集めたGoogle Apps suite(現在のGoogle Workspace)をリリースしました。また、2009年には、Microsoft社が同社初となるSaaSアプリケーションであるMicrosoft Office 2011の提供を開始しました。現在、Gartnerの予測によれば、世界中のエンドユーザーのパブリッククラウドに対する支出額は合計6,790億米ドルに達し、2027年には1兆米ドルを超えるとのことです(ibm.com外部へのリンク)。

クラウド・コンピューティング・コンポーネント

以下は、今日最新のクラウド・コンピューティング・アーキテクチャーの最も重要なコンポーネントの一部です。

データセンター

CSPは物理サーバー、ベアメタル・サーバークラウド・ストレージ・システムなどの物理ハードウェアを収容するリモート・データセンターを所有、運営します。これらの物理ハードウェアは、基盤となるインフラストラクチャーを構成するとともに、クラウド・コンピューティングの物理的な基盤となります。

ネットワーキング機能

クラウド・コンピューティングで非常に重要なのは、高速なネットワーキング接続です。通常、インターネット接続またはワイドエリアネットワーク(WAN)は、バックエンド機能(データセンターやクラウドベースのアプリケーションおよびサービスなど)を使用して、フロントエンド・ユーザー(インターネット対応デバイスに表示されるクライアントサイド・インターフェースなど)に接続します。また、フロントエンドのユーザーとバックエンドのリソース間のスムースかつ安全な高速データフローを実現するために、ロード・バランサーContent Delivery Network(CDN)Software Defined Networking(SDN)などの高度なクラウド・コンピューティング・テクノロジーも統合されています。

仮想化

クラウド・コンピューティングは、ITインフラストラクチャー(サーバー、オペレーティング・システム・ソフトウェア、ネットワーキングなど)の仮想化に大きく依存しています。これらのインフラストラクチャーは、物理ハードウェアの境界に関係なくプールおよび分割できるよう、特別なソフトウェアを使用して抽象化されます。たとえば、ハードウェア・サーバー1台を複数の仮想サーバーに分割できます。仮想化によって、クラウド・プロバイダーは所有するデータセンターのリソースを最大限活用できます。

クラウドコンピューティングサービス

IaaS(Infrastructure-as-a-Service)、PaaS(Platform-as-a-Service)、SaaS(Software-as-a-Service)、サーバーレス・コンピューティングは、最も一般的なクラウド・サービス・モデルであり、1つの組織でこの4つすべてを組み合わせて使用することも珍しくありません。

IaaS (Infrastructure-as-a-Service)

IaaS(Infrastructure-as-a-Service)はインターネット経由で基本的なコンピューティング・リソース(物理サーバー、仮想サーバー、ネットワーキング、ストレージ)をオンデマンドで利用できる従量課金制のサービスです。IaaSでは必要に応じてリソースを増減できるため、高額な初期費用を支払い、不要なオンプレミスまたはインフラストラクチャーを所有し、定期的な使用量の急増に対応するための過剰なリソースを購入する必要性が低減します。

Business Research Companyのレポート(ibm.com外部へのリンク)によると、今後数年の間、IaaS市場は年平均成長率(CAGR)14.2%で急速に成長し、2028年には2,123億4,000万ドルの市場価値に達すると予測されています。

PaaS (Platform-as-a-Service)

PaaS(Platform-as-a-Service)の導入により、ソフトウェア開発用のオンデマンド・プラットフォーム(ハードウェア、完全なソフトウェア・スタック、インフラストラクチャー、開発ツール)を活用できます。同じプラットフォームをオンプレミスで維持する際の費用や煩雑な作業なしで、アプリケーションを柔軟に実行、開発、管理できます。クラウド・プロバイダーはPaaSを使用して、自社データセンターでサーバー、ネットワーク、ストレージ、オペレーティング・システム・ソフトウェア、ミドルウェア、データベースなどの、あらゆるサービスをホストしています。開発者はメニューから選択するだけで、アプリケーションの実行、構築、テスト、デプロイ、保守、更新、拡張に必要なサーバーと環境を起動できます。

現在、PaaS は通常、仮想サーバーから一歩離れた仮想化コンピューティング・モデルであるコンテナ を中心に構築されています。コンテナはオペレーティング・システムを仮想化するため、開発者はアプリケーションに必要なオペレーティング・システム・サービスのみをパッケージ化し、ミドルウェアを使用せずに、変更なしであらゆるプラットフォームで実行できます。

Red Hat OpenShiftは、Dockerコンテナと、コンテナベース・アプリケーションのデプロイ、スケーリング、ロード・バランシングなどを自動化するオープンソースのコンテナ・オーケストレーション・ソリューションであるKubernetes中心に構築された人気のPaaSです。

SaaS (Software-as-a-Service)

また、SaaS(Software as a Service)(クラウドベースのソフトウェアまたはクラウド・アプリケーション)はクラウド上でホストされるアプリケーション・ソフトウェアです。SaaSにアクセスするには、Webブラウザー、専用のデスクトップ・クライアント、デスクトップまたはモバイル用のオペレーティング・システムに統合されたAPIのいずれかを使用します。クラウド・サービス・プロバイダーは、SaaSサービスを月額または年間のサブスクリプション料金か、または従量課金制の料金体系で提供しています。

クラウドにはコスト削減、価値実現までの時間、スケーラビリティ上のメリットがありますが、さらにSaaSには次のようなメリットがあります。

  • 自動アップグレード:SaaSでは、オンプレミスのアップグレードを調整することなく、クラウド・サービス・プロバイダーが追加した新機能をすぐに利用できます。
  • データ損失からの保護:SaaSではアプリケーション・データをアプリケーションとともにクラウドに保存するため、デバイスがクラッシュしたり故障したりしてもデータを失うことはありません。

SaaSは、現在のほとんどの商用ソフトウェアの主要な配信モデルです。業界特化型ソリューションや、Salesforceなど幅広い管理業務ソリューション、堅牢なエンタープライズ・データベース、人工知能(AI)ソフトウェアなど、膨大な数のSaaSソリューションが提供されています。インターナショナル・データセンター(IDC)の調査(IBM外部へのリンク)によると、SaaSアプリケーションは7,780億ドルに上る全世界のクラウド・ソフトウェアの収益の48%以上を占める、最大のクラウド・コンピューティング・セグメントです。

サーバーレス・コンピューティング

サーバーレス・コンピューティング(サーバーレス)は、バックエンド・インフラストラクチャーに関する管理タスク(プロビジョニング、スケーリング、スケジュール設定、パッチ適用など)のすべてをクラウド・プロバイダーが肩代わりするクラウド・コンピューティング・モデルです。開発者が持てるすべての時間と労力をアプリケーションのコーディングやビジネス・ロジックの作成に注ぐことができます。

さらに、サーバーレスではアプリケーション・コードの実行をリクエストに応じるかたちでのみ行い、リクエスト数に応じて基盤となるインフラストラクチャーを自動的にスケーリングします。また、サーバーレスの料金はアプリケーションが実行する際に使用されたリソースに対してのみ発生します。アイドル状態の容量に料金が発生することはありません。

FaaS(Function-as-a-Service)は、しばしばサーバーレス・コンピューティングと混同されますが、実際にはサーバーレスのサブセットです。FaaSを使用して、特定のイベントが発生した際にアプリケーション・コードの一部(関数)を実行できます。コード以外のすべてのリソース(物理ハードウェア、仮想マシン(VM)のオペレーティング・システム、Webサーバー・ソフトウェアの管理)は、コードが実行されるとリアルタイムでクラウド・サービス・プロバイダーによって自動的にプロビジョニングされます。これらのリソースは、コードの実行が完了すると終了します。実行が開始されると課金が開始し、実行が停止すると課金も停止します。

クラウドコンピューティングのタイプ
パブリッククラウド

パブリッククラウドは、クラウド・サービス・プロバイダーがコンピューティング・リソースをパブリック・インターネット経由でユーザーに提供するタイプのクラウド・コンピューティングです。SaaSアプリケーション、個々の仮想マシン(VM)、ベアメタル・コンピューティング・ハードウェア、エンタープライズ・グレードの完全なインフラストラクチャー、開発プラットフォームなどもパブリッククラウドです。こうしたリソースは無料で利用できる場合もありますが、サブスクリプション・ベースや、従量課金制の価格モデルの場合もあります。

パブリッククラウド・プロバイダーは、顧客のワークロードを実行するデータセンター、ハードウェア、インフラストラクチャーを所有、管理し、すべての責任を負います。通常、高いパフォーマンスとアプリケーションとデータにへの迅速なアクセスを確保するために、高帯域幅のネットワーク接続を提供します。

パブリッククラウドは、すべての顧客がクラウド・プロバイダーのデータセンター・インフラストラクチャーやリソースをプールおよび共有するマルチ・テナント環境です。アマゾン ウェブ サービス(AWS)、Google Cloud、IBM Cloud、Microsoft Azure、Oracle Cloud などの大手パブリッククラウド・ベンダーの場合、顧客数は数百万に上ることがあります。

パブリッククラウド・サービスは弾力性と拡張性が高く、ワークロードの需要の変化に合わせて柔軟に調整できるため、ほとんどの企業がコンピューティング・インフラストラクチャーの一部をパブリッククラウドに移行しています。従量課金制の料金体系で効率性向上とコスト削減が期待できるため、パブリッククラウドは多くの顧客を惹きつけています。また、ハードウェアやオンプレミス・インフラストラクチャーの費用削減を目指す企業もあります。Gartnerの予測(ibm.com外部へのリンク)によれば、2026年までにクラウドを基盤プラットフォームとするデジタル・トランスフォーメーション・モデルを採用する企業は、全体の75%に上るとのことです。

プライベートクラウド

プライベートクラウドとは、すべてのクラウド・インフラストラクチャーとコンピューティング・リソースが顧客ごとに専用で提供されるクラウド環境のことです。弾力性、拡張性、サービス提供の容易さなど、クラウド・コンピューティングが持つ多くのメリットを併せ持つとともに、オンプレミス・インフラストラクチャーのアクセス制御、セキュリティー、リソースのカスタマイズの各機能を備えています。

プライベートクラウドは通常、顧客のデータセンター内でオンプレミスでホストされます。ただし、プライベートクラウドを独立したクラウド・プロバイダーのインフラストラクチャー上でホストしたり、オフサイト・データセンター内のレンタル・インフラストラクチャー上に構築したりすることもできます。

多くの企業が、規制コンプライアンス要件を満たすために、パブリッククラウド環境ではなくプライベートクラウドを選択しています。政府機関、医療機関、金融機関などの組織は、多くの場合機密文書、個人情報(PII)、知的財産、医療記録、財務データなどの機密データを扱うワークロードのためにプライベートクラウドを選択します。

クラウドネイティブの原則に沿ってプライベートクラウド・アーキテクチャーを構築することで、組織のワークロードをパブリッククラウドへ迅速に移行したり、ハイブリッドクラウド環境(下記参照)で実行したりできます。

Hybrid cloud

ハイブリッドクラウドとは、その名の通りパブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス環境を組み合わせたものです。具体的には、これら3つの環境を組み合わせて柔軟性の高い単一のインフラストラクチャーを構築し、組織のアプリケーションやワークロードを実行するのが理想的なハイブリッドクラウドです。

当初、ハイブリッドクラウド・コンピューティング・モデルに組織の注目が集まりましたが、その理由は主に組織のオンプレミス上のデータの一部をプライベートクラウド・インフラストラクチャーに移行した後、移行先のインフラストラクチャーをクラウド・ベンダーがオフプレミスでホストするパブリッククラウド・インフラストラクチャーに接続するためでした。このプロセスには「Single pane of glass(単一のペイン)」を実現するために、Red Hat OpenShiftなどのパッケージ化されたハイブリッドクラウド・ソリューションや、ミドルウェアとIT管理ツールが使用されました。この統合ダッシュボードを利用して、組織のアプリケーション、ネットワーク、システムを表示できます。

現在、ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーは物理的な接続性やクラウド移行機能にとどまらず、柔軟性、安全性、費用対効果が高い環境の提供を通じて、複数の環境にまたがるワークロードのポータビリティーと自動デプロイメントを実現しています。これにより、組織はパブリッククラウドやプライベートクラウドのみを使用する場合よりも効果的かつコスト効率よく技術的およびビジネス上の目標を達成できます。たとえば、ハイブリッドクラウド環境は、DevOpsなどのチームがWebアプリケーションを開発およびテストするのに最適です。これにより、アプリケーション・テストを実行するためにオンプレミスの物理ハードウェアを購入および拡張する必要がなくなり、市場投入までの時間を短縮できます。また、パブリッククラウドでアプリケーションを開発した後、ビジネス・ニーズやセキュリティー上の理由でプライベートクラウド環境に移行することがあります。

パブリッククラウドでは、トラフィックが予定外に急増した場合に、プライベートクラウド上のワークロードに影響を与えることなく、リソースを迅速にスケーリングできます(クラウド・バースティング機能)。Amazonなどのストリーミング・チャンネルでは、新しい番組を配信する際にクラウド・バースティングを使用して、視聴トラフィックの増加に対応しています。

今日、企業組織のほとんどがハイブリッドクラウド・モデルを活用する理由は、従来のオンプレミス・インフラストラクチャーの設定よりも高い柔軟性と拡張性を実現し、コストを最適化できるためです。IBM Transformation Index: State of Cloudによると、ビジネスおよびITのプロフェッショナルの77%以上がハイブリッドクラウドの手法を採用しています。

パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドの違いについて詳しくは、「パブリッククラウドとプライベートクラウドとハイブリッドクラウドの違いとは」をご覧ください。

IBMのハイブリッドクラウド・アーキテクチャーに関するビデオ・シリーズをご覧ください。

Multicloud

マルチクラウドとは、2つ以上の異なるクラウド・プロバイダーが提供するクラウドを複数使用することです。マルチクラウド環境の利用は、Eメールにあるベンダーが提供するSaaSを使用し、画像編集に別のベンダーが提供するSaaSを使用するのと同じくらい簡単です。ただし、企業のマルチクラウドの場合は、通常2社以上の大手パブリッククラウド・プロバイダーが提供するクラウド・サービス(SaaSサービス、PaaSサービス、IaaSサービスなど)を複数使用することを指します。

組織は、ベンダー・ロックインを回避し、サービスの選択肢を増やし、より多くのイノベーションを活用するためにマルチクラウドを選択します。マルチクラウドを使用すると、クラウド機能やサービスを自社のビジネス・ニーズに合うよう組み合わせて選択し、カスタマイズできます。こうした選択の自由の例として、単一ベンダーのサービスや製品に縛られることなく、必要に応じてまたは新しいソリューションが登場した際に、あらゆるCSPが提供するなかで各分野で最も優れたテクノロジーを選択できることが挙げられます。たとえば、グローバルな展開を目指す組織がWebホスティングにAWSを、データ分析と機械学習プラットフォームにIBM Cloudを、セキュリティー機能にMicrosoft Azureを選択するなどの場合が考えられます。

IT部門の承認なしに、また多くの場合IT部門に知られることも、監視されることもなく、企業ネットワーク上で使用されるソフトウェア、ハードウェア、ITリソースを「シャドーIT」と呼びます。マルチクラウド環境はこのシャドーITによって生じるライセンス、セキュリティー、互換性に関わる問題の軽減につながります。

最新のハイブリッド・マルチクラウド

今日、ほとんどの企業組織はハイブリッド・マルチクラウド・モデルを活用しています。ハイブリッド・マルチクラウドは、最も費用対効果の高いクラウド・サービスを柔軟に選択できることに加え、ワークロードのデプロイメントを最も詳細に制御できるため、業務の効率化、パフォーマンスの向上、コストの最適化を図れます。IBM Institute for Business Valueの調査によれば、完全なハイブリッド・マルチクラウド・プラットフォームのテクノロジーと運用モデルを大規模に展開した場合、得られる価値は、シングルプラットフォームおよびシングル・クラウド・ベンダーのアプローチから得られる価値の2.5倍になることがわかっています。

しかし、最新のハイブリッド・マルチクラウド・モデルはそれほど単純ではありません。使用するクラウドが増えれば増えるほど、管理ツール、データ転送速度、セキュリティー・プロトコルがクラウドごとに異なるため、環境の管理が難しくなる可能性があります。大企業の97%以上が複数のクラウドを業務に使用し、ほとんどの組織が10以上のクラウドを運用するなか、ハイブリッドクラウド管理アプローチが非常に重要になっています。ハイブリッド・マルチクラウド管理プラットフォームでは、一元化されたダッシュボードを通じて複数のプロバイダーのクラウドを可視化します。このダッシュボードで開発チームはプロジェクトやデプロイメントを表示し、運用チームはクラスタやノードをモニタリングできます。また、サイバーセキュリティー担当者は脅威の監視を行えます。

ハイブリッドクラウド管理の詳細をご覧ください。

クラウド・セキュリティー

従来、クラウド・サービス、特にパブリッククラウド・サービスの利用を検討する組織にとって最も大きな導入障壁はセキュリティ上の懸念でした。クラウド・セキュリティーを維持するには、従来型のIT環境とは異なる手順とスキルセットが必要です。クラウド・セキュリティーの主なベスト・プラクティスを以下に挙げます。

  • セキュリティの責任分担:一般的に、クラウド・サービス・プロバイダーはクラウド・インフラストラクチャーのセキュリティを確保する責任を、顧客はクラウド内のデータを保護する責任をそれぞれ担います。ただし、プライベート・サード・パーティーとパブリック・サード・パーティーの間でデータの所有権を明確に定義することも重要です。
  • データの暗号化:保存中、転送中、使用中のデータを暗号化する必要があります。お客様は、セキュリティー・キーとハードウェア・セキュリティー・モジュールを継続して完全に制御する必要があります。
  • 共同管理:IT、運用、セキュリティの各チーム間の適切なコミュニケーションと明確でわかりやすいプロセスは、安全で持続可能、シームレスなクラウド統合の実現につながります。
  • セキュリティーとコンプライアンスの監視:まず、業界に適用されるすべての規制コンプライアンス基準を把握し、接続されたシステムおよびクラウドベースのサービスを常時もれなく監視することで、全環境(オンプレミス、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド、エッジ)にわたりあらゆるデータ交換の可視性を維持します。

新たな脅威に対応するために、クラウド・セキュリティーは常に変化しています。現在のCSPは、以下のような幅広いクラウド・セキュリティー管理ツールを提供しています。

  • IDおよびアクセス管理(IAM):IAMツールおよびサービスは、オンプレミス・サービスとクラウドベース・サービスにアクセスしようとするすべてのユーザーに対して、ポリシーに基づく措置の適用プロトコルを自動化します。
  • データ損失防止(DLP):DLPサービスは修復アラート、データ暗号化、その他の防止策を組み合わせ、保存中、移動中を問わず、すべての保存データを保護します。
  • セキュリティー情報およびイベント管理(SIEM)SIEMクラウドベース環境で脅威のモニタリング、検知、対応を自動化する包括的なセキュリティー・オーケストレーション・ソリューションです。SIEMテクノロジーは、人工知能(AI)駆動型テクノロジーを使用して、複数のプラットフォームとデジタル資産のログ・データを関連付けます。これにより、ITチームはネットワーク・セキュリティー・プロトコルを適切に適用して、潜在的な脅威に迅速に対応できるようになります。
  • 自動化されたデータ・コンプライアンス・プラットフォーム:自動化されたソフトウェア・ソリューションのコンプライアンス管理とデータ収集の一元化機能により、業界固有の規制遵守をサポートします。これらのプラットフォームにコンプライアンスの定期的な更新を組み込むことで、絶えず変化を続ける規制コンプライアンス基準に適応できます。

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クラウドの持続可能性

ビジネスにおけるサステナビリティーとは、特定の市場における事業活動が環境に与える悪影響を軽減するための企業の戦略であり、コーポレート・ガバナンスにおける重要な責務となっています。さらに、ガートナーの予測(ibm.com外部へのリンク)によれば、2025年までにハイパースケール・クラウド・サービスの炭素排出量が、クラウド購入の際の選択基準の上位3つの中に入るとのことです。

企業がサステナビリティー目標の達成に向けて取り組みを進めるなか、クラウド・コンピューティングも二酸化炭素排出量の削減と気候関連リスクの管理を支援するうえで重要な役割を果たすよう進化してきました。たとえば、従来型のデータセンターに必須の電源と冷却システムは、電力を大量に消費します。ITリソースとアプリケーションをクラウドに移行するだけで、プールされたCSPリソースを通じて組織の運用効率、コスト効率、全体的なエネルギー効率が向上します。

主要なクラウド・プロバイダーはすべて自社のカーボン・フットプリントを削減するとともに、顧客がオンプレミス環境の使用で通常消費するエネルギーを削減できるよう、ネットゼロの取り組みを行っています。たとえば、IBMは2030年までにネットゼロを達成するためにサステナブル調達の取り組みを推進しています。2025年までに、世界各地のIBM Cloudのデータセンターで使用されるエネルギーの75%は再生可能エネルギー源から調達されるようになります

クラウドのユースケース

International Data Corporation(IDC)の予測(ibm.com以外へのリンク)によると、クラウドに関連する製品、インフラストラクチャー、サービスへの支出は年平均成長率(CAGR)15.7%を維持し、2024年には全世界で1兆米ドルを超える見込みです。企業でクラウド・コンピューティングのメリットを活用する主な方法をいくつかご紹介します。

  • インフラストラクチャーのスケーリング:ビジネス需要の変化に応じて、リソースを迅速かつ容易に増減できます。
  • 事業継続性と災害復旧:クラウド・コンピューティングにより、データをシステム障害から保護する費用対効果の高い冗長性と、災害復旧戦略の実行と、データとアプリケーションの復旧に必要な物理的な距離を確保できます。主要なパブリッククラウド・プロバイダーはすべてDisaster-Recovery-as-a-Service(DRaaS)を提供しています。
  • クラウドネイティブ・アプリケーションの構築とテスト:開発の効率化に向けて、アジャイル開発、DevOps、、DevSecOpsを導入する開発チームにとって、エンドユーザーにオンデマンド・セルフサービスを提供するクラウドには、開発サーバーやテスト・サーバーの起動などの運用タスクが開発のボトルネックになるのを防ぐ効果があります。
  • エッジおよびIoT(モノのインターネット)環境のサポート:データ・ソースをエッジに近づけることで、レイテンシーの課題に対処し、ダウンタイムを短縮します。モノのインターネット(IoT)デバイス(患者モニタリング・デバイスや生産ラインのセンサーなど)をサポートして、リアルタイム・データを収集します。
  • 最先端テクノロジーの活用:クラウド・コンピューティングでは、ほとんどの組織がオンプレミスで購入およびデプロイできるストレージ容量と処理能力をはるかに上回る膨大な量のデータを高速で保存および処理できます。こうした高性能なリソースは、ブロックチェーン、量子コンピューティング、カスタマー・サービスの自動化などの生成AIプラットフォームを支える大規模言語モデル(LLM)のようなテクノロジーの基盤となります。
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