ビジネス・プロセス管理は、統合中心、人間中心、ドキュメント中心の3種類に大きく分けられます。

• 統合中心のBPM：この種類のBPMは、人間の関与をあまり必要としないプロセスに焦点を当てます。これらのプロセスでは、人事管理（HRM）や顧客関係管理（CRM）など、システム全体でデータを統合するAPIやメカニズムへの依存度が高くなります。
  
  
• 人間中心のBPM：統合中心のBPMとは異なり、この種類は人間が関与するもの、主として承認を必要とするものが中心となります。ドラッグ・アンド・ドロップで操作できる直感的なユーザー・インターフェースにより、タスクをさまざまな役割に割り当てることができるため、プロセスにおいて各個人に責任を持たせやすくなります。
  
  
• ドキュメント中心のBPM：この種類のBPMは、契約書などの特定のドキュメントに主軸を置きます。企業が製品やサービスを購入するときは、さまざまな書式や承認プロセスを経て、顧客とベンダーの間で契約を結ぶ必要があります。

BPMシステムを成功させるには、ワークフローに関与する段階を定義することから始めます。これにより、改善できる領域と進捗状況を追跡するメトリクスが明らかになります。ビジネス・プロセス管理を適用することで、組織は業務を改善し、ビジネス上のより良い成果につなげることができます。その成果を達成するには、BPMライフサイクルに対する十分な理解が必要です。ライフサイクルの5つの段階は次のとおりです。

1. プロセス設計：まずは、プロセス内のマイルストーンを大まかに定める必要があります。そこから、ワークフローのそれぞれの段階について、BPMプロセス全体の個々のタスクを、その担当者とともに特定します。この段階は、プロセスを最適化する領域と、それによる改善点を追跡するメトリクスを特定できるように、明確に定義しなければなりません。
   
   
2. モデル：この段階では、プロセス・モデルの視覚的表現を作成します。これには、タイムライン、タスクの説明、プロセス内のデータ・フローなどの具体的で詳細な情報が含まれる必要があります。この段階でビジネス・プロセス管理ソフトウェアが有用となります。
   
   
3. 実行：ここでは概念実証を実施し、対象者を限定したグループで新しいBPMシステムをテストします。フィードバックを取り入れれば、対象者を広げてプロセスの展開を開始できます。
   
   
4. 監視：この段階では、プロセスを監視し、効率の改善を測定し、新たなボトルネックを特定する必要があります。
   
   
5. 最適化：最終ステップでは、ビジネス活動を改善するためにプロセスに最終調整を加えます。

BPMプロジェクトを成功させるには、念入りな計画とオープンなコミュニケーションが求められます。しかし、一通り業務改善がなされると、そのメリットはすぐに理解されるものです。

BPMソリューションは、プロセスの改善を通じて組織の価値を高め、多くのメリットを生み出します。例えば、次のようなメリットがあります。

• 効率の向上とコスト削減：BPMシステムは、既存のプロセスを最適化し、新規プロセスの開発をより体系立ったものにするために有用です。プロセスの冗長性とボトルネックを排除することでプロセスを最適化した結果、効率と生産性が向上します。機敏性が高まると、企業は意図したビジネス上の成果をより速く達成できるようになり、余ったリソースを他の優先度の高い作業に割り当てることができます。
  
  
• 従業員と顧客のエクスペリエンスの強化：BPMの一連のツールは、繰り返しの作業をなくし、情報によりアクセスしやすくする一助となります。わずらわしい作業をなくすことで、従業員は自分の仕事と顧客に集中できるようになり、顧客満足度の向上につながります。また、明確なワークフローは従業員のオンボーディング・プロセスにおいて学習効率を高めてくれるため、生産性とエンゲージメントが向上します。
  
  
• よりスケーラブルなプロセス：BPMにより、プロセスの実行とワークフローの自動化が改善されるため、世界の他の地域にプロセスを拡張するときも、移行がスムーズになります。ビジネス・プロセス管理ツールを使用すると、役割が明確になり、プロセス全体の一貫性が確保されます。また、自動化のためのビジネス・ルールを組み込む機会も明らかになり、チームがイノベーションにさらに集中できるようになります。
  
  
• 透明性の向上：ビジネス・プロセス・オートメーションでは、プロセスにおけるタスクの担当者がはっきりするため、そのプロセス全体がより透明になり、説明可能になります。これにより、チームのコミュニケーションが促進されます。
  
  
• 開発チームへの依存度の低下： BPMが提供するローコード機能により、開発への潜在的な依存が排除されます。ビジネス・ユーザーはこれらのツールを迅速かつ簡単に利用できるため、企業全体でプロセスの自動化が促進されます。

BPMソフトウェアは、プロセスの体系を強化し、ワークフローにおける非効率を軽減します。BPMの成功例をいくつか挙げましょう。

• コンテンツ配信：メディア企業はBPMを使用して、コンテンツの作成から配信に至るまで、準備および配信プロセスを自動化できます。ビジネス・プロセス管理システムは、コンテンツ管理、権利管理、コンテンツ・トラフィック、作業指示に関する各システムと相互作用するように設計できます。
  
  
• カスタマー・サービス：カスタマー・サービス担当者がチャットボットに対応させるべきよくある質問を特定することで、大量のサービス要求がある場合でも、チームの負担が軽減されます。コールセンターの文字起こしデータやチャットボットでのやり取りのデータは、顧客にさらにパーソナライズされた回答をするだけでなく、さらなるプロセス自動化を進めるためにも有益です。
  
  
• 財務：各所からの注文書の提出を標準化するテンプレートを作成し、ビジネス・ソフトウェアやハードウェアのより迅速な調達を実現します。さらに、独自のシナリオに合わせたカスタマイズ版のワークフローを確立できます。
  
  
• 人事：人事においてBPMを採用すると、ドキュメントとワークフローの管理を能率化できます。従業員のオンボーディングとオフボーディング、業績評価、休暇の申請、タイムシートの承認などの人事フォームを処理する環境を、より体系化します。
  
  
• 銀行業：個人のローンや企業への融資などを処理する際、銀行は応募者の潜在的な信用リスクを評価する必要があります。この際、応募者、雇用主、信用格付け機関などの複数の情報源から情報を収集します。BPMを通して、プロセス全体にわたる情報の流れを管理し、文書内の誤りを減らすことができるため、適格性の有無を判断するプロセスが迅速化します。
  
  
• 注文処理：企業は、BPMによって注文履行システムの運用効率を向上させることができます。BPMを使用し、特別オファー、注文の受理、注文の履行を管理するのです。これによりプロセスは、より大きなビジネス価値をもたらす顧客中心の注文管理へと移行します。