マーケティング・オートメーションとは

葉が生い茂る植物ディスプレイの前に立ち、同僚と話しているオフィスマネージャー

共同執筆者

Keith O'Brien

Writer

IBM Consulting

Amanda Downie

Staff Editor

IBM Think

マーケティング・オートメーションとは

マーケティング・オートメーションとは、ソフトウェアとテクノロジーを利用して、複数のチャネルにわたる定型的なマーケティング・プロセスとタスクを管理することです。

マーケティング・オートメーション戦略は、組織がマーケティング業務を遂行する方法を合理化し、対象となる人々のカスタマー・ジャーニー全体のコンテンツとエクスペリエンスをセグメント化します。B2CとB2Bの両方のマーケティング・キャンペーンにとって重要な要素です。

マーケティング・キャンペーンでは、 自動化されたテクノロジーがますます使用されるようになっており、マーケティング・チームの従業員の専門知識によってそのテクノロジーは強化されています。マーケティングオートメーション自体は新しいものではありませんが、人工知能( AI )、自然言語処理(NLP)、機械学習(ML) の現在の新たな進歩により、オートメーション・テクノロジーの機能がさらに増えています。企業はこれらの自動化機能をマーケティング・プロセスや自動化されたワークフローに組み込んで、さらなる価値を引き出しています。

マーケティング・オートメーションにはいくつかのメリットがあります。例えば、リード創出活動の改善、デジタル・マーケティングによるポジティブな 顧客体験 の推進、従業員がより重要な業務に専念できるようにするための時間の解放などです。マーケティング・オートメーションを適切に最適化することによって、コストが削減され、マーケティングの投資収益率(ROI)が高まり、企業の収益を向上させることができます。

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マーケティング・オートメーションの歴史

インターネットが台頭したことで、オーディエンスがオンラインで過ごす時間が増え、こうしたオーディエンスにリーチするための新しいデジタル・マーケティング・ツールを構築する必要性が高まりました。現代の eコマース のセールス・ファネルには、認知、検討、購入、ロイヤルティーを中心とした段階が含まれています。そのため企業は、マーケティングとセールス・オペレーションを常時稼働で行うことが必要になりました。

需要が高まってくると、マーケティング・テクノロジー・スタックの特定の側面に焦点を当てたカスタム・メイドのツールを提供する企業が増えました。現在、フォレスターは、マーケティング・テクノロジーの支出が2024年末までに1,480億ドルに達すると予測しています1

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マーケティング・オートメーションの活用法

マーケティング担当者は、経営幹部や取締役会に向けて価値を実証する大きなプレッシャーにさらされています。マーケティング活動を可能な限りスムーズにし、マーケティング担当者の過剰な雇用を避ける必要があります。組織は、繰り返し行うプロセスを自動化することで、従業員が価値の高い顧客との関係構築を強化し、顧客ロイヤルティーに力を入れられるようにしたいと考えています。

  • A/Bテストを作成:マーケティング・オートメーションによって、組織はランディング・ページやEメールなど、さまざまなアセットを複数のコンテキストでテストできます。例えば、組織はマーケティング・オートメーション・ソフトウェアを使用して、一部のユーザーのホームページには見出しAを、他のユーザーには見出しBを表示できます。

    このシステムは、クリックやコンバージョンに関するデータを収集し、どのバージョンが最もパフォーマンスがよかったかを判定します。時間の経過とともに、オートメーション・プラットフォームは改善点を提案できるようになります。見込み客がいつどこでマーケティング・コンテンツにアクセスするか企業側が予測できないインバウンド・マーケティングにおいて特に有益です。

  • トリガーに基づいてアクションを推進:マーケティング・オートメーションのワークフローは、顧客の特定の行動に基づいて組織が適切なマーケティング・アクションを起こすのに役立ちます。例えば、注文を始めた潜在顧客が、その後ショッピング・カート放棄に至ることがあります。この場合、オートメーションのワークフローを通じて、フォローアップのEメールを送信し、注文を完了するよう促したり、購入に向けたインセンティブを提供したりできます。

    アクションのトリガーとなるその他の顧客エンゲージメントには、Webサイトへの訪問、Webセミナーの登録、サブスクリプションの変更があり、これらのアクションのそれぞれに対して、自動化されたワークフローを開始できます。トリガーに基づくアクションは、あらゆるリード管理キャンペーンにおける重要な構成要素です。

  • 反復作業を排除:オートメーション・ツールはマーケティング・チームや営業チームにとって大きな資産であり、面倒な手作業を数多く処理する必要がなくなります。例えば、EメールやSMSの送信、新規顧客への追加情報の提供、インサイトの収集、データベースへの顧客情報の追加などのマーケティング活動が該当します。

  • オムニチャネルのキャンペーンを実現:消費者がさまざまなチャネルを行き来する現在は、カスタマー・ジャーニーがいっそう複雑化しています。マーケティング・オートメーション・システムは、複数のチャネルにわたって顧客を追跡し、パーソナライズおよびカスタマイズしたメッセージを複数のタッチポイントでリアルタイムに提供できます。こうして、顧客に対して事前対応型のマーケティングを行い、インバウンドのオムニチャネル・カスタマー・サービスの要求を処理できます。

  • データの効率化:企業は自動化されたツールを使用して、メトリクスの収集能力や分析能力を向上させることができます。デモグラフィック情報やサイコグラフィック情報を取り入れ、データを視覚化することで、従業員がキャンペーンの効果を理解しやすくなります。

  • 見込み客のナーチャリングとスコアリング:有望な見込み客を見つけるプロセスは、コストと時間がかかることがあります。企業はオートメーションを利用して、インバウンドの見込み客を特定し、スコアリング・システムに基づいて優先順位を付け、見込み客の心に響くカスタム・メッセージを作成できます。

  • プロセス・マイニング:これは、AIとオートメーション・ソフトウェアを利用して、マーケティング・ファネルに沿ってプロセスをレビューし、効率と効果を高める方法を特定することを指します。これはキャンペーン管理において特に強力な手法であり、組織のチャネル戦略が最適化されているかどうかを識別します。

マーケティング・オートメーション・ツールの種類

一部の企業は、すべてのサービスを網羅するオールインワンのマーケティング・オートメーション・プラットフォームを提供しています。

Salesforce や Siebel などの企業は、企業が顧客ライフサイクル全体にわたってターゲット・オーディエンスとエンゲージメントを追跡できるようにする顧客関係管理(CRM) ツールの先駆者です。その少し後には、Pardot、HubSpot、Marketoなどの企業が、マーケティング・キャンペーン管理のあらゆる活動を強化できるオールインワンの包括的なツールの提供を始めました。

現在、特に規模の大きい包括的なマーケティング・オートメーション・プラットフォームには、Salesforce Marketing Cloud、Oracle Marketing Cloud、Adobe Experience Cloudなどがあります。

ある特定の面に的を絞った製品を提供する企業もあります。マーケティング・オートメーション・サービスは、あらゆるマーケティング・チャネルの有効性を向上させることが可能であり、特にマーケティング担当者がほとんどいない中小企業にとって役立ちます。

  • コンテンツ管理プラットフォーム:企業はオートメーションを利用して、最適なオーディエンスに最適なタイミングでリーチするための適切なコンテンツを選択できます。また、例えば見出しや画像の選択などの特定のコンテンツに関して、さまざまなバージョンを作成し、どれが最も効果的かをテストすることもできます。Adobe Workfront は、インテリジェントなコンテンツ・サプライチェーンを作成するエンドツーエンドの製品の代表例です。

  • CRM:顧客データは、現代のあらゆるマーケティング戦略にとって重要な要素です。企業はさまざまな分野のデータを収集し、多くの場合はさらに追加情報を付加して、顧客や潜在顧客の全体像を把握する必要があります。CRMは通常、Eメール・マーケティング・プラットフォームと同期しているか、あるいはこうしたプラットフォームの一部として機能し、特定のオーディエンス・グループへのEメール送信を自動化しています。CRMプロバイダーの例には、HubSpot、 Salesforce 、Zohoなどがあります。

  • Eメール・マーケティング・プラットフォーム:組織は、データベースに登録されているすべての人に向けて、本人の関心などお構いなしに、同じマーケティング・メッセージを送信するわけにはいきません。自動化されたEメール・キャンペーンは、関連性の高いコンテンツやパーソナライズしたメッセージを組織がより効率的に送信し、ターゲット・オーディエンスへのリーチを増やすうえで役立ちます。Mailchimp、Constant Contact、HubSpotなどの企業は、いずれもこうしたサービスを提供しています。

  • プログラマティック広告:今日のほとんどの広告は、買い手側のソフトウェア・プログラムと売り手側のソフトウェア・プログラムの間の通信を中心に展開しています。The Trade Desk、PubMatic、Criteoなどの企業が提供する自動入札がなかったとしたら、組織は広告の売買ができません。こうした自動入札のアルゴリズムによって、落札する広告が即座に決まり、特定のウェブページを閲覧したユーザーに、キュレートされた広告が直ちに表示されます。

  • ソーシャル・メディア・プラットフォーム:ソーシャル・メディア・ネットワークを通じてオーディエンスにリーチしようとしている企業は、マーケティング・オートメーション・ツールから大きなメリットが得られます。企業は、自社のブランドや個々の製品に関するテンプレートの投稿をスケジュール化および自動化できます。また、ソーシャル・メディアAPIを利用して、ブランドについての会話を把握し、適切な カスタマー・サービス 担当者にルーティングできます。担当者はあらかじめ選択されたメッセージを使った応答が可能です。Sprinklr、Hootsuite、Sprout Socialなどの企業は、こうしたソーシャル・メディア製品の提供を専門としています。

  • チャットボット:企業はチャットボットバーチャル・アシスタントを使用して、時間に関係なく受信した顧客からのリクエストを処理し、顧客体験と顧客維持率を向上させることができます。生成 AI によってもたらされる改善により、チャットボットがほとんどの初期リクエストを処理できるようになり、カスタマー・ケア担当者はより高度な問題に集中できるようになります。IBM 、Intercom、Driftはいずれも、高度なチャットボット・サービスの提供に投資しています。

AIがマーケティング・オートメーションにもたらす変革

McKinseyは、生成AIによってマーケティングの生産性がマーケティング支出全体の最大15%相当分向上し、金額にして年間約4,630億米ドルになると予測しています。 2AI、特に生成AIは、既存のマーケティング・オートメーション・プロセスの多くを強化できます。

IBM Institute for Business Valueによると、CMOの4人中3人以上は、マーケティング業務の進め方が生成AIによって変わると回答しています。このレポートでは、生成AIの導入を検討しているすべてのリーダーにとって重要なポイントとして、次の3つを打ち出しています。

  1. マーケティングは全社規模での生成AIの導入を先導する立場にある:マーケティング担当者は、仕事をより効果的に進めるためのツールの活用に関して経験があります。生成AIは、付加価値があまりない手作業を最小限に抑えながら創造性を発揮するのに役立ちます。
  2. 過大な負担を負うコンテンツ作成者を減らせる:生成AIは同じ種類のコンテンツの異なるバージョンを無数に生成できることから、マーケティング担当者はツールを使った反復によって特定のコンテンツを完成させる作業に集中できます。
  3. 生成AIがハイパーパーソナライゼーションを実現:現在では、特定の個人にアピールするためにコピーを変更するコストはゼロに近づいています。全員に1つのメッセージを送信するのとほぼ同水準のコストで、非常にきめ細かなキャンペーンを実施できます。

例えば、土台となるコンテンツを生成AIに取り込み、個人レベルまでパーソナライズすることで、特定のユーザーにアピールできます。また、生成AIはマーケティング戦略の副操縦士の役割も果たし、個々の従業員や経営幹部が適切なアプローチを見つけるためのたたき台となるアイデアを生み出すことができます。

また、顧客データの中で人間が見逃す可能性のあるパターンを特定し、洞察をより迅速かつ大規模に引き出すこともできます。個人の居住地、Eメール・アドレス、購入に関する嗜好など、既存の顧客データの中で欠落を埋める処理には、他の形式のAIを使用できます。マーケティング・オートメーション・ツールの多くは、Eメール、ソーシャル・メディア用のコピー、Webサイトで使用する可能性のあるコピーの下書きを従業員が作成しやすくなるよう、ダッシュボードに生成AIを組み込んでいます。

リーダーがすべきこと:

  1. 生成AIのリーダーとしてマーケティングを推進
  2. 統合データを使用して360度の顧客プロファイルを確立
  3. 創造的なアイデア出しが可能な環境を奨励

マーケティング・オートメーションのメリット

マーケティング・オートメーション・ソリューションは、組織にいくつかの重要なメリットをもたらします。

  • 人間がより有意義な仕事に専念できるようにする:マーケティング・オートメーションは、従業員に負担をかけたり、重要な仕事から注意をそらしたりする可能性のある多くの面倒な作業を処理できます。オートメーションを導入している企業では、従業員は顧客やサプライヤーと直接作業することが可能になり、ブレインストーミングやストラテジーの強化に貴重な時間を費やすことができます。これによる副次的なメリットは、単純作業に煩わされることが少なくなった労働者は雇用主のもとに留まる可能性が高く、従業員の定着率が向上することです。

  • コストのかかるミスの排除: データ集約や異なるデータベースへの複数のeメール送信などの反復的なタスクを行う必要がある従業員は、自動化プラットフォームを使うよりもミスを犯す可能性が高くなります。ルールとワークフローに基づくマーケティング・オートメーションを利用することで、不要なミスを排除できると考えられます。

  • 顧客価値の提供を強化:マーケティング・オートメーションでは、セグメンテーションとパーソナライゼーションを利用して、個々の顧客にとって意義のあるカスタマイズされたメッセージを配信できます。魅力のないオファーが記載された大量のEメールの殺到に迷惑している顧客にとって、こうしたカスタマイズは有益です。また、メッセージのパーソナライズでは、本人に購入を促す具体的なオファーを提供できます。

  • 部門間のコラボレーションの改善: マーケティング・オートメーションにより、複数の部門がビジネスの洞察を1つの画面に表示し、簡単に共有できるようになります。全員が同じデータを見ているため、コミュニケーションが向上します。さらに、自動化されたツールを使用することで、メモやアイデアをより簡単に共有できます。
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