クラウド・コンピューティングの最も一般的な7つの用途
2022年8月1日

所要時間:5分

著者
IBM Cloud Team IBM Cloud
ビジネス目標を達成するために最も効果的なクラウド・コンピューティングの使用方法は何ですか。

クラウド・コンピューティングは、コストの削減や柔軟性の向上、弾力性、リソースの最適な利用を通じて競争力を高めることができると評価されています。クラウド・コンピューティングというテクノロジーは、その構成要素の単なる総和というものではありません。それはクラウドネイティブ・テクノロジーへの扉を開き、より効率的な作業方法をサポートし、機械学習(ML)と人工知能(AI)における新しい機能の運用を可能にします。

組織がビジネス価値を高めるためにクラウド・コンピューティングをどのように活用しているかをご覧ください。

1. サービスとしてのインフラストラクチャー(IaaS)とサービスとしてのプラットフォーム(PaaS)

サービスとしてのインフラストラクチャー(IaaS:Infrastructure-as-a-Service)は、基礎的なコンピューティングやネットワーク、ストレージ・リソースをインターネットを通じて、オンデマンドの従量課金制で提供するクラウド・コンピューティング・サービスです。従量課金制のクラウド・インフラストラクチャーを利用することで、企業は自社でITインフラストラクチャーを取得・管理・維持することに比べてコストを節約できます。さらに、クラウドにも簡単にアクセスできます。Amazon Web Services(AWS)やGoogle Cloud、IBM Cloud、Microsoft Azureなど、主要なクラウド・サービス・プロバイダーのほとんどが、クラウド・コンピューティング・サービスとともにIaaSを提供しています。

サービスとしてのプラットフォーム(PaaS:Platform-as-a-Service)は、アプリケーションを開発・実行・管理するのための完全なクラウド・プラットフォーム(ハードウェア、ソフトウェア、インフラストラクチャー)を顧客に提供します。それを利用することで、オンプレミスでプラットフォームを構築・保守するためのコストや複雑さ、柔軟性の欠如といったデメリットを回避できます。組織は、IaaSに注目するのと同じ理由でPaaSに注目することでしょう。組織はすぐに使用できるプラットフォームで開発速度を向上させ、予測可能でコスト効率の高い価格モデルでアプリケーションをデプロイしたいと考えているからです。

2. サービスとしてのソフトウェア(SaaS)

サービスとしてのソフトウェア(SaaS:Software-as-a-Service)は、前述のIaaSやPaaSの用途と似ていますが、そのモデルが企業のソフトウェアの使い方に与えた否定しがたい変化については、それだけでも語る価値があります。SaaSでは、ITチームがソフトウェアを購入して個々のシステムにインストールする必要はなく、サブスクリプションによりオンラインで利用できます。

Salesforce社などのSaaSプロバイダーを使用すると、インターネット接続がある限り、いつでもどこでもソフトウェアにアクセスできます。これらのツールにより、オートメーションや最適化されたワークフロー、さまざまな場所でのリアルタイムのコラボレーションなど、より高度なツールや機能にアクセスできるようになりました。

3. ハイブリッドクラウドとマルチクラウド

ハイブリッドクラウドは、企業のオンプレミスのプライベートクラウド・サービスとサードパーティーのパブリッククラウド・サービスを単一の柔軟なインフラストラクチャーに接続したコンピューティング環境であり、重要なアプリケーションやワークロードを実行することができます。このパブリッククラウド・リソースとプライベートクラウド・リソースの独自の組み合わせにより、各アプリケーションまたはワークロードに最適なクラウドを選択しやすくなります。そして、状況の変化に応じて2つのクラウド間でワークロードを自由に移動できます。ハイブリッドクラウド・インフラストラクチャーを使用すると、パブリッククラウドやプライベートクラウドだけを使用する場合よりも効果的でコスト効率がよく技術的な目標やビジネス上の目標を達成できます。

動画「ハイブリッドクラウドについての説明」では、コンピューティング環境についてより詳しく説明しています。

マルチクラウドではさらに一歩進んで、組織が異なるクラウド・プロバイダーの2つ以上のクラウドを使用できるようになります。このタイプのクラウド・コンピューティングには、IaaS、PaaS、SaaSのリソースを自由に組み合わせられます。マルチクラウドでは、ワークロードを独自のニーズに合わせてさまざまなクラウド環境で実行できます。これは、企業がベンダー・ロックインを回避できることも意味します。

これらのオプションの比較の詳細については、「分散型クラウド、ハイブリッドクラウド、マルチクラウド、エッジコンピューティングの比較」を参照してください。

4. テストと開発

クラウドに最適なユースケースの1つは、ソフトウェア開発環境です。DevOpsチームが、特定のニーズに合わせて調整された開発やテスト、および本番環境を迅速に立ち上げることができます。これには物理マシンと仮想マシンの自動プロビジョニングが含まれますが、それらに限定されません。

組織が社内でテストと開発を行うには、予算を確保し、物理的な資産によりテスト環境をセットアップする必要があります。次に、開発プラットフォームのインストールと構成が行う必要があります。こうしたすべての作業により、プロジェクトが完了するまでにかかる時間は長引き、マイルストーンが先延ばしになる可能性があります。クラウド・コンピューティングを使用することで、このプロセスをクラウドベースの開発ツールを活用して高速化し、アプリやソフトウェアの作成をより速く、より簡単に、よりコスト効率よく行えるようになります。

クラウド・コンピューティングの主な利点の1つは、DevOpsプロセス、CI/CDパイプライン、クラウドネイティブの進歩(マイクロサービスサーバーレス、コンテナ化など)を容易に実現できることです。これらのテクノロジーは急速な加速とイノベーションをもたらしましたが、何百ものサービスをサポートするために自立したクラウド・インフラストラクチャーを必要とします。

5. ビッグデータ分析

クラウド・コンピューティングの計算能力を活用することで、企業はビッグデータ分析を通じて強力な洞察を獲得し、ビジネス・プロセスを最適化できます。

企業のエンドポイントやクラウド・アプリケーション、およびそれらと対話するユーザーからは毎日大量のデータが収集されます。クラウド・コンピューティングにより、組織は利用可能な膨大な量の構造化データと非構造化データを活用して、ビジネス価値を引き出すメリットを享受できます。

小売業者やサプライヤーは現在、消費者の購買パターンから導き出される情報を抽出し、特定のセグメントに向けて広告やマーケティング・キャンペーンを展開しています。ソーシャル・ネットワーキング・プラットフォームは、組織が有意義な情報を導き出すために利用している行動パターンに関する分析の基盤を提供します。このような企業は、クラウド・コンピューティングによって可能になった2つの機能である機械学習(ML)人工知能(AI)によって、より深い洞察を得ることができます。

AI、機械学習対ディープラーニング、ニューラル・ネットワーク:その違いは」をお読みになり、これらのテクノロジーの複雑さの詳細を学びましょう。

6. クラウド・ストレージ

クラウド・データ・ストレージを使用すると、ファイルをクラウドに自動的に保存して、インターネット接続された任意のデバイスからファイルのアクセスや保存・取得などを処理できます。組織は、ストレージ用に独自のデータセンターを維持することなく、実際に消費しているクラウド・ストレージの量に対してのみ支払いをするだけで済みます。一連の操作を、ストレージ・インフラストラクチャーの日常的な保守を見守る手間に煩わされずに行うことができます。その結果、データ・ストレージ環境の可用性や速度、拡張性、セキュリティーが向上します。

機密データに関する規制や懸念事項がある状況では、組織はセキュリティーを強化するために、データをオンプレミスでもオフプレミスでも、プライベートクラウド・モデルやハイブリッドクラウド・モデルに保存できます。

7. 災害復旧とデータのバックアップ

クラウドを使用することで得られるもう1つの利点は、災害復旧(DR)ソリューションの費用対効果が高いことです。これにより、従来の災害復旧(DR)サイトよりも低コストで、さまざまな物理拠点で構成されるメッシュから、より迅速に復旧できます。

災害復旧(DR)サイトの構築と事業継続性計画のテストは、固定資産を使用すると費用と時間がかかることがあります。ただし、クラウドを構築すると、組織は本番サイトを複製し、データと構成設定を常に複製できるため、時間とリソースを大幅に節約できます。

同様に、データのバックアップは常に複雑で時間のかかるオペレーションでした。クラウドベースのバックアップは「万能薬」ではありませんが、確かに以前のものとは大きく異なります。組織は、セキュリティーや可用性、容量のいずれにも不安を感じることなく、任意の場所にデータを自動的に送信できるようになりました。

クラウド・コンピューティングのこれら7つの用途ですべてが網羅されるわけではありませんが、クラウドを使用してITインフラの柔軟性を高めるという明確なインセンティブを示しています。また、ビッグデータ分析やモバイル・コンピューティング、新興テクノロジーも最大限に活用します。

IBM Cloud

IBM Cloudは、ビジネス向けに最もオープンで安全なパブリッククラウドプラットフォーム、次世代ハイブリッドマルチクラウドプラットフォーム、高度なデータおよびAI機能、そして20の業界にわたる深いエンタープライズ専門知識を提供します。IBM Cloudハイブリッドクラウド・ソリューションは、アプリケーションとデータの両方に柔軟性と移植性を提供します。Linux®、Kubernetes、およびコンテナはこのハイブリッドクラウド・スタックをサポートし、RedHat OpenShiftと組み合わせて、オンプレミスとクラウド・リソースを接続する共通のプラットフォームを作成します。

IBM Cloudソリューションが以下の点で組織にどのように役立つかをご覧ください。

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