データ・ストラテジーを設計するための6つのステップ
データのビットを表すグラフィック・イラスト
分析とAIからビジネス価値を最大限に引き出すには、創造性と信念が必要です

今日のデータリーダーは、ビジネス・インテリジェンスだけに着目するのではなく、組織が常に一歩先を行くためのリアルタイムの意思決定モデルと予測モデルを求めています。

しかし、そこに到達するためには、データ・ストラテジーによって、データの意味を理解し、ビジネス・ストラテジーと整合させ、組織全体にまたがるAIとデータ分析ソリューションを構築する正しいアプローチを定義する必要があります。人々に力を与え、従来の分析やデータサイエンスから運用分析、デジタル、IoTセンサー・データ、データの可視化、AIイニシアチブ、新製品開発まで、ビジネス・ニーズを満たすユースケースを定義する必要があります。明確なデータ・ストラテジーは、 AIを拡張するための重要な第一歩です。

しかし、データと AI の可能性を完全に実現するには、創造的な意思決定、説得力のあるストーリーテリング、部門横断的なサポートが必要です。この6つのステップから成るフレームワークには、業界のデータ・リーダーからのインサイトが盛り込まれており、組織としてのチーム、才能、強みを最大限に活用するデータ・ストラテジーを設計し、実行するのに役立ちます。

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ストラテジーを策定する
1. ビジネス目標を理解する

データとAIストラテジーをビジネス・ストラテジーと結びつける

どのような優れたデータ・ストラテジーでも、賛同が重要です。ビジネスとデータの優先順位を一致させるには、組織と上級リーダーの目的を明確に理解する必要があります。経営幹部やビジネス利害関係者とのミーティングは、データを真の競争上の優位性として採り入れることにより、組織の目標達成を支援するための第一歩です。「すべては、どのようなビジネス上の問題に取り組もうとしているのかということに始まり、そして終わります」とInari社の最高情報データ責任者であるRania Khalaf博士は述べています。

最終的は、ビジネス・ストラテジーとデータ・ストラテジーを結びつけることは、各部門に存在するフレームワークやガイドラインを統合し、(理想的には)誰もが同意するデータ・ランドスケープの単一の統合ビューを実現することを意味します。

実際、Gartner®によると、データと分析を優先順位付けし、定量化したビジネス成果と測定基準に結びつけるCDOは、そうでない同業他社よりも成功すると見られています。¹

しかし、始めるときは現実的になってください。そう語るのは、保険業界のエンタープライズ・データおよび分析リーダーであるSrinivasan Sankar氏です。リーダーシップがデータとAIイニシアチブの戦略的メリットを理解できるようにするには、まず、協調的なデータ駆動型の環境が具体化し始めた段階で、優先順位が明確化され、合意されていることを確認してください。

 

経営陣がCDOを採用するとき、6カ月または8カ月以内にすべてが変わると考えます。機械学習による完全なオートメーション。完全にデータ駆動型の組織。それは到底、不可能です。しかし、回復力を維持してください。 Srinivasan Sankar エンタープライズ・データおよび分析リーダー 保険業界
利害関係者に尋ねるべき重要な質問 利害関係者との初期の会話では、次のような質問をして方向性を明確にしてください。 成功するCDOはどのように利害関係者を関与させるか 1

データとAIの使用を必要とする最も重要なビジネス目標とイニシアチブは何か

2

これらの優先事項の達成を妨げる最大の課題は何か

3

セルフサービス・データ・アクセスに関連して、データ・プライバシーとセキュリティーにどのような課題があるか

 

4

ソリューションを構築するために、ツールの統合にどのくらいの時間を費やしているか

5

現時点では完全にハッキングできないデータを何に利用できたらよいと思うか

6

自分自身とチームの成功をどのように測定しているか

最も魅力的なユースケースを特定する

高品質のデータにもっと簡単にアクセスできるとしたら、組織内のどこで問題を解決できるでしょうか。「利害関係者と会うときは、戦略的資産としてのデータの価値を示すために、事業部門内または事業部門をまたがる複数の事業目標に関係するデータ・ニーズを特定します」と、IBMの顧客向けにデータ・ストラテジーの設計と導入を専門とするJo Ramos氏は言います。

データ・ランドスケープをあらゆる方向にスキャンします。時代遅れのアプリを更新することでサプライチェーンのコストを削減できるとしたらどうなるでしょうか。あるいは、AI を使用してリスクとコンプライアンスを自動化し、より迅速かつ改善されたインサイトを得ることができるでしょうか。データの質と、財務、営業、マーケティングなど組織内の各領域間のデータの流れ(または流れにくさ)をよりよく理解することで、業務をより全体的に把握し、売上の増加、収益性の向上、リスクの低減につながる新たな機会を発見することができます。

ツールキット内のツールを理解する

IT部門と連携して、既存のインフラストラクチャーとテクノロジーに加え、新しい最先端のテクノロジーを活用することで、データ・ストラテジーを次のレベルに引き上げます。組織の現在のテクノロジー・エコシステムとストラテジー(およびサブストラテジーとそのサブストラテジーも)を理解することは、データ、AI、アプリケーションを使用してビジネスの成果を達成するための、明確で達成可能な行動指針を描くのに役立ちます。この知識は非常に重要です。計画され、資金提供されたイニシアチブを活用することで、データ・ストラテジーを確実に実現できます。


組織のデジタル・トランスフォーメーションとAIストラテジーを熟知する

Ramos氏は、まず自社の現在のデータ環境を考慮しなければ、アプリケーションの更新や古いシステムの刷新は価値を生まないと指摘します。「多くの組織がアプリケーションのモダナイゼーションやアプリケーションのクラウドへの移行について話しますが、データそのものを見失っています」と彼は言います。「データを統合し、分析するとは、すべてのアプリケーションをクラウドに移行することではなく、新しい最新のアーキテクチャーの中でデータをどのように活用するかということです」

2. 現在の状態を評価する

問題点を解き明かし、障害やギャップを明らかにする

最終目標がわかり、リーダーが参加している (実際にリーダーが参加していますね?) ので、今度はエコシステム全体を見て、何が機能していて何が機能していないかを評価します。最終的な目標が決まり、リーダーが揃った(揃っていますね?)ところで、エコシステム全体を見渡し、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないかを評価します。真のデータファーストの体験を構築する上での障壁は何ですか。

データ統合、データ管理、ワークフローに関する課題の根底には、組織のサイロ化があることがよくあります。実際、企業の82%がデータ・サイロによって阻害されています。²従業員の生産性を最大限に高めるには、セルフサービスのデータと、AIを活用したアプリやソリューション、そして適切な管理体制が必要です。単にアクセスできることだけが障害となってはなりません。

ユーザーがデータにアクセスし、それを使用して優れた成果を得られるようにする必要があります。そのデータがどこにあるのか、ガバナンスが適用されているのか、その背後にあるメタデータのコンプライアンスがあるかなどを考える必要はありません。必要なデータを自信を持って使用できる必要があります。

データを調べて、今あるものと必要なものを明らかにする

データ・トポロジーは、地形図が山、丘、谷を示すのと同じように、情報の曲線や輪郭を明らかにします。あらゆる組織の競合する優先順位とニーズを包含するデータ・シナリオを分類し、クラスタリングし、管理できます。自社のデータ・トポロジーを理解すれば、制約を特定し、ビジネス・ストラテジーに合致しないテクノロジーなど、時代遅れのデータ・アーキテクチャーを突き止めることができます。また、より堅牢なAIやオートメーション・テクノロジーを採用する機会や、データ統合を妨げる危険信号など、論理的にアップグレードが必要な領域を特定することもできます。

誰がどんなスキルを備えて参加するのか把握するために調査する

どんなに優秀で才能があっても、自分ひとりで大規模なデータ変更を設計することはできません。特にAIに関しては、IT業界の急速なペースに対応するために必要な特定のスキルと継続的なトレーニングが、チーム(もちろん自分自身も含めて)備わっていることを確認してください。半数以上の組織がデータ・リテラシーと専門知識を拡大するために社内スタッフのスキルアップを図っており、5社に1社は新卒者を雇用してトレーニングを行っています。³ 賢くなり、常にその状態を維持しましょう。

ガバナンスのために重要なデータ要素を優先順位付けする

氏名、住所、社会保障番号など、重要かつ規制されたデータ要素を管理することは、重複エラーや信頼性の低い検索、プライバシー侵害なしにさまざまな業務システムを運用するために不可欠です。データの保護とイノベーションの促進の間で微妙なバランスを取りましょう。現在、誰がデータに関連するポリシーを所有、管理、定義しているのか、またそのガバナンスがセキュリティー、プライバシー、コンプライアンスに影響を与えるかどうかを検討します。データと分析の評価、作成、消費、管理において適切に行動できるようにするために、組織内の適切な人材に決定権、説明責任のフレームワーク、外部リソースを持たせます。現段階で使用しているAIテクノロジーのガバナンスも忘れてはなりません。

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3. データとAIストラテジーフレームワークを綿密に計画する

データの目標状態を定義する


データ・ストラテジーに関する会話や、その結果として生じるビジネス・プロセスの変更が、アプリ・エンジニアやビジネス・アナリストにとっても、人事や営業と同様に有意義なものとなるよう、包括的なビジョンを概説します。「多くのデータ環境は時代遅れになっており、今日のデジタル環境において進化する柔軟性を備えていることはほとんどありません」と、IBMでデータ・ストラテジー、コンサルティング、トランスフォーメーション・エンゲージメントを率いるTony Giordanoは言います。

「しかし、デジタルにはリアルタイムの意思決定能力が必要であり、このリアルタイムの意思決定能力を提供する予測モデルにはデータサイエンス環境が必要です。今や、運用データはデータ・エコシステムの重要な一部となりつつあります。最新のデータ・アーキテクチャーには、管理、ガバナンス、保護が必要な機能を備えた統合データ・エコシステムが必要です。これにより、一貫したデータ品質とデジタル・チャネルの進化に合わせて進化する柔軟性が実現します」

これだけ詳細化すると、ビジネス・プロセスの変更に伴う苦労も少しは軽減されます。特定のユーザーの生活をどのように楽にするソリューションなのか、詳しく説明して懸念に応える準備ができるからです。ここで大きな問題があります。最近の調査では、回答者の37%がデータ・セキュリティーが最大の課題であると回答しており、次いでデータ・プライバシーに関する懸念、データ・パイプラインの管理となっています。


アプリケーションのモダナイゼーション、オートメーション、AIがストラテジーを次のレベルに引き上げる可能性を具体的に示す

デジタル・トランスフォーメーションとITストラテジーから学べば学ぶほど、データ・ストラテジーは向上します。このようなインサイトは、特にアプリのモダナイゼーション、オートメーション、AIを使用して詳細化されると、効率性の推進、収益の増加、リスクの軽減に役立ちます。

LufthansaはIBMのチームと協力して、顧客体験を向上させるAIベースの新しいビジネス・アイデアとサービスを試験的に導入しました。これまでバラバラだったデータ・ソースが、自然言語や航空用語で検索できるようになり、年間10万件近い顧客からの問い合わせに、より簡単に対応できるようになりました。「Lufthansaにとって、AIは非常に重要です。なぜなら、AIは実際に私たちが利用しているデータの世界を広げてくれるからです」と、Lufthansa Groupのクロスドメイン・ソリューション担当シニア・ディレクターのMirco Bharpalania氏は言います。「実際、AIは、データベースの中に既に何らかの形でどこかに存在しているすべての可能性を明らかにしてくれます」




目標に向けて進捗状況を測定する


私たちは各自の状況を理解しています。データ・リーダーは、多くの場合、収益の増加、運用効率の向上、セキュリティーとプライバシー・リスクの軽減という3つの競合する分野で大きな成果を出し、定量化することを期待されています。勝利のためにデータを活用することは、会社の成長に直接貢献します。成功の指標を確立することで、組織にとって今最も重要なことに基づいて取り組みに優先順位を付けることができます。

利害関係者との最初のミーティングのメモを必ず振り返り、重要業績評価指標と目標がどのように定義されているか、そしてそれらが現在のデータ・アーキテクチャーやAIストラテジーとどのように結びついているかを確認してください。あなたの指標は、そのときに打ち出された大胆な計画を実現していますか。そうでない場合は、再び結びつけて再調整することが必要です。「CDOの役割は短期間で終わることがよくあります。その理由は、期待値を設定していないからです。期待値を設定し、そのとおりに成果を出すようにしてください」とSankar氏は言います。

データ・ストラテジーのハイライトを記録し、共有する


この時点で、組織の優先順位と、データとAIを使用してビジネス価値を実現し、加速する方法を明確に理解する必要があります。次に埋めるべきギャップは何ですか。全体像(現在地とその先にあるもの)を見ることで、戦略的な背景を理解し、実現と規模に関する実行可能な計画を立てることができます。その際、成果、目的、計画を順調に進めるための手段を盛り込み、取り組みの進捗に合わせて企業と共有できるようにします。以下に、データ・ストラテジーの概要に含めるべき内容をいくつか紹介します。

  • 所見、課題、推奨事項
  • 目的、成果、手段
  • 部門横断的なデータは複数のユースケースをサポートする必要がある
  • データ・プライバシーとセキュリティーのニーズ

ストラテジーとは、単なる机上の演習ではなく、進化する生きたアプローチであることを忘れないでください。ですから、創造性を発揮してください。変化するビジネスの目的や目標に基づいて頻繁に見直しと最適化を行い、ストラテジーが柔軟性、機敏性、人間のイノベーションを考慮したものであることを常に確認してください。

計画を1ページで表す

6つのステップのデータ・ストラテジー・フレームワークをダウンロードする

ストラテジーを実行する
4. 管理体制を確立する

現実世界のシナリオを描き、ナビゲートする

疲弊したシステムの革新、古い製品の廃棄、データに精通したパートナーへの委託、ビジネス全般にわたる人工知能の適用などいずれであっても、あなたの仕事はできるだけ脇道にそれずにデータ目標に集中することです。データ・ユーザーからインサイトを得ます。AIを使用してビジネス価値を加速する最適な方法を検討します。戦略フェーズで作成したデータ・トポロジーを実装することで、ユースケースを把握し、複数の事業部門にわたるさまざまな管理体制を監視することができます。

データとAIの品質、プライバシー、セキュリティーに基づいたデータ・ガバナンス・ポリシーの概要を説明する

最新のデータ管理アプローチの一環として、堅牢なガバナンスとプライバシー機能は、データ量が増大する中で組織が成長するのに役立ちます。すべてのデータ、分析、AIイニシアチブのメタデータおよびガバナンス層により、データがどこに存在するかに関係なく、組織全体の可視性とコラボレーションが向上します。データ・ガバナンス・ポリシーは、データ品質、プライバシー、セキュリティー、管理に関する行動を形成し、AIがこれらの規制の取り組みのどこを合理化するかを示します。どのようなポリシーを適用する場合でも、構造化データと非構造化データの両方の用語を標準化し、組織内の全員が同じ言語を話せるようにする必要があります。そのすべてが、特定の環境向けに指定されたアプリによってサポートされ、セキュリティーと規制要件に適合し、最適な保護を確保するためにハイブリッド・マルチクラウド・アプローチでプラットフォーム化される必要があります。

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データ・アドボケイトを特定する

データ・ストラテジーとアドボカシーにおいて協力者と認められた組織内の人々は、成功のためのパートナーです。データが仕事に与える影響に最も熱心に取り組んでいるのは誰かを特定し、定期的なミーティングや基準の維持に参加してもらいます。「製品のチャンピオンを特定するという小さなことから始めました」とSankar氏は言います。「それは1つの事業単位から始まり、成功すると伝染します」

IBMはデータファーストの企業として、組織がデータをあらゆるレベルでより良く、より広範に利用できるよう支援することを専門とするデータ・アドボケイト・チームを配置しています。
これらのデータ・アドボケイトは、例えば売掛金担当やサプライチェーン担当で同じ考えを持つグループを見つけ、データやAIの機能を前進させたいときに、許可や資金提供を求めることなく行動できるという点で、IBM内で完全な権限を与えられています。

命名法を標準化する

2024年までに、アクティブなメタデータを効果的に活用する組織は、統合されたデータ配信までの時間を半分に短縮し、データ・チームの生産性を 20% 向上させるでしょう。⁵

メタデータを使用して命名規則を標準化するために、多くの企業がKnowledge Catalogを導入しています。Knowledge Catalogは、データ、知識資産、コンプライアンス情報へのアクセス、キュレーション、分類、共有を可能にするもので、組織横断的な共通の用語集のような役割があります。目標は、ガバナンス、データ品質、コンプライアンスについて、文字どおり全員が同じ認識を持っていることを確認することです。

 

私は製品のチャンピオンを特定するという小さなことから始めました。それは 1 つの事業単位から始まり、成功すると伝染します。 Srinivasan Sankar エンタープライズ・データおよび分析リーダー 保険業界
5. 統合ソリューションを作成する

スプリント・サイクルを設定する

データとAIストラテジーを定着させるには、多くの場合、組織は新しい概念と環境を中心に企業文化全体を再設計する必要があります。それは大変なことのように聞こえますが、不可能ではありません。

短時間で価値ある、実現可能なことを達成するためにはどうすればいいかを考えることから始めましょう。明確な目標に対して、部門横断的なチームを編成します。次に、短いスプリント・サイクルと、結果を証明するのに役立つ実用的なマイルストーンを設定します。1つのアプローチは、IBMデータ専門家が使用する、次のシンプルで反復可能なプロセスに従うことです。

  • データ・トポロジー・マッピングの演習を含む、ディスカバリー・ワークショップとデータ・ストラテジー計画セッションを1~2週間計画します
  • 実用的で学習可能なマイルストーンを設定した顧客主導のユースケース・セットで、6週間にわたって証明します
  • コンバージョンを確実にするため、社内の利害関係者全体で追跡したテスト製品を導入して拡張します

最後の部分は重要です。どのようなストラテジーであれ、そのメリットを明確に理解してもらうために、経営幹部、技術チーム、ビジネス・ユーザー全員が同じゴールを目指していることを確認します。

MVPという形で小さな勝利を集める


最小限の投資で最大限の利益を得られることもあります。ExperianのIT チームは、バックオフィスにデータ分析のための場所があることを知りませんでした。彼らはただ、自分たちが情報に溺れていることだけは知っていました。1秒以内に1つの信用報告書を作成するには、3,000以上のデータ・ソース、毎月更新される2億のレコード、アーカイブされた履歴データと派生データセットを追跡する数十億行の追加データが必要です。

ExperianはIBMと協力して、ユーザーが最小限の投資と機能で新しいアイデアを考え、テストできるMVPを導入しました。多くの場合、これは仮説を検証し、継続的な投資が理にかなっているかどうかを判断するための最も迅速で費用対効果の高い方法です。この場合は、それは真実でした。Experianの最高データ責任者であるJoni Rolenaitis氏は次のように語っています。「90日以内に概念実証を行い、その結果、カバレッジを500%向上させ、コストを80%削減できることが実証されました。

サイロ化およびサイロ化した思考からの脱却

新しいテクノロジーとシステムを統合することで、組織の自動化は進み、データ主導になります。また、リスク許容度やセキュリティーが向上します。それはまた、従業員がよりハードに働くのではなく、よりスマートに働く方法でもあります。AI駆動型のワークフローから得られるインサイトは、新たなレベルの効率化と収益性の高い収入源につながる可能性があるからです。時代遅れのデータ・エコシステムと管理慣行が従業員の意思決定能力にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。調査によると、ほとんどの組織では最大68%のデータが分析されていません。⁶コンピューティング能力、よりスマートなアルゴリズム、手頃な価格のストレージの目まぐるしい進歩により、データを結合することは、未来を見据えた組織の基盤となっています。

 

インサイトを見つけて共有するための中央カタログを作成する

中央カタログを活用してインサイトを保存および共有し、データ消費を簡素化することができます。カタログ内では、データは、組織全体でデータの公開と購読を可能にする目的に合ったストレージにより、元の形式とキュレーションされた形式で増強されます。データ・アクセス・ツールは、個々のアプリやプロセスの先に目を向けて、データがどのように消費され、どのような知識が生まれているかを検討します。この詳細レベルにより、ユーザーは、アナリスト、データサイエンティスト、規制機関、連邦政府機関だけでなく、事業部門のデータを考慮したリアルタイムの意思決定を行うことができます。

データ・コンシューマーに権限を与えることで、あらゆる方向からの導入を促進する

これはデータに黙々と取り組むことだけを意味するのではありません。新しいデータ管理フレームワークを使用すると、トップダウンだけでなくあらゆる方向から組織のデータとAIストラテジーの導入を促進できます。このようにして、ビジネスのコミュニケーション方法に影響を与え、主要なワークフローを改善し、セキュリティーを最適化し、新しいビジネス・モデル、市場機会、および運用効率を引き出すことができます。

6. 統合ソリューションを作成する

結果を伝達して可視性を最大限に高める

自分の努力がどれだけ実を結んでいるかを知らせましょう。「ビジネス・プロセスとデータ接続、そしてデータを使用して説得力のあるストーリーを伝えることで、信頼性を築きましょう」とSankar氏は言います。特にAIに関しては、迅速なアップデートと定期的なレポートによって、企業全体(上、下、横、斜め方向)でそれを実行し、新しいストラテジーがどのように収益を促進し、すべての人の仕事の満足度を高めているかを測定します。

人材を雇用(および再教育)して俊敏性を維持する

人材不足は現実の課題ですが、ほとんどの組織はその対策を知りません。スキル・ギャップを埋めるということは、従来の雇用やトレーニング・ストラテジーを超えたところに目を向けるということです。企業が人材のニーズを満たすために奔走する中で、多くの企業が役割を埋めるためだけに学歴や経験の要件を調整しています。トレーニングや雇用だけでは不十分な場合はどうすればよいでしょうか。IBMエンタープライズ・ガイドからスキル・ギャップを埋めるためのヒントを検討し、AI とオートメーションによりスキル・ギャップを補う方法を検討してください。

データ・リテラシーを常に育む

Gartnerは、2023年までにデータ・リテラシーがビジネス価値の推進要因として必要不可欠なものになると予測しており、そのことは、データおよび分析ストラテジーと変更管理プログラムの80%以上にデータ・リテラシーが正式に含まれていることからも実証されています。⁷しかし、データ・リテラシーを維持することは、年1回や四半期に1回の取り組みであるべきではなく、企業ストラテジーの継続的な部分である必要があります。「データ駆動型の文化を実現しようとしているのに、人々に力を与えないのであれば、それはある意味矛盾しています」とBhandari氏は述べます。「データ駆動型の文化であれば、人々はデータに注目すべきです」

組織全体で強力なパートナーシップを築く

最も基本的なレベルでは、データ・リーダーとしての仕事は、組織がデータの収集、管理、使用に関して最も賢明な決定を下すのを助けることです。あらゆるレベルでパートナーシップを築き、強化する際には、フィードバックやコラボレーションをオープンに受け入れ、予期せぬ事態を想定してください。データファーストの組織を成長させると、興味深いことが起こるからです。あなたのビジョンが組織のDNAに深く根付くほど、従業員が意欲的に学び、新しい役割を担うような文化をサポートするだけで、リーダーとしての負荷が軽減されます。その間ずっと、将来を見据えて、目的と目標を明確に伝え続けてください。

80%

Gartnerは、2023年までにデータ・リテラシーがビジネス価値の推進要因として明示的で必要不可欠なものになると予測しており、そのことは、データおよび分析ストラテジーと変更管理プログラムの80%以上にデータ・リテラシーが正式に含まれていることからも実証されています。⁷

データを差別化要因にする

あなたのデータ・ストラテジーに触発された組織があなたの背後に結集します。既存のテクノロジーを補強し、新しいテクノロジーを導入して、あらゆる組織レベルでのデータ・アクセスを簡素化する際には、効率化を図り、新たなインサイトを推進するだけでなく、データの可能性を最大限に活用することに熱心な人々の文化を構築していることを忘れてはなりません。

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脚注

1「CDO Agenda 2022: Pull Ahead By Focusing on Value, Talent and Culture」、Gartner、2021 年。
2 「The Total Economic Impact Of IBM Garage」、Forrester Consultingが実施した委託調査、2020年10月
3 「Tableau Boosts its Data Literacy Initiatives to Address Data Skills Gap, Expand Market」、IDCドキュメント #EUR148573521、IDC、2021 年 12 月
4 「Diving into the data lake—Highlights from VotE: Data & Analytics, Data Platforms 2021」、451 Research、S&P Global Market Intelligenceの一部、2021年
5「The Impacts of Emerging Cloud Data Ecosystems: An Architectural Perspective」、Gartner、2021年9月9 日
6 「Rethink Data: Put More of Your Business Data to Work – From Edge to Cloud」、Seagate Technology、2020年7月
7 「A Data and Analytics Leader's Guide to Data Literacy」、Gartner、2021年

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