ご自身が、毎年スーパーボウルまたはそのコマーシャルを見た約1億2,000万人の一人であれば、WPP社の作品を見たことがあるでしょう。ご自身が、フォーチュン誌が選ぶ世界トップ500位に入る企業の従業員であれば、おそらく貴社はWPP社と協力関係にあったことがあるでしょう。
WPP社は、2,300社の代理店と関連事業会社を傘下に持つ世界最大の広告会社で、毎年数百件のハイエンドな広告キャンペーンやコミュニケーション・イニシアチブを制作する世界的な企業を運営しています。これは、データを大量に消費するビジネスです。
近年、WPP社は重要なITとアプリケーションのアジリティーを達成するためにITをハイブリッドのマルチクラウド・モデルに移行したところ、コストが急騰しました。「これまでは、一定量の物理的資産に対して毎月固定料金を支払っていましたが、今では文字通り分単位でリソースに対して課金されるようになりました」と、WPP社のグローバル・テクノロジー・サービス担当ディレクター、Paul Cocks氏は語ります。何千社もの異なる組織がそれぞれのニーズに合わせてクラウドを構築していたため、WPP社は大規模なクラウドが無秩序に拡大するという問題に直面していました。
「自分たちがどれだけの費用を費やしているのか、まったくわかっていませんでした」と、WPP社のFinOps責任者であるAnanta Manandhar氏は言います。「当社には、主要なパブリッククラウド全体で数百件のアカウントがあり、これらすべてを一望できる可視性を達成する必要がありました」。
技術面では、Cocks氏とその同僚でコスト最適化責任者のAlan Burnett氏は、十分に活用されていないコンピューティング・リソースを排除することで数百万ドルを節約できる可能性があることを認識しました。そこで二人は、適正規模化の技術を習得し、クラウドのコスト動向を会社にとって有利に働かせたいと考えていました。
WPP社は、IBM Apptio Cloudability(ibm.com外部へのリンク)と IBM Turbonomicという2つのテクノロジーを導入し、包括的かつ効率的なFinOpsプラクティスを構築しました。財務チームは、IBM Apptio Cloudabilityを使用して、あらゆる企業とあらゆるクラウド・プラットフォームにわたり、WPP社が支出している金額と支出先を正確に把握します。運用チームはTurbonomicを使用して、AI駆動型のサイズ設定の提案とサイズ自動変更によりリソースを効率的に最適化し、コスト削減を促進します。
最初に導入したのはIBM Apptio Cloudabilityでした。WPP社は、競合製品と比較して評価した後、IBMソリューションを実装し、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)を含むクラウド環境で、99%の支出の可視性を迅速に実現しました。「いとも簡単に実現しました」とManandhar氏は言います。「このソリューションは、環境全体を統合する実に優れたAPIを備えています。私達は、何百社もの請求先アカウントを登録し、使用状況と利害関係者をマッピングしました。製品で確認できる実際のドル表示、請求書表示、異常値を含む使用状況表示をクラウド・サプライヤーから直接得たデータと比較したところ、非常に正確でした。これにより、当社のリチャージ業務に対するユーザーの信頼を急速に築くことができました」。
次に、Cocks氏とBurnett氏が取り組んだのは、大規模なコスト削減のために、IBM Turbonomicを用いて価値実証(POV)を行うことでした。前に勤務していた別の大企業で、最適化に関する深い実績を積んだBurnett氏は、WPP社のAzureテナントの1つにTurbonomicを導入し、ソリューションに推奨されるリソース配分を提案させました。こうして提案された推奨事項の中から1,100件のサイズ変更項目を選択し、その多くはTurbonomicが自動的に実行しました。
「POV中に、コストの10倍以上を回収したと考えています」とCocks氏は言います。
WPP社は現在、TurbonomicをAzure環境に正式に導入し、今後、他のクラウドにも段階的に導入する予定です。「大規模な規模適正化が実現できる可能性があるだけではなく、未使用のリソースも数多く存在していたため、手作業でスケールダウンするには規模が大きすぎることが明らかになりました」と説明するのはBurnett氏です。Turbonomicのインターフェースには、コストへの影響に加えて、自動生成された何千件ものサイズ設定の推奨事項が表示されます。運用チームは、多数の推奨事項を管理しやすいサイズに分割し、ユーザーと協力して、どのアクションがビジネス上適切であるかを特定します。
その後、チームはTurbonomicの一括アクション機能を使用して、非常に効率的にサイズを変更できます。チームは基本的にPOVで達成したペースを倍速しており、現在では1~2カ月ごとに約1,000件のアクションを実行しています。「ある週末で500枚の接続されたディスクを削除することで、25万ドルも節約できました」と Burnett 氏は言います。「オートメーションなしでは達成できなかったでしょう。これにより、クラウド・コストを管理するためのペースを実現できます」。
IBM Apptio Cloudabilityを使い始めてからわずか3カ月で、WPP社は約200万米ドルものコスト削減を達成しました。IBM Apptio CloudabilityとTurbonomicを活用してFinOpsを強化することで、同社は年間のクラウド支出を約30%、即ち1,000万米ドル以上のコスト削減を実現しています。
Manandhar氏は、現在焦点は「効率化から効率性維持へ、キャンペーンモードから通常運用モードへ」移行していると言います。Manandhar氏率いるチームは、IBM Apptio Cloudabilityのライブ・ダッシュボード機能を使用してコストと傾向を監視し、継続的な節約の可能性に関する月次レポートを生成し、今後TurbonomicをGCP、次にAWSに適用する際の目標を立てています。
コスト、使用状況、無駄を明確に可視化することで、WPP は企業内に FinOps の文化を浸透させています。「最適化の機会がこれほどたくさんあることが実証されると、誰もが現状のままでいるのではなく、コストを削減する方法をより意識するようになります」とBurnett氏は語ります。
「私たちがコストを追跡しているため、従業員は予算を立て始め、全体的な最適化を積極的にサポートしています」とManandhar氏は説明します。「これにより文化的な違いが明確になるため、ビジネス、財務、エンジニアリング・チーム間のより緊密なパートナーシップがもたらされます」。
WPP社(ibm.com外部へのリンク)は、通信、エクスペリエンス、商取引、テクノロジーの分野で数多くの著名な代理店を擁する持株会社です。この組織は100カ国以上で約114,000人の従業員を擁し、ォーチュン誌が選ぶ世界トップ500位に入る企業のうち実に300社と提携しています。本社はロンドンにあります。
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