ホーム お客様事例 Wiwynnコーポレーション Wiwynn社、グローバル成長に向けて生産を拡大
IBMと共に未来のファクトリーのファウンデーションを築く
ファクトリー・ライン

デジタル・サービスは年々、私たちの個人生活や職業生活に深く組み込まれています。Wiwynnコーポレーションは、世界中の何百万もの企業や消費者の24時間オペレーションを可能にするためにクラウド・サービス・プロバイダー(CSP)やソーシャル・メディア大手が使用する、不可欠なサーバー、ストレージ、ネットワーキング・ソリューションを提供しています。

クラウドITインフラストラクチャー・プロバイダーとして、Wiwynn社はCSPクライアントと緊密に連携して、最適化されたソリューションを提供し、最適な総所有コスト(TCO)を実現します。ODMダイレクト・ビジネス・モデルを通じて、Wiwynn社はサーバー・ラックを設計、構築、構成し、CSPクライアントに直接発送し、イノベーションとその導入を加速します。同社のオペレーションは、台湾と中国の表面実装テクノロジー工場、北アメリカとヨーロッパのラック統合工場など、台湾の本社を含む複数のグローバル施設にまたがっています。

Wiwynn社の最高情報責任者(CIO)であるJames Wen氏は次のように説明しています。「近年、Wiwynn社は急成長を遂げています。2020年、当社はグローバルなサーバー市場の約10%にサービスを提供し、300以上のデータセンターにソリューションを提供しました。今後は、5Gやエッジコンピューティングの分野での実績を拡大し、この成功をさらに発展させ、冷却や省エネ・テクノロジーなどのデータセンター・ソリューションにも拡大していきたいと考えています。」

新しいビジネス分野への移行と同時に、Wiwynnの既存のCSPクライアント自体も急速に成長しており、サーバー・ソリューションに対するグローバルなデマンドが高まっています。同社は今後数年間で製造能力を大幅に増強し、新たなオポチュニティーを捉えることを目指しています。

「私たちのエンドツーエンドのビジネス・プロセスは、何千マイルも離れた場所にある複数のサイトに依存しています」とWen氏は説明します。「注文を期日どおりに納品するために、長年にわたり、統合されたSAP® ERPソリューションを利用して、複雑なサプライチェーンを効率的に調整してきました。」

総所有コスト(TCO)の削減

 

インフラストラクチャーのTCOを4年間で40%削減

クラウドの俊敏性

 

クラウドの俊敏性により、SAP環境のプロビジョニングを99%高速化

将来を見据えたビジネス・システムは、私たちのデジタル・トランスフォーメーション・ジャーニーに不可欠です。それこそが、IBMのコンサルタントが提供するMicrosoft Azure上のSAP S/4HANAが私たちに提供してくれるものです。 James Wen CIO Wiwynn Corporation

これまで、Wiwynn社のコア・ビジネス・アプリケーション(SAP ERPを含む)は親会社によってホストされていました。Wiwynn社は独立した上場企業になる準備を進めていたため、規制条件に準拠するために所有するデータとシステムの管理を引き受ける必要がありました。

「私たちは、ビジネスをトランスフォーメーション・ジャーニーの次の段階に備えるための貴重なオポチュニティーとして再プラットフォームの必要性を認識しました」とWen氏は振り返ります。「次世代ERP SAP S/4HANA®に移行することで、事業単位間のより緊密な統合を実現すると同時に、サプライチェーンの他の参加者との情報交換が容易になると確信しました。」

同氏はさらに次のように続けています。「さらに重要なのは、SAP S/4HANAは、インダストリー4.0を含むデジタル・トランスフォーメーション・テクノロジーのファウンデーションを築き、ファクトリー・フロアのオートメーション・レベルを高められることです。産業用モノのインターネット[IoT]センサーのようなイノベーションは、コストを抑えながら製造スループットを向上させるのに役立ちます。これは、当社が事業体の成長を目指す上で重要な達成目標です。」

エキスパート・パートナーとのクラウド導入

コア・コンピテンシーに集中し、計画されているSAP S/4HANA環境への資本投資を削減できるようにするために、Wiwynn社はクラウド・プラットフォームをターゲットにしました。同社はトップクラウド・ベンダーを検討した結果、基幹業務SAPビジネス・システムの移行先として Microsoft Azureを選択しました。

「意思決定の初期段階から、クラウドの成熟度と規模の経済性から、クラウドが当社の成長ビジネスに最適な選択肢であると判断しました。」とWen氏は言います。「検討したすべてのオプションの中で、Microsoft AzureがSAP S/4HANAに最も適していると感じました。Microsoft Azureは、SAPソリューションに対して完全に認定されているだけでなく、ビジネス・システムが24時間365日利用できることを保証する堅固なサービス・レベル・アグリーメントを提供します。Microsoft Azureチームとの詳細な評価ワークショップにより、このプラットフォームが長期達成目標の達成に役立つ柔軟性、効率、スケーラビリティ、可用性を提供すると確信しました。」

Wiwynn社は、Microsoft Azure上のSAP S/4HANAがデジタル・トランスフォーメーション・ケイパビリティーの要となると確信していました。中断することなくクラウドの移行先に到達するには、移行をタイムリーに完了することが重要でした。同社は親会社のプラットフォームから移行するまでにわずか12カ月しか残されていませんでした。また、新しいシステムへの切り替えが完了するまでの時間はわずか48時間という厳しいものでした。

誤りの余地がほとんどないことを認識していたWiwynn社は、専門パートナーのサポートを求め、IBMのコンサルタントにプロジェクト推進の支援を依頼しました。

「このプロジェクトは、当社の国際的な事業体全体に関わるものであったため、グローバルなリーチを持つパートナーを見つけることが非常に重要でした。」とWen氏は言います。「IBM Consultingチームは、プロジェクトに対する私たちのハイレベルな目標を理解し、SAP S/4HANA on Microsoft Azureへの移行を通して、リスクを最小限に抑え、コストをコントロールし、進捗を加速させるアプローチを開発しました。IBMは、私たちが提案したアプローチの、主要なテクニカル隘路を早い段階で特定し、問題を回避する解決策の発見を積極的に支援してくれました。」

Microsoft およびIBMのチームと協力して、Wiwynn社はまずSAP ERPシステムを親会社の環境から隔離し、結果として得られたSAP ERPインスタンスをAzureクラウドのサンドボックス環境に移動しました。SAP ERPへの必要なアップグレードを実行した後、IBMはSAP S/4HANAへの選択的移行を実行しました。Wiwynn社は、アプリケーションのサブセットを変換するだけで、最もカスタマイズされたシステムをそのままにし、ダウンタイムやビジネス中断のリスクを最小限に抑えることができました。この工程には、製造プロセスをサポートするSAP ERPアプリケーションも含まれていました。

サンドボックス環境で新しいSAP S/4HANA環境をテストした後、MicrosoftはSAPプラットフォームを米国の対象データセンターに移動し、高可用性を実現するようにプラットフォームを構成しました。並行して、IBM® Consultingは Microsoftと協力して、新しいSAP環境の構築、構成、保護を支援しました。

「私たちは、IBMのアプローチを非常に高く評価しました。これにより、稼働中のビジネス中断のリスクを最小限に抑えながら、プロジェクトを迅速に進めることができました。」とWen氏は付け加えます。「このプロジェクトでは、すべてのステークホルダー間の緊密なコラボレーションが必要でしたが、IBM、Microsoft、Wiwynn社のチームは、全体を通して真に一丸となって働きました。IBMとMicrosoftの間の緊密な戦略的提携は当初から明らかであり、両社はクラウドへの移行を確実に成功させるために必要なすべテクニカル・リソースを提供してくれました。」

プロジェクトの途中で、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生しました。グローバル事業体に重大な混乱が生じたにもかかわらず、IBMとMicrosoftは協力してプロジェクトを軌道に乗せ、Wiwynn社の業務を予定通り稼働させることができました。

「この種のプロジェクトであれば、当社のIT担当者はメキシコの組立施設などの現場に常駐して稼働を監督するのが通常です。しかし、パンデミックによりそれが不可能になりました」とWen氏はコメントしています。「IBMのコンサルタントが設計したプロジェクトに対する慎重に計画された段階的なアプローチのおかげで、グローバルなビジネス・ユーザーに影響を与えることなく、リモート作業に迅速に移行し、SAP S/4HANAを稼働させることができました。」

IBM Consultingのおかげで、当社はプロセスを最適化し、新たな機会を活用し、ビジネスを成長させるのに役立つ次世代ERPに移行しました。 James Wen CIO Wiwynn Corporation
インダストリー4.0の開拓

IBM Consultingと提携することで、Wiwynn社は基幹業務の製造業オペレーションを中断することなく、Microsoft Azure上のSAP S/4HANAへの移行に成功しました。この新しいソリューションは、新しく独立した企業が規制上の義務を果たすのを支援するだけでなく、インダストリー4.0テクノロジーへの移行を含む同社の進行中のデジタル・トランスフォーメーションのファウンデーションを築くことになります。

「私たちはすでに台湾の台南市にある工場を、将来のオートメーション・イニシアチブのインキュベーター候補としてターゲットにしています」とWen氏は説明します。「産業用IoTセンサーで製造装置を機能化することで、資産の状態、製造スループット、製造品質などの貴重なデータを収集します。さらにはファクトリー・フロアでの自動誘導車のような高度なケイパビリティーをサポートすることができるようになると予測しています。」

彼はこう続けます。「最終的には、インダストリー4.0テクノロジーによって、競争力のあるコストと高い品質で、より大量の製品を製造することが可能になります。グローバルCSPおよびエンタープライズ・データセンター市場において、インクリメンタル・オポチュニティーを獲得することができるようになります。将来に備えたビジネス・システムは、当社のデジタル・トランスフォーメーション・ジャーニーの取り組みに不可欠であり、IBM Consultingが提供する Microsoft Azure上のSAP S/4HANAがまさにそれを提供します。」

新しいSAPソリューションは、すでにWiwynnに強力なメリットをもたらしています。SAP S/4HANAを使用することで、同社は注文、生産、物流に関するリアルタイム・データをお客様やサプライチェーン・パートナーのグローバル・ネットワークとより簡単に共有できるようになり、より効率的なデータ駆動型のオペレーションに貢献します。そして、Microsoft Azureのおかげで、同社はフルタイム相当でわずか3名の無駄のないITチームで、これらのエンタープライズ・クラスのケイパビリティーを提供しています。

「独自のオンプレミス・データセンターを構築するのではなくクラウドを選択することで、資本コストと運用コストを大幅に回避することができました」とWen氏は言います。「Microsoft Azure 上の SAP S/4HANA は、同等のオンプレミス・ソリューションと比較して、TCOコストを4年間で40%削減できると推定しています。また、クラウド上にあるため、新しいビジネス・サービスに対するサポート規模の拡大縮小が、以前よりも大幅に高速かつ簡単になっています。以前は、新しいSAPソリューションのテスト環境を作成するためにインフラストラクチャーを立ち上げるのに、最長1カ月かかることがありました。Microsoft Azureを使用すると、わずか2時間ですべての準備が整います。これは、99%以上の高速化です。」

今後を見据えて、Wiwynn社はIBMおよびMicrosoftとの連携を強化し、価値のある新しいケイパビリティーを事業体に提供する予定です。たとえば、同社は、SAP Fioriユーザー・エクスペリエンスを活用して、意思決定者に重要なデータへのモバイル・アクセスを提供します。これにより、SAPビジネス・テクノロジー・プラットフォームのソリューションを組み込んでコア・ビジネス・プロセスをさらに合理化することを目指しています。

「SAP S/4HANAのサポートにより、ビジネス・イノベーションの新たな可能性の世界が開かれました」とWen氏は言います。「お客様やサプライチェーン・ベンダーとリアルタイムで統合してクライアントへの納品を効率化したりするなど、エキサイティングな取り組みがすでにいくつも進行中です。その中には、ブロックチェーン・テクノロジーとSAPデータを組み合わせることで、部品の製造履歴をより深く把握できるようにすることが含まれます。」

同氏は次のように結論付けています。「クラウド市場は数十年にわたり成長を続ける見通しです。IBMのおかげで、私たちはプロセスを最適化し、新しいオポチュニティーを活用し、ビジネスを成長させるのに役立つ次世代ERPに移行しました。」

 

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IBM、SAP、MIcrosoftとWiwynn社のロゴ
Wiwynnコーポレーションについて

2012年に台湾の新台北市に設立されたWiwynnコーポレーション(リンクはibm.comの外部)は、革新的なクラウドITインフラストラクチャー・プロバイダーです。同社は、世界有数のクラウド・サービス・プロバイダーに向けの高品質のコンピューティングおよびストレージ・ソリューション、企業データセンター向けのラック・ソリューションを提供しています。

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脚注

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2022年3月、米国で作成。

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