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西オーストラリアの水道会社Water Corporation社は、IBMコンサルティングの支援を受けて、ミッションクリティカルなSAPアーキテクチャーを最新化し、クラウドに移行しています
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水処理プラントの航空写真

表面積の3分の2が水で覆われている地球にとって、清潔で飲料可能な水を見つけ、維持することは、時として非常に困難になります。幸いなことに、乾燥した気候の西オーストラリア州では、Water Corporation社この任務に取り組んでいます。

国営企業であるWater Corporation社は、52,000kmを超える広大なパイプライン・ネットワークを維持し、約260万km2に及ぶ地域に上下水道と排水サービスを提供しています。 そして、その重要な資源を何百万人もの顧客に提供し続けるため、この水道会社は確立されたSAPアーキテクチャーに大きく依存しています。

「SAPは当社システムの中核、いわば心臓のようなものです」とWater Corporation社のITサービス責任者であるSteve Elliott氏は説明します。 「これは、組織全体の業務の多くの側面に関係しています。 SAPがなければ、パイプラインの管理も、財政情報の確認追跡も、水道水を供給し続けることもできないでしょう」。

残念ながら、Water Corporation社がSAPインフラストラクチャーをサポートするために使用していた一連のオンプレミス・サーバーは寿命が近づいており、更新が必要でした。 一方、ハードウェアを買い足すことは適切な解決策ではないようでした。

「当社は持続可能性を最優先事項に掲げています」とElliott氏は言います。 「当社は2035年までにネットゼロを達成するという公約を掲げており、その公約に基づき最近制定したエバーグリーンIT戦略に影響を与えてきました。 私たちは責任を持ってシステムを前進させたいと考えています。そのため、このエバーグリーンの取り組みを開始するにあたり、重視しているアーキテクチャー原則は2つあります。 1つ目は、バックオフィス・サービスにクラウド ファーストのアプローチを採用していることです。 2つ目は、再利用、購入、構築というこの順序で物事を進めることです」

Water Corporationは、環境面や運用面でのメリットを考慮し、重要なSAPシステムをAmazon Web Services(AWS)によるクラウドベース戦略に移行することを選択しました。 ここで、既存のアーキテクチャーが複雑であったため、移行には外部からのサポートが必要であることがすぐに明らかになりました。

「長年にわたり当社が蓄積してきたデータの量は膨大ですた」と Steve Elliott氏は述べています。 「具体的に言うと50TBを超えています。そして、そのデータを安全に保つ必要がありました。これは単純に、転送中のデータの安全確保のみを意味するのではありません。 変更プロセス全体を通じて完全性を維持する必要がありました。 さらに、SAPは他の多くのシステムとさまざまに連携されていたため、クラウド内でこれらの連携を解除し、再度連携するのも大きな課題になりました」。

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>40% クラウド関連の運用コストの削減率 約1,500時間 削減された労働者の作業時間 0 1年間の移行プロジェクトで発生した計画外のダウンタイム回数
綿密な計画でリスクを軽減

10年以上にわたってさまざまなSAPプロジェクトでIBMと協力して作業してきたWater Corporation社は、AWSとIBM傘下のSXiQ社(ibm.com外部へのリンク)から追加サポートと専門知識を得て、移行の計画をIBMコンサルティング®に依頼することを決めるのに時間はかかりませんでした。

Water Corporation社のエンタープライズ・アプリケーション・マネージャーであるBrad Filmer氏は次のように説明しています。「私たちのビジネスにとってこれほど大規模で非常に重要なプロジェクトでは、意思決定プロセスで信頼できることが非常に重要でした。 「当社では、16部署で働く140人を超える社員が、それぞれの立場でSAPを利用しているため、リスクを冒すことはできません。 IBM、SxIQ社、AWS社からの協力、プロジェクトへの関心、信頼性は他で得られるものではありません。 彼らは当社のシステムやデータ、そしてどのように連携されているかを理解していました」。

AWS Cloud向けのIBMコンサルティング・サービスがプロジェクトを推進し、SAPのターゲット・ステート・アーキテクチャー全体とともに完全なクラウド環境を設計する責任を担いました。また、IBMチームは、3段階のアプローチを選択して、移行プロジェクトを綿密に計画しました。第一段階(最も規模の大きな段階)は、SAP環境に関連づけられたトランザクション・システムの移行に重点が置かれました。その後、第二段階および第三段階では、それぞれデータ分析コンポーネントと管理システムの移行に重点が置かれました。

「移行すべきものがたくさんありました」とElliott氏は付け加えます。 「50TBを超えるデータを移行する必要がありました。 さらに、約100台のSAPシステム(合計125台を超えるサーバー)との連携を移行する必要がありました。 最初の移行では、移行とその後の連携に、2日と2時間20分の計画停止を実行しました。 同時に、IBMコンサルティングと協力して、SAPアーキテクチャーを支えるオペレーティング・システム、データベース、SQLサーバーを更新しました」。

この計画と移行プロセス全体を通して、Water Corporation社のアーキテクツ、AWS、SxIQ社の両者が多大な貢献をしました。 特に、SxIQ社は新しい仮想環境のプラットフォーム・エンジニアリングと全体的な設計を担当しました。 また、この設計段階では、AWS社のスタッフが、提案されているレイアウトがAWS社とSAP社のベスト・プラクティスに沿っていることを確認するために、綿密な設計レビューを実施しました。

移行プロセスとそれに対応する実装プロセス中、AWSテクニカル・サポート・チームはIBMとSXiQ社を支援し、発生した問題を解決するための追加のトラブル・シューティングとテストのためのリソースを提供しました。 現在では、新しいSAP環境がクラウド上で稼働しており、AWSチームは物事がスムーズに進み続けられるよう、クラウド・プラットフォームの継続的なサポートを提供し、アップデートを行っています。このような継続的な取り組みと並行して、SAPワークロードの効率的な管理および関連するトピックに関する経験、インサイト、ソートリーダーシップも提供しています。

AI駆動型設計。 自動化によるコスト削減。

プロジェクトの規模と厳しいスケジュールを考慮して、IBMコンサルティング・チームは移行作業を加速するためにアジャイルと自動化を優先した戦略を採用しました。 特に、両社の代表者で構成された共同チームはAWS CloudFormationテンプレートを利用して、コードとしてのインフラストラクチャー・アーキテクチャーを構成しました。これにより、AWSクラウド内の新しいリソースの解体とスピンアップが簡素化されました。

一方、Red Hat® Ansible ® Lightspeed (ibm.com外部へのリンク)プラットフォームには、Water Corporationが毎日使用している20台を超えるSAPシステムと関連するSQLデータベースの構成、プロビジョニング、および展開を自動化する機能があります。

クラウド・インフラストラクチャー・アーキテクトは、IBM® watsonx Code Assistantテクノロジーを活用して、生成AIを使用し、平易な英語を推奨されるコードに変換し、新しいSAP環境の移行と維持管理を行うことができます。こうした操作はその後、Ansibleプレイブック(確立された自動化タスクのための青写真)にバンドルされ、よくある一般的なサポート・タスクを自動的に実行するために使用できます。

「私たちはこれまで、ITメンテナンス・サイクルの計画と予算編成に苦労していました」と Filmer氏は当時を思い返します。 「例えば、SAP環境の起動とシャットダウンには多大な労力が必要です。単に電源を切るだけではなく、キューを消去し、サービスのスケジュールを変更する必要があります。 しかし、これらのタスクを自動化することで、運用コストを削減できるようになります」。

IBMとWater Corporation社は、この新しい自動化戦略により、インフラストラクチャー・サポートに関連する年間およそ1,500時間の手作業を削減できると見積もっています。 同時に、watsonx Code Assistantテクノロジーは、Ansibleプレイブックの作成を加速し、開発工数と関連コストを30%削減しました。 こうしたコスト削減により、同社はSAPクラウド環境の運用コストを40%以上も削減することができました。

さらに、以前は新しいSAP環境の導入に数週間を要していましたが、Water Corporation社では現在、かつてよりかなり短い時間で環境を立ち上げることができるようになった上、工数も削減しています。

より環境に優しく、よりスマートで、より潤いのある未来

Water Corporation社は、自動化によってもたらされるメリットに加えて、それ以外のメリットも享受しています。

「わずかワンステップで、SAPインフラストラクチャー全体を最新化できました」とFilmer氏は言います。 「そして私たちは、拡張性、柔軟性、そして最も重要なクラウド・サービスのレジリエンスなど、一般に期待されるクラウドのメリットをすべて享受できるようになりました。 この移行によるリスクを回避したかった私たちの希望をIBMは実現してくれました」。

実際、12カ月に及ぶ移行プロジェクト全体では、1,000工程を超える個別のプロセス・ステップがありましたが、計画外のダウンタイムが発生することはありませんでした。 また、Ansibleプレイブックを使用することで、将来のインフラストラクチャーの変更手順をクラウド・サポート・スタッフ自身が再現することができ、より迅速、簡単、コスト効率よく変革の取り組みを推進できます。

「また、SAPのプロセスとポリシーを当社のサステナビリティー戦略とより密接に一致させることができました」とFilmer氏は付け加えます。 Water Corporation社は、2040年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するという取り組みの一環として、2025年までに100%再生可能エネルギーで事業を運営するというAWSの取り組みをうまく活用しています。 AWSを使用することで、同社は使用するIBM環境の範囲を必要なリソースのみに制限しながら、利用可能な資産を最大限に活用することができます。

現在までに、Water Corporation社はクラウドへ移行したことにより、二酸化炭素排出量を年間で約150トン削減しています。

「この移行から私たちが学んだ重要なことは、『方向転換する体制を整えるべきだ』ということです」とElliott氏は結論づけています。 「これほど複雑な運用では、私たちは常に課題に直面していました。 しかし、IBMコンサルティングをはじめ、SXiQ社やAWS社と連携することで、計画を調整することができ、今の現実に基づいて最善の道を見つけることができました」。

Water Corporation社について

国営企業であるWater Corporation社(ibm.com外部へのリンク)は、 西オーストラリア州のおよそ260万km2に及ぶ地域の家庭、企業、農場に上下水道と排水サービスを提供しています 。同組織は370億豪ドルの資産を有し、赤道を1.3周するのに十分な52,000km以上のパイプラインを保有しています。

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2024年1月

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本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMが事業を展開しているすべての国で、すべての製品が利用できるわけではありません。

引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBM製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の環境でのコストやパフォーマンスの特性はお客様ごとの構成や条件によって異なります。お客様のシステムおよびご注文のサービス内容によって結果が異なりますので、ご期待通りの結果にならない場合があります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づいて保証されます。