ホーム お客様事例 Vasaan社 高まる需要に対応するためのAIと分析の組み込み
フィンランドのパン製造会社の計画と予測をAIが改善
パンをトレイに載せて運ぶパン屋さん

パンは生活の必需品。フィンランドとバルト海地域では、毎日何千人もの人々が地元の食料品店に行き、フィンランドで最も人気のあるパン、Vaasan Ruispalat社の焼きたてのパンを購入します。

創業172年のフィンランドのパン製造会社Vaasan Ltd.はスウェーデンのLantmännenグループの一員です。パンの生産サイクルは短く、品質への要求は厳しいものです。日曜日を除く毎日、何千ものパンやその他の焼き菓子を製造し、地域全体に届けなければなりません。過剰在庫や欠品は許されず、競争は熾烈です。

飽和状態にある今日の市場において、正確なプランニングと自動化は成功に不可欠です。Vaasan社のシニア・ビジネス・コントローラーであるJoonas Alasaari氏ほどそのことを知る人はいないでしょう。「生産コストについては細心の注意を払う必要があります」とAlasaari氏。「短期的にも長期的にも、私たちの生産能力がどの程度なのかを理解する必要があります」

 

需要の急増

 

新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる需要急増に対応するため、Vaasan社は日曜日を除く毎日、3000の食料品店にパンを供給しました。

より良い予測

 

エネルギー消費予測の改善により、エネルギー価格の交渉能力が向上

私たちは数字を完全にコントロールしていました。新型コロナウイルス感染症の初期の需要急増に対応するため、提供できる最大容量とキロ数の非常に正確な数字を伝えることができました。 Joonas Alasaari氏 シニア・ビジネス・コントローラー Vaasan株式会社

Vaasan社は短期的な容量計画については、需要がほとんど変化せず計画システムは季節変動も考慮しているため、非常によく理解しています。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、パンを含むあらゆる種類の定番商品の需要が急増したときも、適切に対応できたでしょうか?

「10年か15年にわたり、私たちは生産能力を実際の通常量にできるだけ近づけようと努力してきました。しかし、ほんの一晩で顧客からの注文が2倍、3倍に増えたのです」とAlasaari氏は言います。「すぐに、実際にどれくらいの量を提供できるかを顧客に知らせなければなりませんでした」

AIを活用した計画と財務レビュー

Vaasan社は数年にわたり、自動化とソリューションの計画に投資してきました。信頼できるアドバイザーであるIBMビジネス・パートナー、Intito Finland社の支援により、Vaasan社はIBM Planning AnalyticsIBM Cognos Analyticsソリューションを活用するようになり、ビジネス・プランニングとレポーティング・プロセスを簡素化、迅速化しています。このソリューションにより、組織全体にわたり予算編成、予測、その他の財務プロセスを1か所で実行できるようになります。

「私たちはVaasan社と地道に歩を進めてきました」Intito社最高経営責任者兼上級顧問であるPetri Sipola氏は言います。「Vaasan社は社内に非常に強力な営業・経営企画文化を持っていました。また、オペレーション・プランとファイナンス・プランがどのように関連するのかも知りたがっていました。そのため、このソリューションは少しずつ機能を増やし、より堅牢になっています。プロセスに妥協を許さないIBM Planning Analyticsは、Vaasan社のプロセスを支えています」

現在、Vaasan社は、エネルギー消費と価格の予測、コスト・センターの傾向分析、および長期的な製品計画という、ビジネスの3つの重要な領域で、Planning Analyticsの組み込みの予測AI活用アルゴリズムを使用しています。

Planning Analyticsを使用してエネルギー消費を予測すると、エネルギー価格をより適切に計画し、生産者と交渉することができます。このアルゴリズムでは、予想される外気温や生産予測などの外部入力が考慮されます。これにより、Vaasan社は将来のエネルギー需要をより正確に把握できるようになるため、生産者と将来的な購入契約を結び、より持続可能なエネルギー源を購入することができます。以前は、大まかな月次見積りは手動で作成されていましたが、会社にほとんど価値をもたらしませんでした。

Vaasan社は、Planning Analyticsを使用してコスト・センターの傾向を分析することもできます。財務チームは毎月末に帳簿を締めるために4時間以内に作業していたので、すべての項目を手動で確認することはできませんでした。現在、Planning Analyticsは月次レポートを自動的にレビューし、過去の傾向と比較し、外れ値や異常にフラグを立てるので、即時フォローアップできるようになりました。

最後に、Vaasan社とIntito社は、過去の実績データを使用して将来の売上を予測する長期計画モデルを開発しました。同社は、製品の売上が減少し始めた際に楽観的すぎる予測を管理するために、AI駆動型予測を販売プランナーが作成した予測と比較しています。

 

当社には良い人材がいるため、自動化を追求しています。彼らを自動化で退屈な手作業から解放し、未来に向けた仕事をしてもらいたいのです。 Joonas Alasaari氏 シニア・ビジネス・コントローラー Vaasan株式会社
現在と未来に備える

Vaasan社は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの初期に自社製品の需要の急増に対応する必要があったとき、適切なツールをすでに備えていることに気づきました。「私たちは数字を完全にコントロールしていました」とAlasaari氏は言います。

同社は、パン屋でパニックに陥った顧客に対応するだけでなく、実際の需要は何件あるのかを特定すると、その数値をPlanning Analyticsに組み込みました。Vaasan社はすぐにパン屋に製品の配達を継続できることを伝え、安心させることができました。「新型コロナウイルス感染症の初期の需要急増に対応するため、提供できる最大容量とキロ数の非常に正確な数字を伝えることができました」Alasaari氏は言います。

より一般的には、Vaasan社は月次財務計画と、現在および次の会計年度の予測を作成でIBM Planning Analyticsを使用しています。このソリューションには、現在の供給、需要、外部経済要因に関する特定のリアルタイム・データと履歴データが組み込まれています。その結果、同社は引き続き過剰生産能力を削減し、顧客が求める製品構成を提供できるようになります。

Vaasan社には、エネルギー使用量を予測するためにPlanning Analyticsソリューションで使用されるエネルギー使用量の履歴データが含まれる、深く幅広いデータ・リポジトリがあります。エネルギー消費量のより正確な予測は、同社の財務計画プロセスをさらに洗練しています。「今では、エネルギー消費量とエネルギー価格の両方について非常に正確な推定値が得られています」とAlasaari氏は言います。「これらは今後数か月間、当社の損益計算書に反映されます。予想される生産量に基づいて、今から6~8か月後のエネルギーコストがいくらになるかがわかります」

エネルギー消費量の正確な予測作成は、そもそも時間がかかる手作業でしたが、同社が複数の国にまたがって事業を展開し、複数のプロバイダーからエネルギーを購入する必要があるということから、複雑さを増していました。Vaasan社は、Planning Analyticsソリューションがより迅速かつ正確に実行できる、これらの日常的な手動タスクの自動化を推進しています。

「当社には優秀な人材がいるからこそ、自動化を追求しています」とAlasaari氏は言います。「鋭敏で優れた人材を自動化で退屈な手作業から解放し、未来に向けた仕事に注力させたいのです」Alasaari氏の言葉を借りれば、Planning Analyticsソリューションは「より速く、より安く、より高い精度」で実現します。

スピードについて言えば、コスト・センター分析モジュールの実装は、完全に実装してテストするまでにわずか数週間しか要しませんでした。「Planning AnalyticsソリューションのREST APIを使用することで、インストールと実装が非常に高速に完了しました」とSipola 氏は言います。コスト・センター・モジュールは、IBM Watson Studioソフトウェアを含む任意のプラットフォームで実行できる事前構築済みパッケージであり、Planning Analyticsソリューションの機能を拡張します。

Alasaari氏は、日々の注文の異常を通知するなど、コスト・センター分析モジュールの使用をビジネスの他の分野にも拡大したいと考えています。「いつもは毎週水曜日にハンバーガーとホットドッグを注文している顧客から今週は注文がないとわかれば、顧客が注文を忘れたのか、プロセスのどこかで止まっているのか、あるいは何か他のことが起こったのかを調査することができます」これにより、顧客満足度が向上し、商品不足を減らすことができます。

Vaasan社は、計画と分析を拡張し、組織全体でPlanning Analyticsを使用するためにモジュールごとのアプローチを採用しました。それぞれの実装がその価値を証明するたびに、次の実装に移っています。Intito社との関係は、この継続的な戦略の中心となっています。Sipola氏は次のように述べています。「私たちがVaasan社の延長線上にあるような組織としての信頼関係を築くことができたのは、本当にうれしいことです」

IBMの価値あるビジネス・パートナーであるIntito社は、Vaasan社に最新の機能を提供しています。「私たちとしても刺激的で新しいことを試験的に試せるので、お互いにとっての利益と言えるでしょう」とSipola氏は結論づけています。

Vasaan社のロゴ
Vaasan社とIntito Finland社について

フィンランドのヘルシンキに本社を置くVaasan社(ibm.com以外へのリンク)は、1849年以来、パンやその他の焼き菓子を製造してきました。バルト諸国でも営業しており、毎日3,000以上の店舗に焼きたてのパンやお菓子を届けています。Vasaan社は、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニアに約1,400人の従業員を擁し、農業、機械、バイオエネルギー、食品分野で北欧を代表するスウェーデンの農業協同組合Lantmännenの一員です。

Intito Finland社について

IBMビジネス・パートナーIntito社(リンクはibm.comの外にあります)は、プロセスを自動化し、企業がより良い意思決定を行えるよう支援するプランニング・ソリューションを構築することを使命として、2014年に設立されました。フィンランドのヘルシンキに拠点を置く同社は、設計から実装までのフルサービス・ソリューションと継続的なサポートを顧客に提供しています。

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脚注

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2022年1月、アメリカ合衆国で制作。

IBM、IBMロゴ、ibm.com、IBM Cloud、IBM Watson、およびWith WatsonはInternational Business Machines Corp.の商標であり、世界中の多くの管轄区域で登録されています。その他の製品名およびサービス名はIBMまたは他社の商標である可能性があります。IBM商標の最新リストは、ウェブ上の「著作権および商標情報」https://www.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeで入手できます。

本書は最初の発行日時点における最新情報を記載しており、IBMにより予告なしに変更される場合があります。IBMビジネス・パートナーは独自の価格を設定しており、価格は異なる場合があります。 IBMが事業を展開している国であっても、特定の製品を利用できない場合があります。

記載されている性能データとお客様事例は、例として示す目的でのみ提供されています。実際の結果は特定の構成や稼働条件によって異なります。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。