ホーム お客様事例 ロンドンの交通機関 通勤で排出される二酸化炭素の削減
ロンドン交通局は、メンテナンス作業をIBM Maximoソフトウェアに集中させることで、安全、確実、そして持続可能な方法で公共交通機関を維持しています。
王立取引所ビルのあるロンドン市金融街、ロンドン、イングランド、英国

地下鉄に乗る。自転車を借りる。テムズ川を渡り、バスに乗る。ロンドン中心部はさまざまな方法で移動することができます。そして、スムーズな移動を支えるのは、ロンドン交通局(TfL)の仕事です。

「TfLは複数の輸送会社が集まったグループです」。同局の資産管理およびエンジニアリング・ソリューション担当シニア・プロダクト・マネージャーのRichard Thomas氏は説明します。「以前は、グループ内の会社はそれぞれ独自の資産管理ソリューションを持っており、合計で約60ものソリューションがありました」

「たとえば、ロンドン地下鉄の場合、2つの異なる保守会社があり、それぞれが独自の保守プラットフォームを使っていました。つまり、鉄道路線によって異なるサポート・プロセスを使っていたのです。そのため、ある路線で部品の交換が必要になった場合、別の路線の倉庫ではその部品在庫がたくさんあったとしても、修理チームは気づくことができず新たに買い足していました」

ロンドン地下鉄の保守と修理の取り組みを簡素化したいと、TfLは共通のプラットフォームを備えた単一の資産運用チームに業務を統合しました。そして、この取り組みが成功したことを受け、TfLは統合の取り組みを地上に拡大することを決定し、すべての輸送手段での統一された保守と修理活動を構想しました。

「鉄道以外にも、高速道路、道路、バス停、自転車貸出、街路樹など、私たちが管理するものは多数あります」TfLのデジタルデータおよびテクノロジー担当主席資産戦略マネージャーのNick Hawker氏は言います。「そして、こうした管理業務の多く、つまり地上で行われている業務の多くは、外部請負業者を通じて管理されており、それぞれが異なる契約で独自の異なるシステムを使用しています」

TfLが保守設備や資材の維持管理をしつつ、管轄する交通網は膨大です。

  • 402 kmの鉄道
  • 427の駅(地上と地下)
  • 590 kmの道路
  • 675本のバス路線

TfLは、効率性を求める一般的な要望に加え、持続可能性への取り組みに役立つソリューションを見つけることにも意欲的でした。Thomas氏は次のように説明しています。「脱炭素化に向けて達成しなければならないさまざまな目標がありますが、2040年までのネットゼロ達成が最も重要です。そのため、システム統合の取り組みの一環として、大気の質と二酸化炭素排出量の改善にも努めていました。交通網がストップするたびに二酸化炭素排出量が増加するため、いつ故障するか予測できるよう資産に関する充実した情報が必要でした」

2,100万


ロンドン地下鉄では10年間で2,100万ポンドの節約が見込まれる

10,000


IBM Maximoソフトウェアは、約10,000人の現場技術者と多数のサードパーティ保守契約をサポート

交通網がストップするたびに二酸化炭素排出量が増加するため、いつ故障するか予測できるよう資産に関する充実した情報が必要でした。 Richard Thomas氏 資産管理およびエンジニアリング・ソリューション担当シニア・プロダクト・マネージャー ロンドンの交通機関
ロンドン中心部の中央制御

ロンドン地下鉄内での統合初期では、TfLは2つのデバイス、1つのアプリケーション戦略に基づいて、 IBM® Maximoソフトウェアでのサポート作業を標準化しました。現場担当者は現在、Maximoインフラストラクチャへのアクセスが許可されているApple iPadかApple iPhoneを携帯しています。また、技術者はこれらのツールから作業指示書を作成し、安全状況を確認し、次の現場への道順を得ることができます。

しかし、統合作業はそれだけにとどまりませんでした。

「TfLに関連するさまざまな資産管理システムをすべて検討し、どのシステムをMaximoの下に統合できるかを検討し始めました」とThomas氏は説明します。「高速道路契約の管理から始めましたが、その契約額は年間約1億5,000万ポンドにも及ぶ大規模なものでした。次に、信号機、標識、CCTV(閉回路テレビ)などの屋外保守の技術契約に移りました。それから、路上に建設されているバス停に移りました。これらすべての保守契約は、Maximoソリューションを通じて実行されることになるでしょう」

「TfL全体で合計約50種類の異なる資産グループがあります」とHawker氏は付け加えます。「おそらく、現在はこれらをMaximoに取り込む作業が半ばまで進んでいる段階ですが、今後数年間のうちに、バックエンドから誰もが使用できるようにしたいです」

現在、TfLはIBM Maximoプラットフォームを利用して、ロンドン地下鉄内の10,000人を超える社内技術者の日常的なメンテナンス作業を管理しています。そして地上では、このソフトウェアにより外部サービスプロバイダーとの多数の契約の追跡、サポート、監視が可能になります。

「高速道路の予防保全のことを例にしましょう」とThomas氏。「当社の外部請負業者は、予防保全作業を毎月Maximoにスケジュールします。次に、私たちがその計画を検討し認可します。作業が完了すると、Maximoを通じて完了レポートが実行されます。支払いはMaximoを通じて承認されます。そして、検査官は作業と資産データの更新をMaximoで監査することができます。私たちはすべてを1つのプラットフォームに統合しているのです」

完了レポートはMaximoを介して実行されます。支払いはMaximoを通じて承認されます。そして、検査官は作業と資産データの更新をMaximoで監査することができます。私たちはすべてを1つのプラットフォームに統合しているのです。 Richard Thomas氏 資産管理およびエンジニアリング・ソリューション担当シニア・プロダクト・マネージャー ロンドンの交通機関
より環境に優しい明日を予測する

統合の成果が、プロセスだけでなく関連する資産やパフォーマンスのデータにも表れる中、TfLは対応主導の管理から、パフォーマンスと持続可能性の両方を向上させる事前予測型のアプローチに移行しています。

「Maximoの使用に関しては、まだ成長の余地があります」とThomas氏。「今後数年間で、意思決定を推進できるよう、ヘルスモニタリング機能と、収集するデータの予測的性質を探求するつもりです。こうして故障を未然に防ぎ、ビジネスを進化させています。これこそネットゼロを達成するための進化なのです」

「データは、決定を下す前にその影響を教えてくれます」とHawker氏は付け加えます。「そしてその情報があれば、不要で非効率な決断を避けることができます。これにより、機器のさらなるメンテナンスを続行していいのか、それとも入れ替えや補強を行う必要があるのかがわかります」

また、TfLは、潜在的な誤動作、故障、機能停止を発生前に予測して解決することで、既存の機器の寿命を延ばし、将来の購入の必要性を減らすことになるでしょう。同時に、公共交通機関はより正確かつシームレスに運行され、通勤者の満足度が向上し、地域の交通のより炭素効率の高い代替交通手段への移行を促進します。

データは、決定を下す前にその影響を教えてくれます。そしてその情報があれば、不要で非効率な決断を避けることができます。 Nick Hawker氏 デジタルデータおよびテクノロジー担当主席資産戦略マネージャー ロンドンの交通機関
相乗効果を高め、機能停止を減らす

既存資産のライフサイクルを延ばし、交換部品の必要性を減らし、致命的な故障のリスクを抑えることで、TfLはロンドン地下鉄だけで、今後10年間で2,100万ポンド以上の節約になると見込んでいます。そして、地上の業務がMaximoソフトウェアに移行し続ければ、節約額はさらに増大するでしょう。

「統合されたMaximoプラットフォームにより、新しいアイデアを共有できるようになり、新しい働き方や効率性が見えてきます」と Thomas 氏は付け加えます。「すぐに使える機能のおかげで、新しい概念実証を生み出す柔軟性が備わり、これまでよりも迅速に行動できるようになっています。これにより、企業データとパフォーマンス・データの間の完璧な相乗効果を見出すことができ、情報に基づいた賢明な投資計画と、情報に基づいた賢明な意思決定につながっています」

こうした選択により新たな効率性を獲得し、二酸化炭素排出量を削減しながら、ロンドン中の旅行者へのサービスの向上促進にも貢献しています。同時に、標準化された保守作業は、技術者の職務の把握を容易にし、より安全な現場作業にもつながります。

「テクノロジーはビジネスの変化を促進し、サポートします」とThomas氏は結論づけています。「Maximoは非常に多くの機能を提供しているため、保守、安全性、サプライチェーン、気候変動対策へのアプローチ方法をTfLが変更する際にも最適なツールなのです」

ロンドン交通局のロゴ
ロンドン交通局(TfL)について

2000年に設立されたTfL(リンクは ibm.com の外部)は、ロンドンの公共交通ネットワークと主要道路の日常業務の運営を担当する地方政府機関です。現在、この組織は約28,000人の従業員を雇用しており、60を超える子会社、フランチャイズ、ライセンシーのネットワークを通じて運営されています。

IBM Maximo

資産の監視、管理、予知保全、信頼性計画がすべて1つのパッケージにまとめられています。IBM Maximo Application Suiteは、実際のパフォーマンス・データを使用して意思決定を形式化し、ライフサイクルを延長し、問題を解決し、ビジネスを促進します。

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2024年1月

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引用または説明されているすべての事例は、一部のクライアントがIBM製品を使用し、達成した結果の例として提示されています。実際の環境でのコストや結果の特性は、クライアントごとの構成や条件によって異なります。お客様のシステムおよびご注文のサービス内容によって各クライアントの結果は異なるため、一般的に予測される結果を提示することはできません。本資料の情報は「現状のまま」で提供されるものとし、明示または暗示を問わず、商品性、特定目的への適合性、および非侵害の保証または条件を含むいかなる保証もしないものとします。IBM製品は、IBM所定の契約書の条項に基づき保証されます。