業務用の音響・放送機器やセキュリティー機器を開発・提供するTOA株式会社(以下、TOA)は、世界各国の拠点で現地ニーズに最適な製品を開発・生産する“地産地消”型のビジネスを展開しながらグローバル経営を推進しています。2015年に海外拠点用の統合基幹システムをSAP ERPで構築し、その稼働インフラとしてSAPのBASIS運用サービスまでがパッケージ化されたIBMのマネージド・サービスを採用。各国拠点のシステム運用負担の軽減とグローバル経営強化を両立してきました。同社は2020年にIBM Cloudが第2世代として大きく機能強化されたのを受け、それまで利用していた幕張データセンターから東京データセンターへの移行を決断。引き続きSAP ERPの運用負担を軽減しながら、顧客サービス向上や経営効率化のためにIBM Cloudの最新サービスを活用できる環境を整えました。
TOAは、世界各国で現地のニーズに沿った商品を現地で開発/生産する“地産地消”型のビジネスを展開する一方、日本の本社によるグローバル経営を強化する目的から、2015年に各地域で個別に運用していた基幹システムを統一したSAP ERPによる統合基幹システム (GMS) を構築。その稼働インフラとして、SAPのBASIS運用サービスまでがパッケージ化された「IBM Cloud Managed Services for SAP Applications (以下、CMS4SAP)」を利用してきました。CMS4SAPはIBMの幕張データセンターで運用されていましたが、顧客サービス向上のためデジタル・プラットフォームの整備を進める同社は、IBM Cloudの第2世代として東京データセンターが機能強化されたのを受け、2020年に同データセンターへの移行を決断します。
TOAは2019年1月から2月にかけ、IBMの支援を受けてサポート終了が迫っていたSAP ERPのデータベース、Microsoft SQL Server 2008を同2012にバージョンアップ。続いて、同年7月よりデータセンター移行に向けた調査および計画策定を行います。実際の移行作業は8月より開始。開発環境、検証環境、本番環境の順にIBMが移行作業を行ってTOAがテストを実施し、新旧切り替えを行うといった流れで進め、3カ月後の11月に予定どおり移行作業を完了しました。東京データセンターへの移行後は、引き続きSAPのBASIS運用までカバーしながらインフラなどが大きく強化されたSAPマネージド・サービス (IC4SAP: IBM Services- Application Management for SAP Solutions on IBM Cloud) を利用しています。
IBM Cloud東京データセンターのIC4SAPに移行した後も、TOAは引き続きGMSの安定稼働と各国拠点のシステム運用負担の軽減を実現しているほか、移行によってインフラの性能が大きく向上し、パフォーマンス面のコスト・メリットを強く感じています。
また、東京データセンターへの移行によってIBM Cloudの最新のサービスをIC4SAPとの組み合わせやデジタル・プラットフォームで利用できるようになったほか、各国拠点との接続にIBM Cloudの無料の高速バックボーン通信を利用可能となりました。
同社は今後、他のパブリック・クラウド(IaaS)で運用している本社基幹システムのIBM Cloud大阪リージョンへの移行や、SAP ERPからSAP S/4 HANAへの移行を検討していきます。
当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。
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