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Sicoob社は、IBM Robotic Process Automationソフトウェアを使用してプロセス効率を大幅に向上させています
Sicoob社支店

ロボットは人の仕事を奪うと悪く言われがちですが、ブラジルの信用組合グループであるSICOOB社ではそんなことはありません。同国最大の信用組合システムを有する同社では、IBM® Robotic Process Automationテクノロジーを使って、繰り返しの多い日常的な作業やタスク処理の大半を構築したビジネス用ロボットに実行させています。そして、従業員はこの上なく満足しています。

「私たちの組織文化はチームで働くことです。とあるタスクを私が担当したら、別の誰かが次のタスクを担当する形で職務を遂行しています。ですが、人が1日に処理できるタスクの数には限りがあります」とSicoob社の技術責任者であるEverton Gomede博士は説明します。

Sicoob社の作業(保険の見積もりや給与ローン、顧客登録など)は文書やフォームを扱うものが多く、入力するデータの量も膨大です。例えば、顧客の口座を開設する際の審査は、最近まで2日がかりでした。顧客によって提出されるさまざまな書類の正当性を従業員が確認し評価しなければならないからです。その上、ERPシステムへのデータ入力も手作業です。手違いが生じた場合には作業のやり直しになるため、さらに時間がかかります。依頼ごとに繰り返される口座の開設作業は、1日あたり150件にも上りました。

「1日中データを入力し続けるとデータ品質が低下します。人はものを作るのは得意ですが、何度も発生する繰り返しのタスクや作業は苦手です」とGomede博士は説明します。

手違いがあれば罰則や罰金に科される可能性があることから、複雑なデータ保護規制への準拠も課題でした。「すべてのタスク処理がコンプライアンスに則っていることを保証するのは至難の業でした」とGomede博士は付け加えます。

Sicoob社は2019年、基幹業務のリードタイムを短縮する施策として、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)への取り組みを開始しました。一方、単純作業から従業員を解放することも同じくらい重要な課題でした。従業員がより有意義に業務に携わり、従事できるようにするためです。

時間の節約

 

業務プロセスによっては、最大80%もの時間を節約

コスト削減

 

自動化により10%–20%ものコストを削減

自動化とは人を削減することではありません。損失やコストを低減させるものです。 Everton Gomede博士 Head of Technology System of Credit Unions of Brazil
救済するロボットたち

Sicoob社は、IBM Robotic Process Automationテクノロジーの採択に至るまで数々のRPAソリューションを検討しました。IBMは、ソリューションの統合と堅牢な機能性において傑出していましたが、それには監視機能や機械学習、プライバシーを守り不正行為の軽減に役立つパスワード管理機能などが含まれます。

Gomede博士は「当社のシステムに組み込みたい機能が具体的にあったのでリスト化していました。そんな中、IBMのRPAソリューションで見つけたものを気に入ったのです。パスワードの保管機能は、特定のソフトウェアにアクセスさせたくないユーザーを削除できる素晴らしい機能です。また、監視機能を使って収集したログ・データから管理者向けのレポートを作成することで、例えば、今日または先月に完了したタスクの数を確認できるようにしています」と補足します。

RPAプログラムでは、最初に概念実証(POC)を実施しました。ソリューションを試すことで、当該テクノロジーが企業のインフラストラクチャーや業務プロセス、労働力にどのように影響しかねないか理解しました。「そうすることで、自信を持って前進できましたし、各課題に応じたチャットボットを個別に作成できました」とGomedeは付け加えます。

Sicoob社のロボットは、従業員が電源を入れることで連携を始め、データの入力や分析といったプロセス内の特定のタスクを担うことで従業員を支えています。ロボットの多くは、膨大なデュー・デリジェンスで従業員を支援していますが、それには顧客が提供した情報の収集や検証、評価、分析など時間のかかる作業が含まれています。

2020年に構築された最初のロボットEvaは、不正行為を主に検出します。現在、以下のプロセスをバックアップする13台のビジネス・ロボットを追加で生産しています。

  • 登録内容の更新:受け取った顧客文書を確認し、申請内容に応じて登録情報を更新します。
  • 与信限度額の分析:顧客によって提供されたフォームをもとに与信分析を行います。ERPソフトウェアにデータを入力することで与信の限度額を更新します。
  • 保険の見積もり:顧客から受理した申請をもとに保険会社各社のWebサイトから保険料を算出し、最適な選択肢を提示します。
  • 当座預金口座の開設:新規口座の手続きを一貫して行います。取得した顧客書類の有効性を分析した後、ERP ソフトウェアにデータを入力します。開設された当座預金口座はさっそく使用できます。
  • ファイルの変換:ワークフロー・ソフトウェアに取り込まれた文書を読み取り、従業員が指定するさまざまな形式に変換します。
  • 給与ローン:取得した顧客書類を確認した後、ERP システムにデータを入力し与信枠を提案します。
  • 登録フォーム:登録に必要な書類を読み取り、正確かどうかを判定します。

人とデジタル・オートメーションが融合するには、組織全体を巻き込むことが重要だとGomede博士は述べます。「作業を再設計するにあたり、IT部門の参加をはじめ、ビジネス部門による作業に関する情報の提供、人事部門による正社員および今後必要となる業務や役割の遂行能力の明確化が求められます。」

当社のシステムに組み込みたい機能が具体的にあったのでリスト化していました。そんな中、IBMのRPAソリューションで見つけたものを気に入ったのです。 Everton Gomede博士 Head of Technology System of Credit Unions of Brazil
人とロボットが共に時間を節約

ビジネス・ロボットを導入して以来、Sicoob社では基本業務にかかる時間を平均で80%削減することに成功しました。作業によりますが、これは10%–20%のコスト削減に相当します。「作業時間とリードタイムを短縮することで経費も削減されました。なぜなら、経費は人員をはじめ、手違いの修正や情報の管理と関連するからです。それに加え、ロボットを使用するとエラーは限りなくゼロに近づきますからね」とGomede博士は説明します。

例えば、顧客アカウントは2日がかりではなく、30–40分で開設できるようになりました。その上、データの不備もありません。この作業はかつて手動で行われていました。そのため、作業がプロセスのどこにあたるのか把握できませんでした。マネージャーは、新たなレポート作成機能により、ワークフロー全体とプロセスを横断して目視できるようになりました。

これまで1日最大10時間かかっていた不正アクセス検知は、パスワード管理機能により最初から最後まで自動化できました。不正検出の担当者は、今では最新型の不正行為の種類や事由を調査するためにスキルを活かせています。パスワード管理機能は、コンプライアンスやセキュリティーへの対応にも役立っています。誰がどのシステムにアクセスできるかSicoob社にて制御できるからです。RPAチャットボットでパスワード管理機能を使用した場合、プラットフォームやシステム、金融口座へのアクセスを排他的に行えます。パスワードを知らない従業員は、システム内の情報にのみアクセスでき、プラットフォームにはアクセスできません。その結果、プラットフォームが守られます。

「自動化とは人を削減することではありません。損失やコストを低減させるものです。チャットボットは作業をたくさん処理してくれるチームメンバーです。このテクノロジーのおもしろいところは、組織がそれをどう統合するかです。ロボットは、私たちのスピードとビジネス戦略を改善し、目標の達成を手助けしてくれる存在です」とGomede博士は説明します。

新しいロボットを導入する際、Gomede博士は人の知識が織りなす価値に深い敬意を払います。「チャットボットが処理できる作業と人間が実行できる作業の考察が重要です。まったく異なるものだからです。チャットボットには情報やタスクの処理をさせます。人間には新しいプロセスを作成してもらったり、顧客と交流したり、ストラテジーやビジネスについて考えたりしてもらいましょう」とGomede博士は締めくくります。

Sicoob社ロゴ
System of Credit Unions of Brazil(Sicoob)

1998年に設立されたSicoob社外部リンクは、500万人以上の顧客がオーナーでもあるブラジル最大の協同金融機関です。製品には当座預金口座をはじめ、クレジットカードや年金などを含みます。ミナスジェライス州のパトス・デ・ミナスに本社を置くSicoob社は、41,000人以上の従業員を擁し、22州にわたって3,000もの支店を構える企業です。また、同社のデジタル・チャネルに加え、ATMの運営も行っています。

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脚注

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2021 年 12 月

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