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スマートなデータ移行 — リフト・アンド・シフトから自動化と変革へ
夜の都市と空を照らすライト

世界有数のエンタープライズ・データ管理スペシャリストの1つであるSyniti社は、Skytap on IBM® Cloudソリューションを使用して、クライアントがビジネスクリティカルなデータをより迅速、安全、コスト効率よくクラウドに移行できるように支援してきました。これは、SAP S/4HANA®への移行において特に重要でした。RPA、AI、ML機能を備えたクラウドベースの移行ソフトウェアを活用することで、リスク、複雑さ、コストを軽減し、大きなROIを確保してきました。

ビジネス上の課題

エンタープライズ・レベルのクライアントの多くがビジネスクリティカルなデータをオンプレミスのデータセンターからクラウドに移行している中で、Syniti社は信頼性とパフォーマンスで定評のある実証済みのクラウド・ソリューションを提供する必要がありました。

概要と経緯

Syniti社は、Skytap on IBM Cloudソリューションを導入することで、クライアントが大幅なコスト削減を実現しながらセキュリティーの充実したクラウド環境へのデータ移行を迅速化・自動化できるようにしました。

成果 オンプレミスからクラウドへのデータ移行の自動化・迅速化で
データ移行コストを30〜40%削減
大企業クライアントの標準的なデータ移行プロジェクトで
プロビジョニング時間を数カ月から1時間未満に短縮
データ・フットプリントを平均して3分の1削減しながら
99.5%のデータ品質レベルを実現
ビジネス上の課題の詳細
差し伸べられた成長の機会と締め切り

Syniti社(旧称Back Office Associates)は、24年間にわたり、世界最大手の企業にエンタープライズ規模のデータ管理とソフトウェア主導のサービスを提供することを専門としてきました。Syniti社の最高戦略・技術責任者であるRex Ahlstrom氏はこう述べています。「私たちは1つのことに重点を置き、とても順調に仕事を進めてきました。その1つのこととはデータです。当社のソリューションは、ただ技術専門家まかせにするのではなく、ビジネスパーソンやナレッジ・ワーカー自身がソフトウェアに取り組み、ビジネス成果を出すことができるものとなっています。」

Syniti社は、資本管理、製造、ライフサイエンス、製薬、小売など、幅広い大規模産業にわたる専門知識をクライアントに提供しています。データ移行プロジェクトを管理するために、Syniti社は独自のSynitiナレッジ・プラットフォームを作成し、データ・ジャーニーを合理化し、効率を高め、データ・エラーを削減しました。

「データは常に変換され、システム間を移行しているため、顧客はビジネスが続く限りデータ・ジャーニーの途上にいることになります」とAhlstrom氏は言います。「Synitiナレッジ・プラットフォームは、統合エンドツーエンドプラットフォームとして設計されています。」

Syniti社はその歴史の大半で、オンプレミスのデータセンターに重点を置いてきました。大規模な多国籍企業がそこでコンピューティング・リソースをホストしていた時代であったからです。しかし、クラウド・コンピューティングが成長し、多くのクライアントがクラウドにデータベースやアプリケーションを移行し始めるにつれ、Syniti社はクラウド移行をサポートするためのソフトウェアとサービスを拡張し始めました。

Syniti社のポートフォリオの中の主要製品は、SAP S/4HANAソリューションです。クラウドにワークロードを移行するSAPの顧客は増え続けていたため、SAPの顧客基盤はSyniti社にとって重要な成長分野でした。

2019年、SAP社はSyniti社に対し、SAP Solution Extensionsプログラムを通じてSAPの顧客にSyniti社のソフトウェアとサービスを直接販売する機会を提供しました。しかしSyniti社がSAPのカタログに掲載されるためには、その年の末までに独自の高性能クラウド移行プラットフォームを稼働させる必要がありました。

Syniti社は、SAPのカタログへの掲載を目指す前に、その期間内に総合的なクラウド・ソリューションを確実に追加できるかを確かめ、追加できるようであれば、パフォーマンスと価格のパラメーターを決定する必要がありました。年末という締め切りに間に合うように、Syniti社は、厳しいパフォーマンス基準を満たすクラウド・プロバイダーを見つけるための詳細な評価プロセスを開始しました。

「私たちは基本的に、取引先企業の独自データをすべて引き受け、自社のクラウド・サービスで管理し、侵害に関連するリスクも管理しているため、何か間違いがあれば壊滅的な事態になります」とAhlstrom氏は言います。「世界最大手の企業にも当社のクラウド・サービスを安心して活用してもらうために、大きな決断として、それに必要なレベルの管理サポートが受けられるプロバイダーを見つけなければならないと感じました。」

当社のクライアントは、ただクラウドに移行できればいいと考えているわけではありません。SAP S/4HANAの新しい機能を活用して、ビジネスを変革したいと考えています。 Rex Ahlstrom氏 最高戦略・技術責任者 Syniti社
概要と経緯の詳細
成功に向けて設計された実装

Syniti社は、技術要件とビジネス要件を満たすことができるクラウド・プラットフォームを見つけるために、主要なクラウド・プロバイダーをすべて評価し、最適な相手を探しました。Syniti社は以前、別の共同パートナーシップにおいてIBMと連携し、Skytap on IBM Cloudオファリングを注意深く検討したことがありました。

「IBMにセキュアなクラウド環境で築いてきた実績があるということは、意思決定プロセスにおいて極めて重要な意味を持ちました」とAhlstrom氏は言います。「その確信は、IBMやSkytapとのパートナーシップによる認定やテスト、その他すべての作業を通じて得られました。」

Skytap on IBM Cloudサービスは、ハイブリッド・アプリケーションの構築と実行に重点を置いており、ミッションクリティカルなアプリケーションとクラウドネイティブな機能を組み合わせています。これにより、クライアントはオンプレミスでデータをホストしながら、クラウド上でアプリケーションを実行できるという柔軟性が得られます。

「私たちの仕事は、導入、アプリケーションのアップグレード、システム・メンテナンスにおける顧客の負担を軽減することです」とAhlstrom氏は言います。「当社の支援能力を価値実現までの時間に換算すれば、かなりのものになります。」

クラウド・ソリューション内で、システム管理者はテンプレートを作成し、テンプレートのプロビジョニングを自動化できます。「Skytapアプリを使えば、オンプレミスと同等かそれ以上のパフォーマンスと信頼性でソリューションを管理してプロビジョニングできるようになり、しかも管理上の負担はありません」と、Syniti社の企業ITサービス・グローバル上級ディレクターのChris Alberts氏は言います。

IBMは、クラウド・インフラストラクチャーの提供に加えて、環境全体の設計も支援しました。「IBMが環境のために考案した設計の品質は高く評価できるものでした。設計はテスト済みで、複製と拡張が可能であり、それは私たちにとって重要なことでした」とAlberts氏は言います。「プロジェクト管理は一流であり、専門的なスキル・セットは非常に優れていることがわかりました。」

Syniti社はSkytap on IBM Cloudプラットフォームを基盤として、自社の製品ラインをSAP Solution Extensionsプログラムを通じて販売し、クラウドベースのソリューションを検討している世界中のSAP顧客にリーチできるようになりました。「当社はプレミアム資格を取得しています。これは、認定された統合の取り扱いができると入念に審査され、すべてのセキュリティー脆弱性テストに合格していることを意味します」とAhlstrom氏は言います。「当社は、顧客がSAP製品の購入時に期待するユーザビリティー基準や他のすべての要求事項に準拠しています。」

クラウド・プラットフォームへの移行は、Syniti社の戦略的思考を持つ顧客ベースにとっては最初のステップにすぎません。「当社のクライアントは、ただクラウドに移行できればいいと考えているわけではありません。SAP S/4HANAの新しい機能を活用して、ビジネスを変革したいと考えています」とAhlstrom氏は言います。「ハイブリッドと信頼による変革こそが、当社がSAPの価格リストに掲載され、SAPの非常に重要なパートナーとなっている理由です。」

IBMにセキュアなクラウド環境で築いてきた実績があるということは、意思決定プロセスにおいて極めて重要な意味を持ちました。その確信は、IBMやSkytapとのパートナーシップによる認定やテスト、その他すべての作業を通じて得られました。 Rex Ahlstrom氏 最高戦略・技術責任者 Syniti社
成果の詳細
将来の成長のためのプラットフォーム

2019年の第4四半期にSkytap on IBM Cloudソリューションをポートフォリオに追加してから、Syniti社は新たな年に向けて有利な立場に立ちました。2020年に新型コロナウイルス感染症が発生し、クライアントのデータセンターへのアクセスが大幅に制限されたときには、リモート・クラウド・コンピューティング・プラットフォームを稼働させ、大いに必要とされた運用のレジリエンスを実現できました。

Syniti社はクライアントに代わって大幅なコスト削減を達成しました。クライアントは通常、データ移行コストを30~40%節約し、最大80%の投資収益率を実現しているクライアントもあります。「私たちは世界規模の大がかりな導入を行い、クライアントには1,100万ユーロ以上を節約すると約束してそれを果たすことができました。これはソフトウェアの実際のコストをはるかに上回る額でした」とAhlstrom氏は言います。

クラウド・ソリューションが登場する前は、環境全体をプロビジョニングするために数カ月かかるということもよくありました。「現在では、サーバーのプロビジョニングは高度に自動化されています」とAlberts氏は言います。「ボタンを押してからサーバーが運用可能になるまでの時間は通常1時間未満であり、これは非常に大きな違いです。」

Syniti社は、データ品質もはるかに高いレベルに達していると確認しています。「データ品質レベルが99.5%を下回ることはほとんどありません」とAhlstrom氏は言います。「また、技術的な変換ではなくデータに重点を置いているため、データ・フットプリントを平均して少なくとも3分の1削減しています。」

Syniti社は、SAP S/4HANAの顧客にクラウドベースのソリューションを提供することに加えて、SAP® Ariba®ソフトウェアをサポートすることでSAP関連ビジネスを拡大しています。「自社のSkytap on IBM Cloud製品を揃え、SAP Aribaの承認済みアプリ・センターに掲載しています」とAhlstrom氏は述べています。

技術面でIBMと協力して独自のSkytap on IBM Cloudプラットフォームを立ち上げた後、Syniti社はIBMと契約し、IBM® Global Business Servicesの販売チャネルを通じて製品とサービスを再販できるようにしました。「IBM® Watsonサービスの活用も検討しています」とAhlstrom氏は言います。「IBMのビジネス・プロセスの専門知識と当社のデータの専門知識を組み合わせ、それにAI、ML、Watson Analytics®を中心とした共同イノベーション能力を上乗せしたもの、それが当社が一丸となって推進しているものです。」

Syniti社がIBMとの関係で最も価値があると考えている点について、Ahlstrom氏は次のように述べます。「私たちは従業員900人の企業ですが、世界中の大企業を相手に最も重要データを当社に委託するようお願いしています。それを単独で行うこととIBMと組んで行うことを比較した場合、お客様に提供するサービスの背景にIBMのブランドと安定性があることには、とても大きな価値があります。」

私たちは世界規模の大がかりな導入を行い、クライアントには1,100万ユーロ以上を節約すると約束してそれを果たすことができました。これはソフトウェアの実際のコストをはるかに上回る額でした。 Rex Ahlstrom氏 最高戦略・技術責任者 Syniti社
Synitiロゴ
Syniti社

Syniti社(ibm.com外部へのリンク)は、データの専門知識とインテリジェントなソフトウェアを駆使して複雑なエンタープライズ・データ変換という課題の解決に取り組む企業です。同社のソフトウェアは、AIとMLを活用した自動化とガイダンスを、データ移行やデータ品質、分析、マスター・データとメタデータ管理、および情報ガバナンス・イニシアチブに適用します。1996年に設立され、マサチューセッツ州ボストンに本社を置くSyniti社は、世界25カ国で900人以上のデータ・スペシャリストを雇用しており、Forbes Global 2000に名を連ねる組織の200社以上を顧客として、数千のデータ変換プロジェクトを主導してきました。

次のステップ

この記事で紹介されているIBMソリューションの詳細については、IBM担当者またはIBMビジネス・パートナーにお問い合わせください。

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脚注

 

© Copyright IBM Corporation 2020.IBM Corporation, IBM Services, New Orchard Road, Armonk, NY 10504

2020年7月

IBM、IBMロゴ、ibm.com、Global Business Services、IBM Cloud、IBM Services、Watson、 Watson Analytics は、世界中の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。その他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。最新のIBM商標のリストは、www.ibm.com/jp-ja/legal/copytrade.shtml の「Copyright and trademark information」で入手できます

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