2008年、アゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)は、トルコ唯一の石油化学メーカーであるPetkim社を買収しました。この買収がSOCAR Turkey Enerji A.S.社(通称「SOCAR Turkey社」)設立のきっかけとなり、今や同社は風力発電所、光ファイバー回線、エーゲ海地域最大のコンテナ港などの運営や、トルコ国内外に天然ガスを輸送するパイプライン・プロジェクトを手掛けるまでに成長しています。
一方で、事業展開を拡大するにつれ、社内のビジネス・プロセスは飛躍的に複雑になっていきました。それぞれ独自のプラットフォームで運営される同社子会社の業務と文書化プロセスを監視するのは、年月が重なるごとに困難さが増しています。
SOCAR Turkey社でITプロジェクト管理室グループ・マネージャーを務めるBerna Gençoğlu氏は次のように振り返ります。「組織全体の文書とシステムを一カ所で正確に閲覧可能にする方法が必要でした。業務変革を支援するプラットフォームを探す過程で、複数のベンダーのソリューションをいくつか検討しました。その結果、選んだのがIBM Cloud Pak for Business Automationです。自動化サービスで異種システムを統一プラットフォームに統合するのが目的です」
ビジネス・プロセスの自動化は、年間30万米ドルのコスト削減に貢献
契約書、通信文書、エンジニアリング文書をデジタル化して、年間8,258 kgの二酸化炭素排出量を削減
SOCAR Turkey社は、IBM ® Cloud Pak for Business Automationソリューションで利用可能なエンタープライズ・コンテンツ管理サービスを実装するうえで、IBMとIBMビジネス・パートナーであるAKSIS社の連合チームと緊密に連携しました。チームは同社子会社の主要エンタープライズ・ビジネス・アプリケーションとこのソリューションを細心の注意を払いながら統合することで、組織全体でくまなく統一化された自動化・デジタル化プロセスを確立しました。
現在、SOCAR Turkey社は、全社的な文書の作成からアーカイブ、廃棄に至るまでのプロセスをこのソリューションで自動的に管理しています。また、情報の分類、動的フォルダー構造の構築、同社の人事ソリューションで説明される組織構造に基づく文書へのアクセス権付与といった目的でもこのソリューションを使用しています。さらに、開発チームは処理基準を作成して国際的な文書管理基準や一般データ保護規則(GDPR)フレームワークへの準拠管理に役立てるために、IBMソリューションを活用しています。
SOCAR Turkey社ではすべての子会社が日々、大量の通信文書を受信、処理しており、IBM Cloud Pak for Business Automationはこれら文書の自動化と管理に役立っています。今では、新しい通信文書が届くと、このソリューションにスキャンされたバージョンが送信され、そこで分類用のビジネス・ルール一式の適用、ケース番号の作成が順次行われます。次のステップで文書は、分類に応じてケース担当者に自動割り当てされるか、手動で割り当てできるようにマネージャーのダッシュボードに送信されます。
ケース担当者が各ケースを確認、対応する間、進捗状況の追跡、セキュリティーが強化されたコンテンツ・リポジトリへの各文書の送信が自動的に実行されます。対応が完了したケースの文書はすべてまとめて検索可能なアーカイブに保存されます。同社がこれまでに自動化した通信文書プロセスは合計3,000件に達します。
SOCAR Turkey社では、内外の契約書もIBMソリューションを使用して同様に処理しており、6,000件近くの契約文書管理プロセスを自動化することで、契約書管理の迅速化、標準化、簡素化を実現しています。
同社のエンジニアリング部門も自動化プロジェクトのメリットを得ています。現在では、エンジニアリング文書の多数の作成者であるサードパーティーのベンダーが、このソリューションを通じて完成文書をSOCAR Turkey社に提出できるようになっています。このソリューションにはワークフローの自動化機能が備わっており、社内の適任者に文書が確実に届けられ、その適任者が確認、コメント、承認できるようになっています。「IBM Cloud Pak for Business Automationを使うようになってから、社内の利害関係者からシステムに使われていると感じなくなったという声が寄せられています。むしろシステムを使う側に回っているのです」とSOCAR Turkey社の情報・記録グループ・マネージャーのZehra Özcömert氏はコメントします。
SOCAR Turkey社ではIBM Cloud Pak for Business Automationの実装以来、約50万件の文書をこのソリューションに移行し、1万4,000件以上のプロセスを自動化しています。その結果、文書化サイクルの所要時間が20%~40%短縮すると同時に、従業員の生産性は20%~30%、顧客満足度は30%~50%それぞれ向上しています。さらに、印刷して保存する必要がある文書の数が減少しているうえ、さまざまな規制への準拠をより適切に実証できるようになっています。
とはいえ、おそらく最大の改善点は、ソリューションの財務面と環境面での影響に関連するものです。Özcömert氏は次のように締めくくります。「このソリューションを導入したおかげで、当社は紙、印刷、郵便、保管、管理にかかるコストを年間約30万米ドル節約しています。二酸化炭素排出量に換算して8,028 kgのカーボン・フットプリントの削減にもつながっています」
SOCAR Turkey社(ibm.com外部へのリンク)は、世界最大級の石油・天然ガス会社であるアゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)の子会社です。2008年にトルコで事業活動を開始し、現在150万件以上の顧客向けにエネルギーを生産、貯蔵、供給する専門子会社13社を運営しています。イスタンブールに拠点を置き、従業員数は5,000名を超えています。
1994年に設立されたIBMビジネス・パートナーのAksis社(ibm.com外部へのリンク)は、エンタープライズ・コンテンツ管理(ECM)ソリューションで組織を支援することに重点を置いています。また、電子文書とビジネス・プロセス管理システム、モバイル・ソリューション、画像処理、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)なども提供しています。顧客基盤は、金融、自動車、製薬化学、政府など、さまざまな業界にわたっています。イスタンブールに本社を構えています。
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米国で製作、2021年9月
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