ドイツに拠点を構えるsmart Europe社では、顧客が完全にオンラインで車両を購入できる直接消費者向け（D2C）ビジネス・モデルに移行しており、販売およびアフター・セールスの過程で顧客をガイドする顧客エンゲージメント・センター（CEC）の役割に重点が置かれています。これにより、顧客体験（CX）を向上させる刺激的な機会がもたらされましたが、顧客とのやり取りの急増に伴い、顧客とのやり取りを管理するという新たな課題も生じました。
同社のSalesforce顧客関係管理（CRM）システムは、CECで働く150人以上のエージェントにより毎日使用されています。しかし、システム内のワークフローが手動作業が大半であったため、処理時間が長くなるだけではなく、人為的エラーのリスクが高まり、全体的な非効率性が生じていました。そのため、smart Europe社は、プロセスを合理化し、従業員のワークフローの効率と有効性を高め、長期的に顧客満足度を向上させるために、顧客サービス・ワークフローの自動化ソリューションを実装することを目指すことにしました。
適切なテクノロジーが導入されていないことにより、smart Europe社は、一貫性のない分類や問い合わせのルーティングなどの障害に直面していました。同社では、シームレスなリクエスト処理を促進し、貴重なデータの洞察を得てサービス品質を向上させ、顧客満足度を維持するためのパワフルなツールを必要としていました。
smart Europe社は、生成AIを使用することでカスタマー・ケアをレベルアップできることを認識していました。smart Europe社、IBM® コンサルティング、IBM Client Engineeringは、生成AIを使用した最小実行可能な製品（MVP）を定義しました。smart Europe社が、カスタマー・サポート・チケットのケース管理を担当する中、IBMチームは、システムによって生成されたすべての決定をエージェントに通知するSalesforceのユーザー・インターフェース（UI）コンポーネントの構築を支援しました。
具体的には、IBM® watsonxとSalesforceを連携させ、受信した顧客ケースを自動的に優先順位付けして分類し、合理化することで対応業務を支援しました。IBM® Cloudをベースにしたこのシステムは、人間のアクションの前にチケットを処理し、要約、チケットの分類、優先順位付けなどの面倒な作業を排除します。また、IBM® Watson Discoveryを使用して標準的なクエリに回答し、自動的に解決することで、エージェントの時間を節約し、回答が一貫してブランドと顧客中心に沿ったものになるようにしています。
MVPによる成果：
- ケース分類と優先順位付けの精度が30％向上
- 繰り返し発生する問題の解決時間が3分の1に短縮
- 初回コールでの解決率が60％向上
- エージェントによる高評価率が97％を達成
システムは拡張が簡単で、追加の言語を組み込むことができるため、複数の市場にサービスを提供できます。さらに、追加のユースケースをシームレスに統合でき、ServiceNow、Adobeなどのさまざまなシステムと互換性があります。こうした互換性の高さこそ、smart Europe社がIBM watsonxを選択した主な理由の1つです。このシステムにより、電子商取引、販売、マーケティング、アフターセールス、製品管理など、さまざまな部門にスムーズに展開できます。
「smart Europe社では、テクノロジーが常に顧客体験が向上すると考えています」と、顧客エンゲージメント・ソリューションの責任者であるAymen Ismail 氏は述べています。「IBMとの提携により、業務を効率化できるだけでなく、あらゆるやり取りに新たなレベルの個別化と精度をもたらすことが可能になりました。生成AIを活用して、一件一件の顧客対応をよりパーソナライズし、より有意義なものにしながら、課題をより効率的に解決することを目指しました」。
2020年にシュトゥットガルト近郊のラインフェルデン＝エヒターディンゲンに設立されたsmart Europe社（ibm.com外部へのリンク）は、smart mobility International社の完全子会社です。smart Europe社の国際チームは、欧州市場における同ブランドの次世代スマート車両、製品、サービスに関するすべての販売、マーケティング、アフターセールス活動を担当しています。メルセデス・ベンツ社と吉利汽車有限公司の間で国際的なスマート合弁会社が設立されました。smart Europe社は、プレミアム・セグメントにおけるインテリジェントな電気自動車の大手プロバイダーとしての地位を確立しています。
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