機敏な競合他社が台頭する中、ラボバンクは非中核業務のアウトソーシングにより市場での主導的地位を維持することを目指していましたが、拡大する取引先基盤を費用対効果の高い方法で管理するにはどうすればよいでしょうか。

ラボバンクは、すべての取引先との電子データ交換（EDI）をサポートするために、スケーラブルで安全かつ弾力性のあるプラットフォームを構築しました。

銀行サービスの利用に関する消費者の嗜好が、実店舗の支店からデジタル・デバイスへ移行するに伴い、破壊的な新規プレーヤーによる市場参入がかつてないほど容易になっています。既存の銀行が競争力を維持するためには、運用コストを制御不能に陥らせることなく、機敏な新興企業の俊敏性でサービスを適応させる必要があります。

オランダに本拠を置く大手国際金融サービス・プロバイダーであるラボバンクは、これらの新たな課題に正面から取り組むことを決意しました。

ラボバンクのミドルウェア・スペシャリスト、カールステン・ファン・デン・ボガート氏は次のように説明しています。「オランダでは、ホールセール・バンキング、リテール・バンキング、プライベート・バンキングのすべてのニーズに対応するワンストップショップを顧客に提供することで、市場をリードする地位を獲得しています。銀行業務がオンラインに移行するに伴い、顧客を満足させる革新的な商用および小売サービスを構築する新たな機会が生まれていますが、同時に、アジャイルな競合他社による新たな脅威にもさらされています。」

アウトソーシング戦略の構築

同氏はさらに次のように続けています。「業界のリーダーシップを維持するために、製品開発やカスタマー・サービスなどのコアコンピテンシーに投資を振り向けることを目指しています。銀行取引明細書の印刷やクレジットカードの作成などの非中核機能の専門取引先へのアウトソーシングは、この目的を達成するための強力な手段です。

「目標を達成することは、取引先の劇的な拡大を意味することに気づきました。以前は、新規取引先のオンボーディングは複雑で時間のかかるプロセスで、完了するまでに最大3週間かかりました。最大の難点は、電子データ交換 [EDI] 用の以前のシステムに、目標とするメッセージ量、特に内部ウェブサービスと外部ウェブサービス間のトラフィックの予測増加をサポートするのに必要な拡張性が欠けていたことです。」

「当社の取引先基盤が急速に拡大しているため、安全かつ効率的でコスト効率の高い方法でファイル転送やFTP転送のネットワーク端でのアクティビティを管理できるゲートウェイを探していました。その際、導入の容易さが不可欠であり、既存の取引先統合の移行と新規取引先のオンボーディングが迅速に行えるソリューションを目標としていました。」

ラボバンクはこの課題を解決するため、取引先との接続の標準化とオンボーディング・プロセスの自動化によって取引先統合への新たなアプローチ構築を決定し、新たな作業方法をサポートするSterling Commerce Commerceソリューションを選択しました。

「高性能EDI処理に加えて、当社の新しいB2B統合プラットフォームの重要な要件の1つは可用性でした」とカールステン・ファン・デン・ボガート氏は振り返ります。「多くの統合、特に決済処理業者との統合には、24時間365 日の稼働時間が必要であることはわかっていました。また、一部のメッセージは機密性が高いため、厳格な規制要件をできる限り簡単に遵守できるプラットフォームを目標にしました。

「私たちが検討したすべてのベンダーの中で、IBMチームの概念実証デモンストレーションが最も印象に残りました。IBMのソリューションは、私たちが求めていたレベルの可用性とパフォーマンスを実現できるだけでなく、IBM Sterling Connect:Directのアプリケーション・ランドスケープと完全に相互運用可能でした。

IBMのコンサルタントの専門家チームと協力して、ラボバンクはEDIメッセージ処理のプラットフォームとしてIBM Sterling B2B Integratorを導入し、FTP要件の管理にはIBM Sterling File Gatewayを使用しました。エンドツーエンドの取引先統合ソリューションの効果的な監視と管理を可能にするため、同社はIBM Sterling Control CenterとIBM DataPower Gatewayを導入しました。

カーステン・ファン・デン・ボーガート氏は次のようにコメントしています。「当社のリテール・バンキング組織は現在、ATMの現金注文や新しいクレジットカードの注文といったリスクの高い取引から、銀行取引明細書の印刷といったリスクの低い取引まで、あらゆる取引にIBMのソリューションを使用しています。」

取引先の飛躍的な拡大

今日、ラボバンクは非中核機能を信頼できるパートナーにアウトソーシングし、競争上の優位性向上につながる新サービスの開発に集中するため、拡張性の高い安全で弾力性のあるプラットフォームを実現しました。

カーステン・ファン・デン・ボーガート氏は次のように述べています。「わずか数年で、当社の取引先は40社から200社以上に拡大しました。そして、当社のIBMプラットフォームのおかげで、その拡大に対応するためにほとんど労力を要しませんでした。」「今日、私たちはIBMプラットフォームで1日あたり約30万のConnect:Directファイルを転送しています。このシステムは、少なくとも今後3年間は規模を拡大することなく、私たちのニーズを満たすのに十分な容量を提供してくれると確信しています。」
 

ラボバンクのIBMソリューションは、クリティカルな接続が24時間利用可能であることを保証しながら、新規取引先の迅速なオンボーディングを支援しています。

カーステン・ファン・デン・ボガート氏は次のようにコメントしています。「わずか1週間で新規取引先のオンボーディングが可能になり、以前よりも66%速くなりました。実際、IBMソリューションの使用により新規取引先の設定が非常に簡単になったため、年末までにオンボーディング時間をわずか1営業日に短縮できると予測しています。

「さらに良いことに、当社のB2B統合プラットフォームは年中無休で利用できるため、まったく心配ありません。IBMソリューションが稼働して以来、予期しないダウンタイムは発生していません。」

費用対効果の高いコンプライアンス

ラボバンクは現在、新しいB2B統合プラットフォームを使用して、規制遵守のコストと複雑さを軽減しています。

カーステン・ファン・デン・ボガート氏は次のように述べています。「IBMソリューションには、当社のコンプライアンス・プロセスの合理化に役立つ強力な機能が数多く用意されています。「たとえば、IBM Sterling B2B Integratorはデフォルトで長いSSLキーを強制できます。これにより、すべての取引先による最も厳しい規制基準の遵守が保証され、各取引先の設定を手作業で確認する必要がなくなります。

「IBM Sterling B2B Integratorを導入する前は、各取引先が米国国立標準技術研究所（NIST）のセキュリティ標準に従って正しい証明書と暗号化を使用していることを確認するために、システムを手作業で確認して再構成する必要がありました。この長いプロセスには、少なくとも年間80時間かかりました。IBMのソリューションは、NISTのセキュリティー標準を自動的に検証するので、ボタンを押すだけでこのような作業をすべて省けます。」

将来への備え

カーステン・ファン・デン・ボガート氏は次のように付け加えています。「IBMのソリューションが当社のB2B統合プロセスを推進することで、コストをほぼ一定に保ちながら、5倍の数の取引先を管理できるようになりました。現在サポートしている取引先の数をサポートするために以前のシステムの規模を拡大したら、運用コストがおそらく30%増になるところでしたが、この数字はこれまでうまく回避できました。」

同氏は次のように締めくくっています。「当社のIBM B2B統合プラットフォームは、アウトソーシング戦略を推進し、中核となる銀行業務に注力し、最終的には世界中のお客様に質の高いサービスを提供するのに役立っています。」

1972 年に設立され、オランダのユトレヒトに本社を置くラボバンク（ibm.com外部へのリンク）は、協力原則に基づいて運営されている総合金融サービス・プロバイダーです。現在、同行は世界40の国または地域で事業を展開しており、48,200人を超える従業員を擁し、880万人以上の顧客にサービスを提供しています。