しかし、PNC Financial Services Group Inc.はこうした問題点を抱えていました。同社の事業部門では、日々、下流パートナー向けにメッセージやファイルのフォーマットを行う際に多くのリソースを費やしているにもかかわらず、ITシステム同士で容易に通信させることができていませんでした。

状況をさらに悪化させたのは、ISO 20022に基づいた決済手段を使用する機能を求める顧客が増えたことでした。この処理機能を導入しなければ、PNCは顧客の一部を失ってしまう恐れがありました。この銀行では、ファイルやデータのサイズも大きくなり、社内外のクライアントからのトランザクション量も増加していましたが、その勢いが衰えることはありませんでした。

社内システムの多くを相互に通信させる必要があると同時に、ISO決済を処理する必要性に直面したPNCは、既存のインフラをモダナイズし、新たな処理要求に対応できるスケーラブルなソリューションを見つけるため、社内にデータ・アクセス層（DAL）というグループを作りました。ITXはこのグループが使用しているツールの1つで、PNCのアプリケーション・サービス・マネージャーであるEllen Agostino氏が指揮をとりました。

PNCの目標は、あらゆる形式と標準間におけるデータの複雑な変換と検証を自動化し、社内外のクライアントからのトランザクションを統合できるようにすることでした。このコミュニケーションを実現するため、同行はIBMと協力してIBM Sterling Transformation Extender（ITX）ソリューションを導入しました。

開発者は、新たなITインフラを設計する際に、長い実行時間や非効率の原因となる可能性があるマップ内のデータ抽出に関する問題を回避するよう注意を払いました。業界パックのITXファミリにあるすべてのツールを使って、変換とメッセージ・ファイル転送をシームレスに実行します。Agostino氏が新たに設立したグループの機能は、PNC社内のチームで大評判となりました。

新たに強化されたBAI（Bank Administration Institute）プロセスにより、システムからデータを生成するリソースを持たない社内外の顧客は、そのデータをAgostino氏が率いるDALチームに送信できます。このグループは、さまざまなソースからデータを自動的に取得して顧客向けに任意の形式で取りまとめ、すぐに送り返すことができます。

「ISOができるようになったことで、顧客の一部を失わずに済みました。これは私たちにとってビジネスを拡大する大きな機会となりました」とAgostino氏は言います。「当社の資産管理チームは、私たちが使用しているものと私たちが提供できる変革能力に気づき始め、今ではこのグループに大きく組み込まれています」ともコメントしています。